シュロチクの育て方を解説
観葉植物、シュロチクの育て方を解説します! 和風の趣が強く、江戸時代に中国南部から渡来した古典的な存在です。
現在でも愛され続けているのは、見た目が美しく、寒さにも耐え、育てやすいから。あなたもシュロチクを長く育てて、シックな雰囲気の空間を演出しませんか? 基本の手入れから、枯れてしまう原因、剪定、増やし方まで、知っておきたいポイントを押さえてご紹介します!
そもそも、シュロチクってどんな植物?
シュロチクの外見と特徴
地下茎から幹を伸ばして、株立ちになります。幹は竹、葉はヤシのような見た目で、ヤシ科に分類されます。温室や暖地といった、あたたかい環境で育てると、5メートルほどの高さに成長しますが、観葉植物として売られているものは2メートル以内が主流です。
似た植物に「カンノンチク」があり、どちらも斑入りの品種があります。なんと、高級なものは100万円を超える値段で取引されることも!
どんなお部屋に合うの?
シュロチクは和風な観葉植物ですので、「和モダン」「和室」といった雰囲気とマッチします。居酒屋や料亭、お蕎麦屋さんに置いても素敵です。また、耐寒性が強く、霜さえ降りなければ屋外に出すことも可能です。
冬の時期でも、昼間は外に出し、家やお店の出入り口を飾っても良いでしょう。また、ライトアップとの相性も良いです。夜はあたたかみのある暖色の照明に当てると、神秘的な姿が浮かびあがります。ぜひ試してみてください。
シュロチクの育て方1.置き場所
日当たり
日当たりのよい場所~半日陰を好みます。特に、斑入りの品種は日照不足を起こしやすいので、明るい室内か戸外の半日陰に置きましょう。斑入り品種以外であれば、窓辺から遠い半日陰にも置くことができます。
ただしいずれも、真夏の直射日光は苦手とします。レースカーテン越しの、やわらかな日差しが届く範囲に置いてあげるのが理想です。また、たまにくるくる鉢を回してあげると、日光が均等に当たりますよ。
直射日光に当てると葉焼けする
シュロチクを直射日光に当ててはいけないのは、「葉焼け」を起こしてしまうから。葉焼けとは、観葉植物にありがちな現象で、葉っぱの先から茶色く枯れることをいいます。特に夏の時期は注意が必要です。葉焼けしてしまった場所は剪定しましょう。
完全な日陰はNG
シュロチクには耐陰性がありますが、完全な日陰はNGです。窓のない真っ暗な廊下や、北側の日陰に出して放置するのは避けましょう。
シュロチクの育て方2.時期ごとの水やり
乾燥にやや弱い
シュロチクは乾燥にちょっぴり弱めです。ただし、むやみに水やりをすれば良いというわけではなく、時期毎に調整してあげる必要があります。
春の水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと与えます。シュロチクは15℃以上の気温があるとよく育ち、水も多く必要となってくるので、このくらいの気温になる頃から徐々に水を増やしてください。
夏の水やり
夏はもっとも水分を必要とする季節です。土も乾きやすくなるので、一番頻繁に水やりをする必要がある時期でしょう。ただし、土の表面が乾いていないうちから水やりをする必要はありません。タイミングは春と同様で、「土の表面が乾いたら、たっぷりと」です。
秋の水やり
涼しくなってきたら、徐々に水やりの頻度を減らしていきます。タイミングはやはり「土の表面が乾いたら、たっぷりと」です。
冬の水やり
成長が一番ゆっくりになる時期が冬です。土の表面が乾燥してから2~3日後に水やりをします。また、水やりを控えるとシュロチクの耐寒性が上がります。寒い場所、寒い地域で育てているなら、水やりは控えめにして耐寒性を上げるのも手です。
葉水をするのがコツ!
霧吹きで葉に直接水をかける手入れを、「葉水」といいます。植物は葉の表面からも水分を吸収しているので、「水やりしたいけど、根腐れしそう……」と心配なときに有効です。
特に、シュロチクは葉水での水やりを好む植物です。葉水をすると、葉にツヤが出て、ホコリ取りにもなります。霧吹きは100均でもおしゃれなものが買えるので、ぜひ行ってみてください。
シュロチクの育て方3.肥料
肥料は少なめでOK
いつ、どれくらいの量を与えればいいのか、迷いがちなのが肥料ですよね。シュロチクはあまり肥料を必要としない植物です。特に、成長がゆっくりになる冬は、さほど肥料を与えなくても育ちます。逆に寒い時期に肥料を与えすぎると、肥料焼けを起こして枯れることもあるので注意が必要です。
与えるべき肥料の種類と時期
液肥、もしくは緩効性肥料を置き肥として施しましょう。有機肥料を与えると虫が湧きやすいので、おすすめは化成肥料です。与えるべき時期は、春~秋が適切でしょう。シュロチクは温かいシーズンによく育つので、そのぶん栄養も多く必要とします。
シュロチクの育て方4.植え替え
植え替えは、欠かせないお手入れ!
