コウモリランとは
科名
コウモリランが所属する科名はウラボシ科といいます。さらにウラボシ科の中のビカクシダ属に分類されています。
学名
コウモリランは、Platycerium bifurcatum、という学名が付けられています。
花名由来
コウモリランという名前は、その姿が鹿の角に似ていることに由来すると言われています。コウモリランはもともとシダの種類である麋角羊歯(ビカクシダと読みます、和名です)の仲間です。これらのことから、麋角羊歯の仲間であるかつその姿が鹿の角に見えることから、コウモリランという名前が付けられました。 余談ですが、この麋角羊歯、18種類あると言われています。
コウモリランという名前の由来としてもうひとつ説を紹介しますと、その垂れ下がった葉などを飛んでいるコウモリに例えたという説もあります。鹿の角にも見えますし、コウモリと言えばコウモリにみ確かに見えます、どちらも可能性としてありそうですが、生長具合や角度などによって、どちらの説がより有力なのか分かれそうですね。ぜひコウモリランを栽培して確かめてみてください。
コウモリランの花言葉・開花時期
コウモリランの花言葉
「信頼」、「助け合う」、「魔法」、これらがコウモリランの花言葉です。
コウモリランの花言葉由来
これらが花言葉はそれはコウモリランの生態系に深く関係しています。基本的にコウモリランは単体で生きるのではなく樹木に住み着くことで、生命を維持するのがコウモリランです。樹木と協力するからこそ生きることができるのです。そのような特徴から、「信頼」や「助け合う」というような他者との関係に関わりのある言葉が花言葉になったと言われています。
コウモリランの開花時期
コウモリランに花は咲きません。そのため開花時期は不定期というこよりは来ないです。
コウモリランの特徴
コウモリランの胞子葉
コウモリランの特徴を説明するにあたって胞子葉のそれを省くことはできません。胞子葉とは、その名前から推測されるように、胞子が付いている葉のことをいいます。具体的にどのように胞子が付いているのかを説明しますと、胞子のうとよばれるものの中に胞子が含まれ、その胞子のうが葉に付いているのです。胞子のうがついた葉のことを胞子葉と呼ぶ、というふうに言い換えたほうが分かりやすいかもしれませんが、胞子のある葉っぱというふうに理解すれば良いでしょう。
コウモリランはウラボシ科のビカクシダ属に属しているというのは上記で述べています、実はこのウラボシ科というのがシダ植物門に属する科なのです。そして、シダ植物門の植物で胞子葉を備えているものはなかなかありません、ですからこのコウモリランという植物はシダ植物門の中でも貴重な(胞子葉がない植物ももちろん貴重ですが)植物と言っても過言ではないでしょう。
コウモリランの貯水葉
貯水葉と呼ばれる葉も、コウモリランを基本情報として必ず理解しておきたいことになります。貯水葉ですが、外套葉と呼ばれたり、栄養葉や落ち留め葉、あと泥除け葉や裸葉といった名称で呼ばれることもあります。いろいろな呼び名があるので困惑してしまうかもしれませんが、これにはいろいろと理由がありますので、覚えておいてください。貯水葉の様々な働きを以下で紹介します。
貯水葉の働き1つ目、それは水分や栄養を、その葉に蓄えることです。貯水葉にコウモリランの貯水組織がありますので、コウモリランの生長で必要な要素の1つを占めています。間違えて取ってしまわないようにしましょう。 2つ目の働きは、木に着生する際に機能することです。既に述べましたが、コウモリランは自身のみで生長する植物ではなく、他の木に住み着いて生長する着生植物です。こちらもコウモリランが生長するにあたって重要なパーツのひとつとなります。 3つ目は、栄養を集めて株にその栄養を与えることです。どのような栄養かと言いますと、鳥の排出物(俗に言う糞)、虫の死骸、あとは落ち葉、などがそれにあたります。コウモリランの細菌がそれらの「栄養」を分解するのです。これらを可能とするのは、上向きの形状をしている葉なのです。上に広がっていくような形をしているので、上から下に向かってくるものを自然と拾うことができるのです。
おすすめのコウモリランインテリア術
おすすめのコウモリランを使ったインテリア術は、ヘゴ板を使って育てたものを部屋に飾ることです。植物といえば鉢で育ててそれらを床や庭に置くというのが王道だと思います、それらに加えて部屋の宙に浮いていたり柱に掛けてあるようにするのです。これによって、部屋全体を自然で溢れたデザインにすることができます。床に鉢を置く必要もないので、空間を確保でき、より効率的にスペースを活用する機会も生まれます。
コウモリランの育て方・栽培方法
難易度
コウモリラン栽培の難易度はそれほど高くありません。コツをつかめば上手く育てることができます。それほど難しくはありません。
時期
コウモリランの栽培を始める時期は5-9月ごろになります。この期間中に植え替えを行うようにしましょう。
