検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

鬼キャンとは?タイヤが八の字の意味や気になる車検事情などをご紹介!

鬼キャンとは何か、そのキャンバーの構造やメリット・デメリットを紹介します。自動車を所有するには避けて通れない車検をパスする、そんなことが改造車である鬼キャンバー自動車ではたして可能なのでしょうか。鬼キャンにするやり方も紹介していきます。
2020年8月27日
tryyua
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

鬼キャンとは?

鬼キャンとは、自動車のキャンバ-角をかなりネガティブ方向(八の字)に与えて斜めにしたものです、極端なことを鬼という言葉の意味としていて、「極端にネガティブキャンバーを付けた自動車」と説明したほうが分かりやすいですが、略して鬼キャンというふうに呼ばれるようになりました。 タイヤは八の字をむいています。この八の字のように、性能を完全に無視したドレスアップのためだけに施されるのがこの鬼キャンです。ちなみに、鬼キャンは八の字のネガティブ方向ですが、ポジティブ方向にキャンバーを付ける改造もあります(当然こちらも性能を無視した改造です)。現物を見るとすぐわかるのですが、鬼キャンにしている自動車は地面との距離が近く、お腹を地面に擦っていることが多いです。

そもそもキャンバーとは?

キャンバーについての理解を深めると、鬼キャンについても詳しくなることができます。ここではキャンバー、そしてポジティブ方向とネガティブ方向のキャンバーについて説明します。八の字斜めの不思議なフォームをした自動車(人によってはダサいと感じる人もいるかもしれません)の構造を知りましょう。

キャンバー

キャンバーとは、自動車を正面から見たときのタイヤの傾いている角度のことです。自動車のアライメント調整で、トーイン・トーアウト、キャスター角、そしてキングピン角と並んで調整されるのがこのキャンバーになります。自動車整備において重要な仕組みのひとつとなります。

ポジティブキャンバー

自動車の正面からタイヤを見たときに、タイヤがVの字になるようなキャンバー角の付け方をポジティブキャンバーといいます。ポジティブキャンバーを付けるようになった理由は何なのでしょうか、それはステアリング・システムの歴史に関係しているのです。

パワーステアリングが付いていなかった時代のFR車(FRとはフロントドライブ、リア駆動のこと)の旋回時のステアリング操作の負担を軽減するためにポジティブキャンバーをつける、というのがポジティブキャンバー角を付けた理由でした。そのため、パワーステアリング機構が取り付けられてステアリングを簡単に操作できるようになった今日では、基本的にポジティブキャンバーを付ける必要が無くなっています。

ネガティブキャンバー

ネガティブキャンバーはポジティブキャンバーの逆、つまり自動車正面からみてVの字ではなくハの字になるようにキャンバー角を付けたものを指します。ネガティブキャンバー角にする理由は、本来はコーナーリングの性能を高めるためでした。コーナーリング、つまり自動車が曲がるとき、基本的に遠心力が働いて車は傾きます。ロールと同時にタイヤが地面に食いついて曲がる役割をするのですが、キャンバーを付けていない状態だとタイヤの外側だけが地面に接してしまい、内側のタイヤを活かすことができません。タイヤをバランス良く使って旋回スピードを高めるためにキャンバーを付けるようになりました。

鬼キャンのキャンバー角でのメリット


鬼キャンのメリットとは何でしょうか。自動車の性能を向上させるという面では、鬼キャンでタイヤを斜めにするメリットは皆無です。しかし、デメリットばかり話してもしょうがないのでここではメリットを捻出します。

メリットその1:ドレスアップできる

鬼キャンにするメリットは、タイヤの角度が尋常でないのでそれに合わせて個性的なドレスアップを行うことができることです。すでに鬼キャンで個性全開しているので、そこにステッカーやカスタムパーツを付ければより独特な自動車を製作することが可能となります。

鬼キャンのキャンバー角でのメリット:目立つ

鬼キャンのメリットとして挙げられるのは目立つことができるということです。本来、地面に対して垂直になる仕組みのものが斜めの方向に向いていたら、目立つに決まっています。カスタム車のミーティングなどであれば特に目立たないかもしれませんが、一般道では必ず視線を浴びるはずです。人とは違ったことをしたい人や目立ちたい人などは鬼キャンにしてタイヤを斜めにしながら走っていると良いかもしれません。

鬼キャンのキャンバー角で発生するデメリット

鬼キャンにした場合のデメリットをいくつか紹介します。本来の仕組みに逆らっているわけですから、メリットよりもデメリットの方が明らかに多いと感じられると思います。事故の心配などは無いのでしょうか。以下の説明をご覧ください。

鬼キャンデメリットその1:キャンバー角増加で走行性能の悪化

鬼キャンのデメリットとして、まず走行性能は確実に悪化します。理由は、自動車のアライメントが狂ってしまうからです。冷静に考えてタイヤの仕組みを無視しています。自動車は、八の字斜めで走るような仕組みではありません。「まっすぐ走りにくくなる」、「ハンドルを取られやすくなる」と影響が懸念されます。その分、事故の可能性が高まると思われます。

鬼キャンデメリットその2:タイヤが編摩耗する

さらにデメリットは続きます。鬼キャンにすると明らかにタイヤが編摩耗します。本来であれば、車はトレッド部分全体が地面に接するはずですが、鬼キャンにするとタイヤの本来接すべき部分が接しないようになり、タイヤの減り方に偏りが出てしまいます。そうなるとタイヤの寿命も縮まります。 寿命が早まればタイヤを本来より早く交換する必要が出てきますが、タイヤ代が多くかかってしまいます。はっきり言って財布にもタイヤにも経済的ではありません。デメリット尽くしです。自動車の足回りの仕組みに逆らっています。タイヤ代が高いからと言って交換しないまま走っていれば、グリップを失ってスピン、重大事故につながる可能性は十分考えられます。

