スノーボードの板選びは慎重に
スノーボードの板には様々な種類や形状がありますので購入は慎重にしましょう。初めてマイボードを購入する場合はなおさらですね。何も知識なく買うにはスノーボードの板は高い買い物だと思います。
しかもバインディングとブーツも必要になりますので、それなりのブランドの新作ならセットで買ったとしても安くても10万円前後する値段になります。おそらく、マイボードを買うぐらいならスノボウェアも買うのではないでしょうか?こちらもちゃんとしたブランドのものなら安くても3万円前後します。
板の購入前で大切なこと
スノーボードの板を初めて購入する場合は、サイズ(長さ、幅など)が滑りに大きく影響することを念頭に、実店舗で店員さんに相談するか、スノーボードをしている友人などを連れていくことをおすすめします。
ネットでの購入は値段も安く楽ですが、それなりの知識が必要です。ここでは、初級者、中級者のマイボード購入の参考までに、スノーボードの板の選び方のポイントを紹介していきます。
スノーボードの板選びのポイント1.板のサイズの選び方
①身長に適したスノボ板のサイズ(長さ)の選び方
スノーボードの板には同じ商品でもいくつかのサイズ(長さ)があります。人間の身長が千差万別だからですね。レンタルする場合でも身長かボードのサイズ(長さ)を訊かれます。昔から板のサイズ(長さ)は身長-(マイナス)15~20㎝、または自分のアゴか鼻の下ぐらいが目安とも言われています。
若干アバウトですよね。でも靴のサイズのように厳密なものではありませんので、身長が170㎝ぐらいなら150~155㎝の板、150㎝ぐらいの女性なら130~135㎝の板がおすすめです。
ところが、実際この方法で板のサイズを選ぶと、身長が高すぎる、または低すぎるとサイズ(長さ)がありません。もし自分の身長に合ったサイズ(長さ)がない場合は、ー15~20㎝に一番近いサイズ(長さ)の板、ぐらいの感覚でOKです。
②目的・用途に応じたスノボ板のサイズ(長さ)の選び方
身長に対するスノーボードの板のサイズは結構アバウトでした。でも初めて板を買う場合、やはり目安が必要ですので自分の身長-15~20㎝で選びましょう。次に目的・用途でサイズからの選び方もあります。
物理的に考えると、重くて長いものは小回りが利かず、軽く小さいものは小回りが利きます。つまり板のサイズが長いほど、直線で安定しスピードも乗りますが、取り回しや急なターンが難しく、短いほど取り回しがよく、ターンしやすく、直線ではバタつきます。
広いゲレンデをフリーランするなら長め、グラトリやジブがメインなら短い方がおすすめです。
スノーボードの板選びのポイント2.ライディングスタイル
次にスノーボードのライディングスタイルというと、敷居が高い感じがしますが、要はゲレンデでどういう滑り方をするかということです。
スノーボードのライディングスタイルには大きく分けて、フリーランまたはフリーライディングという、普通に上の方からコースを滑り降りるという一般的なスノーボードの滑り方、フリースタイルという主にグラトリやジブを楽しむ滑り方、そしてオールラウンドは、フリーランとフリースタイルの両方を楽しむ滑り方になります。
それぞれのスノーボードの滑り方に合った板を選びましょう。
スノボのライディングスタイル① フリーラン
①フリーランは普通にスノボをすること
フリーラン/フリーライディングは一番多くのスノーボーダーが行う滑り方です。スキー場により様々なコースが設定されており、斜度などの難易度により上級者、中級者、初級者用などに分かれているコースを滑り降りていきます。
林間コースなど狭めでカーブが多いコースや、最近はバックカントリーやパウダー好きのためにツリーランコースがあるスキー場も増えてきました。自分のレベルにあったコース設定のスキー場選びも大切になってきます。フリーランでは、最低回数のリフト乗り継ぎで数キロ滑れるロングコースがあるスキー場がおすすめです。
②フリーランに適したスノボ板 ディレクショナル
ディレクショナルとは英語でdirectional、形状的に進行方向が決まっている種類の板のことです。バインディングを固定するネジ穴(インサートホール)が板の中心部よりテール(後ろ)寄りに付いていて、ノーズ(前部分)の方がテールより長くなるように設定されています。
中心部より後ろに重心を置くこと(セットバックといって両足のバインディングを中心よりもテールよりに設置すること)によって、自然とノーズが雪に埋もれにくく、パウダースノーにも浮きやすくできています。
そもそもサイズ的にも他のボードより長めの設定が多いので、ディレクショナルは通常よりも少し長めのものを選択すると直線滑走が安定します。
スノボのライディングスタイル② フリースタイル
