白い花と赤い実! 姫りんごの育て方をご紹介
小さくて愛らしい姫りんご
古代ローマ時代には、すでに30以上の種類が育てられていたとされるりんご。とっても歴史の古い果実でありながら、現代の食卓でもおなじみの存在です。なかでも果実が小さいタイプのりんごは「姫りんご(ヒメリンゴ)」と呼ばれます。家庭でもきちんとした育て方が確立しており、白い花と赤い実を楽しむことができ、観賞用としてはもちろん、盆栽としても人気があるんですよ。あなたも姫りんごを育ててみませんか? 育て方を解説します!
姫りんごとは?
「小さめのりんご」の総称
姫りんごとは、特定の品種名を指している言葉ではありません。りんごの中でも小さめな種類をまとめて、「姫りんご」と呼ぶことが多いようです。「クラブアップル」という名でも知られています。
「ターシャの庭」にも植えられていた!
ガーデニング好きの中で絶大な人気を集める、アメリカの絵本作家・ターシャ・テューダーの庭にも植えられていた姫りんご。ターシャの庭で咲き誇る姫りんごの姿は、彼女の庭をテレビや本、雑誌で見たことのある人なら、1度はあこがれたことがあるのではないでしょうか。
姫りんごの栽培難易度
姫りんごの育て方は中級者向けです。まったくの初心者さん向けというわけではありませんが、育て方さえ分れば臆することはありません。
育て方1.姫りんごの栽培スケジュール
収穫の時期
9月~11月に収穫可能。姫りんごの果実は2~3㎝ほどと小さく、熟すと赤くなります。品種によっては、もう少し大きい実になります。
栽培をはじめる時期
姫りんごは10月頃に苗が出回ります。11月~3月に植えつけましょう。植え替えもこのシーズンがおすすめ。
開花の時期
4~6月頃に3から4センチほどの花を咲かせます。つぼみの色は赤ですが、開くと真っ白になります。とても綺麗な花なので、観賞目的に植えるのもおすすめです。
剪定の時期
樹の形を整える剪定は、冬をメインに行うのがおすすめ。夏にも少し行ってあげると良いです。
育て方2.姫りんごの苗を選ぼう
苗の選び方
早く収穫を行いたいなら、ある程度大きい鉢にあらかじめ植っている「鉢植え苗」が育て方も比較的楽でおすすめです(ただし、姫りんごは酸味が強いので、そのまま食べるのには不向きです。食べたいのなら、砂糖を加えて加工してみましょう)。小さなポット苗を購入すると、収穫までに時間がかかる傾向にあります。ただし、小さくて若い苗は価格も控えめな傾向にあるので、リーズナブルに手に入れてじっくり育てたいなら、ポット苗でも充分でしょう。
良い苗を選ぶ方法
ズラリと並んでいる姫りんごの苗。育て方においてよい苗を手に入れるのも重要な事。良い物を手に入れるには、注目すべきポイントがあります。まずは、幹を見ましょう。幹ががっしりとしていて、傷やこぶの少ないものを選びます。「接ぎ木」という方法で育てられた苗の場合(別の植物を土台にしている苗のこと)、継ぎ目部分の目立たないものを買ってください。継ぎ目から菌が侵入し、病気にかかるのを防ぐためです。ちなみに、接ぎ木苗はしばらく育てていると、土台部分の樹が姫りんごを圧倒して大きくなってしまうことも。接ぎ木部分が大きくなってきてしまったら、その部分を切り落としましょう。きちんした育て方をすれば、接ぎ木苗でもとくに問題はありません。
育て方3.植え付け
苗を買ってきたら、植え付けよう
苗を買ってきたら、植えたい地面や鉢に植え付けましょう。ポットではなく鉢植えになっている苗を買ってきた場合、そのままでもかまいません。ただし、姫りんごの地上部分に対して鉢植えが小さすぎたり、鉢底の穴から根が飛び出ていたりしたら、ひとまわり大きい鉢か地面に植え替えるのが育て方のポイント。根詰まりを起こしている可能性があるからです。このままでは生育が悪くなります。
植え付けの方法
①鉢底石を1番下に入れる。鉢底石を敷くことで、鉢の穴から土や肥料成分が流れ出るのを防げる。水はけもよくなるため、鉢底石はできる限り欠かさずに入れたいところ。害虫の侵入を防ぎやすくなるというメリットも。 ②土を鉢の3分の1くらい入れる。 ③中心部分に苗を固定し、縁を埋めるように土を足していく。 ④最後にたっぷりと水やりをして、完成!
