そら豆とは
そら豆は塩ゆでなどで手軽に食べられる食品で、菓子類などに加工されて日本人に馴染みの深い食材です。しかし、その栄養価が高いということをあまり意識して食べられていないのではないでしょうか。 よく口にするけれど、意外と知らないそら豆の栄養と、おすすめの食べ方・調理方法を見ていきましょう。
科名・学名
そら豆はマメ科の植物で学名を「Vicia faba」といいます。fabaとはラテン語でそら豆のこと。 日本人は遺伝子の関係上起こりにくいですが、地中海やイタリアの男性にはそら豆中毒の症状がでる人も少なくありません。ソラマメ中毒のことを「ファビズム」または「ファービズム」と呼びます。
原産地・分布
そら豆の原産地はハッキリとわかっていませんが、地中海沿岸などの北アフリカの地域や南西アジアではないかという見方がされています。種類によって原産地が違うのではないかという説もあります。小粒種はカスピ海南岸、大粒種はアルジェリア周辺ともいわれています。 日本に渡ってきたのは奈良時代といわれていますが、その栽培が本格的になったのはそれからずっとあと明治時代からです。ヨーロッパやアメリカから渡ってきた品種改良が日本でのポピュラーなそら豆となっています。
名前の由来
そら豆は漢字で書くと「空豆」または「蚕豆」。空豆は若いさやが空を向いて伸びることから、蚕豆は蚕が繭を作る季節に収穫できることからそれぞれ名前がつけられたといわれています。
食べごろ・旬
そら豆といえば、ビールのおつまみという人もいるでしょう。そら豆の食べごろの季節は夏です。そら豆は秋植えと春植えの2種類あって春先に出回るのは秋植えの品種です。 春先から夏の終わりごろまでがそら豆の旬ですが、その中でもやはり夏がそら豆の美味しい季節といえるでしょう。
そら豆の栄養と効能
そら豆の栄養と効能①
そら豆に多く含まれる栄養の中に「タンパク質」があります。豆類のタンパク質といえば大豆の大豆たんぱくが有名です。しかし、そら豆には大豆に負けないくらい「タンパク質」が豊富な植物なのです。 タンパク質といえば、ご存知のように人の筋肉や皮膚をつくる大切な栄養です。
そら豆の栄養と効能②
そら豆にはビタミンB群も含まれています。ビタミンBは人の代謝には重要な栄養素。代謝がよくなると疲労物質が蓄積しにくくなるので疲労回復の効果も期待できます。ビタミンBの中でも特にナイアシンは血行をよくしてくれる栄養素です。冷え性が気になる女性は特にそら豆を意識して食べるといやな手足の冷えが改善されるでしょう。
そら豆の栄養と効能③
そら豆は特に妊婦さんにおすすめしたい食品です。妊婦に必要な栄養素に「鉄分」「タンパク質」「食物繊維」があります。そら豆にはこの3つの栄養素が全て含まれています。この他水溶性ビタミンB群のひとつである「葉酸」も多く含まれています。 1日100g食べれば1日に必要な葉酸の25%ほどを摂取できます。妊娠中には食べ過ぎを防いで栄養素はしっかり取りたい時でしょう。そんな妊婦さんとおなかの赤ちゃんの健康のためにおすすめの栄養価の高い食品といえます。
そら豆のおすすめの食べ方
そら豆には豊富な栄養素が含まれています。その栄養価をできるだけ失うことなく調理することで、もっと健康的に美味しくそら豆をいただくことができます。ここでは、そら豆の栄養価を活かしたおすすめの食べ方をご紹介します。 サラダなどに使う場合もぜひ皮ごとで塩ゆでしたものを使ってみてください。
そら豆ごはん
豆ご飯は子供も大人も大好きな人気メニューです。白米の甘みとそら豆の甘みで食欲も進みます。そら豆だけでも良いですが、にんじんやコーンなどを加えると彩りも良く栄養価もプラスされておすすめです。
材料 (4~5人前) 米3合 そら豆(外皮を剥いたもの)150g 昆布(10㎝×10cm)1枚 酒大さじ3 塩小さじ1 作り方 1.さやから剥いたそら豆を2~3分塩ゆでし、ザルに上げる。熱が取れたら薄皮も剥く。 2.米をとぎ、いつもの水加減にし、酒、塩を加え、昆布をのせて、炊飯器で炊く。 3.炊き上がったら、昆布を取り出し、そら豆をのせて蒸らせば出来上がり。
