ハスの花って、どんな植物?
花言葉、見頃の季節、名所……まとめてご紹介!
水に浮かぶ姿が魅力的な、ハスの花。オリエンタルで神秘的な雰囲気が人気です。宗教的な場面でも重要な意味をもつ花で、古くから神聖な花だと世界各地で考えられてきました。ハスの花について、花言葉や見頃の季節、名所や特徴、育て方までまとめてご紹介します!
ハスの花基本データ
水に浮かぶ「抽水植物」
ハスの花は「抽水植物」と呼ばれます。根を水につけて育ち、葉や花を空中に出すタイプの植物です。スイレン科ハス属で、原産地は熱帯・温帯アジア、南北アメリカ。草丈は長く、1メートル以上に成長します。
レンコンとハスの花
ハスの花は、水中に「塊茎(かいけい)」と呼ばれる肥大化した茎をつくります。この部分は「レンコン」として、食用にされることでおなじみです。ただし、観賞用にハスを育てる場合、「花ハス」と呼ばれる品種群が用いられます。花ハスの塊茎(かいけい)はあまり太くならないので、レンコンとして食べるのには向きません。
ハスの花と、呼び方いろいろ
蓮
漢字では「蓮」と書きます。「ハス」「レン」と2通りの読み方をされますが、どちらもレンコンで知られるハスの花のことです。
レンゲ(蓮華)
レンゲとは、ハスによく似た植物・スイレン(睡蓮)と、ハスをひとくくりにまとめた呼び方です。
ロータス
英語では「Lotus(ロータス)」です。なんとなく聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ハスの花の花言葉
花言葉「雄弁」「清らかな心」
花言葉は「雄弁」や「清らかな心」など。
花言葉の由来
「雄弁」という花言葉は、エジプト神話の登場人物であるオシリスに捧げられた花がハスであり、オシリスが雄弁であったことに由来します。「清らかな心」は、泥の中から咲く美しいハスの花の姿にちなむ花言葉だとされています。
ネガティブな花言葉も
神聖な意味を持つ花言葉が多いハス。でも、ネガティブでちょっと暗い花言葉もあるんです。たとえば、「離れゆく愛」や「救ってください」など。「離れてゆく愛」は、ハスの開花期間が短く、すぐ散ってしまうところに由来しています。「救ってください」は、仏教的な意味に由来する花言葉です。救いを求め、お釈迦様のような悟りの境地を求める人々の心があらわされています。
ハスの花の歴史と種類
2種類のハス
世界に自生しているハスの花は、アジア周辺のヌシフェラ種(Nelumbo nucifera)と、アメリカ周辺のルテア種(N. lutea)という2種類のみです。前者は花の色がピンク、後者は花の色が黄色。この2種類が交雑されることで、さまざまなハスの花の品種が作り出されてきました。日本には中国から渡来し、江戸時代には100を超える品種がありました。しかし、現存するのは20種くらいだとされています。
一重咲きと八重咲き
ハスには花びらが一重になっているものと、八重になっているものがあります。おもな色はピンク、白、黄色です。時間の経過とともに花の色が変わっていく種類もあります。
ハスの花の種類1.大賀ハス
千葉県指定天然記念物のハスです。千葉県の花見川区検見川で、地中から発掘された2000年前のハスのタネ。それをなんと、大賀一郎博士が発芽に成功させたのです。博士の名を取って「大賀ハス」と名付けられ、品種として登録されました。
ハスの花の種類2.碧台蓮
碧台蓮(へきだいれん)と読みます。江戸時代から伝わる品種で、花の色は白。八重咲きです。ボリューミーな花びらが美しいです。
ハスの花の種類3.誠蓮
誠蓮(まことはす)は、品種登録第一号のハスの花として知られています。色は濃いピンクで、あざやかに咲きます。八重咲きで、お盆の時期には切り花用としても栽培されるハスです。
ハスの花の種類4.一天四海
一天四海(いってんしかい)とは、「全世界」の意味。白系の花びらに、紫系の斑が入ります。一重咲きで大型。
ハスの花の種類5.ミセス・スローカム
花びらの縁はピンク系、その他の部分は薄い黄色をした八重咲き品種です。大型で見ごたえがあります。
ハスの花の種類6.緑地美人
緑地美人(りょくちびじん)は、整った花びらの形と、徐々に変化していく花色が特徴的な品種です。開花したばかりのころは黄色系ですが、少しずつ爪紅状に変化していきます。
ハスの花の種類7.剣舞蓮
その名の通り、剣先のようにとがった花びらをもつ剣舞蓮(けんまいれん)。花の色は白く、一重咲きです。大型ですが飾らない雰囲気があります。
ハスの花の宗教的意味
仏教での意味
仏教において、ハスは神聖な意味をもつ花です。お釈迦様が歩いた足跡からハスの花が咲いたと伝えられています。また、ハスの花の上に立ったお釈迦様が「天上天下唯我独尊」と言った話も知られています。
ヒンドゥー教での意味
ヒンドゥー教においても、ハスは重要な意味をもつ花。神話や聖典にたびたび登場します。泥の中から凜と美しく咲くハスの花の姿が、神聖なイメージと結びついているようです。
スイレン(睡蓮)との違い
水面から突き出すように咲く
ハスの花と葉は、水面から首を突き出すようにして広がります。対してスイレンは、水面にぷかぷかと浮かぶようにして花と葉をつけます。また、ハスの花が「ハス科ハス属」であるのに対して、スイレンは「スイレン科スイレン属」です。見た目こそ似ている両者ですが、分類は別々です。
開花時間はハスの花のほうが短い
ハスはスイレンと違って、朝~昼にしか花を咲かせません。対してスイレンは、昼咲きや、種類によっては夜咲きのものもあります。
ハスの花の開花季節や見頃は?