鬼キャンデメリットその3:乗り心地が悪くなる


運転手だけでなく同乗者にも迷惑なデメリット、鬼キャンの自動車の乗り心地は圧倒的に悪くなります。本来であれば、サスペンションがギャップなどの路面で機能を発揮することで荒れた路面でも乗り心地を比較的保ってくれますが、鬼キャンをつけてしまうと本来の性能を発揮できなくなり(過剰にキャンバー角をつけて走る設計などされていないから)、乗り心地は悪化します。乗り心地の悪化で集中力が欠けたりすれば事故の可能性もその分高くなります。

鬼キャンのやり方

鬼キャンにするカスタムのやり方ですが、鬼キャンにしたい車両のサスペンション形式によって異なります。サスペンションに合ったやり方でカスタムすれば、その分事故の可能性は低くなります。ダブルウィッシュボーンのサスペンションとマクファーソン・ストラット式の2通りの方法を説明します。

ダブルウィッシュボーン式

ダブルウィッシュボーン式サスペンションが導入されている車両の場合、アッパーアームの角度を変更することで鬼キャンにすることができます。また、ロワアームとスペーサーの組み合わせ次第ではローダウンとキャンバー角増加、同時にすることが可能になります。ですが、車高も下げて鬼キャンにするとショックアブソーバーとタイヤが接触して重大事故や火災につながる危険(ショックアブソーバーにはオイルが入っているので)があります。もしやるのであれば、専門の整備士に依頼をすることをおすすめします。

マクファーソン・ストラット式

マクファーソン・ストラット式サスペンションの場合、ショックアブソーバーの長さを調節して鬼キャンを付ける仕組みもあるそうです。

鬼キャンで車検は通るのか

タイヤが斜めを向いている不思議な鬼キャン自動車、はたして車検は通るのでしょうか。ここで大事なのは、鬼キャンだから車検に通らないではなく、鬼キャンカスタムで車検基準を満たすことができるのかどうかという点です。ここでは車検とタイヤ関連のカスタムを関連づけて説明します。

車検で引っかかるタイヤ

車検で引っかかるタイヤというのはどういう状況なのでしょうか。タイヤの溝が一定より少ないと車検に通らないということもありますが、タイヤの取り付け状態という側面では、フェンダーからタイヤがはみ出している(車体からはみ出している)場合車検に通りません。このような状態、保安基準を満たしていない状態のことをハミタイといいます。ちなみに、ハミタイをしてしまうとめでたく不正改造車の仲間入りです、法律で罰せられます。

自動車の回転部分が車体からはみ出していけないという記載がタイヤ関連法令で定められています。確かに、回転部分、タイヤの回転部分が車体からはみ出しいたら、歩行者や他の自動車と接触する可能性が高くなります。

車枠及び車体 第 18条 自動車の車枠及び車体は、次の基準に適合するものでなければならない。 (2)車体の外形その他自動車の形状は、鋭い突起がないこと、回転部分が突出 してないこと等他の交通の安全を妨げるおそれがないものとして、告示で 定める基準に適合するものであること。ただし、大型特殊自動車及び小型 特殊自動車にあっては、この限りでない。

タイヤ関連法令(抜粋)

「突出」の定義


上記で回転部分が車体から飛び出していると基準に引っかかると説明しましたが、「突出」という言葉には定義があります。この定義を満たしていれば、鬼キャンのようにタイヤが斜めになっている車両でも車検に通ることが可能なのです。

自分の車のタイヤが保安基準に沿っているかどうかの確認方法を紹介します。これを行うにあたって、ステアリングはまっすぐの状態で行うようにしましょう。ステアリングをまっすぐの状態にしたら、次にタイヤがはみ出しているかどうかを確認します。この確認方法ですが、地面と垂直方向の車軸を基準に、前方方向30度と後方方向50度の間のタイヤ部分が車体からはみ出しているかいないか、これを確認します。つまり、この基準を満たしていれば、例え鬼キャンでも車検をパスすることは可能だということです。

ツライチというタイヤのカスタム方法

ツライチというカスタム方法を紹介します。ツライチとは、フェンダーの外側部分とタイヤの外側部分を揃えることをいいます。このカスタムのやり方であればタイヤが車体からはみ出さないので保安基準に適合し、車検も通ります。しかし、きわどいところを攻めるとツライチでも認められない場合がありますので、検査官の目に留まらない程度に行うやり方をおすすめします。

鬼キャンのような八の字斜めで明らかに車検に引っかかるだろうと思われる自動車が車検をパスできたり、ツライチではみ出しギリギリを攻めた結果はみ出していなくても引っかかったりなど、これらのカスタムは非常に難しい境遇に置かれているという印象を受けます。保安基準という側面から見れば、どんな改造をしていても定められたことを満たしていてかつ違反していなければ良いわけです。メリットがある、デメリットがあるということはドライバー・同乗者が気にするかしないかの話になりますので。事故には注意して運転する必要があるとは思いますが。

鬼キャンの外国での評判

この鬼キャンという文化は残念ながら日本が発祥です。このような自動車の仕組みに逆らったカスタムを外国の人々はどのように思っているのでしょうか。以下のリンクから感想をご覧いただけます。

海外の鬼キャンカスタムの反応

まとめ

デメリット豊富な鬼キャン、事故の可能性は一般的な自動車と比べて確実に高くなるとは思いますが、自分の理想のカスタムに従うこだわりのようなものはとても大切です。間違った整備のやり方などが原因で事故を起こさず安全に楽しむように心がけ、実際に事故を起こさないのであればどんどん広めていっても良いのではないでしょうか。正しい整備のやり方をするように心がけ、鬼キャンライフを楽しみましょう。