そら豆のサラダ
そら豆をたっぷり食べるならそら豆のサラダがおすすめです。カロリーや糖質が気になる人にもそら豆のサラダならヘルシーにビタミンや植物性タンパク質がいっぺんに摂取できます。
そら豆サラダレシピ
材料 そら豆・いんげん・玉ねぎ:お好きな量 お好みのドレッシング:適量 ベーコンやソーセージなど:適量 作り方 1.そら豆やいんげんは塩ゆでしておきます。 2.玉ねぎは大きめのみじん切りにして辛味を取るために30分ほど水にさらしてから、水気を絞ります。 3.ベーコンやソーセージを食べやすい大きさに切り、オリーブオイルで炒め皿に取り出して粗熱をとっておきます。 4.1から3をボウルに入れ、お好みのドレッシングで和えてお皿に盛り付けたらできあがりです。
そら豆の皮ごとレシピ
そら豆の栄養価を余さず取り入れたいなら、その皮にも注目しましょう。スーパーで買うならさやを外して豆だけでパック詰めされたものよりも皮ごとで売られているものの方が、栄養価が失われにくくておすすめです。
焼く・茹でる
そら豆を皮ごと焼いたり塩ゆでしたりする調理方法もあります。もちろん、豆は皮に守られているので栄養価が逃げにくく、豆は皮の中で蒸された状態でふっくらとして甘みが強く仕上がります。 そら豆の栄養をたっぷり取り入れたいなら、ぜひ皮ごとのそら豆を茹でたり焼いたりという調理方法を試してみてください。
皮ごと焼く
そら豆は皮ごと焼くと、豆が皮の中で蒸された状態で加熱され歯ごたえがあるのにほっくりした食感に仕上がります。焼きそら豆は茹でたそら豆とはまた違った味わいがあり、日本酒やビールのおつまみにもおすすめです。
焼き方①
皮ごとのそら豆は、できるだけ新鮮なものを選んで、よく洗って準備しておきます。
焼き方②
オーブントースターにアルミホイルをシワにしたものを敷き、その上に皮付きのそら豆を重ならないように並べます。 軽く塩を振り、オーブンで片面8分ほど焼きます。そのまま食卓に運ぶなら焦げすぎないよう上にもアルミホイルを乗せて焦げ目を調整するとよいでしょう。
焼き方③
そら豆をひっくり返しもう片面にも塩を振ってさらに8分焼きます。周りは焦げてしまいますが、中のそら豆は焦げずに美味しく焼きあがります。 見た目も楽しい焼きそら豆は、皮つきが出回る時期でなければ味わうことができない、ちょっとおしゃれな食べ方です。ぜひお試しください。
皮ごと茹でる
焼きそら豆だけでなく、茹でそらまめも皮ごとで茹でることで味が違って感じます。皮から外されていないため新鮮で美味しいということも、その理由のひとつです。もちろん、栄養もしっかり皮で保護されて逃げにくくなっているのでおすすめの調理方法です。
茹で方①
皮ごとのそら豆が十分浸る量の熱湯を沸かして、塩とニオイ取りのためにお酒少々を加えます。お酒は入れすぎると今度はお酒の香りが気になってしまうので入れ過ぎには注意です。
茹で方②
お湯が沸騰したら、洗った皮つきのそら豆を入れて2分茹でます。皮ごと茹でる場合はここでザルにあげずにそのまま5分ほど放置して予熱で中まで加熱します。
茹で方③
そら豆の中まで火が通ったら、さやから外してサラダや和え物、そのまま塩を振って食卓へ。温かいままのホクホクをいただいても美味しいですし、旬にの季節には美味しくて栄養たっぷりのそら豆を皮ごと茹でて冷凍保存しておくことで、色々な料理に使えます。
まとめ
そら豆は栄養たっぷりで、とくに妊娠中の女性が取り入れたい栄養素が多く含まれている食材です。調理方法やレシピによってもその栄養価を逃さずいただくことができます。 皮ごと焼いたり茹でたりすることで、栄養を逃さず豆だけで調理するのとはちがった食感に仕上がり美味しくいただけます。 そら豆を食べるなら、さやつきの新鮮なものを買うことをおすすめします。皮ごと調理の良さを、ぜひ堪能してください。