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カラス貝とムール貝の違いとは?気になる生態などをご紹介!

カラス貝とムール貝。名前は知っているけど、じっくりと目にする機会の少ないこの2つの貝の違いって分かりますか? パエリアに入っているのはどっちの貝? そんなあなたも、この記事を読めばきっとカラス貝とムール貝について誰よりも詳しくなっていただけるはずです。
更新: 2023年12月1日
atsugon
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カラス貝ってどんな貝?

カラス貝には2種類ある!

カラス貝は、日本の湖沼などの淡水にすむ二枚貝で、イシガイ科の一種です。しかし、ややこしいことにクロダイなどの餌として使われる貝も「カラス貝」と呼ばれています。

釣り餌になるカラス貝は、正確には「ムラサキイガイ」を指しており、イガイ科の一種になるので、イシガイ科のカラス貝とはまったく別物です。そのため、カラス貝という名前だけでは、どちらの貝のことを指しているのか判断できません。

この記事では、2つのカラス貝を区別するために、以降は「淡水カラス貝」と「ムラサキイガイ」に分けて説明していきます。

淡水カラス貝について

名前の由来

貝の表面がカラスの羽のように黒い色をしていることから、「カラス貝」と呼ばれるようになったと思われます。日本の固有種になります。

生息地

日本全土の沼や湖、アジアの北部エリアの淡水域に多く見られます。 カラス貝をはじめとするイシガイ科の貝は、タナゴなどの淡水魚の産卵場所として使われることがあります。

外見/生態

アサリやハマグリをやや横長にしたような形の二枚貝で、表面には波のような模様が入り、黄緑色の筋が見えることもあります。 成長した個体は、30cmほどの大きさになることも。淡水カラス貝は、卵ではなく、幼生で繁殖していきます。幼生は、淡水魚などに寄生して移動し、生息範囲を広げます。

食用にできる?

琵琶湖や霞ヶ浦などの産地では、カラス貝を食用にしており、剥き身を炊き込みご飯や佃煮などに調理して食べるようです。 エリア外への流通はあまりありません。

ドブ貝と間違われることもある

淡水カラス貝はそれほど生息数が多くないため、同じイシガイ科のドブ貝と間違われることもあります。 カラス貝とドブ貝は見た目は似ていますが、殻を割った時に内側にかみ合わせる後側歯があるのがカラス貝、ないのがドブ貝です。

殻を閉じている時に見分けるのは難しそうですね。ドブ貝は、名前のとおりドブのような臭いがしてあまり美味しくはないようですが、食用にする地域もあります。

ムラサキイガイについて


名前の由来

イガイ科の貝の中でも黒っぽい色をしていることから、通称で「カラス貝」と呼ばれていたと考えられます。 「ムラサキイガイ(紫貽貝)」の名前は、見る角度によっては貝殻が紫色がかって見えることから命名されました。

「イガイ」は、もともと「異貝」や「否貝」という音からきており、アサリなどの二枚貝とは見た目や中身が異なることから付けられたといわれています。

生息地

ムラサキイガイは日本の固有種ではなく、ヨーロッパの地中海沿岸が原産地です。日本には、海外から来る船の船底に付着してきたものなどが上陸したといわれています。

1920年代に初めて観察され、短期間で日本全土に繁殖しました。 潮の満ち引きによって陸地が現れる潮間帯と呼ばれる海の沿岸に生息し、外洋で見かけることはあまりありません。

ムラサキイガイにすっかり生息地を奪われてしまいましたが、日本の在来種の「イガイ」も少量ながら存在しています。ムラサキイガイよりは少し深めの水域に生息し、殻が分厚く、紫色を帯びていないので区別できます。

外見/生態

外見はしずく型をしています。富栄養化の進んだ比較的汚染度の高い環境でも適応することができるので、今では日本全土に生育地を拡大。殻の隙間から出した足糸(そくし)と呼ばれる器官で岸壁や漁港の柱などに大量にへばりついているのをよく見かけます。 養殖用のイカダなどにはびこって作業を妨げる厄介な存在でもあります。

食用にできる?

うまみが強く、身も大きいため、イタリアンやフレンチの食材として盛んに利用されています。価格も安いため、最近ではスーパーの冷凍食品コーナーでもよく見られるようになりました。

日本では、宮城県や岩手県などの三陸地方や広島県などで養殖されています。 ただし、市場に「カラス貝」という名前で出回ることはほとんどなく、「ムール貝」という名前で流通しています。詳細については、ムール貝のコラムで書いていきます。

日本産のムラサキイガイがあった?

ムラサキイガイは外来種であると上のコラムで書きましたが、近年北海道の太平洋岸で見られるムラサキイガイは在来種であることが分かり、外来種のムラサキイガイと区別して「キタノムラサキイガイ」という名前で呼ばれるようになりました。

しかし、ムラサキイガイとキタノムラサキイガイの交雑個体も多く見られ、一般にはほとんど見分けがつかないものとなっています。

ムール貝ってどんな貝?

