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シマトネリコとは、どんな植物?
シマトネリコの剪定を行う前に、この木が持っている特徴を知っておきましょう。正しい剪定を行うためのヒントが隠されていますよ。
シマトネリコの原産地
シマトネリコは、モクセイ科トネリコ属に分類される植物です。原産地は、沖縄、台湾、中国のほか、東南アジアのフィリピンやインドなどです。
暖かい場所に分布する植物のため、冷たい北風が吹く日本海側や、関東より北の地域で育てると枯らしてしまうことがあります。 ちなみに、シマトネリコの「シマ」は、島を表しています。沖縄や台湾など温暖な島国に分布する種類、という意味です。
シマトネリコの名前
学名は「Fraxinus griffithii」です。「Fraxinus」は、ラテン語の「phraxis(=分離する)」が語源といわれています。また、別名には、「タイワン(台湾)シオジ」とつけられています。シマトネリコは成長が早く、枝がよく分岐する種類で、暖かい地方が原産です。
このように、シマトネリコの特徴を名前から知ることができます。 剪定をするときは、シマトネリコの性質を踏まえて、時期や剪定の方法を選ぶことが大切です。
シマトネリコの特徴
シマトネリコの特徴を挙げてみましょう。ここから、ふさわしい枝の長さ、木の高さ、幹の状態、剪定を行う時期などを考えてみましょう。
シマトネリコは半落葉高木
シマトネリコは、季節や気温の変化によって葉を落とす「半落葉高木」です。「冬を迎える時期」「急激に気温が上がる・下がる」など、環境の変化に応じて葉を落とします。
高さは10mを越える
シマトネリコは、樹勢の強い植物です。成長すると数m~10mほどの高さに達します。剪定をせず、手入れを怠っていると、幹・枝はすくすくと伸びますよ。
シマトネリコは成長が早い
シマトネリコは成長が早く、すぐに枝葉を伸ばします。強剪定(太く長い枝を根元から切ること)をしても、樹勢を弱めてしまうことがありません。
育てる場所は、関東より西の太平洋側
シマトネリコを育てる環境は、関東より西の太平洋側が適しています。寒さにはあまり強くないため、雪降る地域や日本海側の冷たい風が吹く場所で育てる場合は、剪定する時期を、シマトネリコの性質に合わせる必要があります。
枝は細かく分かれる
シマトネリコは、枝を細かく分けて伸ばします。また、幹に近い地面からも枝が生やす特徴があります。
シマトネリコの枝は細い
シマトネリコの枝はあまり太くならず、たくさんの芽をつけて小さい枝をつけます。剪定に手間がかかるものの、枝が細いため、簡単に枝を切り落とすことができます。
単幹(たんかん)と株立ち
シマトネリコは、単幹と株立ちのどちらか姿で育てます。単幹は、1つの株を育てる方法です。株立ちは、1か所に生える複数の株を育てる方法です。単幹で育てると、1つの株に栄養が集中するため、幹が大きく生長します。ただ、樹勢が強く、定期的な剪定を必要とします。
株立ちは、細い株がそれぞれ成長します。そのため、1本1本の成長は抑えられます。しかし、細かい枝が伸びやすく、株が多いことで枝葉が重なりやすくなります。涼しげな印象を保つには、定期的な剪定をしなければいけません。 樹形を整えるには、単幹・株立ち、どちらの状態で育てても適度に手を入れることが必要ですよ。
よくある剪定の失敗例
皆さんはどのようにシマトネリコを剪定しているでしょうか。間違った方法で剪定をしても、きれいなシルエットを保つことはできません。次に挙げる剪定方法を行ってしまった方は、正しい剪定方法に切り替えてください。
失敗例① 弱い剪定を続ける
できることなら葉をつけた、きれいなシルエットのシマトネリコを眺めたいものです。しかし、枯れてしまうことを恐れて、強剪定を避けると、シマトネリコは勢いよく枝葉を伸ばします。これでは、切ったところから、さらに細かい枝が伸びて、枝が混み合ってしまいます。
失敗例② 内側に向いた新芽を残した・単幹
