スカイダイビングとは
スカイダイビングとは航空機などを使って空高くいったん上昇してから、航空機からパラシュートをつけた状態で飛び降り、落下。そのあとパラシュートを開いて落下スピードを落として地上に着陸するというスリルあふれるスカイスポーツのことです。
想像しただけでもドキドキするようなスカイダイビングによる高所からの落下ですが、そのドキドキを一度体験してみたいという人も多く、インストラクターなどがついて初心者でもスカイダイビングを楽しめるタンデムダイブ、タンデムスカイダイビングを体験することができます。
スカイダイビング事故とリスク
スカイダイビングの事故は第二次世界大戦中にも数件ありました。戦後はじめてのパラシュートによる死亡事故の記録であり、有名な「埼玉桶川スカイダイビング墜落事故」は1969年のできごとでした。「スカイダイビングの事故は怖い」と多くの人に感じさせた、この事故のあらましは以下のとおりです。
埼玉桶川スカイダイビング墜落事故
「事故の被害者は、自動索降下という飛行機から落下すると自動でパラシュートが開く仕掛けを使ってスカイダイビングの訓練を行っていました。被害者はスカイダイビング経験としては6回目。この訓練の際に、通常は腹を下にして飛ぶはずが背中が下の状態になってしまいました。
そのため被害者自身が脇でパラシュートを挟んでしまいメインのパラシュートが開きませんでした。被害者がパラシュートを抱えてしまった格好になったため、予備のパラシュートも開くことができなかった」という状況で起こったものです。
群馬県千代田村スカイダイビング事故
1972年にはパラシュートには問題なく減速して落下したものの、落下地点が川であったため流され溺死するという事件が群家県の千代田村でおこっています。この事故の他、スカイダイビングの着地地点が川であり流されて溺死という事故はもう一度起こっています。
2017年までに21件
一般の人がスカイダイビングの訓練や体験中に落下するという事故が起こったのは、1972年の群馬県の事故から21件(スカイダイビング事故のwiki調べ)があります。その中にはスカイダイビングには成功したけれど落下中の病死とみられる2017年の埼玉県のスカイダイビング事故も含まれます。
事故率とリスク
上の21件という数は、1900年からの数字で戦争中の事故は含めないものです。「この事故率ならばスカイダイビングのリスクは低いのではないか」と思われるでしょうが、1980年を越えたあたりから急に日本でのスカイダイビングの事故率があがってきています。
これはスカイダイビングを行う人が増えてきたためと考えられます。 実際にスカイダイビング事故と他の事故の事故率にはどのくらいの差があるのか、危険性はどのくらいなのかということを次項でご紹介します。
スカイダイビング事故の統計
スカイダイビングの事故はいったいどのくらいの確立で起こるものなのでしょうか。ここでは、スカイダイビングとその他リスクを伴うスポーツとの事故の割合を比較して、そのリスクをみていきます。
スカイダイビング事故率
スカイダイビングの死亡事故率は15万回に1回という割合になっています。
その他スポーツでの事故率
日本でスカイダイビングで亡くなる方は10万人に3.2人、サーフィンで亡くなる人は2.8人、ダイビングで亡くなる人は4.7人となっています。このことから、スポーツで事故率が高いのは空の上よりも海の中ということがわかります。
スカイスポーツの危険性
スカイダイビング事故がどういった状況で起こるのかその記録を見てみるとわかるのですが、何もスカイダイビングは「パラシュートが開かなくて有無をいわさず地面に激突」というだけの事故ではありません。
群馬県の事故のように着地した場所が川で溺死してしまったという事故のケースも複数あります。 事故に対する危険性はスカイスポーツだから特別危険というわけではないことが、先に紹介したスポーツでの死亡事故率からもわかります。
事故時の混乱とリスク
空の事故で大きくニュースに取り上げられるものとして航空機事故があります。これは地上の自動車事故よりもずっと安全とよくいわれていますが、それは飛行機が操縦不能で墜落することを想定してパイロットが何度も訓練を受けているのもその理由のひとつでしょう。
それと比べてスカイダイビングはその経験も数回から数十回と少なく、スカイダイバーが「自分の力で何とかしなくてはいけない」という焦りや事故の混乱がリスクを高める危険性は十分に考えられます。
スカイダイビング事故はなぜ起こる
スカイダイビングの事故のうち、原因がわかっているものをまとめてみました。その結果、次のような数字になりました。 パラシュートの故障:8件 落下地点が悪かった:3件 パラシュートとセスナの接触:2件 2名のパラシュートが絡まり落下:3件 ダイバーの不手際:6件 天候によるもの:1件
落下時の急病によるもの:1件 「パラシュートが開かない」など故障によるものが一番多いですが、スカイダイバー自身の操作ミスも6件とそれに近い数字を出していました。それと同時によくいわれる「2名で飛んだ時のパラシュートの絡まりによる事故」は意外に数字が少ないこともわかります。
パラシュートの仕組み
パラシュート事故では、やはりパラシュートが開かないなどの「故障」が一番事故率が高いということがわかりました。パラシュートにはメインが開かなければ予備のパラシュートがあり、それを開いて減速しながら地上に着地するようになっています。
マッシュルーム型とラムエアータイプ
昔のフィルムなどでみるパラシュートはキノコのような丸い落下傘であることがほとんどでしょう。このタイプはマッシュルーム型パラシュートといいます。これはパラシュートの傘の部分がつぶれにくい反面、操作が難しいという特徴があります。近年スカイスポーツでよく見る横に長いタイプのパラシュートはラムエアータイプといいます。
操作性の向上
ラムエアータイプのパラシュートは、カーレース用の車や、飛行機、スペースシャトルなどにも使われる減速用のパラシュートの形です。操作性は高いですが、傘がつぶれやすいという特徴があります。
スカイダイビング事故でも多い「操作ミス」などによる事故はラムエアータイプの登場により少なくはなっているはずですが、それでもマッシュルーム型と比べて操作性が良いということで全く起こり得ないこととはいいにくいの状況でしょう。
操作ミス
いくらパラシュートの操作性があがり、コントロールがしやすくなったとはいえ、やはりパラシュートだけで人が高所から落下するにはしっかりとしたスキルやもしもの時の訓練も必要となってくるでしょう。
体のまわりを覆うものがなく、ひとつのミスが命の危険を招く状態であるといえます。スカイダイバー本人の一瞬の判断の遅れは、どうしても事故を避けられない事態となってきます。
まとめ
過去のスカイダイビングの事故やその原因、事故率からそのリスクや危険性を見てきました。いかがでしたでしょうか。スカイダイビングは航空法第90条で、「国土交通大臣の許可を受けた者でなければ、航空機から落下さんで降下してはならない。」とされています。誰でも簡単におこなうことはできないということです。
スカイダイビングクラブなどでも、しっかりとその事故の危険性について学び、講習を受けてからタイビングをされているはずです。また、ジャンプの時に不慮の事故で意識を失っても自然にパラシュートが開くような工夫もされています。
事故になってしまえば命に関わる大きな事故となる可能性は高いですが、その事故率の死亡率は15万人に1人と高くないことがわかるでしょう。