名前の由来

外見がネズミを連想させることから、ラテン語で「musculus」(小さなネズミ)と呼ばれていたそうですが、それがフランス語の「moule」(ムール)に変化したといわれています。 昔からヨーロッパでは食用にされていたことが分かりますね。 英語では「Mussel」と表記されます。

分類

実は、ムール貝と呼ばれている貝はひとつの種類ではなく、イガイ科の二枚貝の総称を指します。 ですから、ムール貝と表示されている貝であっても、実際には商品によって貝の品種が異なっていたり、幾つかの種類の貝が混じっていることがあるのです。

日本でムール貝として流通している貝は、「ムラサキイガイ」か「ヨーロッパイガイ」、あるいはその2つが混じったものであることが多いようです。 「ヨーロッパイガイ」は輸入品としては取り扱われていますが、日本産のものはほとんどありません。

生息地


生息地は、ムラサキイガイと同様で、世界中の温帯の水域で広く見られます。 ヨーロッパでは、大西洋または北側にヨーロッパイガイ、地中海沿岸にムラサキイガイが多く生息します。

外見/生態

ムラサキイガイの項目と共通です。 ヨーロッパイガイは、ムラサキイガイよりも貝の表面が滑らかで、やや細長い形をしており、ムラサキイガイよりも小ぶりです。

天然のムール貝を採取して食べることはできる?

ムール貝(ムラサキイガイ)は、漁港のテトラポットなどに大量に繁殖していることも多く、足糸をはがして採取し、釣り餌に用いる人も多いよう。

しかし、自然界に生息している個体は、人間にとって毒になる成分を溜めこんでいることがあるので、食用にはしない方がよいでしょう。 ムラサキイガイに含まれているドーモイ酸という成分の毒性は、魚やプランクトンには現れず、ほ乳類だけに害を及ぼし、神経系に働きかけて記憶障害を起こすことがあります。

しかも、加熱しても毒性は消えません。貝毒の蓄積は外見では分からないので、きちんとした検査を通って市場に販売されているもの以外は口にしないほうが賢明です。2013年には、大阪で天然のムラサキイガイを採取して食べた夫婦が食中毒になったという報告があります。

ムール貝の美味しい食べ方をご紹介!

うまみが強く、中身を食べても、スープのだしにしても美味しいムール貝。 おなじみの食べ方から、やや手の込んだ料理まで順を追ってご紹介していきます。

調理の前の下処理

ムール貝は岩場に生息していることが多く、殻の中に砂が入りにくいので、アサリなどのように長時間の砂抜きは必要ありません。 しかし、殻ごと調理する食べ方が多いので、下処理はしっかり行いましょう。ボウルに塩水を作り、その中にムール貝を浸します。

口が閉じないものは死んでしまっているので、取り除いて下さい。タワシなどで殻の表面の汚れを落としてから調理した方がよいでしょう。 殻からはみ出している足糸はあまり食感がよくないので、包丁で引いて取ります。上の画像でいうと、殻の外側に出ている糸のような部分が足糸です。

1-ワイン蒸し

世界中で最もよく食べられているムール貝のレシピ。 ムール貝を深さのあるフライパンなどに入れ、白ワインをお好みの量注いで蓋をし、熱します。 殻が開いたら食べごろ。 ワインの代わりにビールで蒸すこともあります。

2-バター焼き

バターを溶かしたフライパンにニンニクを少量加え、ムール貝を炒めてから白ワインで蒸し上げるのが一般的な作り方。 ワイン蒸しよりも濃厚な風味が味わえます。 メインディッシュにも、お酒のおつまみにも最高ですね!

3-アヒージョ

最近人気のアヒージョは、オリーブオイルとニンニクで具材を煮て食べるスペインの小皿料理。 耐熱性のある容器で調理され、そのまま食卓に並べられるので、熱々のまま食べられます。 うまみの残ったオイルにフランスパンなどを浸して食べるのもおすすめ。


4-パスタ

ワイン蒸しやバター焼きにしたムール貝をソースに加え、ゆであげたパスタとからめて戴きます。 オイル、トマト、クリーム、どんなソースにも調和します。

5-パエリア

ムール貝のうまみを汁ごと米に吸わせて炊き上げるパエリアは、日本人にもなじみ深い料理。 アサリなどの他の貝やシーフードと合わせて、海の恵みを十分に堪能して下さい。

6-アクアパッツア

まだ知名度のそれほど高くないアクアパッツアは、魚介類を白ワインで蒸し煮にした料理です。 ムール貝の他にも、エビやカニ、白身魚など何種類かの食材を合わせると複雑な味わいが楽しめます。 トマトやオリーブなどを加えて濃厚な風味にしたり、塩やハーブであっさり仕上げたりとバリエーションがあります。

7-ブイヤーベース

ブイヤーベースは、トムヤムクン・フカヒレスープと並ぶ世界三大スープのひとつ。 フランス・マルセイユの名物で、日本でいえば「海鮮寄せ鍋」のような料理です。 オリーブオイルを敷いた鍋にセロリ・タマネギなどの香味野菜を炒め、その上に魚介類やトマト、ジャガイモなどを入れ、ニンニクや白ワイン、ハーブで味付けします。

カラス貝とムール貝って違うの? まとめ

・「カラス貝」は、日本固有種の淡水産の貝を指す場合と、外来種で海水産のムラサキイガイを指す場合がある。・「ムール貝」は、科の総称であり、特定の一つの貝を指すわけではない。しかし、ムラサキイガイはムール貝の一種である。

・淡水産のカラス貝もムラサキイガイも食用にすることはできるが、自然界に生息している個体は食中毒の危険性が高いので、素人判断で食べない方がよい。 ということがお分かり頂けたかと思います。 貝は見た目では区別がつきにくいため、このような混乱が起きてしまうのかもしれませんね。