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イスノキの特徴や基本情報まとめ!こぶの正体とは?【植物図鑑】

イスノキは街路樹などに使われることも多いとても大きく成長する木です。イスノキという名前も印象的で一度聞いたら忘れられない名前ですね。イスノキの大きな特徴としてこぶがなるというものがあります。今日はこのイスノキのこぶの正体についてもご紹介していきます。
2020年8月27日
佐藤3
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目次

イスノキとは

科名

イスノキはマンサク科 イスノキ属の樹木です。

学名

イスノキの学名は「Distylium racemosum」。 Distyliumはイスノキ属という意味ですが、もともとこのDistyliumはギリシャ語で2本のおしべという意味があります。 racemosumは総状花序という意味があります。これは花の咲き方の種類のひとつで下から上へと、または外側から内側えと花が咲いていく形をいいます。

由来1

イスノキの由来には2通りあります。ひとつは日本神話に由来する意味。 イスノキは「湯津間櫛」からきているという説です。湯津間櫛の読み方はユツマグシ。これは神聖な木で作った櫛という意味の言葉です。このユツマグシのユツがユシ→ユス→イスと変形していったとされます。 古文書では「由之ノ木」「由志ノ木」という木も登場します。

由来2

もうひとつの説は九州ならではの漢字の読み方によるものとする説です。 イスノキは漢字で書くと「柞」となります。この柞という漢字は本来ならば「ハハソ」「ホウソ」と読みコナラの仲間の樹木を表す意味の漢字となっています。 しかし、九州だけはなぜかこの柞という漢字を「ユス」と読みます。それがユシ、イスへと変化してイスノキとなった説です。

イスノキの開花時期・結実時期

開花時期

イスノキには小さいですがとても目立つ赤い花がたくさん咲きます。花の時期は春咲き桜の開花時期と同じくらいとなっています。 その花は先程学名でご説明した「総状花序」の下から上へと咲いていく形で、上の方に咲く花だけが両性花でおしべがあるのも特徴的です。 下の方は全て雄花で、雌しべはかろうじて痕跡のようなものが見えるだけの姿をしています。

結実時期

イスノキの実は秋の10月ころになると白っぽく粉をふいたような外見に実ります。パッと見た感じがキウイフルーツに似ているという人もいます。 完全に熟すとパカッと割れて、その中に種がふたつ入っています。 熟しきっていない実の先端には、花の特徴でもあった目立つ大きなふたつの雌しべの突起がついています。


イスノキの育て方・栽培方法

難易度

イスノキは育てやすい木で、耐寒性も耐暑性も普通です。

時期

イスノキの花が咲く時期は4月から長くて5月いっぱいくらいまで。 植え付け時期は春暖かくなってから、猛暑の時期を避けて9月くらいまでの時期に行います。 あまり伸ばしたくないなら5月ころか9月ころの陽気のよい時期に刈り込んで形を整えてあげましょう。

植え付け

上の時期でご説明したとおり、春4月ころから猛暑の8月は避けて、9月ころまで植え付けをおこなえます。

水やり

公園や街路樹で水やりをしなくても成長していく木ですので、水やりの心配をする必要はありません。 イスノキの苗を買ってきて、植え付けたら根がしっかりと定着するまでは乾いたら水をあげる程度で良いでしょう。 その後は特に水やりの必要はなく、自然の雨で十分です。

肥料

イスノキには特に肥料を与える必要はありません。 肥料を与えなくても成長がよく伸びすぎる心配をするくらいです。 イスノキが伸びすぎた際の切り戻しについては次の剪定の項目をご参照ください。

剪定

イスノキは強めの剪定にも耐える成長が早い丈夫な木です。 剪定に適した時期は1年に2回。初夏と秋におこないます。 混み合った枝や伸びすぎた枝を主に刈り取っていきましょう。風通しが良くなることで害虫の被害も減るでしょう。

