ヘアリーベッチの活用
農業を営む方や、家庭菜園に日々いそしんでいる家庭のお庭ではよく耳にします。それは、「ヘアリーベッチ」という植物です。世界中のプロのガーデナーも好んで栽培されています。「ヘアリーベッチという植物は初めて聞く」、という人もいるかもしれませんね。これからお庭で家庭菜園や、有機質の富んだ本格的なガーデニングを始めたいという人は、ヘアリーベッチを知らないと損をしてしまうかもしれません。種まきをすれば簡単に育て方で栽培できますよ。そんなヘアリーベッチの詳細情報や育てるメリット、その効果や基本的な育て方などをまとめて紹介します。
ヘアリーベッチとは
ヘアリーベッチとは、大東亜戦争の後に日本に導入されてきました。ヨーロッパが原産の植物で、もともとは牧草に利用するために輸入されました。ヘアリーベッチという植物が持つたくさんの農業効果に着目され、研究されてきました。その後、畑や果樹の下草・雑草対策として利用されるようになります。ヘアリーベッチは、かなり強健な性質を持っているため、種まき後簡単な育て方のみで勢力旺盛に地面いっぱいに広がる効果があります。ヘアリーベッチは、放任でも栽培でき特別な育て方は必要ありません。
ヘアリーベッチを栽培すると、雑草抑制効果があり、芝生よりも安価でローメンテナンスなのでグランドカバーには最適な植物です。草丈が長すぎてしまう場合には、花後に短く刈り込んで栽培することも可能です。そのため、ヘアリーベッチに期待する効果に合わせた育て方ができるのも魅力です。ヘアリーベッチには、様々なメリットもあります。メリットについては、記事の後半に詳しく解説していきます。
ヘアリーベッチ基本情報
ヘアリーベッチとは、どういった植物なのでしょうか?それでは、ヘアリーベッチの基本情報について紹介していきます。
科名・属名
ヘアリーベッチは、マメ科・コロニラ属の多年草です。
学名
ヘアリーベッチは学名で、Coronilla・variaといいます。
和名・別名
和名は、「玉咲草藤」でタマザキクサフジと呼びます。また、ヘアリーベッチの別名は、コロニラ・バリアやツルレンゲとも呼ばれていますよ。マメ科の植物で、蓮華のような花を咲かせますね。
分類
ヘアリーベッチは、つる性の植物に分類されています。そのつるの長さは、およそ100cmから200cmほど伸びます。また、グランドカバーとして下草用の育て方をした場合には、つるはほふくし、草丈はおよそ50cm程度に収まります。 耐寒性:強い 耐暑性:強い 性質:耐寒性宿根草
開花情報
ヘアリーベッチは、きれいな花を咲かせます。その花は、レンゲのように咲く品種、穂状になって咲く品種もあります。ヘアリーベッチの開花時期は、春から夏です。薄紫や濃い紫の濃淡がかわいらしく、グランドカバーのようになったヘアリーベッチの花が満開になった姿はまるで花のじゅうたんのようです。雑草抑制効果から、他の草花がまばらに生えてくることはありません。甘く爽やかな香りを漂わせ、たくさんのミツバチ・虫が集まってくれます。このことによって農作物の種まき後たくさんの受粉効果が期待できます。
ヘアリーベッチのメリット
ヘアリーベッチを栽培すると、どのような効果があるのでしょうか?実は、農業にもガーデニングにもうれしい効果がたくさんあるんです。それは、①農業の次の作物を植える間の休閑時期に緑肥効果となる②北海道などの寒冷地では、短期で休閑させる効果がある③冬場の越冬緑肥効果がある④葉の呼吸による空中の窒素量を安定させる効果がある⑤土壌の保全・雑草防止効果がある⑥果樹木の下草として栽培できる。これは、アレロパシー作用と呼ばれるもので、雑草をなくして緑化・土づくりを行うこといいます。⑦次の作物を栽培するための緑肥後作効果がある⑧ヘアリーベッチの特徴である、菌根菌が増殖し自然と耕されて栄養にとんだ土づくり効果がある。というものです。細かくは下のほうで解説しています。
ヘアリーベッチはちみつ
ヘアリーベッチは、レンゲのようなかわいらしい花を咲かせます。その花の蜜を求めてたくさんの虫や鉢が飛び交うようになります。そうすることによって、農業や家庭菜園をしていると花の受粉効果が活発になりますし、蜂を嫌ってアブラムシや幼虫などの害虫も逃げていく効果にもなりますよ。さらにヘアリーベッチは根で菌根菌が増殖させ、他の草花や樹木に対して成長を活発にしてくれる効果があるんです。たくさんの蜂を呼んでくれる証拠に、「ヘアリーベッチのはちみつ」も販売されています。
価格
ヘアリーベッチは、たくさんのうれしい効果がある植物ですね。では、ヘアリーベッチの種の価格が気になります。ヘアリーベッチの種は、1キログラムで2200円前後で購入することができます。1キロ単位で販売されているのは、主にヘアリーベッチを使う目的が、緑肥だったり下草や雑草防止のための一面緑化効果のために栽培されることから来ています。そのため、小分けでの販売はしていないようです。ヘアリーベッチの種は、乾燥させて涼しい場所ならば保存しておくこともできるので、必要になった時に何回かに分けて種を使うのもよいと思います。