地植えするなら、場所選びを慎重に
庭の地面に直接植える「地植え」の育て方を取るなら、場所選びを慎重にしましょう。鉢植えでの育て方であれば、季節や天候に合わせて場所移動が可能ですが、いったん地植えしてしまうとそうはいかないからです。
姫りんごにおすすめの土は?
水はけ、水もちのよい肥沃な土であれば大丈夫です。赤玉土小粒と腐葉土を混ぜると良いでしょう。
育て方4.姫りんごと日当たり
栽培は日当たりの良い場所で!
姫りんごは、日当たりの良い場所を好みます。日当たりが悪いと、実がつきにくくなったり、実の色つやが悪くなることも。鉢をたまに回して、均等に日が当たるよう調整してあげるのが育て方のコツです。特に、成長のシーズンである春~初夏の日当たりは重要です。
夏の暑さに注意
姫りんごは夏の暑さが苦手。直射日光を浴びすぎると、葉焼けする場合もあります。特に夕方の西日には注意が必要です。真夏の育て方のポイントは、夕方になったら玄関に鉢を取り込んだり、半日陰に移動させたりして、涼しい環境を作ってあげると良いでしょう。ただし、完全な日陰に長時間放置すると、健康を害するので注意します。
姫りんごの好む環境
日当たりと風通しのよい、肥沃な場所を好む姫りんご。じめじめしがちな場所に植えると、夏に蒸れてしまいやすくなります。また、強風が吹きつけると実が落ちることも考えられるので、適度に風が通るところが姫リンゴの育て方においておすすめです。
育て方5.水やりと肥料
水切れは実がつかない原因に
姫リンゴの育て方の重要な点として、春~夏に水を切らしてしまうと、実のなりが悪くなります。地植えであれば雨水を吸い上げるので、根付いてしまった後の水やりは特別乾くときのみでかまいません。鉢植えでの育て方なら、朝夕の2回水切れしていないかチェックし、土の表面が乾いてきたら水やりをするのが育て方のコツです。冬は1日1度の水やりでかまいません。
花に水をかけない
花のシーズンの育て方のコツは、花に水をかけないよう株元からそっと与えること。姫りんごは受粉によって実をつけるので、花粉が流れてしまうと実付きも悪くなります。
姫りんごの肥料
春と秋に、緩効性肥料を置き肥として与えます。花リンゴの育て方のコツとしては化学肥料はできるだけ控えめにして、有機肥料を多めに施してあげること。油かすや骨粉がおすすめです。
育て方6.結実と受粉
ほかの種類と一緒に栽培する
姫りんごは1本だけで育てていると、実がつきません。実がつかない! と悩んでいる方は、別の種類のりんごを置いてあげると良いでしょう。自然受粉でもOKですが、確実に結実させたいなら、人の手で受粉を行う方法があります。
自家受粉をする「アルプス乙女」
育て方の中でも、難しく感じがちな受粉作業。そんなときは、「アルプス乙女」という品種を選べば、自家受粉するので初心者さんでも育て方も簡単です。これは偶然に発見された品種で、ふじと姫リンゴをかけあわせたものだと考えられています。実の大きさは5センチほど。姫リンゴの中でも食べやすいことから、食用にしたい場合の人気も高い品種です。
日照不足と乾燥も避ける
実がつかないのは、日当たりが悪い、極端に乾燥させてしまった、といった育て方が悪かったという要因も絡んでいるかもしれません。盆栽や鉢栽培の場合、水を切らしてしまうと葉っぱのふちが茶色っぽく枯れてきます。こうなったら水やりが少なかったということですので、もっとまめに水やりをするよう心がけましょう。また、お日さまが大好きな植物ですので、日当たりにも充分注意することが育て方のコツです。
