「イボダイ」とは?
まずは、調理する前に!食べる前に! 「イボダイ」について、詳しく知っておきましょう。そうすることでより新鮮な、美味しい「イボダイ」や食べ方に出会えること間違いなしです。
「イボダイ」の生息、生態とは
生息域は海水魚。東シナ海や南日本沿岸。底引き網、定置網などで漁獲されます。 一般的に釣りで釣り上げることは難しいですが、釣れる時期や場所、時間が揃えば釣り上げることはできそうな魚。ただ条件が揃わないと釣りでは釣れないため、熟練の方でも難しいそうですので、初心者にはより難しいです。産卵期は春から夏になります。 その生態は面白く、稚魚はクラゲに生息、外敵から身を守りながら成長していきます。特徴としては、えらの上に黒い斑点があり、大きさは大体25cm前後、楕円形。皮膚が薄いので筋肉が浮き上がって見えます。
「イボダイ(エボダイ)」をよく見かけるのは干物ですが、流通は?
「イボダイ」(エボダイ)と調べると、Amazonや楽天で必ず「イボダイ(エボダイ)の干物」がヒットします。 なぜかというと、上記で「皮膚が薄い」と特徴を紹介しましたが、皮膚が薄いことで皮が傷つきやすいため、生で売るよりも干物に加工されることが多いからだそうです。イボダイ自身、脂が良くのっているので、干物で食べてもとてもおいしい魚です。 ネット通販では、値段も干物だと大体1枚200円~300円前後と高価な干物。ネットではなかなかないですが、鮮魚でも300円以上で値段がついています。あまり鮮魚では出回らないですが、出るとすれば旬の秋が出やすいそうです。
「イボダイ」の名前、いろいろあります!
実は「イボダイ」、いろいろな名前があり、特に地方での呼び名が違ったりします。「実は同じ魚だった」なんてこともあるくらいです。
英名は「ジャパニーズ・バターフィッシュ」。
学名は「Psenopsis anomala」。和名は「イボダイ」。 和名、なぜ「イボダイ」となったかというと、「イボダイ」の特徴でもあげましたが、えらの上のあたりに黒い斑点があります。この斑点が「イボに見える」ことから、「イボダイ」となりました。 英名は、「ジャパニーズ・バターフィッシュ」。なぜなら、イボダイの特徴が体表から粘液を出すため、これがバターを塗っているように見えることから、この別名で呼ばれているそうです。
イボダイの呼び名
「イボダイ」は地方によって呼び名が変化しています。 ◆東京、神奈川、静岡→「エボダイ」 ◆千葉・銚子→「アゴナシ」 ◆伊豆諸島→「メダイ」 ◆関西地方(大阪)→「ウオゼ」、「ウボゼ」 ◆愛媛→「シズ」 ◆徳島→「ボウゼ」 ◆福岡→「モチノウオ」 余談ですが、先ほど紹介した「イボダイ」の生態から、「クラゲウオ」と呼ばれたり、なぜか「バカ」(高知など)と呼ばれていたりします。
呼び名は一緒で違う魚「シズ」もいるので注意
「イボダイ」は、愛媛などで「シズ」とも呼ばれていると紹介しましたが、実は違う魚で「シズ」という魚がいます。 本物の「シズ」は、中南米などから輸入される魚で、「マナガツオ科」です。ちなみに「シズ」とも呼ばれる「イボダイ」は「イボダイ科」。見分け方は、腹びれがある方が「イボダイ」、ない方が「シズ」です。
「イボダイ」を美味しく戴く!!
美味しく戴くには…一番は塩焼きが美味しいです。他にも食べ方は、煮付け、刺身、干物、南蛮漬けなど幅広くあります。 徳島県の郷土料理の一つに、背開きにした「イボダイ」を使った「ぼうぜの姿寿司」があり、親しまれています。旬は、子持ちが狙いなら産卵期の春から夏(5月から6月)にかけて。漁獲量は夏から秋が一番。鮮度が良ければお刺身がおすすめです!
美味しい「イボダイ」の見分け方
上記もお伝えしましたが、特徴が体表から粘液を出すので、粘液が多く透明なら鮮度が良い証拠です。ただ、お手元に届くころには大体が氷水で〆られているため、粘液を出しているところを見ることは少ないかもしれません。 また、目の後ろのえらの上あたりに、黒い斑点があるのですが(上記でお伝えした「イボ」です)、その斑点がはっきり見えるものがより良い新鮮な「イボダイ」です。なぜなら、この斑点、漁獲から時間がたつと薄れていくからです。 ちなみに、魚全般で言えることですが、目が澄んでいるものも新鮮です。白く濁っているものは、鮮度が落ちています。
「イボダイ」厳選おすすめレシピ!
