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セミエビとは?高級食材として扱われるその味や食べもをご紹介!

セミともエビともつくような不思議な姿をした甲殻類「セミエビ」。そんなセミエビは見た目に似合わず非常に美味で、高級食材としても知られています。セミエビとはどんな姿で、どんな生態をしているのか?どんな食べ方が美味かについても解説していきます。
更新: 2021年2月24日
咲良09
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セミエビ/分類

セミエビはイセエビ下目セミエビ科セミエビ属に分類されるエビの仲間で、同じく高級食材として有名なイセエビの仲間といえるような存在です。セミエビのほかにも、ゾウリエビやウチワエビなどが仲間とされており、どれも一見エビの仲間と思えないほど、ユニークな姿をしているのが特徴です。

セミエビ/外国名

Slipper lobster

セミエビの外国名には「セミ」を意味する「cicada」ではなく、スリッパを意味する「Slipper」が用いられています。その名は「スリッパのようなエビ」を意味し、ここでもそのユニークな姿が取り上げられています。

なぜ和名と外国名で呼び名が大きく違うのかというと、外国ではセミを見かけることが殆どなく、且つその特徴的な鳴き声を愛でる文化もない、というのが大きいでしょう。

セミエビ/学名

Scyllarides

セミエビの学名はそのまま「セミエビ属」を意味しており、「Scyllarides squamosus」と呼ぶ場合もあります。ゾウリエビやウチワエビは同じセミエビ科に入っていますが、属名は異なるため「Scyllarides(セミエビ属)」は適応されません。

セミエビ/由来(漢字)

蝉蝦


セミエビの名前はそのまんま、姿かたちがセミに似ていることからそう名付けられました。エビはエビでも所謂イセエビ等とは漢字が異なるのがポイントで、海老ではなく「蝦」と書きます。

エビは元々「蝦」と書き、よく知られる「海老」は後から付けられた当て字、ほかにも移動の仕方などの違いがあり、海老が海底を歩くのに対し、蝦は海中を泳ぐという特徴があります。

といっても、この使い分けは必ずしも当てはまるわけではなく、泳ぐタイプのエビにも「海老」の漢字があてられる場合があります。

セミエビ/生息地域・分布

セミエビはインド太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布しており、日本では千葉県から九州の太平洋岸や沖縄、房総半島以南の太平洋岸などでその姿を見ることができます。

イセエビと同じく温暖な地域に生息していることが多く、日本のどこでも獲れると言う訳ではないので、漁獲量はそれほど多くなく、必然的に価格も高くなるというわけです。

セミエビ/生態・生育環境

セミエビは外洋に面した、水深20メートルほどの浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息し、昼間は岩陰に潜みじっとしていることが多く、夜になると貝類や小型の甲殻類などを捕食します。温暖な海に生息していますが、極度の高温は好まず、25度前後の水温でもっとも活動が活発になるといわれています。

セミエビ/特徴・形態

セミエビの特徴は何といってもセミに似ていることですが、それ以外にも成体は30センチほど、大型のものは50センチにも達するとエビとしてはかなりの大型で、体表は外骨格が発達していて非常に硬く、料理の際も包丁で押し切るというような感じで調理されます。

また、背面すべてに小さなツブ状の突起があり、その間に短い毛がちらほらと生えており、体色はほぼ全身が赤褐色。尻尾側は黄褐色となっています。 セミエビの仲間としてウチワエビやゾウリエビがいますが、それらに比べると体に厚みがあり、体の縁にギザギザがないのが特徴です。

ウチワエビ

ウチワエビは「団扇」に似ていることから名づけられたセミエビの仲間、千葉県から九州、日本海西部から沖縄など、基本的に西日本側に生息し、セミエビ同様非常に美味しく、高級なエビの一種です。

その味はかのシーボルトがオランダに持ち帰ったほどと言われ、焼き海老やお刺身など、どんな食べ方をしても美味しいエビです。 セミエビというよりはゾウリエビのほうと姿がよく似ており、間違えやすい甲殻類の一種です。


ゾウリエビ

ゾウリエビはウチワエビとよく似たセミエビの仲間、こちらは千葉県から九州、奄美大島から沖縄、台湾などに分布し、頭部が名の通り草履のようになっているのが特徴です。

イセエビやサザエを狙う刺し網で稀にかかる場合があり、数の少なさから知る人ぞ知る高級食材と言われています。

やや小ぶりですが、味噌汁や茹で海老にすると絶品で、他の食べ方として刺身や焼き海老もおススメです。

ウチワエビと取り違えやすいですが、頭から胸にかけての縁部分がギザギザになっており、また、生きているときのゾウリエビは暗褐色でウチワエビは明るい赤、という違いもあり、色と縁を見れば簡単に見分けることができます。