6月下旬~8月下旬が開花の季節
ハスは夏の花です。6月下旬から8月下旬にかけての間に開花します。早朝に花を開き、昼前には閉じてしまうのが特徴的です。ひとつの花は4日ほどしかもちません。咲き始めて2日目~3日目がもっとも美しく、開花時間も長めです。
午後に見に行くと、つぼみの状態かも?
ハスの花を見に行くなら、午前中の早い時間に行くのがおすすめ! お昼前には閉じてしまう花なので、午後に行くと画像のように「つぼみのハスばかり……」ということになりかねません。中でも、もっともおすすめな時間帯は、早朝。朝7時ごろであれば、キレイに開いたハスの花を見られる可能性が高いですよ。
ハスの花の名所
名所1.東京の上野恩賜公園
都内でハスの花を見るなら、上野恩賜公園がおすすめです! 名の知られたハスの花の名所であり、歴史もあります。江戸時代から、ここのハスの花は浮世絵に描かれてきました。2000年前の種を発芽させて誕生させた品種・大賀ハスも、この上野恩賜公園で見ることができます。
名所2.千葉県の千葉公園
大賀ハスが発見された地・千葉県で大賀ハスを楽しむなら、千葉公園はいかがでしょうか。美しく見れる時期は初夏。6月下旬から7月上旬が見頃とされています。トイレやその他設備も充実。お子さま連れでものんびり楽しめそうな自然スポットです。
名所3.宮城県長沼はすまつり
宮城県登米市にある長沼のハスを、船の上から間近に見ることができるイベントです。一面に広がるハスの花を楽しみたいなら、ぜひ行ってみたい場所。必要な料金は、一般700円、小学生500円、園児300円。3歳児以下無料です。(2017/12/15現在)
名所4.福井県花はす公園
約130種類の花ハスが見られる、福井県の名所です。ハスの花に特化した公園というのは珍しく、一見の価値あり! 毎年開花の季節には「花はす祭り」が開催されます。
名所5.京都府三室戸寺
京都旅行のついでに立ち寄りたい、三室戸寺。ツツジやアジサイの名所としても有名です。4月~10月の間は、8:30~16:30にかけて公開されています。ぜひ朝一番に行って、開いているハスの花を見たいところ。
ハスの花の育て方は? 自宅で育てられる?
大型の容器があれば育てられる
大型の容器があれば、池がなくてもハスの花を自宅で育てることは可能です。その際には、中小型の種類を選びましょう。オリエンタルで独特の魅力を醸し出すハスの花を、あなたもお庭で育ててみませんか?
ハスの花の育て方は簡単?
