接点復活剤と使い方
接点復活剤を簡単にいってしまうと「機械に使う油の一種」です。スイッチなど接触させて電気を流す部分の接触が悪くなると電源が入らなかったり、スイッチを回すとザリザリという嫌な音がしたりするという経験があるでしょう。
そのような電気の接触不良を改善してくれるのが接点復活剤です。 綿棒などにつけて塗るタイプのものと、スプレー式で吹き付けるタイプの接点復活剤がありますが、ポピュラーなのはスプレー式の接点復活剤です。
成分
接点復活剤のメーカーとして有名なkureの設定復活剤スプレーのパッケージを見ると、成分として「鉱物油」「防錆剤」「石油系溶剤」と書かれています。 この成分をまとめると、金属の表面の汚れを石油系溶剤で溶かして取り除き、サビ予防をしつつ電気の流れを妨げないような膜をはる油ということになります。
効果
成分でもわかるとおり、電気を流れやすくする効果が接点復活剤にはあります。そのほかにサビを防ぐ効果もあるようです。 それでは、次の章から接点復活剤は具体的にどのようなものに使えるのかその使い方をご紹介していきます。
接点復活剤の使い方①音響製品に
イヤホンやオーディオスピーカー、エレキギターなど電気で音を出す音響製品の音が大きくなったり小さくなったり不安定だという経験はありませんか。
または、ボリュームをひねると「ザリザリザリ」という嫌なノイズが聞こえたりした事がある人もいるでしょう。 修理に出さなくても接点復活剤を使うとそんな悩みが解消される場合があります。
汚れを吹き飛ばす
接点復活剤をいきなり使わずに、まずは目に見えるような大きなホコリ、ゴミをエアーを使って吹き飛ばしましょう。これもスプレー式のエアーが売っていますのでない場合は接点復活剤と一緒に買ってきます。
ジャックに吹き付ける
音響製品のガリガリという音や、音の大きさが不安定なのは差込口かジャックのどちらかに原因がある場合があります。まずはジャックに接点復活剤を塗ってウエスなどで拭き取ります。
接点復活剤でクリーニングしたジャックを差し込んでみて音が復活しない場合は、もう一度ジャックに接点復活剤を塗ってから拭き取らずに差し込みに抜き差しを数度繰り返してみてください。こうすることで接点復活剤で差込口内部の汚れが取れて正しく音が出る場合があります。
アンプやボリュームのつまみに
つまみを回すとノイズが入る場合は、そのつまみ部分にも接点復活剤を塗ってメンテナンスしておきましょう。使い方は、つまみの根本部分にスプレーしてぐるぐると回します。余分な部分についた接点復活剤はよく拭き取っておきましょう。
電源をいれつまみを回してノイズがなくなっていたら、接点復活剤でのメンテナンス完了です。
綿棒を使って
オーディオのプラグの差し込み部分は口径が大きなものもあり、細身の綿棒なら入る場合もあります。接点復活剤は油ですがピンジャックの抜き差しを何度もするのはジャック自身を摩耗させたり差し込み部分を壊してしまう恐れもあります。
綿棒が使えるなら、綿棒に接点復活剤を塗ってクリーニングするようにしましょう。
金属部分以外には付けない
他のもののメンテナンスにもいえますが、接点復活剤はオイル系の溶解剤なのでプラスチックなどを溶かしてしまう恐れが大きいです。
スプレーすると金属以外の部分にも接点復活剤がついてしまう恐れがある場合は先程の綿棒を使う方法がおすすめです。 このほか、ピンジャックはティッシュやウエスなどに接点復活剤を吹き付けて、それで擦るようにするとよいでしょう。
接点復活剤の使い方②スマホに
スマホも長く使っているとケーブルの接触不良で「充電できない」ということも起きてきます。この接触不良の原因が表面についている目に見えない酸化皮膜などの汚れである場合は、接点復活剤を使うことで充電できるようになる場合があります。
使い方はオーデイオ製品と同じように充電ケーブルの差し込む部分に接点復活剤を塗って汚れをとるようにします。
接点復活剤の使い方③SDカードに