ヘアリーベッチ畝への効果
ヘアリーベッチの畝への効果は絶大です。畝への効果で期待できるのは①雑草抑制効果②緑肥効果です。その二つについて詳しく解説しいます。
ヘアリーベッチ雑草抑制効果
まず、ヘアリーベッチの持つ雑草防止効果です。鳥の糞や風で飛ばされてきた種は、畝へ着床すると知らず知らずに大きくなってしまいます。そうすると、せっかくの作物を栽培していても栄養分を取られてしまいます。しかし、ヘアリーベッチを栽培していると、下草のようにほふくしたつるによって、他の余分な種が着床してしまうのを防いでくれます。そうなれば、農作物も大きく健やかに育てることができるんですね。
ヘアリーベッチの緑肥効果
また、ヘアリーベッチの特徴に「菌根菌の増殖」というものがあります。根が健やかに育つためには、栄養が必要なのはどの農作物の栽培にも必須条件ですが、ヘアリーベッチを一緒に栽培していくと、菌根菌という作物にとって良い菌が自然な形で増えていきます。そうなると、良い虫であるミミズも増えてきます。ミミズは土を中からほぐして耕してくれる効果があるので、一緒に栽培した作物は健康な状態でよく育てることができるんですね。このことから、畝への効果は確認されました。そのため、ヘアリーベッチは畝によく使用されているんですね。
ヘアリーベッチ種まき方法
それでは、緑肥効果・雑草防止効果のあるヘアリーベッチの種まきをしていきましょう。ヘアリーベッチの種まきはとても簡単です。
土作り
ヘアリーベッチは、土質は特に選ぶ必要はありません。そのため、ヘアリーベッチの種まきの際に特に土づくりを行うこともありません。繁殖力が強く、どんな場所でも精力的に栽培できます。もしも早く育てたい場合は、少量の肥料をすきこんでおくとよいでしょう。
場所
ヘアリーベッチは、日当たりも選びません。しかし、やはり太陽の光りが良く当たる日向で育てるのが理想的ですね。畑が、半分日陰の場合なら間違いなく大丈夫です。また、ヘアリーベッチは寒冷地帯では越冬できないので短期緑肥のみの扱いになります。
ヘアリーベッチの育て方
それでは、ヘアリーベッチの育て方を紹介します。種を植えをしてからの育て方を詳しく解説します。
植え替え
ヘアリーベッチは、緑肥や雑草防止の目的で栽培されるものなので、基本的には植え替えをすることはないと思います。また、移植を嫌う植物なので、種をまいてからは根を動かさないようにしましょう。
種まきの時期
基本的には、ヘアリーベッチの種まきは秋まきでの育て方がメインとなります。ヘアリーベッチの苗を購入して植え付ける場合は、春・秋ともに栽培は可能です。
水やり
植え付けてからは、水をしっかりとやるようにします。水を切らしてしまうと、ヘアリーベッチが傷んで元気がなくなってしまいます。根付いて大きくなってからは、放任で構いません。
肥料
肥料は特に必要がない植物とされています。花を楽しむ場合は、穏やかに効く固形のものを均等に分けて施しましょう。
増やし方
クラウンベッチの増やし方は、やはり種まきです。種は秋ごろに回収することも出来ますが、大体は緑肥として栽培されるので途中で刈り込むことになります。もしくは、元気な苗の株を掘り起こし、株分けをして増やしましょう。移植を嫌う植物なので、できるだけ根を傷めないように注意します。基本的には、株分けや種とりをしなくても、自然に繁殖をして増えていきます。
ヘアリーベッチその他の種類
ヘアリーベッチの品種には、「寒太郎」「まめ助」「藤えもん」の三種類があります。そのほかにも、ベッチの種類には、「クラウン・ベッチ」という品種もあります。少しクラウンベッチについて紹介します。
クラウン・ベッチ
クラウンベッチも、ヘアリーベッチと同じように緑肥効果・雑草抑制効果などの目的で栽培されます。 同じマメ科の植物で、レンゲよりも大きい花で紫色のこんもりとした花を咲かせます。グランドカバーとして、お庭の下草に使用するお宅も多いのが特徴です。
パステルピンクや紫などの美しいグラデーションが楽しめます。ヘアリーベッチよりも花の鑑賞には適していますねヘアリーベッチと同じく、耐暑性・耐寒性に優れているので栽培は簡単に行えますよ。しかし雑草化するのも難点の一つで、広がってほしくない場所にも広がるのがデメリットになります。
ウインターベッチ
名前の通り、冬の季節の前に栽培するために改良された品種です。ヘアリーベッチよりも越冬性に優れているので、寒冷地や積雪地で栽培する方におすすめです。有機物量が豊富に含まれており、畝への効果が期待できます。
ヘアリーベッチを栽培しよう
ヘアリーベッチについての紹介はいかがでしたか?ヘアリーベッチという植物を聞いたことがある人もない人も、このまとめで詳しい育て方がわかれば幸いです。ヘアリーベッチという植物は、様々なうれしい効果がありましたね。水切れさえ気を付けていれば、後は放任していてもどんどん繁殖してよく広がります。家庭菜園をしないお庭でも、グランドカバーのように使えば、開花時期には薄紫色をした可愛い花が一面に広がる姿が楽しめそうですね。ぜひ、ヘアリーベッチを有効活用してみてください。