戸車とは
戸車とは引き戸の下についている、タイヤのようなものです。引き戸を外してみると外側からでも簡単に見えるのですがなかなか戸を外してみたことがない人も多いのではないでしょうか。
この戸車、ゴム製のものや金属製のもの、大きな戸車や小さな戸車とサイズも材質も色々ですが、どの戸もこの戸車がついていることによって引き戸がスムーズに開閉できるようになっています。
レール
戸車をタイヤに例えましたが、実は電車の車輪のような構造になっています。床の敷居などにレールが付けられていてそのレールの上を戸車が走ることで戸が動きます。 引き戸のトラブルは戸車だけでなくこのレールが問題のこともあります。しかし、戸車も長く使っているうちに摩耗したりネジが緩んできたりするのでレールが破損している場合は戸車も一緒に交換してしまうのが良いでしょう。
戸車を自分で交換しよう
戸車が壊れたり、戸車が走るレールが錆びついていると引き戸の開け閉めがガタガタいったり時には戸がびくとも動かなくなってしまうこともあります。戸車の交換くらいなら専門家でなくても十分DIYで交換できます。
引き戸の調子が悪いとき、建具屋さんに修理をお願いする前に自分で何とかできることもあるかもしれません。今日は戸車の種類とその交換方法をご紹介します。
戸車の種類を知ろう
戸車はそのサイズや形、材質など色々な種類があります。交換するときは自分の交換したい戸車の種類とサイズがわからないとどんなものが欲しいのかお店の人に説明するのにも困ってしまうでしょう。
戸車の種類の中でポピュラーなV型、Y型、丸型、平型の戸車についてご紹介します。自分の交換したい戸車は何という名前なのかチェックしましょう。
戸車の種類/V型
V型の戸車とは戸車のタイヤのような丸い部分がV字型になっているもののことをいいます。その戸車が走るレールはV型の車がぴったりハマるような溝になっているのが特徴です。
戸車の種類/Y型
Y型はV型の戸車と似ていますがレールに当たる最下部が平らになっているものをいいます。レールの溝を見るとY型かV型かわかりやすいでしょう。摩耗したV型とY型は間違えやすいのでレールもよく見て判断しましょう。
戸車の種類/丸型
VとYが戸車のでっぱっている部分の形ならば、丸型の戸車はUの字のように出ている形かと思ってしまう人も多いでしょう。でも、丸型はタイヤではなくてレールの形が丸くなっていて、逆のU字になっています。タイヤの形もそれに沿った逆U字になります。○型というのは戸車の形ではなく「レールの形」と覚えておくと混乱せずにすみます。
戸車の種類/平型
平型は戸車が上から下まで同じ幅で溝に接する部分も平らになっています。障子などにこの平型のタイプがおおく、戸車がついていなくて溝の中を建具が走るようになっています。平型の特徴はレールがなく敷居に直接溝が掘ってありそこに建具が滑りやすくなるような加工が施されています。
戸車がついていなかったりレールが無かったりと建具や敷居を直接加工することになりますので、専門家でないと簡単に修理するのは難しいでしょう。溝の掘り直し、平型部分の削り直しなどには建具屋ではなく工務店や大工に直接修理をお願いした方が早いでしょう。
戸車の材質
戸車を交換するときは元ついていた物と同じ種類や材質のものと交換するのが無難な方法ですが、材質によって利点がありますのでこの機会に最も適した材質の戸車に交換するのもよいでしょう。 戸車の材質とそのメリット・デメリットは以下の通りです。
戸車の材質によるメリット・デメリット
鉄製の戸車:強度は強いですが錆びるのが難点です。引き戸からギィギィと音がするのはサビてきているのが原因です。 ステンレスの戸車:錆びにくく強いのが特徴です。お風呂場や外にある建具など水濡れが考えられる部分に使われます。
ナイロンの戸車:音が静かなナイロンの戸車は錆びないのがメリットですが耐久が弱いのがデメリットです。浴室などに使われます。 ゴムの戸車:ゴムは劣化してしまうので耐久性が低いですがとても音が静かなのが特徴です。室内の音が気になる部分に使われます。