まずは定番!塩焼き!(さばき方つき!)
★「イボダイ」の塩焼き(さばき方から) ①包丁で軽く鱗を取ります。取りましたら水洗いしましょう。 ②背びれを下にして、エラ蓋からエラを取ります。 ③エラ下の下腹に切れ目を入れて、内臓を取ります。中を水洗いしながら、内臓の取り漏れがないか確認しながら洗ってください。下腹に切れ目を入れた方を裏面とします。 ④表面に、飾りの切れ目を入れる。裏面には、横一直線に切れ目を入れる。 ⑤ひれ、尾びれのところに塩を塗りこむ。焦げ目がつかないように、念入りにしましょう。 ⑥裏面を上にして、焼き機に入れて焼く。 ⑦きつね色になったらひっくり返して、表面も焼く。 ⑧きつね色になったら、表面を上にして、盛り付ける。 完成!!(動画もチェック!)
「イボダイ」の煮物
①鱗を取ります。切れ目を入れ、エラ、内臓を取り、中もきれいに洗います。 ②背びれ付近に両面とも切れ目を入れます。 ③熱湯につけたあと、冷水で洗います。 ④沸騰させたお湯に砂糖、みりん、しょうゆを入れ煮物のたれを作ります。味はお好みで調整してください。 ⑤沸騰させたたれにイボダイ、豆腐、ニンジン、インゲンを入れます。 ⑥煮立ったら、火を止めてお皿に盛りつけます。みょうがを薬味にすると、味のアクセントにもなります。 完成!!(動画もチェック!)
徳島県の郷土料理「ぼうぜの姿寿司」
★「ぼうぜの姿寿司」レシピ 材料:イボダイ(ぼうぜ)、塩、すし酢、すだち、すだち果汁、昆布、米 ①イボダイを三枚おろしの要領で切ります。ただし、切り離さないように。背中で繋げたままにします。 ②内臓をきれいに取ります。取るコツは上のレシピ「塩焼き」を参照。 ③中央の身(骨)、目を外し、軽く水洗いします。 ④塩をもみこみ、一晩寝かせます。 ⑤お米を用意します。昆布で炊きます。 ⑥飯きり(もしくは広く浅めのボウルなど)にうつし、すし酢を加えます。 ⑦すだち果汁も入れ、混ぜながら冷まします。 ⑧一晩寝かせたイボダイを水洗いしたら、すだち果汁でイボダイを身が白くなるまで漬け込みます。 ⑨用意した酢飯を握り、イボダイを握りこみます。 完成!!(動画もチェック!)
イボダイのお刺身
★「イボダイ」の刺身(さばき方から) ①頭を落とします。 ②腹抜きをし、水洗いします。骨の上に切れ目を入れて、血抜きします。 ③背びれに沿うように包丁を入れます。骨の部分まで入れましょう。 ④腹びれ部分にも骨の上を滑らすように包丁を入れます。 ⑤反対側の身も、同様に身を骨から切り離します。(三枚おろししましょう!) ⑥骨の取り忘れがないように、すべて取っていきましょう。 ⑦身と皮を切り離します。 ⑧食べやすい大きさに切って(出来たら薄く)、盛り付けます。 完成!!(動画もチェック!)
「イボダイ」まとめ
「イボダイ」、「エボダイ」、「ウオゼ」、「シズ」…みなさまは、どんな呼び名で呼んでいましたか? これだけ呼び名があるのも、めずらしいと思いますが、それは各地方、イボダイに親しみがあるからこそだと思います。 郷土料理にもある、イボダイ。イボダイのレシピ、食べ方など、いかがでしたか? イボダイ自体の特徴が良く脂がのっていておいしいため、イボダイ自身の特徴を生かす料理しか載せませんでした。 子持ちを狙うなら、旬は春夏、漁獲の多い秋が、一番の狙い目の旬。 干物も脂がのっていておいしいので、まず最初の食べ方としては、手に入れやすい干物がおすすめです。 もしも新鮮なイボダイが鮮魚コーナーにあったら、イボダイレシピ、ぜひお試しください!