観葉植物を鉢植えで育てるなら、植え替えは避けて通れないお手入れです。数年間ずっと同じ鉢で育てていると、地上部の成長に合わせて、根もどんどん広がっていきます。
この根が鉢の中でパンパンになり、生育が悪くなってしまうことを「根詰まり」といいます。シュロチクの植え替えのめやすは、2~3年に1度。
ずっと同じ鉢で育てていて、「元気が無くなってきた……」というときは、根詰まりを疑ってみましょう! 葉先が枯れている場合も、根詰まりの可能性があります。
根詰まりを確かめる方法
・鉢底の穴からのぞく ・鉢からシュロチクを抜いてみる この2通りの方法で、根詰まりしていないか確かめてみましょう。前者の場合、鉢底穴から根が飛びだしていたり、根が底までぐるぐるに回っているのが見えたら、植え替えどきです。
後者の方法では、鉢全体の形をなぞるように根がどくろを巻いていたら、植え替えてあげるべきでしょう。
植え替えの時期
5~6月が植え替えにおすすめの時期です。
植え替えに必要なもの
・新しい土(「観葉植物の土」と書かれて販売されているものでOK。腐植質や肥料分の少ない、水はけのよい土が向いています。粒子が粗めのものが好ましいので、赤玉土を混ぜるのがおすすめです) ・前の鉢より大きい鉢 ・鉢底石
植え替えの手順
①室内で行う場合、床が汚れないように新聞紙を敷きましょう。まず、古い鉢からシュロチクを抜き取ります。 ②新しい鉢の底に、鉢底石を敷きます。その上から新しい土を入れましょう。
鉢全体の3分の1くらいまで入れたら、そこに新しい土を入れます。 ③シュロチクの根に付いている、古い土を払い落とします。根を傷めないように行いましょう。
④古い土を落としたら、シュロチクを新しい鉢の中央に固定します。
周りの縁を埋めるように、新しい土を足していってください。土は鉢のぎりぎり上部まで入れず、ウォータースペース(水やりをしたとき、土や肥料成分が流れ出ないための余裕)を設けましょう。だいたい鉢全体の8割くらいまで土を入れるのが理想です。
⑤これで完成です! さらに、土の表面をウッドチップでコーティングすると、インテリア性が増しますよ。最後にたっぷり水やりをして、半日陰に置きましょう。1ヵ月経ったら、もう少し日当たりの良い場所に移動させ、通常の管理・手入れに戻します。
シュロチクの育て方5.剪定
剪定は、枯れた葉をカットする程度
剪定とは、不要な枝をカットする手入れのこと。シュロチクに大胆な剪定は必要ありません。枯れて茶色くなってしまった葉があれば、カットするくらいでOKです。また、葉先だけが茶色く枯れてしまうこともよくあります。そのときは、葉の形に沿ってカットしましょう。
剪定のコツ
ばっさり平行に切り取ってしまうと、ほかの葉との違いが際立ってしまい、不格好です。ほかの葉と同じ形になるように、V字を描くように切ってあげるとキレイですよ! この作業は、時期にこだわる必要はありません。気づいたときにお手入れしてあげればOKです。
大きな剪定は、冬以外の時期に
ただし、見た目をもっとスッキリさせたい! というのであれば、不要な枝ごと剪定を行っても良いでしょう。剪定は冬以外の時期がおすすめ。
シュロチクの育て方6.冬越し
耐寒温度は0℃
シュロチクは、ヤシ科の中でも寒さに強い観葉植物です。種類によりますが、ヤシ科の植物は15℃~10℃の環境で冬越しするのが望ましい中、シュロチクは0℃あれば屋外でも越冬します。ただ、マイナス以下の気温にはさすがに弱く、霜を当てないようにする必要があります。
リビングに置くのが安全
屋内で冬越しさせるなら、暖房の効くリビングで冬越しさせてあげるのが安全です。冷え込む廊下や、冷たい素材の上では、寒さに強いシュロチクとはいえ枯れることもあります。
エアコンの風に注意
エアコンの風が当たらない場所に置いてあげるのも重要です。シュロチクは人間の肌と同じように、葉の保湿が大事な植物ですから、エアコンの風で乾燥させると弱ってしまいます。暖房、冷房ともに気をつけてください。
シュロチクの育て方7.病気、病害虫
ハダニ
シュロチクにはハダニが発生することがあります。白い斑点状のものがついていたら、ハダニが発生している可能性が高いです。見つけ次第駆除しましょう。
カイガラムシ
カイガラムシとは、植物の茎や葉にくっついて、汁を吸い取る害虫です。幼虫のうちは薬剤が効きますが、成虫になってしまうと薬での駆除は困難です。ティッシュや歯ブラシで取り除きましょう。
シュロチクの育て方8.枯れる!? 原因は?