①フリースタイルはグラトリやジブなど技を楽しむスノボ
グラトリはグラウンドトリックの略で、なだらかな斜面でオーリー、ノーリー、スピン、プレスなどのトリック(技)をすることです。一方、ジブはパークやコース上に設置されたボックス(埋められた箱)、レール、キッカー(ジャンプ台)などをうまく滑ったり、跳んだりすることです。
当然、これらは基本的なライディングの技術が習得できていないとできませんし、フリースタイルに適したスノーボードの板選びが重要になってきます。
②フリースタイルに適したスノボ板 ツインチップ
ツインチップボードはフリースタイル専用と言っても過言ではありません。ノーズとテールが同じ形状をしていて、ボードの真ん中に重心を載せる(セットバックなし)タイプですので、180(ワンエイティ)など半回転後のスイッチも違和感ありません。板の固さは柔らかめが基本です。
当然、フリースタイルはレギュラースタンス(右利きの人が左足を前にすること)からスイッチ(右足を前にすること)で滑れる必要があります。逆に左利きの人は右足が前になり(グーフィースタンス)、そのスイッチは左足が前になります。 ※必ずしも左利きの人がグーフィーになるとは限りません
スノボのライディングスタイル③ オールラウンド
①オールラウンドはどっちもやりたい欲張りさん
オールラウンドはフリーランでかっこよく滑りたいし、フリースタイルでグラトリもキメたいという欲張りさんですが、実際、フリーランかフリースタイルどちらかに特化してスノーボードをしている人はそう多くはありません。
一緒に行くスノボ仲間にもよりますよね。友達がグラトリ派であればグラトリもするし、誘われればパウダーのあるコースに出たり、カービングにも挑戦するかもしれません。そういう滑り方にも適した種類の板があります。
②オールラウンドに適したスノボ板 ディレクショナルツイン
ネーミングの通り、ディレクショナルとツインチップの両方の特性を持つ種類の板になります。基本的にはツインチップの形状をしていますが、インサートホールをセットバックさせることで、中心より後ろに重心があるため、ディレクショナルと同様にノーズが浮いて雪に埋もれず直進することが出来ます。
つまり、フリーランもできるし、フリースタイルでも遊べるという、まさにオールラウンドな種類のスノボ板です。板の固さは標準的な固さのものが多いです。 ※ツインチップでもオールラウンド仕様のものあります
スノーボードの板選びのポイント3.キャンバーの形状
キャンバーはスノーボードの滑走面(ベース)の形状
キャンバーはスノーボード板を真横から見たときの滑走面の形状で、例えるなら、靴底の形状が靴の用途で違うのと一緒で、キャンバーの形状でどういう滑り方に適しているかが変わります。それではキャンバーの形状と特性を紹介します。
スノーボードのキャンバー形状①キャンバー
オーソドックスな昔ながらの人気の形状 ボード中央、両足元がアーチ状になって浮いており、ノーズとテール手前2か所でアーチが終わり接地した形状。
このアーチ構造がバネの役割を果たしオーリーやノーリーなど反発力を使ったジャンプやトリックがやり易くなる効果があり、フリースタイルに適しています。またターンするときも次のターンへの切り返しが反発力でアシストされますのでカービングにも適しています。多くの人が使っている板ですので、初級者にもおすすめです。
スノーボードのキャンバー形状②ダブルキャンバー

バートン プロセス フライングV 典型的なダブルキャンバーの板、中心部を軸に回転させやすい形状で、ロッカーも入っており浮力もあり、柔らかめ、フリースタイルにおすすめ
前述のキャンバーがボードの中心を境に前足と後ろ足の下に分かれて二つ付いているボードです。つまり横から見たとき、小さいアーチが二つあるキャンバー形状です。
キャンバーボードと同じように反発力に長けながら、コマのように中心部分が接地するため、ここを軸にボードを回転させやすいという特徴があり、キャンバーよりも鋭いターンができ、さらにフリースタイル向きと言えます。
スノーボードのキャンバー形状③ロッカー
リバースキャンバーとも。キャンバーとは正反対の形状で中心から両端にかけて板が反り返っています。この形状によりパウダースノーにも乗り易く、キャンバーやダブルキャンバーよりも逆エッジにもなりにくいです。またこちらもダブルキャンバー同様、ターンがしやすい板になります。
スノーボードのキャンバー形状④フラット
ノーズとテールの先端が反っている以外は平らな板。ゼロキャンバーとも呼びます。キャンバーとロッカーの中間形状と言いますが、ただ平らです。平らなので当然接地面が広く有効エッジの範囲も広く、効きがよいのが特徴です。
スノーボードの板選びのポイント4.板の固さ