単幹(1つの株だけを育てる)場合には、内側に伸びた新芽を残してしまうと、幹に近いところで枝が成長します。 これでは見栄えが悪くなり、下の枝に光が届きません。 剪定の基本は、外側へ向いた新芽の手間で、枝を切り戻します。これで、外へ向いて伸びる枝の性質が活かせますよ。
失敗例③ 外へ伸びる枝を残した・株立ち
複数の株を集まる「株立ち」では、内側に向いている新芽を残します。 単幹とは反対の剪定法です。シマトネリコは、外側へ向かって広がるように枝を伸ばします。 そのため、外へ向いた新芽を残してしまうと、単幹よりも枝が多いため、細い枝の処理に困ります。 きれいなシルエットを保つことができなくなり、樹形を乱してしまいます。
失敗例④ 冬の寒い時期に強剪定をした
シマトネリコは、寒さに強い植物ではありません。関東から北の地域で育てている木に、秋から冬にかけて強剪定を行うと、枯らしてしまう危険があります。
シマトネリコの正しい剪定方法
剪定の失敗例を学んだら、次は正しい剪定方法の紹介です。シマトネリコの特徴や、剪定する時期、木の状態などを調べて、枯らさず美しい樹形に整えましょう。
正しい剪定方法① 不要な枝を切る
不要な枝はシマトネリコのシルエットを乱して、日光を遮ったり、風の通りを悪くします。 単幹・株立ちに限らず、不要枝は生えてきます。剪定を始めるときは、まず不要な枝を探して切りましょう。
平行枝
2本の枝が段になって枝先を伸ばす場合は、どちらかの枝を切ってください。ただし、一方を切ることで大きな空間が生まれるときは、根元から切らずに、枝の真ん中あたりで切りましょう。
立枝・下がり枝
立枝はまっすぐ上へ伸びる枝です。下がり枝は、下へ向かって伸びる枝を指します。どちらも、ほかの枝と重なり、樹形を乱す枝です。見つけたら、根元に近いところから切りましょう。
ひこばえ・胴ぶき枝
ひこばえは、地面から生えてくる細い枝のことです。胴ぶき枝は、幹から直接生えてくる枝を指します。ひこばえは、幹の養分を奪い、胴ぶき枝は見た目を悪くします。どちらも根元から切ってください。
また、ひこばえは放っておくと、すぐに成長します。太い枝なら、剪定用のノコギリを使うことをおすすめします。
逆さ枝・ふところ枝
逆さ枝は、ほかの枝と反対の方向へ伸びる枝です。ふところ枝は、根元に近いところに生えた小さい枝のことを指します。 これらの枝は、シマトネリコのシルエットを崩し、日光の入り具合・風の通りを妨げてしまいます。見つけたら、根元から切りましょう。
徒長枝
徒長枝は、勢いよく生長した長い枝のことです。強剪定を行ったあとに、生えてきます。そのため、徒長枝を切るときは、ほかの枝を伸ばさないように、10cm~30cmほどを残して切りましょう。
交差枝・車枝(くるまえだ)
交差枝は、ほかの枝と接触する枝のことです。車枝は、1か所から四方に伸ばした枝を指します。これらの枝が生えていると、ほかの枝が傷みやすく、見栄えも悪くなってしまいます。見つけたら、こちらも根元から短く切りましょう。
ただし、車枝を切るときは、四方に伸びた枝をすべて切ってしまうか、伸ばしたい方向に生える枝を残しておくかを、考えましょう。 樹形を整えるために、必要な方向に枝が生えているなら、1本を残して剪定すると、きれいなシルエットに近づけられますよ。
剪定のコツ① 徒長枝の切り方
徒長枝を剪定するときは、分かれている枝の手前で切り戻しをしましょう。幹に近いところで切ると、木に負担をかけてしまいます。 分かれている枝がない場合は、新芽の手前で切ってください。次の年に枝が成長することで、崩れた樹形が整いますよ。
正しい剪定方法② 芯止め
芯止めは、伸びすぎた枝を切って、シマトネリコの高さを抑える方法です。剪定する枝は、分かれているうちの真ん中を切りましょう。真ん中の枝はよく伸びる性質があります。 また、高い位置に生えている枝も、よく伸びる性質があります。シマトネリコの高さを抑えたいときは、真ん中の枝と高い位置に生える枝を選んで、剪定しましょう。
正しい剪定方法③ 枝を間引く
