芝桜(シバザクラ)の特徴
芝桜は、桜のように5枚のハート型の花びらがあり、また、芝生のように地面を覆うように生長することから、その名前が付きました。花自体は小さいですが、満開になると茎や葉を隠すくらいたくさん花が咲くので、とても見応えがあります。
芝桜は繊細でか弱いようにも見えますが、原産地が北アメリカということで耐寒性に優れ、日本でもとても育てやすい植物です。そのため、芝桜をたくさん植えて「芝桜のじゅうたん」を作る観光地も増えてきました。もちろん、家庭での栽培も比較的簡単で、植え方や育て方のコツさえ覚えれば上手に育てることができます。
しかし、そうは言っても、芝桜が枯れてしまうこともあります。原因はさまざまありますが、代表的なものを3つ、ご紹介します。
芝桜(シバザクラ)が枯れる原因3つ
環境が合わない
芝桜は丈夫な植物ですが、好みの環境と著しく異なる場合、枯れることがあります。例えば、一日中ジメジメした環境などは苦手としており、腐ったり枯れることがあります。
水やりのしすぎ
芝桜が育てやすい理由の1つに、乾燥に強いという性質もあります。その性質を活かした上手な植え方をしていても、水をあげすぎると、根腐れを起こしてしまい、枯れることがあります。
長年同じ場所で育てたことによる老化
芝桜は、特に手入れをせずに、放置しておいても毎年花をつけてくれます。しかし、確実に老化してはいるので、徐々に花つきが悪くなったり、葉の色が悪くなったり、株がスカスカになって、仕舞いには枯れることもあります。芝桜を同じ場所で長く楽しみたい場合は、きちんと手入れや管理をしてあげましょう。
芝桜(シバザクラ)を育てやすい環境
芝桜は、水はけがよく、日当たりのよい環境を好みます。そのため、斜面や石垣の上などでは育ちもよく、花つきもよくなります。もし植えようとしている場所がジメジメした場所だった場合は、少しでも通気性がよくなるように、土を調整しましょう。
元々ある土に、パーライトや腐葉土、赤玉土などを混ぜ込むと水はけがよくなります。また、土はしっかりと耕し、根が張りやすいようなふわふわの土にしてあげましょう。
もし、土の調整をしてもうまく育たない場合は、植え替えをするのも一つの方法です。より乾燥した日当たりのよい場所に植え替えてあげましょう。もし植え替える場合は、できるだけ早く判断し、植え替えてあげると、根のダメージが少なくて済みます。
芝桜(シバザクラ)の植え方
芝桜の苗が出回るのは春と秋の2回です。その他の時期にも苗が売っていることもあり、植え付けもできます。ただし、真夏と冬は苗が急激に弱ることがあるので、注意しましょう。特に、植えた直後に霜に当たると枯れることがあるので、冬の植え付けの場合は、霜よけをするなど対策をしましょう。
芝桜を植える場所が決まったら、いよいよ植え付けです。芝桜の植え方で注意が必要なのが、複数植える時の苗同士の間隔です。芝桜は横に広がっていくので、苗と苗の間は20㎝~25㎝程度空けるのがおすすめです。
ポット苗を選ぶときは、できるだけ葉が密に茂っているものを選びましょう。販売されている環境によって、既に蒸れて株が弱っている場合もあるので、苗の根元の状況などをしっかり観察してみてくださいね。
植え方は簡単で、そのままポットから抜き取って植えます。ただ、ポットの中いっぱいに根が張っていて固くなっていたら、少し根を揉んでほぐしてあげると、根が張りやすくなります。
また、芝桜にはマット苗も存在しています。芝生のマット苗はメジャーなので園芸店やホームセンターで入手できますが、芝桜のマット苗は通販でしかあまり見かけません。大体25㎝×25㎝程度のサイズで、できるだけ早く地面を覆わせたい場合などにおすすめです。マット苗の場合は、苗と苗の間隔を5㎝程度空けて、植えつけてください。
芝桜(シバザクラ)の育て方①水やりの仕方
芝桜は、乾燥した環境を好む上、乾燥に強いので、水やりはあまり頻繁に行わなくても大丈夫です。土の表面が乾いたことを確認してから水やりするようにすると、根腐れを防ぐことができます。また、夏場は暑い時間に水やりをすると、蒸れて枯れてしまうことがあります。できるだけ涼しい時間にみずやりをするようにしましょう。
芝桜(シバザクラ)の育て方②肥料のやり方
春の開花に向けて、2月~3月に液体肥料をあげます。2週間に1度程度、水やりの時に一緒に液体肥料をあげると、花つきもぐっとよくなります。更に、3月下旬ごろに、緩効性の置き肥をすると、花を長く楽しめます。ただ、どの植物にも言えることですが、肥料のやりすぎは厳禁です。肥料に書かれている用量を守って使用しましょう。
芝桜(シバザクラ)の育て方③土を足す
シバザクラは、同じ場所でずっと育てていると、葉が落ちて、株全体がスカスカになります。もしスカスカになってきたら、茎の丈の半分程度埋まるまで、足してあげましょう。そうすることで、新しい芽や根も生えやすくなります。
芝桜(シバザクラ)の育て方④剪定と挿し芽
芝桜は、花が終わったタイミングで、剪定してあげます。目安としては、梅雨入り前がおすすめです。梅雨入り前に剪定することで、蒸れて枯れてしまうことを防げるので、少し花が残っていても、重いきって剪定しましょう。全体の半分程度の丈にしてあげると、脇芽が増えて、きれいな葉が茂ります。