育て方7.姫りんごの剪定
剪定の方法
盆栽だと特に、気になるのが剪定ですよね。美しく樹形を保つには欠かせない作業です。姫りんごは、休眠して葉を落としている冬と、7月から8月が剪定の適期です。不要な枝は間引き、伸びすぎている枝は分岐させたい場所まで切り詰めます。
摘果
姫りんごの育て方で忘れてはいけないのが摘果。実が自然に落ちるのを待っていると、樹が弱ります。できるだけ人の手で実を摘みとってあげましょう。年内のうちには終わらせておきます。
育て方8.姫りんごの植え替え
植え替えの頻度と時期
姫りんごの鉢で育てる場合は、2~3年に1度は植え替えをしてあげるのが育て方の重要なポイント。ひとまわり大きいところに移すことで、根が鉢の中でパンパンに詰まるのを防ぎます。時期は11月~3月ごろが良いでしょう。
植え替えの方法
植え付けたときと同じ手順で植え替えも行えば、問題ありません。鉢から姫りんごを抜き取り、ひとまわり大きい鉢底石を敷いた鉢へ移します。このとき、鉢は底に穴が空いているものを選んでください。穴が空いていないものは水はけが悪く、根腐れしやすくなってしまいます。穴のない鉢なら、鉢底石を多めに敷いたり、底上げネットを入れたりといった対策を取りましょう。バラ科の姫りんごは根の病気にかかりやすいので、殺菌剤に根をつけて消毒も行っておくと安心です。
姫りんごの花
姫りんごは、春先にこんなにかわいい花を咲かせます。ピンクに染まった蕾とのコントラストも美しいですね。
姫りんごの花は、たくさん咲く!
姫りんごの花は、上手い育て方をすればびっしりとたくさん咲くのが魅力。春の訪れを庭先で告げてくれます。葉の緑に花の白が負けておらず、非常に綺麗です。何かの記念樹として植えたり、お庭のシンボルツリーにしたりするのもおすすめ!
姫りんごをもっと楽しむ方法
実を飾る
瓶に実の付いた枝を飾れば、こんなにおしゃれなインテリアに!下に布を敷き、姫りんごの実を下に散らしても可愛いですね。
コンポートにして飾り付け
酸味の強い姫りんごも、コンポートにすれば食べやすくなります。画像のようにお菓子の上に飾れば、おしゃれなデコレーションとして楽しめますよ。アルプス乙女なら食べやすくおすすめ。
姫りんごの特徴をおさらい
実と花が楽しめる花
最後に、姫りんごの特徴をまとめておきましょう。姫りんごは、実と花の両方を観賞して楽しめる花です。花はびっしりと多く咲き、見ごたえがあります。
耐寒性がある!
姫りんごは耐寒性が強い植物。果樹の中でもっとも寒さに強い!と言われるほどです。育てられる植物が制限されがちな、寒い地域にお住まいの方でも育てられます。
暑さには弱い
反対に、夏の高温多湿な環境は苦手。日当たりのよい、風通しの良い場所に植え付けるのが基本ですが、暑すぎると感じる真夏は半日陰に移動させるのも育て方のコツです。ただし、日陰にずっと放置してはいけません。
生食には向かない
そのまま食べると酸味が強い姫りんご。残念ながら、生食には向きません。盆栽や観賞用として植えられることが多いようです。姫りんごを食べたいなら、甘い品種選びも重要。
姫りんごの育て方まとめ!
ピンクのつぼみと白い花、赤い果実が可愛い姫りんご。生食向きでないのは残念ですが、観賞用に1本植えてみるのはいかが? 花のあとは実がつき、1年を通して楽しめる樹ですよ! 日当たりのよい場所に植えれば、愛らしい姿で心を和ませてくれるはずです。剪定や植え替えなど、育て方が難しく感じるポイントもあるかもしれませんが、慣れてしまえば大丈夫。白い花と赤い実を楽しみましょう!