シマトネリコは、成長が早く、手入れをしないでいると高い位置の枝が伸びて、重なり合ってしまいます。光合成に必要な光と、病害虫を防ぐ風の通りを確保するために、枝を間引きましょう。 枝は、太い枝から生える細い枝を選んでください。枝先と根元に近いところの枝を残して、真ん中の枝を間引くと、光が届き、風が通る空間が確保できます。
正しい剪定方法④ 楕円形をイメージする
不要な枝を切って、木の高さを調整したら、全体の形を整えましょう。シマトネリコは楕円形をイメージすると、きれいな樹形がつくれます。下に生える枝葉を落として、真ん中と上部にボリュームを持たせると美しいシルエットができあがりますよ。
剪定のコツ② 離れた場所から全体の形を確かめる
剪定をしていると、目の前の枝や葉に夢中になってしまいます。一度、木の全体像が見られる位置まで下がりましょう。これで、切りすぎ・歪な形を避けられます。 また、観察するときは、枝葉の動きも確かめましょう。風にそよぐ具合を見て、風の通りをチェックしてください。
正しい剪定方法⑤ 剪定を行う時期
剪定を行う時期は、2月~3月、6月~7月、11月~12月が適しています。寒さが厳しい12月~2月の時期に剪定をしてしまうと、関東より北の地域では雪が降る可能性があるため、寒さが原因でシマトネリコを枯らしてしまいます。
真冬の時期を避けて、剪定をしてください。 また、11月~12月に剪定を行う場合は、不要な枝を切ることに専念しましょう。太い枝を切ってしまうと、木の勢いを弱めてしまいます。太い枝を切って木の骨格を整えたいなら、気温が上がり始める3月ごろまで待ちましょう。
正しい剪定方法⑥ 太い枝には剪定用のノコギリを使う
太い枝を切るときは、剪定用のノコギリを使いましょう。剪定用のはさみでは、上手に切れません。枝の太さに合わせて剪定に使う道具を使い分けると、きれいな切り口ができ、木にかかる負担が少なくなります。
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剪定のコツ③ 剪定用ノコギリの使い方
剪定用のノコギリを使って、枝を切る場合(強剪定や太い枝の剪定)は、2カ所を切って剪定をします。 日曜大工で使うノコギリは代用しないでください。切れ味が悪いと、木に余計な傷をつけていまいます。
また、ノコギリの刃が汚れていると切り口から菌が侵入する可能性があります。剪定するときは、必ず剪定用のノコギリを使ってください。凹凸の少ない切り口に仕上がりますよ。
剪定用ノコギリの使い方
1.根元から5cmほどのところに、枝の下からノコギリの刃を入れます。すべて切らず、半分あたりで止めてください。 2.切ったところから枝の先へ3cmほど場所をずらしましょう。今度は上から枝を切ってください。
3.切り続けると、枝の重みで自然に折れます。 4.あとは、根元に残った部分を幹と並行に切ってください。凹凸の少ない切り口が理想です。
剪定のコツ④ 切り口に気をつける
太い枝を切ったとき(強剪定など)は、切り口に癒合剤を塗りましょう。癒合剤は、剪定による枯れ込みを防ぐための薬です。さらに、切り口に入る病原菌を防ぐ効果もあるため、剪定をして太い枝を切ったときは、切り口に癒合剤を塗っておくと安心ですよ。
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正しい剪定方法⑦ 高いところは高枝切りばさみ
高い位置の枝には、高枝用の剪定ばさみを用意しましょう。とはいえ、高枝切りばさみでは、太い枝を切ることや強剪定には向いていません。高いところに伸びた細い枝を切るための道具です。高い位置の太い枝は、脚立やはしごを使い、剪定用のノコギリを使ってください。
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まとめ
シマトネリコの正しい剪定方法を紹介しました。シマトネリコは成長が早いため、定期的な手入れが必要です。大胆に強剪定をしてしまうと、枯れてしまったり、余計に枝を増やしたりと、問題が起こります。木の特徴と剪定の基本を学んで、手入れがしやすい「高さ」と「美しいシルエット」を保ちましょう。