枯れるおもな原因
枯れる原因は根にあるか、水やり・日当たりのいずれかに問題がある場合が多いです。まずは根詰まりしていないか確認しましょう。土が硬くなっている場合は、根詰まりしていなさそうでも、1度植え替えてあげると安心です。
水やりの頻度が少ないことも、葉先が枯れる原因になります。日照不足も同様です。耐陰性があるシュロチクとはいえ、日光の届きやすい場所に移してみましょう。
葉焼けしている
日光に当たると、葉の組織が死んで茶色くなります。これは「葉焼け」。屋外、直射日光の当たる場所での管理で起こりやすいです。特に夏場は、日を当てすぎないようにしましょう。葉焼けしてしまった場所は、剪定でカットのお手入れをします。
寒すぎる
寒くて暗い廊下や、冬の屋外に放置するのも、枯れる原因のひとつ。冬場だけでも、あたたかいところに移してあげると良いでしょう。
葉先が枯れる
シュロチクのような、葉の細いヤシ類の植物は、どうしても葉先が枯れやすい傾向にあります。多少葉先が茶色くなってしまうのは、よくあること。過度に枯れ込んでいるなら環境に問題ありですが、ほんの少しであれば、その部分だけカットして見た目を整えて様子を見ましょう。
シュロチクの増やし方
増やし方は「株分け」
シュロチクには「株分け」という増やし方を用います。
株分けって、どんな増やし方?
植物を根ごと切り分け、別々の場所に植え替えて育てる増やし方です。これ以上大きくしたくないときや、管理場所に困っているときは、株分けをすればコンパクトなまま管理できます。
株分けの方法
株分けの方法は、植え替えとほとんど同じです。コツは、地上部に出ている茎が3本以上のかたまりになるように切り分けること。あとは、鉢底石と新しい土を入れた鉢に移すだけです。
植え替えの時と同じように、株分け直後はあまり日の当たらない場所で管理します。ちょっと難しそうに感じられるかもしれませんが、やってみると株分けは簡単な増やし方です。
挿し木はできないの?
手軽な植物の増やし方に「挿し木」があります。植物の茎を一部カットして、切り口から発根させる増やし方です。「シュロチクも挿し木で増やせないの?」と思うかもしれませんが、難しいのが現実です。切り口から根を出しづらい植物ですので、増やし方は株分けを選ぶのが現実的でしょう。
シュロチクのインテリア例
古民家風に
シュロチクの良さを最大限に引き出すなら、やはり和のインテリアがおすすめ。画像のように、他の植物と一緒に高低差を出しながら置くと素敵です。
仕事部屋に
風水では気運アップ効果があると言われているシュロチク。仕事部屋に置いて、仕事の成功を願うのもおすすめです。緑の潤いが生まれるのも嬉しいポイント。作業中に、ふと植物が目に入れば、心が安らぎますよね。オフィスや会議室にもおすすめです!
リビングに
テレビやソファの横に置いて、くつろぎの空間を彩るのも定番な飾り方です。いつも目につく場所なので、お手入れが簡単なのもメリットのひとつ。水切れにすぐ気付けますし、温度管理も楽!
シュロチクとカンノンチクの見分け方
葉の幅
シュロチクと同じ中国南部原産のカンノンチクは、まぎらわしい観葉植物です。どちらも和風な趣がありますが、葉が細めなのがシュロチク、やや太めなのがカンノンチクです。
シュロチクの花言葉、風水
花言葉「思慮深い」、「向上心」
シュロチクの花言葉は「思慮深い」、「向上心」です。しっとりと落ち着いた雰囲気のあるシュロチクにぴったりな花言葉でしょう。
風水
シュロチクの葉は尖っており、下を向いています。これが、悪い気をはらい、良い気の流れを作ってくれると風水上で言われています。
シュロチクの育て方まとめ!
いかがでしたか? シュロチクは生育がさほど早くないので、植え替えも3年に1度程度でOK。耐陰性もあるので、窓から少し離れた場所にも置くことができますよ。
増やし方は株分けなので、たくさん増殖させるのには向きませんが、手入れの簡単な植物です。ぜひ葉水をして、ツヤツヤした緑色の葉を楽しんでくださいね。