ブラックバスが食べると美味しいワケ
ブラックバスの正式名は「オオクチバス」と言い、そのオオクチバスはスズキ目サンフィッシュ科に属しています。食べると案外美味しいのも、スズキの仲間だからと思うと納得ですね。 釣りの対象としては有名だけど、食材としてブラックバスの名を聞かないのはその嫌われ者っぷりもですが、寄生虫や臭いなどが関係しており、生食や十分な加熱を行わず食べると食あたりを起こす危険性があり、ムニエルや塩焼きなどの加熱調理を行った食べ方が推奨されているからです。 日本ではあまり馴染みのない食材ですが、アメリカでは水産資源として、塩焼きなどにされ一般的に食されており、見た目と名前で敬遠しがちですが、食べ方によっては「美味しい」とさえ言える魚なのです。
日本だとあまり見ないワケ
日本で「ブラックバス料理」というのを余り耳にしないのは、ブラックバスの評判がお世辞にもよくないことに由来します。どうしても「生態系を荒らす外来種」という印象が強すぎ、料理し食べてみたいという人が少ないというのもあるでしょう。ブラックバスはアユやイワナを始めとする「淡水魚」で、濁った水に生息していることが多いため、通常の魚より臭いがきつく、下処理が面倒というのもあります。 美味しいのだけれど、物好きが食べる魚というイメージが抜けない、といった感じですね。
ブラックバスの下処理、臭みを抜けば案外美味しい
よく臭いといわれるブラックバスですが、きちんと下処理を丁寧に行えば美味しい魚に早変わり。元がスズキの仲間なので、身は意外にもあっさりした味わいで、レシピや捌き方次第でいくらでも美味しく食べることができます。 といっても、中には濃い目の味付けにしても臭いが気になるという方や、ブラックバスを食べているという事を我慢する耐え方が必要など、食材としてのブラックバスは賛否両論といったところです。
生臭いというのは嘘?正しい下処理の仕方
ブラックバスには淡水魚特有の臭いがあり、これを取り除かなければ、丁寧な下処理を行っても耐え方が必要だったり、どうしても気になってしまう場合があります。その臭いは腹部にある浮き袋の付け根にある脂肪から発せられるもので、皮を剥ぎ取り、脂肪を取り除けば独特の臭いも殆ど気にならなくなります。さらに、ブラックバスは濁った水に生息していることが多いため、捌く前に綺麗な水に入れ、泥を吐かせればさらに臭いを軽減することができます。
ブラックバスの捌き方、ポイントなども紹介
ブラックバスの捌き方は基本的にほかの魚と一緒、まずはウロコをウロコ落としなどでしっかり落としてから、きれいな水で全体を洗っていきます。下処理の前に水につけておくと、臭いの元となる泥を吐かせられるのみでなく、ウロコや皮を剝がしやすくなるのでおススメです。 次に頭を切り落としていきますが、いきなり叩き切るのではなく、胸ビレの後ろに包丁を突き立て骨を断ち切り、お腹側のほうにも包丁を同じ要領で刺し込みましょう。これを行うことで頭がスムーズに外せるようになり、下処理がぐんと楽になります。頭を外す際はねじるようにし、内臓を傷つけないよう気を付けましょう。
頭を外した後は、お馴染みの3枚おろしにしていきます。まずは片側の背から包丁を入れ、中骨まで切れ込みを入れた後、お腹側にも同じ処理を行い、料理はさみで身を切り離していきます。逆側も同じように切り離したら、左右の身を骨から切り離し、3枚の切り身に分けてしまいましょう。これで大まかな捌き方は完了です。 腹部の浮き袋の付け根にある脂肪はウロコ落としの際にこすり落とし、皮も同じ要領で剥がしましょう。小振りなものは耐え方が必要なほど臭くない場合が多いですが、念のため剝がしておいたほうがよいでしょう。
ブラックバスを食べる、メタボに効果的な面も
意外かもしれませんが、ブラックバスはメタボに効果的で、体重やコレステロール値が気になる方にもおすすめの食材となっています。なぜメタボに効果的かといいますと、ほかの白身魚に比べブラックバスは高タンパク且つ低脂肪で、アミノ酸が豊富なのに加え、消化吸収も助けるタウリンも豊富に含まれており、入院患者向けにブラックバスが食材として使用されるほどなのです。 また、白身なため魚が苦手という方でもとても食べやすく、疲労回復や免疫力の向上も期待できると、外来種の駆除にダイエット効果と、2つの意味で「美味しい」魚です。中には釣りの対象としてのみでなく、食べるためブラックバスを狙う方もおり、食わず嫌いせず、白身魚が好きという方や、体重が気になるという方は食べてみてはいかがでしょうか?