戸車の交換で気をつけること
引き戸が動かなくなったとき、ガタガタいう時に戸車の故障・破損の場合も多いですが戸車ではなくレールが問題であることも多いです。金属製のレールが曲がったり折れてしまっていたり、つぶれてしまっていても戸車がスムーズに動きません。 戸車とレール両方をチェックしましょう。
レールの交換
レールも自分で交換することが可能です。古いレールを取り除き新しく買ってきたレールをまっすぐ曲がらないように交換していきます。 レールの材質も錆びにくいもの、音が静かなものなど色々ありますので使う場所によって選び場合によっては今までついていたものと臨機応変に取り替えた方が快適になることもあります。
サッシの戸車の交換・調整
掃き出し窓など外壁側の引き戸はサッシを使っている家も多いでしょう。サッシの場合も基本的に木製の戸についている戸車と交換の仕方は同じですが取り付け部の形が色々あるので混乱してしまうことがあります。
サイズの取り付け部・戸車の寸法を測って新しい部品を買いに行くことになります。 ネジが壊れてしまっていたり腐食して戸車が外せない場合は、元々ついていた隣にもうひとつ戸車を付けます。このとき元からついていた戸車と新しくつけた戸車の高さを高さ調整版でしっかり合わせましょう。
サッシが斜めになっている調整
サッシが斜めになっていて隙間が出来てしまっている場合は、高さ調整版か戸車に調整ネジがついていればそれで水平にしてあげましょう。戸車についている調整ネジはプッシュネジの奥に隠れています。
まずはプッシュネジを外してその穴からドライバーを差し込み回します。 初期の高さは一番下に調整されているので戸車のネジ側を上げることになります。調整可能な高さは5mm~6mm程度な戸車が一般的です。
戸車の調整
引き戸がガタガタしたり引っかかって開かなくなったとき、戸車の交換をしなくてももっと簡単に出来る調整をしてあげることでスムーズに開閉できることもあります。ホームセンターに戸車を買いに行く前にチェックしましょう。
ゴミ
引き戸がうまく動かない原因の中で戸車の部分にゴミが詰まってタイヤが回らなくなっている場合も少なくありません。この場合はゴミを取り除いて、戸車に潤滑油などを差してあげるだけで復活します。
引き戸が擦れる
引き戸を開閉しようとするときにゴリゴリと床を擦るようであれば高さが合っていません。戸車の高さ調整で直る場合もありますし、戸車がすり減って高さが低くなっているときは交換しましょう。
高さの調整
戸車はこわれていないけれど高さが足りない、傾いているというときはいったん戸車を外して薄い板を挟んで留め直す調整が必要です。
この場合戸車ではなくて戸がすり減っているのが原因なので、戸車を交換しても引き戸の問題は解決しないことがほとんどです。 薄い板を挟んでみても「自分ではうまく直せない」というときは大工や建具屋に相談しましょう。
調整後のチェック
戸車を交換したり調整したら最終チェックは必ずしましょう。引き戸がスムーズに動くか、締めた時戸が斜めになって隙間ができていないか、鍵付きのものは戸が歪んでしまっていると鍵がかからないこともあるので施錠できるかもチェックします。 外から見ただけではわかりにくい「ねじのゆるみ」も忘れずにおこないましょう。
まとめ
扉の建付けがわるくなるとどうしても専門家に頼まないといけないと思いがちですが、戸車の交換くらいなら専門家でなくても自分でできるものも多いです。また、中には戸車もレールも壊れておらずゴミが詰まっているだけということもあります。
あわてて建具屋さんを呼ばずにまずはなぜ扉がスムーズに動かないのかチェックして自分で直せるところは直した方がお財布にも優しいですね。ご紹介した戸車の種類やチェック方法などを、自分で修理するときの参考にしていただければ幸いです。