コウモリランの育て方
鉢植えで育てる方法があります。それだけでなく、ヘゴ板を使った育て方や、ハンギングという手段を用いた育て方もあります。
コウモリランの鉢植え
鉢上で育てる場合、水苔を使った鉢植え方法と土を使った鉢植え方法を紹介します。 ここからは水苔を使用する鉢植えの流れです。1)コウモリランの苗を取り出します。コウモリランの根を取り出したら、根についている土を取り除いてください。コツは、もみほぐしながら土を取り除くことです。2)土を取り除いたら、水苔を丸めて苔玉を作ります。さらに、その苔玉にコウモリランの根を被せて、根と苔玉周りを水苔で覆います。3)鉢の底に発泡スチロールや軽石などを敷いて鉢の準備をしてください、それができたらそこへ苗を植えます。4)管理方法ですが、鉢をそのまま水の中へ沈めて水苔に水を吸わせます。水を吸収したら鉢を引き上げて、半日陰のところにそれを置いてください。
土を使って鉢植えする場合は、配合土を用意してください。配合土にはピートモス、パーライト、軽石(小粒なものを)を、8:1:1の割合にしてください。
ヘゴ板
ヘゴ板に紐などでコウモリランを縛りつける方法で管理します。 ヘゴ板を用いた方法 1)用意したヘゴ板に穴をいくつか開けてワイヤーが通るようにします。 2)コウモリランの苗(苔玉と根が接触しているもの)をヘゴ板に乗せます。それらをワイヤーやシュロ縄で縛って固定してください。 3)水の中へ、ヘゴ板ごとコウモリランを沈めてください。水苔が水を吸ったら水中から引き揚げます。後は半日陰のところへ置いてください。
ハンギング
鉢に植えたりヘゴ板を使うことなく、ぶら下げて育てる方法をハンギングといいます。水苔がコウモリランに覆われているのがよくわかります。ぶら下げることで床のスペースをその分確保することができます。 ハンギングの方法は以下の通りです。 1)深さのある容器を用意します、洗面器でも大丈夫です。それらに水を張ってコウモリランを浸けてください。 2)水苔や根が水でしっかり湿ったかどうかを確認できるまで水に付けます、時間にして10分くらいになります。 ハンギングの場合、早く乾きます。そのため水が切れているかどうか観察に気を付けてください。
ヘゴ板を用いた育て方とハンギングでの育て方を実践できるようになると、上述したように空中の空間スペースを使った管理をすることができ、地上スペースの確保やインテリアデザインを向上させることに繋がります。鉢植えと一緒に活用していきましょう。
コウモリランの水やりの仕方
コウモリランの栽培での水やりの方法を説明します。時期によって水やりも異なるなどの注意点がありますので、必見です。
水やりも季節によって方法が異なってきます。春から秋の時期(生育期)は、コウモリランを育てるのに使っている用土や水苔が乾いてきたタイミングで水やりをするようにします。この時、鉢底から溢れ出てくるくらい水をたっぷり与えるようにしましょう。乾いていないにもかかわらず水を与えてしまうと、根腐れが発生してしまいます、注意してください。秋ごろからコウモリランの吸水量が減りますので、土を観察して乾燥した時に水やりしましょう。もともと着生植物で多湿環境に弱いコウモリランです、その点も覚えておきましょう。冬の水やりは、月に1度暖かい午前中時に水やりしてください。少し乾燥させて越冬させるのがポイントです。
貯水葉を中心として水やりを行ってください。また、夏の暑い時期の水やりには注意しましょう。非常に乾燥する時期ですから、葉に水を与えて乾燥しないよう管理してください。この時、霧吹きを使って水を与えると良いです。
コウモリランに肥料を与える
コウモリランの栽培に肥料が必須というわけではありませんが、コウモリランに肥料を与える場合、生育期の春から秋にかけての期間に与えるようにしてください。冬場のコウモリランへの肥料やりは、肥料焼けする可能性を生み出します、注意してください。(冬場は生長が緩慢になるという特性が関係しています)。
春から秋の期間に肥料を与える方法を紹介します。肥料を与える頻度ですが、2-3か月に1度くらいにしてください。肥料を与える場所は、主に貯水葉の裏側部分と鉢の片隅などです。肥料の種類は、緩効性化学肥料、生油粕の置き肥、緩効性化成肥料などを選んでください。ちなみに、コバエの発生を抑えるのに有効な肥料があります、それは緩効性化成肥料です、ご参考に。
コウモリランの植え替え
コウモリランの植え替え時期は5-8月ですが、2-3年に1回程度で大丈夫です。植え替え方法は植え付け方法と同じです。目安として、鉢底から根が飛び出して根詰まりが発生たら植え替えの時期です。 植え替えに関連して、注意点を数点説明します。胞子葉が枯れてきたら見つけ次第取り除くようにしてください。 また、葉の表面に存在する産毛のようなものに触れて取ってしまわないように気を付けてください、取ってしまうと種子ができなくなってしまうためです。
コウモリランを株分け・胞子で増やす