寄生虫に注意、加熱調理がおススメ
ブラックバスは生食に適さない魚で、お刺身にして食あたりを起こした…というケースも少なくありません。白身魚の寄生虫といえば「アニサキス」が思い浮かびますが、ブラックバスに寄生しているのは「顎口虫(がっこうちゅう)」と呼ばれる寄生虫で、ブラックバスにもドジョウやナマズ、フナなどに寄生しており、淡水魚版アニサキスと言うような厄介者です。 顎口虫は皮膚の下に引っ搔いたような炎症を起こす作用があり、命に関わるものではありませんが、アニサキスより処理が難しいため、ブラックバスは絶対に生で食べないようにしましょう。寄生虫の処理法としてよく知られているのが、お酢でしめたり、よく噛むといった耐え方ですが、残念ながら寄生虫はその程度では死んでくれません。淡水魚のお刺身にはかなりの確率で寄生虫が潜んでいるので、可能な限り食べないほうが賢明でしょう。
ブラックバス料理とレシピの数々
「ゲテモノ」のイメージが抜けないブラックバスですが、探してみると様々なレシピが存在し、白身魚でお馴染みのムニエルや塩焼きのほか、意外なところでは「ブラックバス丼」と丼ものにして食べられていたり、ハンバーガーにされていたり、なんてこともあります。どのレシピも意外なほど上品で、あっさりした味を楽しむことができ、濃い目に味付けされたものなら独特の臭みも気にならず、より美味しく食べることができます。 旬は1~2月頃とされ、特に水質のいい場所で採れたものは絶品です。
初めて食べる方にもオススメなブラックバス料理
ブラックバスの数ある食べ方で、特にお勧めするのは、最も魚の味がわかる「塩焼き」です。川魚の定番の食べ方ですが、そのままだと臭みがあるので、下処理の項で紹介した処理を行ってから塩焼きにしましょう。シンプルに塩だけで味付けするのもですが、バター焼きにするのもおススメです。 ブラックバスはあっさりした魚なので、塩焼きにするときはいつもより塩をちょっと多めにし、気持ち濃い目に味付けするようにしましょう。
琵琶湖と食べるブラックバス
ブラックバスとなにかと縁があるのが、滋賀県にある日本最大の湖「琵琶湖」です。琵琶湖周辺はブラックバスの駆除に熱心で、滋賀県名物の「鮒ずし」に似せる形でブラックバスのなれずしを作り「ビワスズキ」という名義で試験的に販売したり、琵琶湖周辺やブラックバス釣りの名所で知られる芦ノ湖周辺では、フライをはじめとするブラックバス料理を取り扱うレストランも存在します。 全国で見てもブラックバスが食べられる場所は珍しく、琵琶湖はブラックバス料理の本場、と言えそうです。
絶品!ブラックバス丼
変わり種として、琵琶湖博物館内にある「にほのうみ」では丼としてブラックバスを頂くことが出来ます。「バス天丼」という名で普通にメニューとして取り扱われており、スズキやヒラメに近い上品な味わいで、思わずブラックバスを食べているということを忘れそうなほどの絶品。 「にほのうみ」ではこのブラックバス丼以外にも、ブラックバスの天ぷら盛り合わせ等を取り扱っており、中にはここで食べてブラックバスの美味しさに目覚めた、という方もいるほど。「ブラックバスを食べてみたい」という方は要チェック、という感じですね。 「にほのうみ」以外にも、ブラックバス丼は大津SAでも食べることができますよ。
食べるブラックバスに関するまとめ
「嫌われ者」で有名なブラックバスですが、下処理やレシピ次第では「食えないもない」どころか、高級魚にも負けない絶品となる可能性を秘めています。 この記事を読み、是非ブラックバスを食べてみたい!となった方は滋賀県に足を運んでみてはいかがでしょう?