チューベローズについて
チューベローズはリュウゼツラン亜科 ゲッカコウ属に属する植物です。白くてとてもよい香りのする花を咲かせます。ハワイではレイを作るのにこのチューベローズを使うためにたくさんの花が栽培されています。 日本語の花名は「月下香」で、特に夜間に強く香りを発することからこの和名がつけられたといわれています。
名前の由来
チューベローズという花の名前は英語で書くと「tuberose」となります。英語読みではチューベローズですが、元々はラテン語の「チューベロサ」という言葉が花名の由来となっています。「ふくらんだ、塊根状の」という意味を持っていて、これはチューベローズが球根で増える植物であることを意味しています。
チューベローズの花
実はチューベローズの花は原産地がハッキリとしていません。南米メキシコあたりといわれていますが、野生に自生するチューベローズの花が発見されていないせいで、どこが原産地か確定することができないのです。
花と季節
チューベローズの花は白が多いですが、中にはピンクがかったり黄色のチューベローズの品種もあります。チューベローズの開花時期は7月から9月ころ。夏に咲く花です。
チューベローズの花言葉「危険な快楽」
花言葉
チューベローズの花言葉は「危険な快楽」といいます。とてもセクシーな花言葉の意味を持つ花です。この他にもチューベローズの花言葉は存在しますが危険な○○とつくものばかりです。 「危険な関係」「危険な楽しみ」「危険な戯れ」がそれです。
花言葉の意味・由来
チューベローズの花言葉に「危険な」という冠が付くのは、この花が特に夜になると甘いエキゾチックな香りを漂わせることに由来しているといわれています。 夜になると甘い香り放ち、男性を誘惑する美しい女性のようなイメージがチューベローズにはあるからです。
催淫作用
チューベローズの花の香りから受けるイメージの他、アロマなどの精油には「催淫(さいいん)作用」というものがあるものがあります。これは香りを嗅いだ人にセクシーな気持ちを起こさせる作用があるといわれています。この催淫作用がチューベローズはとても強くあらわれ、フランスでは母親は娘に対して「夕方になったチューベローズの畑には近づいてはいけない」としつけるそうです。
チューベローズの誕生花/6月16日
チューベローズの誕生花は6月16日と9月2日になっています。チューベローズはセクシーな花言葉の意味を持っているので直接花を誰かれかまわず贈ることはできませんが、チューベローズの花を使った香水などを、代わりにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
チューベローズの栽培・育て方
チューベローズの花言葉や基本的な情報をみたところで、栽培や育て方をご紹介します。自宅にチューベローズの花があったら、とても良い香りで包まれそうです。
栽培難易度
チューベローズの栽培難易度は普通です。しかし、南米など赤道に近い温かい地方に咲く花なので開花後の気温が低いため毎年綺麗に花を咲かせるのには工夫が必要です。その点では難易度は「普通の上」といえるでしょう。
植え付け・植え替え
チューベローズは球根から育てる花です。鉢植えの他地植えすることもできます。球根の植え付け時期は4月中旬ころからおこないます。湿り気が多い土が好きで乾燥を苦手とする植物です。 土は水はけがよく肥料をまぜた土を用意します。 鉢植えなら赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを用意します。地植えの場合も腐葉土や堆肥を土に混ぜ込んでから球根の植え付けをしていくとよいでしょう。
植え付けの間隔
鉢植えや露地植えでいくつかチューベローズを植え付ける場合、球根と球根の間は15cmくらいあけて植えましょう。鉢植えの場合は6号鉢に球根3珠が目安です。露地植えよりも浅めに植え付けるのがポイントです。
水やり
チューベローズは湿気った土が大好きなので、土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。乾燥しすぎるととたんに元気がなくなってしまいますので、特に夏場など水の蒸発で乾燥が気になる季節には、朝と夕方の2回水やりをするくらいでちょうどよいでしょう。
肥料
越えた土が好きなチューベローズには植え付けて少したった6月頃に肥料を与えます。この肥料で大きく綺麗な花を咲かせてくれます。球根を増やして来年も楽しみたい場合は、花が終わった9月頃にももう一度肥料をあげましょう。この肥料が球根を大きく育ててくれます。 植え付けの時は化成肥料と油かすを1:2の割合で土に混ぜ込んでおきます。
球根・分球
チューベローズはその名前の由来ともなった球根で増える植物です。花が咲いた後の9月頃、追肥をすることで球根が大きく育ち分球します。しかし、分球した球根はまだ花が咲くほどの大きな球根ではなく、翌年に花を咲かせることはできません。
分球した球根を咲かせるには
分球した球根は育ちきっておらず翌年花をつけるほどの力が球根にありません。もし、分球した球根にも翌年花をつけたいのであれば簡易的でもよいので寒くなってからも温室で育てることが効果的です。日本では分球した後の気温が低くて球根の育成が十分にできないことが開花しない(球根が育たない)ことの原因となるからです。
害虫
チューベローズで心配される害虫は「アブラムシ」です。気温が上がる春先ころからアブラムシが発生しはじめます。見つけたらアブラムシ駆除の農薬を散布するとよいでしょう。
支柱
チューベローズは背が高くなる植物です。鉢植えに限らず自分の頭の重さで根元から倒れてしまうこともあります。それを防ぐためにも露地植えでも根元に盛り土をしてあげたり、支柱を立ててあげたほうがよいでしょう。
その他の注意
チューベローズがよく育つ気温は15度以上です。春先でもそれ以下になる地域では、室内の日当たりのよい場所で栽培するなどの工夫が必要となります。露地植えにしている球根は、霜にあたると枯れてしまいます。球根を堀上げずに来年もそのまま育てようとするなら霜が降りないような場所、または地域でのみ可能です。寒くなる地方ではいったん球根を掘り上げてしまったほうがよいでしょう。
チューベローズの香り
先にも申し上げたとおり、チューベローズの最大の特徴はその甘い香りにあります。チューベローズの日本語名にもある「夜来香(イエライシャン)」も香りの特徴から由来しています。香りが夜に来るというその名前とおり、夜に特に強く香る花です。
香水
チューベローズの花の良い香りはたびたび香水のトップノートとして使用されます。トップノートというのは香水をつけてすぐ感じる香りのことです。香水には、トップノート、ミドルノート、ラストノートと3種類の香りが時間差でにおい立つように調合されています。 その最初の香りトップノートは香水の印象を決める大事な香りともいえます。香っている時間は短いですが、香水をつけた人が一番強く感じることのできるトップノートは「香水をつけた本人のための香り」といえるでしょう。
まとめ
「危険な快楽」というとても大人っぽい花言葉を持った花チューベローズについてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。花として存在するのに自生している花が見つからないという存在自体もミステリアスな花でした。 とても良い香りがすることから、ハワイではお客様をお迎えするレイの花として利用されたり、高級ブランドの香水のトップノートにも使われたりと、育てて花を楽しむ以外にも活用されるために栽培されている花です。 日本では分球後の気温が低いため増やしても毎年花を咲かせるのは難しいですが、温室で育ててあげることでしつかりと球根が大きくなり花を増やしていくこともできるでしょう。簡易的な温室でもよいので、チューベローズの花を育てて増やし、毎年花を咲かせてみてはいかがでしょうか。