誰もが憧れる難易度の高い登山
登るにはとても危険で、命を落とす人も居るような難易度の高い山への挑戦は、アウトドアを愛する人もそうでない人も一度は夢見るものではないでしょうか。
登山家の登山の記録やドキュメンタリー映画などによると、危険をおかしても登った標高数千メートルの山の先頭には、言葉にできないような達成感や自然の雄大さが感じられると言います。そんな気持ち、味わってみたいですよね。
死亡者も居るほど危険で魅力的な山
危険で難易度の高い山は、それだけ人に踏み荒らされていない手つかずの自然であることが多く、それだけ魅力的なのですが、中には冬場の登頂が歴史上十数人しか達成されていないような超難易度の高い山も存在します。
また標高の高い場所にはバクテリアや生物が存在せず、そんな場所では遭難者の遺体が腐敗せずにそのまま残っているような恐ろしい場所も存在するのは確かです。
世界級の山が攻略されたのはほとんど1950年以降
難易度の高い山は昔からその存在が知られていましたが、神が宿る霊山と呼ばれていたり、人々から恐れられあがめられていた存在であり、中には登頂はおろか登山を禁じられていたような山もありました。
また登山は1900年前後から試みられていたものの、登頂が成功したのは1950年以降であるような山がほとんどです。それまで不可能であった登山を可能にしたものはなんだったのでしょうか。
ギアの改良と技術革新による可能性
登山の可能性を開いたものはやはり、近代のアウトドアウェアやギアが飛躍して良くなったという要素ではないでしょうか。今日の著名なアウトドアブランドは、老舗のものもありますが、主に1950年あたりを境にしてどんどん画期的なものを作り出してきました。
パタゴニア、ノースフェイス、ノローナ、グラミチなど、従来のギアに限界を感じた人々によって作り出されたブランドも多いのがアウトドア業界の特徴ともいえるでしょう。
登山の可能性は無限大
最近では宇宙に向けての取り組みや、深海を探索しようとする動きも活発になってきましたね。人によっては、数十年後に別の惑星での生活が可能になったり、宇宙旅行が劇的に安い金額で実現するだろうという意見を聞きます。
同じことが、登山にも言えるのではないでしょうか。苦労をして、中には命を賭して名山を登ったという方も居るでしょうが、もしかしたら近い将来、標高8000mの頂上にそのまま着くことができるロープウェイなどが実現するかもしれませんね。
日本と世界の難易度の高い登山ランキング
それでは、日本と世界の難易度の高い山をランキング形式にしてご紹介します。順番としては、最初に世界レベルの山を見てから、日本の山を見ていきたいと思います。
世界の名山と比較すると、やはり日本の山の方が人里に近いですし、危険度は低い印象を受けますが、それでも国内でも死亡事故が多く発生していることを考えると油断は禁物です。それでは見ていきましょう!
世界の難易度の高い登山ランキング【10位】
ヴィンソン・マシフ登山(南極)【標高4892m】
南極最高峰の標高を誇るこちらのヴィンソン・マシフ山。標高が4892mであることだけ見れば、登頂はそれほど難しいと思えないですが、こちらの山が世界の難易度の高い登山ランキング入りしたのは、その場所にあります。
南極点まで約1200㎞の場所に位置する極寒の山です。登頂を目指す登山家は、長年の登山の経験と十分な防寒の装備、そして雪や氷上でのパフォーマンスに慣れていることが必要でしょう。
世界で最も風の強い大陸と人里離れた山
技術的にも標高的にも難易度が高すぎるということはありませんが、大変なのはその環境でしょう。南極大陸は一年中雪と氷山で覆われていて、また7大陸中で最も強風が吹き付けることで知られています。
吹雪が起こる可能性も高いため、野外での食事がとれないことも多々あるのが現状です。そのため普通の登山よりもより重装備、そして強いメンタルが必要とされています。
世界の難易度の高い登山ランキング【9位】
ローガン山(カナダ)【標高5959m】