ハスの花は、やや上級者向きの植物です。 日当たりが充分でないと、花が咲きにくくなりますし、水の中で育つ植物なので、まったくの初心者さんはちょっと育てにくく感じるかもしれません。
育て方1.植え付け
季節や日当たり
育て始める季節は4月が良いでしょう。ハスは日当たりのよい場所を好みます。日当たりが悪いと、花もあまり咲かないので、一日中できるだけ長いあいだ日の当たる場所を探します。土は粘質土か、庭土で良いでしょう。田んぼのようなドロッとした土が理想的です。あらかじめ平鉢に苗を植えつけておき、それをさらに水中へと沈めましょう。
種まきの場合
ハスはほとんどの場合、苗から育てます。例外的に種を入手できたなら、5月のあたたかな季節がまきどきです。少し外の皮をむいておき、川砂を入れたポットにまきます。こうすることで、種が水を吸いやすくなります。腰水で育てれば、1~2ヵ月で苗へと成長するでしょう。
育て方2.日頃の管理
肥料
4月~9月の間は、1ヶ月に1度のペースで追肥を行うと良いです。市販の固形肥料でOK。植え付けの時にも、緩効性肥料を混ぜておいてください。
植え替え
育てていると、だんだん混み合った印象になってきます。3月か4月に株分けをして、毎年植え直したほうが良いでしょう。切り取った塊茎は、水平に植え付けます。乾燥に弱いので、掘り返した塊茎は放置せず、できるだけすぐに植え付けてください。
育て方3.水の量や冬越し
常に10センチ以上の水を張る
植え付け後は、常に10センチ以上の水深で育てましょう。水が減ってきたなと思ったら、足してください。一気に水を全部入れ替える必要はありません。むしろ、水を一気に入れ替えてしまうと、高い水温が保てなくなり、ハスの花の好む環境から遠ざかってしまいます。水中のバクテリアや微生物も古い水と一緒に出ていってしまうので、できるだけ水はそのつど少しずつ足していくようにしましょう。
冬越し
ハスは夏の季節を得意とする植物です。冬の寒さには弱いのではないかと心配に感じるかもしれませんが、それなりに耐寒性もあります。水が全部氷になってしまわない環境なら、充分に冬越しできるでしょう。
育て方4.剪定と病気
剪定
株元に日光を当てることが、ハスの花を育てるうえでは重要です。葉が増えすぎると水の奥まで光が行き届かなくなり、株元が日照不足を起こすおそれがあります。枯れた葉や茎から優先的に摘みとってください。
かかりやすい病気
ハスの花を育てるうえで、気をつけるべきは「腐敗病」です。これは、株全体が腐ってしまう非常に怖ろしい病気で、地中の菌が原因です。もし腐敗病にかかってしまったら、土ごと新しく入れ替えてあげる必要があります。この病気を予防するためには、乾燥を避け、菌が繁殖しないようにしておくのがポイントです。
スイレンとハスの花、どっちを育てる?
育て方が簡単なのはスイレン
見た目の似ている、スイレンとハスの花。「どっちを育てよう?」とお悩みになる方も多いのでは? 栽培難易度の点から見ると、どちらかといえば簡単なのはスイレンです。スイレンとハスは使う土やお手入れ方法も似ているので、まずスイレンから栽培に慣れ、自身がついたらハスの花に挑戦してみるのもあり!
どちらも寿命は似ている
数日間しか花を咲かせず、はかなく散ってしまうハスの花。それはスイレンも同じで、咲いたり閉じたりを繰り返しながら、4日間ほどで短い開花時期を終えます。
スイレンは、水に浮かんでいる姿が魅力
スイレンの魅力は、なんといっても水面に漂うようにして浮かぶ姿でしょう。この見た目が好きな方なら、スイレンはおすすめです。世界的に有名な画家、クロード・モネが深く愛した花としても知られています。『睡蓮』といえば、彼の代表作ですよね。
メダカと一緒に育ててみよう
メダカを入れる意味
ハスの花やスイレンは、鉢の中でメダカと一緒に育てることができます。メダカはかなり丈夫な観賞魚で、育てやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。オスとメスを一緒に入れておけば、産卵させて数を増やすことも可能。水の中を悠々と泳ぐメダカを見ていると、癒やされますよ。さらに、ボウフラ対策にもなります。
ボウフラとは
ボウフラとは、蚊の幼虫のことです。棒のような身体を振って泳ぐので、こんな名前が付けられました。蚊は少しの水と25度程度の気温があれば、どこからでも沸いてしまいます。一年中水を張っておかなければならないハスの花の容器の中は、ボウフラのすみかになってしまいやすいのです。
メダカはボウフラの天敵
メダカはボウフラを食べてくれます。庭にウォータースペースを設けたいときは、メダカを入れておくだけで、ボウフラ対策になるのです。蚊の発生を防ぐなら、ぜひ水の中にメダカを放しておきましょう。
メダカの育て方って?
メダカの育て方はとても簡単。冬の寒い季節でも、屋外で耐え抜くことが可能です。1日に2~3回のエサやりをしておけば、元気に育ちます。ただ、エサをあげすぎると水がにごりやすくなるので注意しましょう。寒い季節は活動が少なくなり、水中でじっとしています。この季節はエサを与えても興味を示さないことが多いので、無理にエサやりをしなくても良いでしょう。ちなみに、繁殖を行いたい場合、おなかにつけた卵を人の手で取り、隔離してあげる必要があります。メダカは自分の生みつけた卵を食べてしまうからです。
まとめ
泥の中からすっと美しく伸びる、ハスの花。たくさんの神聖な意味があるのも納得な、神々しいたたずまいです。育て方はちょっぴり難しいですが、その分開花したときの喜びはひとしおです。開花期間が短いのも、桜に似たはかない美しさがありますね。初夏に咲くハスを見に、ぜひ早朝から出かけてみてください。