セミエビ/釣り情報

セミエビ釣りの仕方はイセエビとほぼ同じで、浅い海域に生息していることが多いため、沖釣りより防波堤やテトラポッドの隙間に仕掛けを落とす「穴釣り」が効果的です。

直接釣り上げる以外にも、網を張って獲物を入り込ませる「刺し網」で狙うという方法もあり、イセエビやサザエを獲る「ついで」に釣り上げてしまう、という方法もあります。

それでもかかることは少なく、市場に流通するほどの量は獲れないため、最初からセミエビを狙うのではなく、かかったらラッキー程度に考えるようにしましょう。

セミエビ/味・選び方

セミエビはそのユニークな体の中にぎっしりと身が詰まっており、茹で料理にしても余り色が変わらないのが特徴です。その味は甘味があって非常に美味しく、高級食材として有名なイセエビにも引けを取りません。

繊維質の身は熱を通すと締まる性質があり、みそにも濃厚な味が詰まっています。 選ぶ時のポイントは生きているものか、できれば新鮮なものを、持った時にずっしりと重みを感じ、体表が黒ずんでいないものを選ぶようにしましょう。

漁獲数の少なさ故に謎が多く、旬は不明で、いつ頃が一番味が濃厚なのかはまだわかっていません。

セミエビ/栄養・寄生虫

セミエビは美味しいのみでなく栄養価も高く、その身はタンパク質が豊富でありながら低カロリー。コレステロール値も低く、ダイエット中の方にもうれしい、美味しくヘルシーな食材となっています。

セミエビに限らずエビには「アスタキサンチン」という成分が豊富に含まれており、このアスタキサンチンは活性酸素を抑制し除去してくれる作用があり、生活習慣病の予防や、老化の防止といった様々な効果をもたらしてくれます。

魚類に比べるとアミノ酸はやや控えめですが、それにも引けを取らない豊富なタンパク質と、疲労回復に効果のあるアスパラギン酸やロイシン等が含まれており、疲労や筋肉痛、体力を高めたい時などに効果的です。

特に釣りは見た目よりハードで、体力も使うことが多いため、セミエビを食べ、しっかり体力をつけましょう!

エビの寄生虫って聞かないのはナンデ?


生で食べても美味しいエビですが、エビに寄生虫がいたって話はあまり聞きませんよね。実はエビには生魚にはお馴染みのアニサキスなどをはじめとする寄生虫が寄生しないのです。

アニサキスは主に魚類やクジラやイルカを始めとする海棲ほ乳類に寄生するため、エビのような甲殻類や、貝類には寄生しないのです。

中には寄生している場合もありますが、アニサキスのように食中毒を起こすようなものではないので、安心して食べても大丈夫ですよ。

ただ、エビは傷むのが早く、表面に細菌が繁殖しやすいので、できるだけ新鮮なものを選び、生の食べ方をする場合は早めに食べるようにしましょう。

セミエビ/料理・調理方法

セミエビの食べ方は色々ありますが、食べるときは身のみでなく「みそ」も味わうことをおススメします。生きたものをさばいてお刺身にし、氷水で締めたものをを食べるのもよし。

ぶつ切りにして味噌汁にし、2種のみそがまじりあった濃厚な味を楽しむもよし。15~20分ほど塩ゆでし、火を通し切り締まった身を食するのもよしと、どう料理しても絶品となっています。

食べ方や人によってはイセエビより美味しいと思える場合もあり、めったに食べられないものなので、濃厚な味付けにするよりさっぱり目の味付けにし、セミエビの味を楽しめるような調理法にするとよいでしょう。

セミエビ/価格

「高級エビ」と聞いて気になるのがその価格、時にイセエビより高級といわれるセミエビはMサイズのものでも軽く3000円以上はする場合があり、新鮮なものなら8000円以上、大型となると1~2万円以上と、なかなか手が出せない価格となっています。

いっぽう飼育用のセミエビは食用のものと比べると価格が安めで、2000円ほどで購入ができるようになっています。

あくまで飼育用のため、大きさは10センチほどで、食用には余り向いていません。 手軽に食べられるものではありませんが、価格を見て尚「それでも食べたい」という方は、在庫がなくなる前に迷わず購入するようにしましょう。

セミエビ/まとめ

「海のセミ」と言うようなユニークな姿をしたセミエビ、高級食材でなかなか食べられるものではありませんが、時にイセエビより美味といわれる味は一度は味わってみたいもの。 刺し網で「セミのような変な形のエビ」がかかっていたらラッキー、その日はちょっと豪華な夕食となるでしょう。