カナダの最高峰であり、北アメリカ大陸ではマッキンリーに続き2番目に高い山です。山のふもとは氷河に囲まれているため道路からローガン山を見ることはできず、飛行機でのアクセスが必要となります。5000m以上の頂上を9つ保有し、頂上付近の気温は冬季では氷点下45度にも及び、夏でも0度と厳しい寒さが待ち受けています。
プロが数週間から1か月以上かけて登る山
ハイキングコースなども徐々に整備されているようですが、それでも世界で最も難しいハイキングコースの1つとして数え上げられるほど、登山並みの体力を要することになりそうです。
カナダでトップクラスの山で世界各地から登頂を目指す登山家を集める山ですが、その寒さとアクセスの難しさゆえに、プロでも1か月ほどかけてじっくりと登る山だそう。
世界の難易度の高い登山ランキング【8位】
ジャヌー登山(ネパール)【標高7710m】
「恐怖の峰」の異名を持つネパールの絶壁と言えばジャヌー山。頂上は世界で第3位に標高高く、別名クンバカルナ山とも呼ばれ、インドの叙事詩「ラーマーヤナ」に登場する鬼神クンバカルナにちなんで名づけられるほど地元の人々からは恐れられています。
その入り組んだ複雑な構造から技術的にも登頂が難しく、特に北面のコースは最も登山が難しいコースの1つと言われています。
世界の有名登山家を魅了する難山
チベットとインドのシッキム州の境に存在し、この辺りは訪れる人も多くなく交通の便も悪いため昔ながらの生活様式が保たれている魅力的なエリアですが、そのぶん食料などの供給も難しいことが挙げられます。
またヒマラヤ山脈に属すため、医師の同行が必要となるため個人での参加というより遠征隊としての参加が正規のコースのようです。フランス中から精鋭登山家を集めた遠征隊が1959年に登頂を失敗し、1962年で悲願の登頂を達成したという経歴があります。
世界の難易度の高い登山ランキング【7位】
アイガー登山(スイス)【標高3970m】
アルプス山脈の一峰であり、国内外の様々な芸術的作品(主に小説や映画)の舞台ともなっている、スイスを代表する山といえばアイガー山。アイガーの北壁は1800mの岩壁で、過去には多数の死亡事故を出したため1932年にはアイガー山北壁のコースからの登山を禁止する決議が採択されたという経歴もあります(翌年に決議は緩和)。
1965年の日本人登山家の謎の死亡事故
1965年に日本人初の登頂として登山家の高田光政氏が成功しました。登頂まであと300mという地点でパートナーの渡部恒明氏が墜落し、救助を求めるために頂上を通った際に登頂を達成。
しかし救助を求めている間に渡部氏は謎の墜死を遂げたそうです。なぜ死亡したのかには諸説ありますが、骨折の痛みと孤独の重みに耐えきれず、自らザイルをほどいたのではないか、という人もいます。
その後も数多くの日本人を魅了するアイガー山
1965年の渡部氏の悲劇的な死亡事故を元に新田次郎氏が「アイガー北壁」という小説を執筆し、国内の登山家を畏怖させました。 その後、日本人もアイガー山に数多く挑戦していて、1969年には日本人6人が夏季の世界初直登を実現しました。
北壁ではなく「赤い壁」を経由し、そのコースはその登頂にちなんで、今でも「ジャパンダイレクト」という名前が付けられています。
世界の難易度の高い登山ランキング【6位】
アンナプルナ登山(ネパール)【標高8091m】
サンスクリット語で「豊穣の女神」とよばれ、世界で最も危険であり死亡率の高い山として広く認知されている難易度の高い山です。
初登頂を達成したエルゾーグ氏とラシュナル氏率いるフランスの遠征隊は、奇跡的に死亡者を1人も出さずに登頂・撤退しましたがその登頂によってエルゾーグ氏とラシュナル氏は合計30本の指を凍傷によって失い空港で出迎えた人々を絶句させました。
2014年の過去最悪の死亡事故
ネパール国内での登山中の死亡事故としては最悪のものになり、世界中で「2014年のネパールでの吹雪事故」として知られている悲劇的な死亡事故はアンナプルナ山で起こりました。
世界各国からのアマチュア登山家やガイドを含め少なくとも43人の死亡が確認されました。通年以上の猛吹雪とがけ崩れが原因だったそうで、電気の供給を始め電波も何もない状態で起こった悲劇の死亡事故だったそうです。
世界の難易度の高い登山ランキング【5位】
