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クサフグの生態と毒の危険性とは?食べると美味しい!調理方法も紹介!

釣り糸を食いちぎる、エサを盗むなど、ある意味では釣りの定番と言えるクサフグ。そんなクサフグは可愛らしい姿には似合わぬ猛毒と、ユニークな生態を持っています。食べると美味しいことで有名なフグですが、クサフグはどう食べると美味しいのでしょうか?
更新: 2021年2月7日
咲良09
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目次

クサフグってどんなフグ?

クサフグはスズキ系フグ目フグ亜目フグ科トラフグ属に分類される、名前の通りフグの仲間で、ちょうど手のひらに収まるくらいの大きさをした可愛らしい魚です。

しかし、いくら見た目が可愛くてもクサフグはフグの仲間、その体内には猛毒として有名なあの「テトロドトキシン」が含まれており、毒以外にも釣り人には後述の特徴から「外道」と嫌われています。

クサフグは川にも現れる!

クサフグは本来海に生息し、泳ぎも不得意なのですが、淡水にも姿を現します。なぜ海より流れがきつい場合も多い淡水にわざわざ出向くのか?その理由は未だによくわかっていませんが、身体についた寄生虫や細菌を淡水で落とすためではないか、と言われています。

ほかの魚のように頑丈なウロコを持たないクサフグは、自力で寄生虫を弱らせるのが難しいため、淡水の浸透圧を利用し、古い粘膜と一緒にを剥がすという手段を行います。 しかしこの行為は寄生虫のみでなく、クサフグにとっても命を削る行為。クサフグは小振りな体には似合わぬ過酷な生態をしています。

クサフグの生態、釣りでは嫌われ者

クサフグは北は北海道から、南は沖縄まで生息し、日本各地でその姿を見ることが出来ます。

おもに浅い岩礁や砂地に生息しており、泳ぐのは苦手で、あまり積極的に泳ぐことはありませんが、ヒレを羽ばたかせ泳ぐ姿は中々可愛らしく、観賞魚として出回ることもあります。

普段は15センチ前後の姿をしていますが、怒ると毛を逆立て丸っこく膨らむ習性があり、フグの名も「膨らむ」に由来するという説も存在します。


命がけの産卵と壮観な風景

クサフグの産卵期は5~8月とされ、産卵の時期になると、新月や満月の日に数百~数千ものクサフグが一斉に波打ち際に押し寄せ、海水が白く濁るほどの激しい産卵を行います。

壮観な風景のみでなく、行われる長さも特徴で、長いものは一週間かけて行われます。何故こんな激しい産卵を行うのかといいますと、波打ち際ならば卵が食べられる危険性が少なく、集団で行えば生き残る可能性も増える為、クサフグの知恵がこの光景を生み出しているのです。

それでも全てが大人になれるわけではなく、多くの卵は他の魚のエサとなってしまいます。

ある意味釣りの定番?釣り場の嫌われ者

クサフグは生息範囲の広さと淡水にも現れる生態から、釣り人にとっても馴染み深い魚ですが、親しまれているわけではなく、むしろ「外道」と嫌われており、中にはクサフグを吊り上げないための対策をあげているページもあるほど。何故ここまで嫌われているのか?というと、大きく2つの理由が存在します。

1つ目は好奇心の強さと硬い歯から何でもかじり、エサを盗むのみでなくルアーや釣り糸も食いちぎってしまうこと、エサは付け直せるにしても、肝心の釣り道具をダメにされてしまってはどうにもなりません。

2つ目に、釣りあげても調理するにも「毒」が存在するため自力で食べることはできない事があります、釣る前のみでなく釣った後も厄介なのが、クサフグの嫌われ者っぷりに拍車をかけています。

産卵期になると海を白く濁らせてしまうというのも、クサフグが外道と呼ばれる所以(ゆえん)でしょう。

クサフグの危険性、食べるとき気を付けること

クサフグのみでなく、フグの仲間を調理する中で忘れてはならないのが「テトロドトキシン」という危険性を秘めていること。その毒性は凄まじく、一度食べてしまうとしびれや吐き気、またけいれんをおこすこともあり、命の危険さえあるのです。

さらに、水で洗い流したり加熱したりしても分解されず、解毒薬もないため「食べない」以外の手段が存在しません。 ではクサフグは食べられないのか?と言うと、決してそうではなく、さばき方や食べ方にさえ気を付ければ、とても美味しい魚に早変わりします。

クサフグの食べ方、どう調理すればいい?


