ホキ/分類
タラ目マクルロヌス科
ホキはタラ目マクルロヌス科の魚です。 タラ目は硬骨魚類の一つで、他に代表的な魚はマダラやスケトウダラなどがあります。 ホキはかつてはタラ目メルルーサ科に分類されていましたが、メルルーサ科とはかけ離れた種類であるとされ、近年独立したマクルロヌス科に扱われることが多くなりました。マクルロヌス科には3属8種の属種があります。
ホキ/外国名
Blue haki, Blue grenadier
ホキの外国名は地域により複数ありますが、主に「Blue haki」「Blue grenadier」と呼ばれています。 その他に「hoki」「New Zealand whiptail」などの呼び名があり、アメリカやオーストラリア・ニュージーランドの一部では「Whiptail」とも呼ばれています。同じ国の中でも、地域によって呼び名が異なる場合があるようです。
ホキ/学名
Macruronus novaezelandiae
ホキの学名は「Macruronus novaezelandiae」です。 これは主要生息地であるニュージーランドで、日本語に訳すと「ニュージーランドの大きな尾」という意味があります。 頭部からすぐ尾に続くように細くなる、ホキの特徴的な姿を表した言葉ですね。
ホキ/由来(漢字)
ホキの呼び名は外国名から
ホキの呼び名の由来は、ニュージーランドやオーストラリアで呼ばれていた「Hoki」からきました。 近年日本で食べられるようになったこともあり、漢字名は特にあてがわれていません。 輸入始めに仕入れていたホキは現在漁獲量の拡大により絶滅が懸念されているため、現在日本に切り身やすり身として輸入されているものは、主にデコラというホキ属の別種類です。
ホキ/生息地域・分布
主に南半球に分布
ホキは海水魚で、主に水深200〜600メートルのところに生息しています。 ホキの仲間の生息地は、ニュージーランド・オーストラリア南の「Macruronus novaezelandiae(ホキ)」、アルゼンチン・チリの「Macruronus magellanicus(デコラ)」、南アフリカの「Macruronus capensis(Cape grenadier)」があります。 現在日本で流通しているものはアルゼンチン・チリ産のものがほとんどです。
成魚になるとより深海で暮らす
全長が40cm以下の幼魚の時は大陸棚200m程の、深海までいかないところで生活します。 成魚になるとより深い300〜600mほどの水深で暮らすようになり、また群れて生活する習性があり、特に産卵期になると魚群が集合します。 深海魚で見た目が特徴的なため、食用では切り身が多く出回っています。
ホキ/生態・生育環境
ホキの生態や生育環境を、3つにまとめました。 意外と知らないホキの生態をチェックしましょう!
生態・生育環境 1.肉食の深海魚
ホキは他の魚を食べる肉食魚です。 深海魚というと目が退化しているイメージがありますが、ホキは大きな目をもっています。 また肉食らしい大きめの口には魚を食べるのに必要な鋭い歯があり、主にイワシなどの魚を好みます。また甲殻類やイカなども食します。
生態・生育環境 2.稚魚の生活
ホキの稚魚はプランクトン生活を過ごし、沿岸の200mほどの浅い海域で暮らします。 約1年後に全長20cmを越えるほど大きくなると、深海へ移動します。 成魚には3年程かかり、成魚になった後は深い水深でゆっくりと成長していきます。
生態・生育環境 3.比較的長生きなホキ
12〜14年ほど寿命があり、毎年6月〜9月に産卵期をむかえます。中には20年ほど生きる場合もあるそうです。 魚は小さな魚より大きな魚のほうが長生きするといわれているので、白魚などの小さな魚(寿命1年ほど)や、イワシ・アジなどの中型の魚(寿命5年ほど)より長生きですね。 年間700万キロも漁獲され、現在は絶滅が危惧されています。
ホキ/特徴・形態
尾が特徴的なホキ
ホキはスーパーマーケットでも販売しているため、日本の家庭でもよく食べられますが、どんな形をした魚か知っている方は少ないのではないでしょうか。 ホキは全長120cmほどの大きめの魚で、最大7kgほどになります。 ホキの姿の一番の特徴は、頭部が大きく、身体は細長くて尾にかけてより細くなるところです。背びれは尾の先端まで続いています。 あまり見慣れない姿で、普段食べていたホキの全体像を知るとびっくりしますね。
銀白色と青緑色の身体
ホキは銀白色の魚で、背側は薄い青緑色がかかっています。 銀白色の身体は、下からの捕食者に狙われにくいという説があります。 鱗は腹部を除き少し黒がかっています。下あごには髭が無く、眼が大きい深海魚です。
ホキ/釣り情報
ホキの釣りシーズンや餌、釣り場などをご紹介します。 大きめの魚なので、1匹釣ることができればみんなでホキの上品な白身の味を楽しむことができますよ♪
釣りのシーズン・餌
ホキは年間を通して釣ることができますが、主なシーズンは産卵期前の4・5月です。 他の魚を食べる肉食のため、餌はイカや魚の切り身などを使用します。 生息地である海外で釣る必要があるため、餌も海外のスーパーなどで購入するのが良いですね。
海外でパワフルな釣りを楽しもう!