モンブラン登山(仏伊国境)【標高4810.9m】
ヨーロッパアルプス山脈の最高峰であり、イタリアとフランスの国境に位置するモンブラン山。
ケーブルカーなども通っていて、頂上付近までアクセスすることができ、年に約2万人が登山する山であるためベテランの登山家ならば十分な装備と備えによって登れる山ですが、挑戦する人の多いメジャーな山であるにも関わらず死亡率は決して低くはありません。
最盛期の週末には地元のレスキュー隊が1日平均12回も出動しているというデータも。
お菓子のモンブランの名づけ元の山
地元フランスとイタリアではよく知られている山であり、モンブラン(はフランス語で白い山を指す単語です(Mont Blanc)。イタリア側では、モンテビアンコ気になった人もいるかもしれませんが、フランスの名菓子のモンブランは、この山にちなんでつけられた名前だそう。
世界の難易度の高い登山ランキング【4位】
マッターホルン登山(北欧)【標高4478m】
スイスとイタリアの国境に位置し、霊峰と呼ばれ長らく踏み入れざる山であったマッターホルン登山。
ピラミッド型になっていて、各壁の落差は1000mを優に超え、マッターホルン山の落差1200mにも及ぶ絶壁の北壁は、アイガー山の北壁と並び「三大北壁」と呼ばれています。傾斜が激しいため壁にはほとんど雪が付着せず、下に落ちて氷河を作り出している孤高の山です。
技術的には難しくないが死亡事故多発
マッターホルン山の傾斜の激しい北壁を除けば、経験のある登山家にとって難しすぎることはない登頂。ですが、初登頂に成功した一行も比較的平坦なコースを選択したのにも関わらず4人が死亡した事例などや、毎年数件は登山者の死亡事例が確認されているなど、死亡率は低くない難易度の高い山であることが伺えます。
世界の難易度の高い登山ランキング【3位】
デナリ登山(米国)【標高6190m】
アメリカ合衆国のアラスカ州に位置する北アメリカ大陸最高峰。長くマッキンリー山と連邦政府から呼ばれていましたが、アラスカの原住民による呼称である「デナリ」を正式名称として採用しました。
高緯度であるため、夏には白夜になり、冬には日照時間が非常に短くなることで知られています。厳しい寒さで、夏季でも氷点下20度程度しか気温が上がりません。
ヒマラヤやアンデスよりも過酷な気候
高緯度に位置するデナリ山の登山はヒマラヤやアンデスよりも気圧が低く、また気温も低いため高山病になりやすいです。冬場のデナリ山の頂上の気圧は、ヒマラヤ山脈の7000m級の気圧に相当します。
また、ジェット気流の影響から時に時速160kmの強風が横から吹き付け、天候によってはそれ以上にもなります。2015年の時点で冬場のデナリ山を攻略した総人数は10隊17人で、6人が死亡しています。
世界の難易度の高い登山ランキング【2位】
フィッツロイ登山(アルゼンチン・チリ)【標高3405m】
南米アルゼンチン・チリの国境であり、南パタゴニア氷原に位置するフィッツロイ山。その雄大な姿はアウトドアブランド・パタゴニアのブランドロゴになったことで広く認知され、世界中の登山家を集める魅力のある山です。
天候の変化が激しく、天気の良いフィッツロイ山を登頂するためには数日またなくてはいけないこともあるそうです。アマチュア用のコースも充実していますが、頂上付近になると気温は氷点下で常に強風が吹き付けるなど難易度の高い山です。
世界の難易度の高い登山ランキング【1位】
エベレスト登山(ネパール・中国)【標高8848m】
世界最高峰で知らぬ人はいないと言われ、世界で最も難易度の高い山ランキングの1位を飾るのはエベレスト。低音のためバクテリアが存在せず、死体が腐敗しないことから随所には100体を超える死体が放置されています。
中には、登山ルートの目印となっている死体も存在します。その危険性が世界中の人々を魅了し、8000mの標高を超える過酷な天候にも関わらず、登山者の数は増えています。
死体がごろついている死の山
エベレスト山の山頂付近には酸素が地上の3分の1程度しか存在せず、酷い高山病にかかる可能性と凍傷の危険性があります。この標高8000mを超えたあたりのコースはデスゾーン(死のゾーン)と呼ばれ、命を落とす人が後を絶たないそうです。
