ウミケムシ(海毛虫)とは
ゴカイの仲間
ウミケムシ(海毛虫)は毛虫のような体毛を体にまとっています。分類はゴカイの仲間で変わった生態の持ち主でもあるのです。動き方がゴカイそっくりでウネウネと体をくねらせて泳ぎます。
ウミケムシ(海毛虫)は100種類以上が確認されており、代表的なのはハナオレウミケムシやセスジウミケムシ、セナジリウミケムシです。 中には見た目がゴカイに似ている生物もおり、気づかずに素手で触ってしまうこともあるようです。
ウミケムシ(海毛虫)の分類
環形動物門ウミケムシ科
ウミケムシは環形動物門ウミケムシ科に分類されます。環形動物門(かんけいどうぶつもん)はゴカイも同じですが体が細長く、頭以外はほとんど同じ大きさ、足との体の付け根の区別ができない生物が入ります。
ただ、ウミケムシ目ウミケムシ科なのでゴカイではないようです。あくまでも仲間であるという認識になります。また、呼吸はエラか皮膚に限定されるようです。いずれにしても奇妙な生き物には変わりはありません。
ウミケムシ(海毛虫)の生態や特徴
生態
ウミケムシ(海毛虫)は基本的に夜行性です。そのため昼間は海底の砂地に隠れていますが、顔は出しているのでエサを見つけると飛び出してくるほどアグレッシブな生き物なのです。
夜になるとゴカイに比べてかなり早いスピードで海中を動き回ります。しかし、エサを探すために動き回っているのではないようです。このようにウミケムシ(海毛虫)は不思議な生態をした生物と言えるでしょう。
食性
ウミケムシ(海毛虫)の食性は肉食で主にゴカイを食べることが多いようです。この共食いの習性も変わった生態と言えるでしょう。また、ウミケムシ(海毛虫)の口は大きく小さなオキアミや小魚なら丸のみしてしまうほどなのです。
捕獲スピードも速く、本当にゴカイの仲間なのかも疑うほど獰猛な生物で釣りをする人なら見かけることも多いようです。
ウミケムシ(海毛虫)の生息地
日本の本州中部以南、太平洋南西部、インド洋
ウミケムシ(海毛虫)は暖かい海域を好み、日本の本州中部以南、太平洋南西部、インド洋などの海底に生息しています。日本では、特に京都府に多く生息しているのも特徴です。
最近では温暖化の影響なのか北陸の寒い地域でも確認されるほど活発に生息域を広めています。 また、ウミケムシ(海毛虫)は増殖のスピートが非常に高いためいずれは日本全域に生息地を伸ばす可能性もあるようです。
ウミケムシ(海毛虫)の種類3選
ハナオレウミケムシ
ハナオレウミケムシはゴカイに最も似ているウミケムシです。もちろん毒を持っています。体の色もピンク色で細長いのが特徴です。主に、石の下などの浅瀬に生息しているので釣りをする際にエサがなくなったからといって間違って素手で触らないように注意が必要しましょう。
見分け方は、ゴカイに比べて体の横にチクチクとトゲがしっかり見えることです。かなり似ているので難しいですがわからない場合は購入したエサのみを触りましょう。
セナジリウミケムシ
セナジリウミケムシはウミケムシよりも長いのが特徴です。見た目はウミケムシを同じで体の横に毒針を持っています。体色は赤色で白い線のような模様が危険さを感じる印象が強いウミケムシです。
ダイオウウミケムシ
ウミケムシの仲間で最も大きい種類になります。ダイオウウミケムシの大きさは30㎝を超えることもあるほどのようです。このダイオウウミケムシは水中だけでなく陸にも上がり生活します。ビックリすると思いますがネズミを食べるほどの食性を持っている危険なウミケムシです。
ウミケムシ(海毛虫)に天敵はいる?
天敵は意外に多い!
ウミケムシ(海毛虫)を食べる生物は毒を持っているにも関わらず意外に多いのです。毒もあり動きも早いのは天敵が多いからかもしれません。ウミケムシ(海毛虫)の代表的な天敵はエビやカニなどの甲殻類です。また、ベラなどの魚も天敵であっさり食べられてしまいます。
ウミケムシ(海毛虫)は結構強い毒を持つ生態なのに海の生物には効果がないのか不思議なものです。 海以外でも天敵は存在します。石に張り付いたまま海中に逃げ遅れてしまうと鳥にも狙われるため他の生物に比べて天敵が多いと言われているのも納得できますね。
ウミケムシ(海毛虫)は釣れる
投げ釣りは特に注意!
キスやカレイ狙いでゴカイをエサに投げ釣りをする人はウミケムシ(海毛虫)をよく理解しておく必要があります。ウミケムシ(海毛虫)はゴカイを食べるので投げ釣りでは外道として頻繁に釣れるからです。ウミケムシ(海毛虫)が釣れた場合は絶対に素手では触らないように注意しましょう。
毒針が皮膚に刺さってしまうと釣りどころではありませんので。 投げ釣りをする人は小まめにエサを動かすことでウミケムシ(海毛虫)を回避することができるので実践してみて下さい。
ウミケムシ(海毛虫)に毒はある?
毒毛は危険
ウミケムシ(海毛虫)のフワフワとした体毛にはコンプラニンと呼ばれる毒を持っています。
刺された場合は厄介で、炎症や痛みの原因になるのです。ウミケムシ(海毛虫)の毒針は魚のように固い針ではなく、柔らかく細かいため払い除けると広範囲に被害が及ぶ危険があります。 ウミケムシの毒針は、普段は寝かせていますが天敵や危険を感じた場合に毛羽立てる習性があるようです。
ウミケムシ(海毛虫)に刺された場合は?