ホキは日本近海には生息していないため、南半球の主要生息地で釣りを行いましょう。 海外ではホキのフィッシングツアーが組まれている場合もあり、日本で一般的に釣る魚よりサイズも大きく、パワフルな釣りが楽しめますよ!持ち帰る際はサイズや量が決められているので、その国のルールに沿って持ち帰りましょう。
深海釣りで大型のホキをゲット!
一般的な市場に並ぶホキは底引き網で捕獲されたものですが、釣ることもできます。 ホキは成魚になると水深の深いところへ移動するため、大きなホキを狙うなら深海釣りがおすすめです。 竿は深海専用竿だとより良く、しなやかで力があり、重さに耐えれる必要があります。 リールはホキのいる300〜600mの倍の糸が巻けるものにしましょう。深海は潮の流れが速いと、糸ふけが起こる可能性が高いためです。 荷物にもなるので、行き先の海外でレンタルを掛け合うのがおすすめです。
ホキ/味・選び方
上品な味わいの白身魚
ホキは白身魚の中でも上品な味わいで人気が高い魚です。タラに似た味わいがあります。 身に余分な物も少なく、魚肉の弾力も強く加工しやすいのが魅力です。骨が少ないのもお子様でも食べやすくて良いですね。 また熱を通しても身が縮まりにくく柔らかいため、ソテーや揚げ物にも向いています。上品な代わりにうま味は感じにくいため、塩焼きよりバターソテーや煮物など味のアクセントをつけた方が好まれます。
新鮮なホキの選び方
新鮮なホキの選び方は、皮が銀白色で輝きがあり、色が鈍くなっていないものにしましょう。 またドリップしておらず、身が変色していないもの、身にハリがあるもの、眼が濁っていないものが良いです。
ホキ/栄養・寄生虫
たんぱく質が多く、ビタミンB12・ビタミンDが多い
ホキは身体のエネルギーとなるタンパク質が多く含まれています。 またビタミン群ではビタミンB12・ビタミンDが多く、ビタミンB12は貧血によく、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、丈夫な骨を作る作用があります。 栄養価はあまり高いとはいえませんが、白身魚なのでカロリーも低く、女性にも嬉しいですね。
高血圧予防におすすめ
ホキは栄養量が多い魚ではないですが、IPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が含まれているため、高血圧予防におすすめです。 IPAは血液を流れやすくし、血栓を防止します。高血圧の他にもアトピー性皮膚炎、ぜんそく予防などにも適しています。 DHAは脳細胞を活性化し、記憶学習能力を維持し、コレステロール値を下げます。
丸ごと調理する場合は寄生虫に注意!
一般的にホキは切り身で販売されていますが、釣りなどで一匹丸ごと調理する場合は腹部に寄生虫がいることが多いため、注意が必要です。 寄生虫はホキ自体が生きていなくても、長く生き延びることができるので、生では食べないようにしましょう。
ホキ/料理・調理方法
ここではおすすめのホキ料理の作り方をお伝えします。 ぜひご家庭で作ってみてくださいね。
ホキ料理1.ホキのソテー
淡白な白身魚のホキは、塩焼きよりソテーで風味をつけるとアクセントになります。 バターソテーでそのまま食べたり、トマトソースやタルタルソースを付けてお好みな味付けにしても♪ 皮をパリッと焼けばよりおいしくいただけますよ。
ホキのソテーの作り方
<材料>(1人分) ホキ・・・1切れ バター・・・5g 塩こしょう・・・少々 薄力粉・・・適量 サラダ油・・・適量 <作り方> (1)ホキに塩こしょうを軽くふり、薄力粉をまぶす (2)フライパンにサラダ油をしき、ホキの皮面を焼く (3)皮面がカリッとしてきたら、裏返しバターを加え、全体に火を通す (4)お皿に盛りつけて完成! お好みでトマトソースやタルタルソースなどを添えてお召し上がりください。
ホキ料理2.ホキのフライ
ホキはフィッシュバーガーや白身フライ、フィッシュ&チップスなどに多く使われるように、揚げ物に向いています。 揚げても身が縮まりにくいので、ボリュームのあるおかずが作れますよ。
ホキのフライの作り方
<材料>(1人分) ホキ・・・1切れ 塩こしょう・・・少々 卵・・・1個 小麦粉・・・適量 パン粉・・・適量 揚げ油 <作り方> (1)ホキを一口大に切り、塩こしょうをふる (2)(1)を小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣付けする (3)170度の油で、きつね色になるまで揚げる ※白身魚は火が通りやすいので、揚げすぎないようにしましょう! (4)お皿に盛りつけて完成!
ホキ/その他
絶滅の危機にあるホキ
ホキは昔は深海魚の見た目もあり、あまり人気のない魚でしたが、近年フィッシュバーガーやフライの原料として多く使われるようになりました。 そのため日本はホキの輸入量が増えましたが、海洋団体によりこのままの捕獲量では絶滅してしまうとのことで、ホキの輸入が制限されるようになりました。 現在はホキはニュージーランドのみの使用となっており、そのため日本では「デコラ」という、ホキ属の別種が多く輸入されています。
すり身としてちくわの原料にも
ホキが日本に輸入されだしたのは、昭和40年代後半に切り身の姿が最初でしたが、昭和50年代後半からはすり身に加工されだしました。 そのため、お弁当屋さんやハンバーガーショップなど身近なところで活躍しているホキですが、すり身としてちくわなど練り物の原料にもなっています。 気づかないところでみんな食べたことがある、今の日本人にとって身近な存在ですね。