なのでこのコースでの滞在期間をできるだけ少なくすることが大切です。 このデスゾーンでは過去の遭難者の死体がそのままの状態で横たわっていて、多くは凍結しているかミイラ化した状態で発見されています。
日本の難易度の高い登山ランキング【5位】
鳳凰山(山梨県)【標高2841m】
地蔵岳・観音岳・薬事岳の総称であり日本百名山にも登録されている、日本が誇る名山。茶色い岩肌が特徴的な日本アルプスの中でも、花崗岩によって白い岩肌が美しい山です。
地蔵岳の頂上はオベリスクと呼ばれる先頭があり、古来の人々が鳥のくちばしに見立てたことから鳳凰山という名前が付いたという説があります。古くは764年に登頂が記録されているなど、日本になじみの深い山と言えるでしょう。
コースが充実した日本の名山
昔から日本人に親しまれ、霊が宿ると言われてきた鳳凰山なので長い年月をかけて踏まれ作られた道が沢山あり、じっくり登山したい方も、安心して登山したい方にも適切な様々なコースがあります。
軽いハイキング用の数時間のコースから、数日掛けて登頂を目指す本格的なコースまであり、登頂を目指すなら寒さと天候に耐えうるための適切な装備が大切です。
日本の難易度の高い登山ランキング【4位】
奥穂高岳(長野県)【標高3190m】
日本国内では富士山(標高3776m)、北岳(標高3192m)に次いで3番目に標高の高い山です。日本百名山にも選ばれるなど歴史と由緒ある山で、周辺の山が連なってできた穂高連峰の総称でもあります。
主にディサイト質の溶結凝灰岩でなり、約175万年前の噴火による火砕流が原因となり、その後100万年の年月をかけて穂高岳が形成されました。
日本の難易度の高い登山ランキング【3位】
甲斐駒ヶ岳(山梨県)【標高2966m】
駒ヶ岳の名を持つ山は日本国内にも複数存在しますが、その中でも甲斐駒ヶ岳が最高峰です。山梨県に位置し、山麓から一気に立ち上がっていて山梨県側から全貌を望むことができます。古くは731年に聖徳太子が白馬に乗って甲斐駒ヶ岳を往復したとも伝えられるなど、日本の歴史にゆかりのある山であることが伺えます。
日本の難易度の高い登山ランキング【2位】
北岳(山梨県)【標高3193m】
日本国内では富士山に次いで2番目に大きな山として知られる山梨県の北岳。こちらも他の日本の名山同様非常に親しまれている山で、コースや登山プランなども充実している山です。
それでも体力的にもハイレベルなものを要する山であり、一歩道を踏み外せば遭難してしまう怖い一面もあります。2016年には男女のペアが遭難し、2日間戦った末に凍死してしまったという悲しい死亡事故もありました。登山人口の多い山ですが、国内ではそれなりに危険である山であると言えるでしょう。
遭難件数も高い日本の難山
山梨県警の発表によりますと、平成28年の国内での遭難者件数は24件であり、死亡者は7人でした。また北岳は標高3000mにも及ぶ山であることから、遭難者も毎年後を絶たないのが現状です。2017年始めも30歳の男性が、北岳を単独で登山を試みて遭難し死亡が確認されたということです。
日本の難易度の高い登山ランキング【1位】
剣岳(富山県)【標高2999m】
日本国内では標高の最も高い富士山を抜いて、国内で登るのが最も危険な山であると言われているのがこちらの剣岳です。
岩尾根伝いに歩く鎖場など、一般コースでも難易度が高く、ベテランの登山家も命を落としている危険度の高い山であることが伺えます。また日本ではそれほど多くはありませんが、岩壁の厳しさからロッククライミングの名所としても親しまれています。
難易度の高い登山ランキングまとめ
いかがでしたか。やはり、標高の低い山であっても一歩油断すれば遭難してしまったりする危険もあるため、登山をする際には細心の注意を払って準備と体力づくりを行いましょう。
技術とギアの向上とともに、昔は危険で誰も登れなかったような山も今では比較的楽に登れるようになり、エベレストも10代の登山家が登頂を達成したなど、一般の人にとっても改めて登頂の可能性が近い将来あるかもしれませんね。