接点復活剤は実は使えなくなったと思っていたSDカードを回復してくれることもあります。SDカードも裏を見ると金属の部分が見えます。
この部分に汚れやサビがつくことで接点の接触が悪くなり内部が読み込めなくなる場合もあります。 SDカードが読み込めないとき、読み込めなくなる前にも接点復活剤をスプレーして掃除をしてあげることで回復したり長持ちするでしょう。
接点復活剤の使い方④クリーニングに
このほか、USBケーブルやファミコンのROMカートリッジなどの接点のクリーニングをするのにも使えます。 何にでも使えそうな接点復活剤ですが使い方によっては故障の原因となることもあります。
接点復活剤の種類や代用品
オイル式とアルコール式
接点復活剤にはオイル式とアルコール式があります。ファミコンなどの金属部分を掃除する「レトロゲーム復活剤」として売られているものは接点復活剤といえますが、これは油ではなくアルコール式の揮発性の高い汚れ落としです。
接点復活剤なら何でも良いわけではなく、パッケージや説明書に何に使えるのかが書かれていますのでそれをよく見て「用途に合わせた接点復活剤を」使いましょう。
コンタクトスプレー
接点復活剤とよく似たコンタクトスプレーという名前でも売られている商品があります。コンタクトスプレーの別名として接点復活剤と書かれて売られているものもあるくらい、違いはわずかです。
コンタクトスプレーの方が樹脂やプラスチックを溶かしてしまう可能性が低くなっています。 どちらが良いのだろうと迷った時は「パッケージの用途に従う」「店員さんに相談する」とよいでしょう。
HOSA D5S6
楽器のメンテナンスや修理をするプロが使う接点復活剤です。エレキギターなど楽器の接触を回復させるならおすすめです。プロも使う接点復活剤なので安心です。プラスチックなどを溶かしにくいという性質をもっています。
クリプトン セッテンプロ接点導通剤
こちらもオーディオ用に使われる高級な接点復活剤です。汚れやサビを取るだけでなくカーボンで通電を良くしてくれますのでさらに修理効果が大きい商品です。小さな瓶に入っていてブラシなどを使って塗ることになります。
良い商品だけに高価になりますので、修理に出してしまった方が安全で確実ですが「どうしてもすぐに直したい」「送ると送料がとてもかかってしまう」というようなものの場合には役に立つでしょう。
CRC2-26
CRC2-26は特に水分を除去して防腐・防錆をすることにすぐれているオイル系スプレー接点復活剤です。こちらも接点復活剤の効果があります。途切れていた電気の流れを回復させてくれるので、電気製品に使えます。
しかし、こちらはプラスチックや樹脂を溶かしてしまう成分が含まれているため使う場所を選ぶ必要があります。
CRC5-56は代用品になる?
接点を回復させるには油が良いのならCRC5-56を接点復活剤として使うことはできないのか?と考えるでしょう。CRC5-56は機械油としてすでに持っている人も多いでしょう。これが使えればわざわざ新しく接点復活剤を買う必要はありませんね。
しかし、結論として、全く使えないわけではありませんが自己責任でおこなうことになります。理由は2-26と同じく「溶かしていけない部品を溶かしてしまうおそれがあるから」です。
パッケージの用途に書かれていない使い方をするときは「自己責任で」が基本です。使って故障した場合保証期間内でも有償修理になってしまいます。直せるかわからない、自信がないというときは修理に出すのが一番です。
まとめ
上手に使えばスマホやエレキギターを修理に出さなくても自分で通電を回復させることができる接点復活剤はとても便利なスプレーです。でも、よくわからず間違った使い方をしてしまうと逆に通電を邪魔して壊してしまうこともあります。
心配なときは買う前に店員さんに相談しましょう。パッケージに書かれた用途以外に使う時は自己責任でという決まりを守って活用していきましょう。