ニシキギについて
ニシキギとは落葉低木の樹木の一種です。日本では北海道から九州のほぼ全土の山野でよく見ることができます。 ニシキギは紅葉も綺麗ですが、特に美しいのがはぜた実の中身の真っ赤なかわいらしい姿です。 外国語名の俗名である「Euonymus(エウオニムス)」はeuで良いonymusでことという意味を持つ古い言葉で「よい評判」という意味となっています。
ニシキギの紅葉の見ごろ
ニシキギが紅葉するのは秋、10月から11月いっぱいくらいの間です。 この間がニシキギの一番美しい時期であるといえるでしょう。
俳句の季語でもあるニシキギ
ニシキギはその紅葉が美しい木として古くから日本人に愛されている木です。ニシキギという単語は秋をあらわす俳句の季語となっています。
ニシキギの特徴
ニシキギの特徴といえば、枝についている翼です。枝を見ると、まるで矢羽のような飾りが数か所ついているのに気づくでしょう。 ニシキギの種類ではこの翼のない品種も存在しており、それはニシキギではなく違う名前で呼ばれています。
別名「カミソリノキ」
ニシキギには2つの別名があります。その中のひとつが「カミソリノキ」。由来は、枝についているコルク状の葉がカミソリの刃のようにみえるところからきています。 もうひとつの別名は「ヤハズニシキギ」。ヤハズとは矢筈と書きます。弓矢をつがえるときに矢の末端の弦に当てる部分のことをいいます。ニシキギの枝についている翼がこの矢筈に似ていることがこの別名の由来となっています。
名前の由来
ニシキギとは「錦木」と書きます。錦とは美しいきらびやかな織物のことを指す言葉とともに、宝物という意味もありました。 ニシキギは世界三大広葉樹のひとつでもあり、大変美しい葉を持っています。この美しい紅葉をもつ木にピッタリな名前の由来といえるでしょう。
ニシキギの英語名・意味
ニシキギの英後名は「Winged spindle tree」「Burningbush」 spindleとは糸巻き用の芯という意味もあります。訳すなら(野生の糸巻きの芯の木)と(弾けるブッシュ(低木))となるでしょう。 ニシキギの枝の様子や実が赤くはぜる様子を表した見た目から付けられた名前の意味となっています。
ニシキギの育て方
ニシキギは初心者でも簡単に育てられる、育てやすい木です。挿し木や種まきでふやすことも簡単ですので、庭をたくさんのニシキギで一杯にすることもできるでしょう。
育て方①栽培環境
ニシキギは少し明るい日陰でも育ちますが、より明るい場所の方が育成はよくなります。庭木として植える場合は、紅葉が目的であるでしょうから、より明るい場所に植えることをおすすめします。
育て方②水やり
露地植えであっても、植えてからあまり年数が立っていない若木の場合は地面が乾いていたらたっぷりと水をあげるようにしましょう。ただし、大きく成長したあとには、露地植えなら水やりの必要はありません。
育て方③肥料
ニシキギの肥料は真冬の1月ころに寒肥をおこないます。化成肥料をニシキギの株の周辺に埋めておきます。鉢植えの場合はその後3月頃に追肥をするとよいでしょう。
育て方④病虫害
ニシキギは病気の心配はほとんどない木です。 害虫で注意したいのは「カイガラムシ」。カイガラムシには農薬がまったく効かないので見つけ次第樹木を傷つけないようにこそげ落とすしかありません。 カイガラムシに樹液を座れると木が弱るだけでなく、すす病の原因ともなります。せっかくのニシキギの綺麗な見た目が悪くなってしまうので、カイガラムシには十分な注意が必要です。
育て方⑤ふやし方
ニシキギは、挿し木、種、根伏せという方法でふやすことが可能です。 種は秋に熟れたものを冷蔵庫で保管しておき、翌年の3月頃に埋めてあげます。挿し木は3月上旬に去年の枝から穂木をとって水揚げをしてから行います。 根伏せの方法は挿し木と同じ時期にニシキギの根を掘り出し直径1センチ~1.5センチくらいの太さのものを15センチ程度切り取ります。水はけの良い場所に、この根を埋めておくことでニシキギが増えていきます。