剪定で切り取った茎は、挿し芽で増やすこともできます。暑い時期や寒い時期は管理が難しいですが、春や秋なら、比較的成功率は高いです。肥料分の少ない土や、園芸店で販売されている挿し芽用の土を用意し、茎を挿し、根付くまでたっぷり水をあげて管理します。
うまく根付けば、新芽が生えてくるので、ある程度株が大きくなったら、花壇や鉢に植え替えてあげましょう。その際も、先に紹介した植え方を参考にしてくださいね。
芝桜(シバザクラ)の育て方⑤株分けと植え替え
芝桜の株が大きくなると、株分けで増やすこともできます。花が終わってから、根を傷つけないよう、できるだけ広く掘り起こします。そして、2~3株に手でちぎって株分けします。株分け後はたっぷり水をあげて、定着させてあげましょう。
また、植え替えも同様に、できるだけ広く掘り起こして行います。株が大きいと、植え替え時のダメージが大きくなることもあるので、株分けするように少しコンパクトな株にしてから植え替えると、その後の生長もよくなります。
芝桜(シバザクラ)の育て方⑥冬の管理
芝桜は、寒さに強いですが、寒くなると葉の色が黄色や赤色に変化し、枯れたような姿になることがあります。しかし、安心してください。春になると、どんどん新芽を出し、また元気に花を咲かせてくれます。
冬でもきれいな緑色の葉のままの品種もあるので、それらと比較して、早まって抜いてしまわないよう、芝桜の冬の姿もしっかり覚えておいてくださいね。また、冬の間は生長が停まるので、水やりはしなくても大丈夫なことが多いです。
芝桜(シバザクラ)のおすすめ品種9種
芝桜にはたくさんの品種があります。その中から、おすすめの品種を9つピックアップしました。難易度が低い順にご紹介していますので、品種選びの参考にしてみてください。
マックダニエルズ・クッション
マックダニエルズ・クッションは、ダニエルクッションという名前で呼ばれることもあります。数ある芝桜の品種の中で、最も育てやすい品種で、暑さや寒さにもとても強いです。
花も大きめで、色もとても濃いピンクなため、存在感も抜群です。ただ、生長は少し遅めなので、植えつける際は、少し間隔を狭くしてあげると、早く地面を芝桜で覆うことができます。
オータムローズ
オータムローズは、マックダニエルズ・クッションに比べると少し優しいピンク色です。寒さや暑さに強く、とても育てやすい品種な上、冬でも葉が美しい緑のままなので、グラウンドカバーにもおすすめです。
アトロプルプレア
アトロプルプレアは、少し紫がかったピンク色で、花びらが細めな芝桜です。他の芝桜に比べ、花を楽しめる期間が長く、生長も速いという特徴があります。
リトルドット
白い芝桜の中で、一番育てやすい品種が、このリトルドットです。カルビデスホワイトと呼ばれることもあり、純白の花がとても美しく、人気があります。
多摩の流れ
多摩の流れは、キャンディーストライプとも呼ばれ、白地にピンク色の縞模様がかわいらしい品種です。育てやすい品種ではありますが、寒冷地では葉が落ちることもあります。しかし、暖かくなると新芽が出てくるので、枯れてしまったと勘違いして、抜いてしまわないように気を付けてください。
モンブラン
モンブランは、葉の色が明るい黄緑色で、空間を明るくする効果が期待できます。他の品種に比べて、花はやや小さめですが、その分たくさん花が咲くので、満開になると見事です。ただ、生長が早いため、蒸れやすいです。梅雨前の剪定は、強めに行いましょう。
スカーレットフレーム
スカーレットフレームは、とても濃いピンクで、赤系の芝桜として扱われています。花数は他の品種に比べて少ないですが、独特な色と、育てやすさから人気があります。段差があると、下に垂れるように伸びるので、ハンギングにも向いています。蒸れに少し弱いので、剪定は強めにし、風通しの良い場所で育てましょう。
アメージンググレース
アメージンググレースは、他の品種に比べ、市場に出回る数が少ない品種です。しかし、愛らしい色合いから人気が高く、有名な品種でもあります。ただ、蒸れに弱く、乾燥しすぎると枯れてしまうという、少し厄介な性質があります。
風通しを良くしつつ、水をしっかり与えるという、絶妙な管理が必要になるので、芝桜やその他の植物の栽培に少し慣れてからチャレンジした方が良いかもしれません。
オーキントン・ブルーアイ
オーキントン・ブルーアイは、芝桜の中では珍しい青系の花で、人気があります。花の数は少し少なめですが、開花期間が長いため、数の少なさはあまり気になりません。また、生長がとても早いという特徴もあります。ただ、育て方は他の芝桜に比べてやや難しく、寒さや蒸れには注意しなければなりません。
芝桜(シバザクラ)をできるだけ長く楽むために
芝桜が枯れる原因や、上手な植え方や育て方をご紹介してきましたが、いかがでしたか。芝桜は、特に水やりのやり方を誤って枯らしてしまう人が多いようなので、乾燥気味に育てるといことを常に頭に置いておくと良いかもしれません。毎年、株いっぱいに咲き乱れる姿は本当に美しいので、長く楽しめるように、上手に管理してあげてくださいね。