シモツケソウとは
見分け方もご紹介
シモツケソウとは、日本の山によく自生している植物です。ピンク、薄紅色の小さい花がまとまって咲き、そのあざやかな姿は登山者たちの心を和ませてくれます。まぎらわしい植物に「シモツケ」があり、混同されがち。シモツケとは親戚のような間柄ですが、別物です。シモツケソウの特徴や、似た植物との見分け方、育て方についてご紹介します!
シモツケソウの基本
シモツケソウは、関東~それより西の地域を原産とする日本の植物です。名前の由来は、現在の栃木県である下野(しもつけ)の国に多く生えていたことから。5~7月にかけて開花します。分類はバラ科シモツケ属です。バラ科というのはちょっと意外かもしれませんが、とげがあるのがポイント。おしべが勢いよく飛びだしている様子は、よく線香花火に例えられます。山の中では群落を作るので、よく目立ち、比較的見付けやすいです。濃いピンク色も目印。
シモツケソウの花言葉
花言葉は「穏やか」
シモツケソウの花言葉は「穏やか」です。しんとした心持ちのなかで見つめるシモツケソウは、確かに心を穏やかにしてくれますよね。素朴でひかえめな山野草らしい花言葉です。
シモツケソウに似た植物
シモツケ
シモツケソウには、よく似た植物が存在します。それは「シモツケ」。画像のお花がそうです。見た目だけでなく、名前もほとんど同じですよね。登山者の間でも、混同されがちです。でも、両者の違いを覚えておけば、きちんと見分けることができますよ。
シモツケとシモツケソウの違い
葉の形
いちばん分りやすい違いがこれです。人の手のひらのように、先がいくつかに分かれた葉をしているのがシモツケソウです。モミジにもちょっと似ています。対して、シモツケの葉先は、画像のようにまっすぐ。先っぽも分かれていません。
シモツケは落葉低木、シモツケソウは多年草
シモツケは低い木、シモツケソウは30~80センチほどの高さになる多年草(翌年以降も咲く花)です。シモツケは茎の部分が柔らかで、木っぽくない(木質化していない)です。ただ、シモツケは低木なので、旺盛に育ったシモツケソウと高さの面で見分けるのは困難です。
花
シモツケの花はアジサイのように、半球状にこんもりとまとまって咲きます。ちなみに、上の画像のように、ハート形に見える咲き方をしているものもまれにあります。運が良ければ、登山中に出会えるかも!? 対してシモツケソウは、まとまって咲くと言えばそうなのですが、シモツケよりは散らしたように咲きます。いくつかに分かれた茎の先に花をつけ、「縦の高さ」があるのがシモツケソウです。
京鹿の子(キョウガノコ)とも似ている
シモツケの他にも、見分けるにあたってややこしいのが京鹿の子(キョウガノコ)。キョウガノコはもともと山間部に自生していた植物ではなく、人の手で作られた園芸種だとされています。分類はバラ科シモツケソウ属です。側小葉がなく、頂小葉だけなのが特徴。
シモツケソウで作る野草風ガーデン!