クサフグのテトロドトキシンは肝臓や卵巣のほかにも、皮に豊富に含まれており、内臓さえ食べなければ安全というわけでもありません。そこさえ気を付ければ、クサフグはとても美味しい魚です。

旬は秋から冬頃で、透明感のある白身は美しいのみでなく、よくしまっており、どんな食べ方をしても美味しく頂くことが出来ます。

おすすめの食べ方は味噌汁や鍋物などの汁物やお刺身、小振りなためフグ刺しにするのにはちょっと手間がかかりますが、お皿が透けるほどの薄造りは味のみでなく見た目も大変美しく、一見の価値ありです。 他のフグより釣りやすく、気軽にフグの味を楽しめるのがクサフグのいいところです。

決して自分では調理しないで!

クサフグなどに含まれるテトロドトキシンは魚自体が含んでいる毒ではなく、エサを食べていくうちに凝縮されたもの。完全養殖などを行えばその危険性を大きく取り除くことが出来ますが、調理する際は決して自分で調理せず、免許を持った方にさばいてもらうようにしましょう。

昔から「河豚は食いたし命は惜しし」と言いますが、この手間を省いてしまうと命を落としかねません。フグ料理が美味しい事はよく知られていますが、危険と隣り合わせだということを忘れないようにしましょう。

クサフグは飼育できる?

釣り人からは厄介者と嫌われているクサフグですが、その小振りな姿と怒ると膨らむ修正、パタパタと羽ばたくように泳ぐ姿から愛好家も多く、飼育用として出回ることもあります。

フグの中でもクサフグは特に身近な存在で、大きくなりすぎたりもしないため、他のフグより飼育向きと言えます。 しかし、初心者が手を出すとそのデリケートな習性に悩まされることになるため、何度から魚を飼育したことがあるという方が手を出すべき存在でしょう。

クサフグを飼うとき気を付けること

クサフグはほかの魚のように頑丈なウロコを持たないため、細菌や環境変化に弱く、水槽の水換えやバクテリアの現状などに気を付ける必要があります。ほかの魚なら問題ない環境でも、クサフグにとってはストレスとなる場合も少なくありません。

水を清潔にすることで殆どの病気は予防できるため、クサフグを飼うときは水を汚さない、を意識しないようにしましょう。 また、それ以外にもクサフグは警戒心が強くデリケートな魚のため、砂を敷いたり、あまり水槽に魚を入れ過ぎないようにしたりと、クサフグがリラックスできる環境を用意してあげましょう。


クサフグが好むエサや環境

クサフグは警戒心が強いため、飼うなら成魚からではなく稚魚から育てていくことをおすすめします。稚魚の時はあまり警戒せず、配合飼料も食べてくれますが、成長するとなかなか食べてくれなくなります。

最初のうちは配合飼料を与え、エサを食べなくなったらオキアミやゴカイなどの自然のエサに切り替えていきましょう。そして、徐々に自然のエサから配合飼料に切り替えていけば、警戒を解きエサを食べてくれるようになります。

クサフグが好む環境は注意点の項でもあげた通り、清潔で最近も繁殖しておらず、かつ隠れることが出来る程度に砂場がある場所、水温は25℃前後を保ち、塩分濃度にも気を付け、1.016よりやや上を保つようにしましょう。

エサをやる頻度や水替えの回数

クサフグは毎日エサをやるより日を開けてたっぷりエサをやるほうが効果的で、3日か4日に一度お腹いっぽい食べさせてあげましょう。エサの量は個体差があるため、少しずつ与え、食べなくなったらやめるなど様子見しながら洗えていきましょう。

水換えは月に2回、水槽の3分の1程度の水を交換することをおすすめします、近場に海があるという方は人工海水を作るより、海水をくんできて交換するほうがおすすめです。

ただ、天然海水は細菌が繁殖していることが多いため、光の通らない容器に入れ保存し、紫外線ライトで殺菌し、ろ過した後に使用するようにしましょう。

クサフグを食べるときはプロに任せて

クサフグは釣り人を困らせる「外道」のみでなく、飼育すればプカプカと漂う姿で癒してくれます。 食べるととても美味しい魚ですが、それは免許を持った人が適切な処理を行った上での話。釣りあげた後そのまま食べてしまうのは大変危険です、食べる場合は必ず免許を持った人に頼むようにしましょう。