害虫


イスノキは害虫がついても木の成長にはほとんど影響がでません。そればかりか、とてもアブラムシに寄生されやすい木なので、駆除しようとしても薬剤散布が追いつかないほどでしょう。 アブラムシに寄生されると見た目が良くないのでいやだという人は、駆除をおこないますが完全に害虫の被害をなくすのは難しいでしょう。

増やし方

イスノキのふやし方は、挿し木で行います。 特にイスノキだからといった挿し木の方法は不要で、一般的な挿し木での増やし方で増やすことができます。 発根性のよい木なので、挿し木も容易におこなえますがはじめてで心配だという人は発根剤(花木を扱っているホームセンターなどで購入可能)を使用してもよいでしょう。

挿し木

比較的新しくて成熟した枝で行うのがポイントです。去年新しく出てきた枝を使うとよいでしょう。 長さは10センチから15センチほど。葉がついていたら埋める部分はすべて取り除いてしまいます。葉はむしらずにハサミで丁寧に切り取っていきます。 挿し木用の土は栄養分のない清潔な土を使います。西日が当たらず乾燥しないような場所で根が出るまで管理します。水やりは十分におこないましょう。

場所

イスノキは日なたを好む植物ですが、耐陰性も持っているのでそこそこの日陰でも育てることが可能です。 よく公園などにも植えられています。

植え替え

イスノキは発根性もよくて植え替えは誰でも簡単におこなえるでしょう。しかし、一度植え替えるとしばらくは成長が悪くなるので、目隠しに使いたいなど早くある程度の大きさになって欲しい場合はなるべく植え替えの必要がない場所に最初から植えるとよいでしょう。

イスノキの特徴

イスノキの木材は非常に硬いことで有名です。昔からこのイスノキの木材を利用して作られた木刀だけを使うという剣術の流派もあるほどです。 高さは約20mほどまで大きくなり、見上げるほどの巨木としてSNSでも巨木として撮影され紹介されているのを見かけることもあるでしょう。 その他、陶磁器のうわぐすりとしてもイスノキの木を燃やした灰が利用されます。

イスノキの活用法

イスノキはとても硬い木で木刀にされるという話をしました。その他にも、その硬さを利用して黒檀や紫檀の代用品としても活用されます。 主に建築材や楽器作り、そろばんの珠にも使われることがあります。 イスノキの活用法で興味をひくのが、櫛への加工です。イスノキの櫛は宮中や大奥など位の高い女性に納められる櫛として使われていました。 日本人は櫛の歯が欠けることを凶事の暗示とみることも多かったため、丈夫なイスノキの櫛を求めたのではないでしょうか。

イスノキの品種・原種


原産地

イスノキの原産地は日本をはじめとする温暖な東アジアの国々です。

分布域

イスノキは温かい地方の植物です。日本なら関西よりも南。四国や九州、沖縄に分布します。海外では、台湾や中国の南部などにも分布しています。

イスノキのこぶの正体

イスノキといえば写真のようなこぶができているのを見かけることも多いでしょう。このようにアケビの果実のように見えるようなこぶから、葉の表面に小さくポコポコとできている小さなこぶまで色々です。 しかし、そのこぶは全てイスノキにつく害虫であるアブラムシの住み家です。 このように大きなこぶの内側一杯にアブラムシがいると思うとちょっとゾッとしますね。

虫こぶの笛

イスノキに出来るこぶの正体は虫こぶというアブラムシの住み家でした。アブラムシが出ていったあとのこの虫こぶは、昔の子供たちの遊び道具となっていました。 この虫こぶを吹くと「ヒョン」と音がすることから「ひょんの木」とも呼ばれています。

まとめ

特徴的なこぶができるイスノキの育て方や特徴などをご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。 そのこぶは決して珍しいものではなく、イスノキにはよくできるものなので、その虫こぶを探してイスノキだということが特定できるくらいです。 街路樹としても利用されることが多いイスノキ。あなたのまわりにも気づかなかっただけで、意外とイスノキがたくさん存在しているのかもしれません。道を歩いているとき、この虫こぶを頼りにイスノキを見つけてみてはいかがでしょうか。