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イヌツゲとは?見分け方や育て方までイヌツゲの基本情報まとめ!

公園や公共施設などの生垣などで実はよく目にしているイヌツゲという植物をご存知ですか?意外に知られていない初心者にも簡単に栽培や管理が出来るイヌツゲの育て方をご紹介します。ツゲと間違われやすいイヌツゲの簡単な見分け方も合わせてご紹介します
2020年8月27日
MMRICH
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イヌツゲとは

イヌツゲ(犬黄楊)とは本州・四国・九州・朝鮮半島の南部に分布する樹高が3m~5mに成長する常緑性の広葉樹です。根付きのよい耐寒性のある樹木で、5月~6月には小さな白い花を咲かせます。関東より北の地方では特に、庭の生垣や公園木などによく活用される植物です。

科名

イヌツゲの科名はモチノキ科で、別名をニセツゲやヤマツゲといい原産は日本。モチノキ科は世界に4属450種類の植物が存在しますが、日本では1属のみで、23種が分布。モチノキ科の代表には、モチノキ・ヒイラギ・クロガネモチ・ウメモドキなどが挙げられます。

学名

イヌツゲの学名は、Ilex crenata。ツゲと見た目が非常に似通っているため、同種と誤解されがちですが、ツゲの学名はBuxus microphylla var. japonicaといい、ツゲ科でツゲ属の全く別の種類であることがよくわかります。ツゲはイヌツゲと異なり、成長が非常に遅くツゲ材として印鑑や櫛の材料として加工されます。モチノキ科のイヌツゲと区別をする為に、ツゲの事をホンツゲと呼ぶ地域もあります。

花名由来

イヌツゲの植物の名前は、ツゲ科・ツゲ属のツゲと区別するためにつけられたと言われています。「犬・イヌ」が劣るや下等という意味合いでつけられていて、高級木材のツゲ材とは比べ物にならない、ツゲと似た用を足さない植物という事で、「イヌツゲ」となったと言われています。 学名であるIlex crenataはIlexがHolly(セイヨウヒイラギ)を意味するラテン語を表しています。crenataが鋸歯状(きょしじょう)のという意味で、イヌツゲの葉がのこぎりの刃のようにギザギザの形状をしているために付けられた名称。

イヌツゲの花言葉・開花時期

花言葉:魅惑

イヌツゲの花言葉には「魅惑」「堅固」と両極端な意味の言葉がつけられています。

由来

「魅惑」の花言葉に込められた意味は、イヌツゲが非常に扱いやすく、庭木として玉作りに剪定したり公園などの公共施設ではかわいらしいウサギなどの動物にも簡単に刈り込みが出来ることから、自由自在に魅惑の植物に変化することが出来るフレキシブルな特性を表した言葉と推測されています。 「堅固」は同じくイヌツゲの耐寒性にも耐暑性にも優れた植物の性質に由来します。生長が非常に速いため強く刈り込んでもびくともしない頑丈な木の特性をよく表した花言葉。

開花時期

イヌツゲの開花時期は、5月~6月。イヌツゲは雄株と雌株に分かれる雌雄異株という植物で、6月ごろに非常に小さい紫かかった白い花を咲かせ、花後には雌株に小さな球状の実をつけて、秋には熟して黒くなります。


イヌツゲの栽培方法

難易度

イヌツゲは庭木の中でも非常に育てやすい初心者向きの常緑樹として有名です。花が非常に細かい為、華やかさに乏しく、観賞用としては醍醐味に欠けますが、成長が早く気候に対する順応性が高いため、公園や公共施設の自然管理で栽培できる環境に良く活用されます。

イヌツゲの育て方の手順

植え付けの時期

地植えの場合も、鉢植えも植え付けの時期は4月~6月の春か、9月~10月の秋口が適期です。植え方の手順は、予め地植えなら植穴、鉢植えは鉢の底に有機肥料もしくは緩効性化成肥料を元肥として施します。庭植えの場合は2/3ほどの土を埋め戻して、たっぷりと水やりをします。そのあと地の土と鉢の土がよく馴染むように株自体をゆすります。