ニシキギの剪定
ニシキギの剪定は落葉期におこないます。ニシキギの剪定のコツは、重なった枝を元から間引くような感じでおこなうとよいでしょう。 樹木の生育期におこなうと切り口付近に芽吹いてよけいに込み入ってしまうことにもなりかねません。必ず落葉期におこなうようにしましょう。
ニシキギの剪定:落葉時期
枝が込み入ってしまったニシキギを剪定するなら、12月から翌年3月の中旬くらいまでにおこなうようにしましょう。 ニシキギはこの期間が落葉期となっているので、剪定することで逆に新芽を増やしてしまう心配はありません。
ニシキギの剪定のポイント
ニシキギは放置しておいても勝手に綺麗に形がまとまってくれる木です。 剪定は無理におこなう必要はありませんが、込み入った枝を時々間引いてあげたり、崩れてきた形が気になったら整える程度でよいでしょう。
ニシキギの種類・品種
種類・品種①ニシキギ
ニシキギ科・ニシキギ属の落葉低木です。日本や中国を原産地として主に山野に自生している姿をよく見かけることができるでしょう。 花の時期は初夏ころ。あまり目立たない白っぽい緑がかった花を咲かせます。ニシキギの実も実はこのころすでにありますが、小さいためあまり目立ちません。 秋になると熟れて弾けて真っ赤な実が顔を出します。
種類・品種②ツルウメモドキ
ニシキギ科ツルウメモドキ属の植物で、ニシキギの仲間ですがこちらはツル性があり、他の樹木などにあたるとしなやかに巻き付いていくのが特徴的です。 やはり秋になると綺麗に紅葉して赤い実が顔を出します。
種類・品種③ツリバナ
ツリバナもニシキギの仲間ですが、こちらは花は少し赤色がかった色味をしています。名前のとおり、可憐な花が吊られている形で1本の細い枝の先にひとつずつ付きます。 ツリバナは実の外皮もニシキギとは違い、赤いのが特徴的です。全ての葉が落葉してくるころは、この外皮も真っ赤に染まっており枯れ木に赤い実が吊り下がる様子も美しい樹木です。
種類・品種④コマユミ
ニシキギの特徴である枝の翼がないものをコマユミと呼びます。翼がないので枝を見ればニシキギかコマユミかは一目瞭然です。
ニシキギの花言葉「危険な遊び」
ニシキギには「危険な遊び」という何とも危ない花言葉の意味があります。 この他「あなたの定め」「あなたの魅力を心に刻む」「深い愛情」「あなたの運命」という意味深な花言葉を持つ花です。 あまり贈り物には向かない花言葉ばかりといえるでしょう。もし、ニシキギを贈り物として贈った時、その花言葉を調べられたら、相手に苦い顔をされてしまうかもしれません。
ニシキギの言い伝え
ニシキギは男性が女性に求婚するしるしの木として送られる習慣があるそうです。その方法は、独身男性が好きな女性の家の前にニシキギを立てておくというもの。贈られたニシキギを家の中に入れることが女性からのOKのサインです。 もし、ニシキギを受け取ってもらえなくても1,000本まではニシキギを毎日置き続けることが許されていました。しかし、1,000本置いても願いが受け入れられない場合はキッパリ諦めるというルールもあります。
まとめ
ニシキギは真っ赤に紅葉する姿が人気の高い庭木です。育て方も難しくありませし低木なので後々の日当たりも心配せずに植えることができるでしょう。 挿し木や種まきでもふやすことができますので、鉢植えにして和室などに飾るのも素敵でしょう。危険な花言葉を持っていますので贈り物には使いにくいですが、庭木にしてその美しさをご近所の方にも楽しんでもらうのなら問題ないでしょう。 美しいニシキギの紅葉を多くの人と堪能してみてはいかがでしょうか。