板の固さは”フレックス”といい、統一指標みたいなものはありませんが、多くのスノーボードブランドでは、1柔らかい~10固いという10段階で固さを表示しています。柔らかいほど板がしなり、反発力が高くなります。
大体の場合、フリースタイル向きの板は柔らかく、フリーラン向きの板は固めに出来ています。そうすると、オールラウンド向きの板はその中間の固さということになります。また初級者にとっても柔らかい板の方が扱いやすいのでおすすめです。
スノーボードの板選びのポイント5.板の幅
スノーボードの板の長さ、形状、固さなどをポイントとして挙げましたが、板の幅にも注意しましょう。板の幅はノーズ、テール、ウエスト(足元部分)で変わってきます。一番重要なのはウエスト幅です。自分の足のサイズとほぼ同じならブーツの分、少し板からはみ出しますが、1~2㎝前後は許容範囲です。
しかしはみ出しすぎると、エッジを立てる時につま先が邪魔になって思うよう板をコントロールできませんので要注意です。板の種類によっても幅の広い、狭いがあります。特に、小さめの板を買うときはウエスト幅を気にしましょう。
スノーボードの板選びのポイント6.値段で選ぶ
①初級者は高級なモデルのスノボの板を買う必要はない
実は値段は一番大事な要素かもしれません。板の値段は最新のもの(そのシーズンの新作)や品質、種類や新技術、上級者のニーズに特化したものなどが高くなります。あまり値段が高いものは初級者用ではない可能性がありますので、買うのは個人の自由なのですが、初級者では十分に板の能力を引き出せず、かえって滑りにくくおすすめできません。
②スノボ板を安く買う方法:”型落ち”のすすめ
そこで、コスパ的におすすめなのが、型落ちモデルの新品購入です。実店舗でもネットショップでも1年前のモデルから2,3年前のモデルぐらいまで売っています。
人気スノボブランドの新作は廉価なモデルでも5,6万、高級モデルは10万以上しますが、型落ちモデルだと半額かそれ以下の値段になることもあり大変お買い得でおすすめです。どのみち、新作を買っても来年には型落ちですし、胸を張って憧れのスノボブランドの型落ちを買いましょう!
③激安スノボ3点セットはありか?
初心者でも、1,2回のスノボ体験でハマった!という人もいるでしょう。有名人気ブランドは手が出せないが、もうレンタルではなく安くてもいいのでマイボードが欲しい場合、板とバインディングの激安2点セット、もしくは、プラス、ブーツの3点セットで3万円前後がネットショップや実店舗でも目を引くと思います。
これはどうなのか?と思いますよね。 前述の人気ブランドの型落ちの板だけと変わらない値段です。そもそもその値段で買えるわけですから、板もバインディングもブーツも値段相応な質と作りです。
しかし、年に何回もスノボに行くならレンタル料よりも安くなる可能性もあります。また、レンタルボードだと毎回フィーリングが違うという点でも激安でもマイボード、マイブーツの方がよいとも考えられます。
④初心者、初級者の練習用と割り切るなら激安スノボもあり
なので、しっかり基本の滑り方(最低でも木の葉卒業ぐらいまで、できればスライドターンまで)が身につくまでこそ練(こそっと練習)も辞さないなら、練習用として激安3点セットもありだと思います。
ただし激安スノボもピンキリですので吟味が必要です。年数を掛けずに初心者レベルをクリアした時は改めてバートン、スクーター、ロームなどなどお目当ての人気スノボブランドの板を買うことをおすすめします。
スノーボードの板選びのポイント7.ブランド
最後に、スノーボードの板選びの大事な要素はやはりブランドでしょう。自分のライディングスタイルにあったボードからブランドを選ぶこともできますが、逆にまずブランドを決めてから板を選ぶのもありです。
スキー場に足を運べば運ぶほど、友達や周りの人が使っている板を見る機会が増え、スノーボードブランドの人気や個性への知識も増えていきます。そうすると自然と「このブランドがいいな」というのが出てきますよね。そのブランドから出ている板から自分のライディングスタイルに合った板を選ぶということもできます。
スノーボードの板選びのポイントのまとめ
今回はスノーボードの板の選び方を初級者、中級者向けにお送りしました。
もっと細かい板選びの要素があるかもしれませんが、難しすぎると悩みが増えて買えなくなるかもしれませんので、
身長、ライディングスタイル(ボードの種類)、キャンバーの形状、固さ、値段、スノボ板のブランドなど今回挙げたポイントの中から優先順位を付けて自分の一枚、マイボードをゲットしてスノボを楽しんでくださいね。
身長は高すぎても、低すぎても板のサイズが限られてきます。それは普段の服や靴のサイズと一緒ですね。