水やり

地植え・鉢植え同様に、植樹してから2年くらいの間は、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをします。特に地植えで、しっかりと根がついた後は、真夏の水切れを起こす時期以外はほとんど水やりは必要ありませんが、水分が切れて乾燥すると、葉が落ちてきますので、注意を配りながら水やりをしましょう

肥料

イヌツゲは大変丈夫な植物で、ほとんど肥料の心配もありませんが、寒肥といって、冬の季節に追肥を施してあげることで、春に更によく成長します。地植えの場合は2月頃に有機質肥料を根元周辺に地土となじむように施します。鉢植えの場合は、3月に化学肥料を根元に追肥します。 アルカリ性の土壌を好むので、年に1回程度苦土石灰を株元に施すと葉にマグネシウムが吸収されて葉色を鮮やかに保つことが出来ます。

イヌツゲの剪定

剪定時期

剪定の時期は春から秋にかけてならいつでも適期。方法は伸びてくるごとにこまめに剪定する方法と、剪定の手間と回数を軽減するために大きく2回行う方法があります。春に新しく出た芽が固くなる6月~7月頃に枝の成長が一度鈍くなります。この時期に1っ回目の剪定を行います。その後2次成長が始まりますが、9月下旬ごろにはまた成長が鈍くなりますので、2回目はこの時期に剪定を行います。 こうしてある程度の成長をしてから、2回に分けて剪定をすることで、樹木の過剰成長を抑えることができるため効果的に樹木の大きさをコントロールすることが出来ます。

剪定方法・刈り込み剪定

イヌツゲの剪定には2種類の方法があります。樹形整える刈り込みの剪定と、樹木の風通しと日当たりを良くするための剝きを目的とした剪定です。 刈り込み剪定:樹形からはみ出している枝を輪郭に沿うように刈り込んでいきます。そのあと植木ばさみなどで、枝が特に込み合って茂った場所に、均等に日光が当たるように枝を付け根から落としていきます。 刈り込み剪定にはいくつかの代表的な形状があります。

西洋庭園でよくみられる庭木を動物・丸・四角などデザインをつけて剪定し、造形物をかたどるやり方で、トピアリーと言われる方法があります。日本庭園では丸く刈り込むことを玉仕立て・玉散らしなどと呼ぶほか、円筒形の整える方法などもあります。


剪定・透かし剪定

透かし剪定:剪定した後の枝は、切り口からまた新しい芽が伸びてきます。外側ばかり剪定をすると、表面ばかりに日光があたり、風通しが悪くなります。透かし剪定はとくに、付け根から伸びてくる「ヤゴ」と呼ばれる枝をみつけたら切り落とします。

イヌツゲの増やし方

イヌツゲの増やし方は一般的に挿し木が簡単。10月の果実が出来ることに種から植える方法もありますので、合わせてご紹介します。

挿し木

イヌツゲの増やし方は挿し木が適切です。挿し木の時期は6月~8月。今年新しく伸びた新芽が固くなったら10㎝~15㎝程の所で切って、30分から1時間水に浸して、みずあげをしてから挿し木を行います。挿し木に使用する用土は、水はけの良い有機肥料の良く配合された腐葉土が適しています。赤玉土(中粒)2:完熟腐葉土もしくは樹皮堆肥1の割合で配合した用土を使用。 挿し木の苗は、直射日光を避けた明るい場所で保管をして、穴が開いたビニール袋などをかぶせることで保湿と保温が保たれます。一か月ほどで芽が出てきますので、直植えにうつすか、大きな鉢に植え替えをします。

種まき

10月に果実を採取したら、果肉を取り除いてすぐに種まきをするか、保存する場合は、乾燥を防ぐために湿らせた土の中に種をいれ、ビニール袋に入れたのちに冷蔵庫で翌年の3月まで保管します。春に冷蔵庫から取り出した種をもう一度きれいに洗って、種まきをします。