コウモリランの増やし方は株分けと胞子の2種類です。ここではこの2方法でのコウモリランの増やし方を紹介します。
次に紹介するのは株分けをする方法です。時期としては5-8月ごろになります、お間違えないように。 まず、子株を親のコウモリランから切り取ります。この時、胞子葉を中心に、そしてその周りに円を描くようにして行うのがポイントです。注意点は胞子葉に傷が入ったり折れてしまわないようにすることです、丁寧に切り取ってください。切り取った後は、水苔を板に敷きます。それだけでなく、さらにその上からコウモリランを置いてください。 次に、状態で板にワイヤー用の穴を空けます。穴が開けば工具は何でも良いです、効率的に行い方にはインパクトドライバーをおすすめします、キリでも良いですが。穴が通ったらワイヤーを通してコウモリランを板に固定させてください。固定具合は、板を横にしてもコウモリランが落ちてこない程度にすれば大丈夫です。
次に紹介するのは胞子で増やすやり方になります。まず、葉裏に付いている胞子を削り取ってください。スポーンなどを活用して取り落とすと良いでしょう。削られた胞子を分けておく容器も必要です、これは新聞紙などでも大丈夫です。身近にある使えそうなものを探してみてください。次に、土を敷けるほどの容器といったものに土を敷きます。土は湿ったものを用意してください。この上に先ほど用意した胞子を蒔いてください。容器に蓋をして湿った状態を維持できるようにします、そのため蓋の付いている容器を使うことをおすすめします(サランラップでも蓋の役割を果たせるのでそれでも良いですが)。気温は常に20℃くらい、明るい日陰がある、こういったところで管理するようにしてください。定期的に霧吹きをして表土が乾かないように気を付けましょう。
コウモリランの品種・原種
原産地
コウモリランの原産地は南アメリカ、アフリカ・マダガスカル、東南アジアやオーストラリアの国々です。これらの国々の熱帯地域に自生しています。
分布域
コウモリランの分布は種類によって異なります。つまり上述した4カ国(地域)によって見られるコウモリランが異なるのです。コウモリランは18種の原種、近年では交配種も増えてきました。ちなみに、南アメリカを原種とするものは1、アフリカ・マダガスカル原種は6、東南アジア原種7、オーストラリアの原種のものは4種類になります。
南アメリカ唯一のコウモリラン原種はプラティケリウム・アンディナムと呼ばれています。ある程度の寒さに強いコウモリランです(高知で自生するため)。荘厳な雰囲気を持っています。
アフリカとマダガスカルの原種であるコウモリランは、アルシコルネ、エリシー、ステマリア、そしてエレファントティス、マダガスカリエンテ、クアドリディコトマム、これら6原種になります。外套葉に切れ込みが無いのが像の耳に似ていることから名づけられたプラティセリウム・エレファントティスになります。
東南アジア産のコウモリランは、スペルブム、ホルタミー、グランデ、ワンダエ、ワリチー、コロナリウム、リドレイ、の7原種になります。高価、そしてぐるぐる模様で有名なリドレイです。
オーストラリア原産のコウモリランは、プラティケリウム・ウィリンキー 、ビーチ―、ビフルカツム、そしてヒリー、これら4原種です。ビフルカツムは日本国内の園芸店などにも流通している、人気の種類になります、育てやすいです。
コウモリランの栽培で注意することまとめ
温度管理をしっかり行う
コウモリランの栽培で気を付けることその1は温度管理になります。どのような植物でも温度管理が必要です、コウモリランも例外ではありません。もともと熱帯地域で自生する植物ですから、日本で栽培する場合には注意する必要があります。 具体的には、気温が10℃以下のところでは管理しないようにしてください。この10℃という基準は、コウモリランの生長具合を分ける基準の気温だからです。管理環境の気温が10℃になるとコウモリランの生長が遅くなります。生長が本来より遅くなるだけならまだよいですが、5℃になると枯れますので、注意してください。
日光に気を付ける
コウモリランの栽培で気を付けることその2は、日光です。というのも、暑い時期(特に真夏日)の直射日光にあたると葉焼けが起きる可能性が非常に高くなるのです。とは言いつつも、コウモリランは日当たりを好みますし、必要なだけの日光を浴びていないと下部が弱るだけでなく葉も黄色に変色してしまいます。そのような時期には遮光できる室内で管理する、室内での管理ができず屋外でしか育てられない場合には日陰に置くように努めてください。
まとめ
観葉植物であるコウモリラン、様々な種類が存在しており、インテリアの可能性はとても高いでしょう。育て方もさほど複雑ではないですから、楽しく育てられると思います。原産地域も大きく4つに分けられ原種も地域の特性が見られます、機会があれば現地へ足を運ぶなども楽しそうですね。魅力的なコウモリラン、おひとついかがでしょうか。