野草の趣が強いシモツケソウ。人の手が入った感が少なく、自然な雰囲気を出せる、野草風ガーデン作りに向いているお花です。日当たりの悪い場所でも育ち、土もあまり選びません。あなたもシモツケソウを植えて、野草風ガーデンを作ってみませんか? 和風の平屋や古民家との相性も抜群ですよ! お庭を持っていない方でも、鉢植えで楽しんでみてくださいね。
シモツケソウの育て方1.場所
日当たり
半日陰が適しています。日光は少なめで育ちますが、完全な日陰はダメ。明るめの日陰~午前中だけ日の当たる場所がおすすめです。土の乾燥に弱めなので、日当たりが良すぎる場所は向きません。
土
ホームセンターで売られている、草花用の培養土を使えばよく育ちます。水はけの良さも大切ですが、湿り気を好む植物ですので、保水性とのバランスが良くなるようにしましょう。地植えするなら、土の乾きが遅めの場所を選びます。群生させると美しいので、広めのスペースを取ってあげると良いでしょう。
シモツケソウの育て方2.水やりと肥料
水やり
土の表面が乾きだしたら、たっぷりと水を与えましょう。乾燥は好まないので、まめに水やりすることが大切です。地植えした場合も、雨水だけに頼らず、水やりをするのがベターです。
肥料
植え付けるとき、元肥として緩効性肥料を与えます。その後の肥料は、春~秋に与えましょう。市販の液体肥料で大丈夫です。また、地植えの場合は鉢植えほど肥料を必要としません。花つきが悪いときに与えてみる程度で良いでしょう。
シモツケソウの育て方3.かかりやすい病気
うどんこ病
シモツケソウがかかりやすい病気は、うどんこ病です。うどんの粉をまぶしたように白っぽくなります。この白い部分はカビ。うどんこ病にかかってしまった部分は、見た目が悪いので切り取ってしまうことをおすすめします。
シモツケソウの育て方4.増やし方と植え替え
株分け
株分けで増やせます。株分けとは、大きくなってきた植物の根を切り分けて、別々の株として育てていく方法です。シモツケソウの場合、種まきは基本的に行いません。最初は苗を買ってきて、大きくなってきたら株分けをすると良いでしょう。
植え替え
地植えであれば特に必要ありませんが、鉢植えで育てている場合、根が伸びていける範囲を広げてあげるために植え替えを行います。2年に1度ほどの頻度で、時期は2~3月が良いでしょう。何年間も植え替えせずに放っておくと、根が鉢の中でぐるぐる巻きになり、根詰まりを起こします。植え替えをするときは、もとの鉢よりひとまわり大きな鉢へ移してあげてください。大きい鉢の用意が難しいのであれば、株分けをしてコンパクトなまま管理するのもありです。
知っておきたい特徴
冬の寒さは大丈夫?
植物を育てるとなると、気になるのが耐寒性です。シモツケソウは寒さに強いので、とくに防寒対策は必要ないでしょう。充分に屋外で越冬させられます。鉢植えにこだわる必要もあまりないでしょう。ちなみに、耐暑性は普通です。シモツケソウは日陰になりがちな場所に植えられる植物なので、直射日光にさらされることは少なく、あまり気にしなくても夏越しできます。
シモツケソウの盆栽
シモツケソウは盆栽としても親しまれています。ただ、盆栽の中ではそこまでメジャーではありません。
山野草共通の育て方
シモツケソウ以外の山野草を育てたいときにも、覚えておきたいポイントがあります。それは、砂礫(されき)地や傾斜に生える植物が多いので、根の通気性をしっかりと保たなければならないということ。浅めに植え付けてあげましょう。
山野草ガーデン作りのコツ
落葉樹を植える
山野草は半日陰を好むものが多いので、落葉樹を植えて日陰を作ってあげます。また、冬になると落ちた葉は自然と腐葉土になり、土壌改善の効果をもたらしてくれますよ。マンションの小さなベランダだと、木を植えるのは困難ですが、自由に使えるお庭をお持ちなら、ぜひ木と組み合わせてください。
四季折々の山野草を植える
山野草ガーデンの醍醐味は、なんといっても四季の移ろいを自然な姿で楽しめるところです。いつも花が咲いている状態にしたいなら、当然ですが開花時期の違う花々を植える必要があります。たとえば、2~4月はバイモやニリンソウ、5月~梅雨はホタルブクロ、夏はシモツケソウやリンドウ……といった風です。一年ごとに新しい植物を植えるのが面倒なら、多年草を地植えしましょう。鉢植えにすると、根の生長に合わせた植え替えの手間がかかります。水やりも頻繁に必要。ただし、気候によって場所移動ができるのはメリットです。
まとめ
いかがでしたか? シモツケソウの見分け方や半言葉、育て方をご紹介してきました。ピンクの花が可憐で、ひっそりと山に咲いていながら華やいだ印象のある植物です。一面にシモツケソウが咲いている様子は圧巻! 山に登ったときは、ぜひシモツケソウを探してみてくださいね。似ているシモツケと見分けるコツは「葉を見ること」! 葉先がモミジのように分かれているのがシモツケソウ、分かれていないのはシモツケですよ!