植え替え

イヌツゲの植え替えは、植え付け同様の時期に行います。適期は春なら4月~6月。秋は9月~10月。地植えをする場合は、2週間前から、たい肥などの肥料を入れた土を準備しておく必要があります。また酸性の土壌を嫌いますので、石灰を混ぜて、アルカリ性の土作りをしておきます。

イヌツゲの管理方法

イヌツゲは環境や天候の変化にも非常に柔軟に対応できる強い植物。鉢植えの場合は日当たりの良い場所か明るい日陰に置いて管理が必要。基本的に肥沃な土壌に適していますので、適度な追肥は寒肥(冬の間に施す肥料)を置いて、土に十分栄養を保つよう工夫します。水やりは基本的に乾燥しすぎなければ、神経質になる必要はありませんが、夏の日照りなどで特に乾燥する場合は水やりをします。地植えで2年以上経過している樹木は自然の条件で十分管理が出来る植物。

イヌツゲの害虫・病気

イヌツゲは基本的に病気に強い植物ですが、害虫で危害をこうむる場合があります。害虫の代表はガイガラムシ。またハマキムシ類の幼虫が食害を与えます。発生時期は5月~6月頃。葉が生い茂って密集した場所は風通しが悪くなり、葉を食い荒らし始めます。幼虫はほとんどが根に潜んで冬眠しますので、害虫がついている葉を見つけたら、早めに刈り込んで、殺虫剤で駆除をしましょう。

乾燥が続き、風通しがわるい茂った葉にはハダニが発生します。葉の艶が失われて、茶色く変化してきたらハダニによる被害の疑いがありますので、葉の下に紙などでうけるようにして、葉を指ではじくと、ごく小さいダニが落ちてきます。被害のある付近に水を散布して、ダニ用の殺虫剤で早めの駆除を心がけます。

イヌツゲの特徴


イヌツゲは通年を通して緑の葉が美しい常緑低木です。葉は1.5㎝~3㎝と小さく暑みのある皮質で葉の縁にギザギザの鋸歯があるのが特徴。雄株と雌株に分かれている雌雄異株という種類にあたり、双方に花が咲きますが、果実が出来るのは雌株のみ。また果実は小さく、黒っぽく熟すため観賞用の価値は低いとされています。 樹木の成長が非常に早く、環境に強いためトピアリー(常緑樹や低木を刈り込んで製作される西洋庭園で見られる造形物)としての素材に適した植物。

イヌツゲとツゲの違い

イヌツゲはツゲという名前から良く「ホンツゲ」の仲間と勘違いをされる樹木ですが、本来は属種も科目も違う全く別の植物であることが比較をすればよく分かります。イヌツゲとツゲの違いをまとめてみました。

花の違い

ツゲの花とイヌツゲの花には決定的な形状の違いが見られます。 ツゲの花:開花時期3月~4月。雌雄同株で花弁がない花。 イヌツゲの花:開花時期5月~6月。雌雄異株で雄花には4本の雄しべ、雌花には4本の雄しべの中心に雌しべがある。

葉の違い

ツゲの葉:対生で枝の両側に対象に葉が生える形状をとります イヌツゲの葉:互性で枝から出る葉がずれて生えます

実の違い

ツゲの果実:3本の花柱が合わさって、一つの楕円形の実をつけます。実が熟すと果実がはじけて種が飛び出します イヌツゲの果実:雌株にだけつける果実が秋に熟して黒くなりますが、はじけることはありません

まとめ

庭の樹木や花を常にきれいに保つのは一苦労ですね。イヌツゲのように常緑の低木植物を生垣のように活用することで、ヨーロッパの様な西洋庭園の雰囲気がかもし出せ、また環境や天候の変化に強いイヌツゲでしたら、日当たりさえよい場所に植え付けをつれば、半永久的にお庭のグリーンをエンジョイ出来ます。また刈り込みに凝って、トピアリーに挑戦するのも楽しいですね。