症状
ウミケムシ(海毛虫)に刺されたら激しい痛みが襲ってきます。患部も赤く腫れあがり徐々に痛みに加えてかゆみなどの症状も出てくるのです。痛みは長くて1週間は続きます。最も刺されたと報告が多い部位が手です。
安易に素手で触ってしまうと刺された毒針がすぐに折れてしまいます。残った毒針にも毒が残っているので痛みが長引く原因となってしまうので注意が必要です。
対処方法
ウミケムシ(海毛虫)刺されたときは毒針が付きます。毒針はガムテープなどで優しく取り除きます。素手で擦ると広範囲に広がり悪化してしまので注意が必要です。全て毒針を取り除いたら水で洗い流し消毒しましょう。 しかし、毒針を取り除く対処方法はあくまでも応急処置です。対処をしても痛みは続きます。
また、対処したからといって毒が消えるわけではありません。ウミケムシ(海毛虫)の対処を終えたら出来るだけ早く医療機関へ行くのをおすすめします。
ウミケムシ(海毛虫)は食べることはできる?
食べることはできる
ウミケムシ(海毛虫)は一般的には食用ではありません。しかし、ゴカイは美味しいと言われているのも事実です。ウミケムシもゴカイの仲間ですので食べることはできますが正直美味しくないです。
さらに、毒毛をすべて取り除く必要があるので調理にも一苦労で、その苦労のわりには身が少なく味も微妙なのでおすすめできない食材と言えるでしょう。 それでも、食べると言う人にはウミケムシを茹でるか焼くかで熱を加えると毒は消えます。毒さえ消えてしまえば怖くはないので安心ではありますね。
口は美味い
ウミケムシ(海毛虫)は食べることはできるが不味いと言いました。しかし、実は口だけは甘く美味しいのをご存じですか?1匹から取れる量は少ないですが、10匹程度集めると満足できる量になります。
ただ、ウミケムシの体毛は口の周りにも存在しています。そのため、折れた毒針が口の周りにも残っている可能性は高く間違って食べることがないように注意が必要です。釣り人の中では、ウミケムが釣れると口だけ取って持って帰る人もいるほど有名な珍味と言えます。
水槽で海水魚を飼う人は海毛虫に注意
ライブロックの使用
海の生き物を飼育する際に、タダで手に入ると思い海でライブロックを拾って帰る人も多いようです。ライブロックとは死んだサンゴ礁のことを指します。水槽にライブロックを入れておくと綺麗で魚の隠れ場所としても最適です。 そんな、ライブロックには無数の穴が開いておりウミケムシはその中に潜んでいることが多いのです。
そのため、水槽内に入れて数日経つとウミケムシを目撃してしまう事になってしまいます。ウミケムシは小魚も食べるので水槽内の魚が消えた場合には疑っても良いかもしれません。また、水槽内にわからない生物を発見した場合にはピンセットで掴むなどの工夫をしましょう。
ウミケムシの駆除方法
ライブロックの穴にいるウミケムシの駆除方法をご紹介します。準備物は、オキシドールとエアレーションで簡単にライブロックに隠れたウミケムシを取り除くことができるのです。 1、バケツに海水1000ml対してオキシドールを50ml入れ混ぜ合わせます。 2、混ぜ合わせた海水にライブロックを入れます。
3、5~10分程度放置しておきます。 4、徐々にウミケムシが浮いてくるので慎重に取り除きます。 5、エアレーションを海水に入れて作動させます。 6、5分ほど放置します。 7、ライブロックを揺らしてウミケムシを穴から出します。
駆除方法のポイント
エアレーションを使用することで、オキシドールのみよりも効果が高くほとんどのウミケムシを駆除することができます。 エアレーションで酸素の濃度を上げることでウミケムシをかなり弱らせることが出来るからです。
また、オキシドールの濃度を上げすぎると他のプランクトンも死滅させてしまう可能性があります。しかし、エアレーションを組み合わせることでオキシドールの濃度を減らし、駆除効果もアップさせることができます。
ウミケムシとうまく付き合う方法
ウミケムシを駆除するのは可能です。しかし、ウミケムシは水槽の掃除を行ってくれる存在でもあります。水槽内の砂は日々汚れが溜まり雑菌の温床になりかねません。最悪、飼っている魚が白点病などの病気にかかってしまうでしょう。ウミケムシはその汚い砂を食べることで水槽内を綺麗にしてくれる役割を担っています。
ウミケムシとうまく付き合っていきたい人は、エビやヒトデなどを一緒に飼うことで増殖を防ぐことができます。駆除するのは簡単ですが、生き物なので出来るだけ共存できると良いのではないでしょうか。
まとめ
道具は常に持参しておきましょう
ウミケムシとゴカイは本当に見分けがつきません。釣りをする人や海で遊ぶ人は今後さらにウミケムシを目撃する頻度は増していくでしょう。その際に、ウミケムシの対処方法や注意点をよく理解し事前に必要な道具を持参しておく必要があります。
おすすめの道具は、針はずしやピンセット、軍手、テープなどです。荷物にはなりますが、快適に釣りを楽しむためにはウミケムシ対策が出来ているかで全く違ってきます。楽しい釣りやレジャーにするためにもしっかりと準備をしていきましょう。