何故船酔いする?そのメカニズム
そもそも何故、乗り物に乗ると気持ち悪くなってしまうのでしょうか?特に船で起こりやすいというだけで船酔いはどんな乗り物でも起こる場合があり、その原因には「揺れ」が大きく関係しています。 乗り物に乗っているとき、人はほとんどの場合は動くことがありませんが、乗り物は段差等で不規則に大きく揺れるため「自分は動いていないのに、体は絶えず揺れ続ける」と言う様な状態となります。 この揺れが耳の内側にある「三半規管」と呼ばれる器官を刺激し、自律神経の乱れなどを引き起こし、体が一種のパニック状態となることで「乗り物酔い」が発生するのです。
船酔いしやすい人としにくい人の違い
船酔いといっても、どんなに揺られても平気だという人や、対処法や酔い止めを持っていても酔ってしまう人がいますよね。船酔いの原因やメカニズムには体の機能のみでなく「乗り物に乗っている」という精神的ストレスも大きく関係しており、乗り物嫌いの人は特に酔い易い傾向があります。 また、船をはじめとする乗り物特有の不規則な揺れを経験しているか、していないかも関係しており、最初はひどい乗り物酔いになっていても、何度も乗っていたら平気になったということもあります。 「酔うかもしれない」と意識するとかえって酔ってしまうので、乗り物では緊張を緩め、リラックスを心がけましょう。
お酒の酔いとは違う?
船酔いは同じ「酔い」でもお酒による酔いとは異なり、お酒に強いけど船には弱い、という事もあり、逆もまた然りです。船酔いは自律神経のパニックによって起きるのに対し、お酒で酔うのはアルコールで脳の活動が抑制されて起きるものなので、同じ「酔い」でも原因からして全く異なるものなのです。 悪酔いで発生する嘔吐も、アルコールの分解される課程で起きるものなので、2つは全くメカニズムからして全く異なるものです。 といっても、お酒でも飲みすぎたら船酔いに似た症状が出るようになるので、程々にしましょうね。
乗り物酔いを未然に防ぐには?
なんといっても船酔いはならないのが一番、そもそも乗り物に乗らなければなることはありませんが、そうも行きません。以下の5つをしっかりと守り、酔いを未然に防止するようにしましょう。 もちろん、乗ってしまった後も乗り物酔いを予防する手段や対処法は存在します。
乗り物に乗る前はしっかり睡眠を
船旅の前日、海上で長時間揺られるという不安から眠れなくなってしまう…ということもあるかもしれませんが、睡眠不足や過剰なストレス、過労は船酔いの原因。 その日に向けしっかりと体調を整え、リラックスした状態で船に乗るようにしましょう。
空腹は逆効果!オススメのお菓子や飲み物
船酔いがひどくなり、嘔吐してはいけないとお腹に何も入れず乗ってしまおうと言う方もいますが、食べ過ぎはもちろん空腹も酔いの元。消化のいい食事をとり、お腹の調子を整えるようにしましょう。 お腹が空いてしまった時に備えて、キャンディーやチョコレートなどのお菓子を用意しておくのも有効で、特にミント味等の清涼感のあるものを選べば、いい気分転換となります。 飲み物としておすすめなのはミントティーやハーブティー、おろしショウガ入り紅茶など、特にショウガは吐き気を抑える効果が、ミントティーは胃の不快感を軽減する効果があるため、両方取り入れる事をオススメします。
揺れる席と揺れない席
乗り物の多くは外側に近いほど揺れが大きくなります。座席はなるべく中央寄りのものを選び、進行方向に近い席を選ぶようにしましょう。乗っている時の姿勢も、窮屈なものは避け、ゆったりと座るようにしましょう。 また、乗り物酔いのメカニズムは耳によって発生するため、アゴを引き頭を揺らさないようにするだけでも、大幅に乗り物酔いの防止に繋がります。 進行方向を見て、乗り物がどの方向に行くか予測し、首や体を傾けるのも有効です。進行方向が見えないという場合は窓を眺め、できる限り遠くの景色を見るようにしましょう。気分転換になるだけでなく、乗り物酔いの予防にも繋がります。
乗り物でスマホは見ないほうがいい?
気を紛らす時おおいに役立ってくれるスマートフォンですが、乗り物に乗っているときはあまり見ないようにしましょう。気晴らしのはずが、かえって悪化してしまうかもしれません。 新幹線やバスの中でスマホを見ていたら乗り物酔いになった、という事例が多くある通り、乗り物内でのスマホいじりは逆効果です。 人間の目は左右の動きは得意ですが、上下の動きは苦手で、乗り物の揺れに合わせスマホの画面も不規則に上下するため、不得意な動きを長時間強要されるため酔いが酷くなってしまう、と言う訳です。 それでも見たいと言う方はじっと画面を見つめるのはやめ、画面をスクロールするときだけ目を閉じたり、意識して瞬きをするようにしましょう。それだけでも目にかかる負担がぐっと減ります。
酔い止め薬は乗る前に
酔い止め薬は酔った後に飲むより、船に乗る前に服用するほうが効果的です。乗る30分~1時間前に服用するのがもっとも効果的と言われ、予防的に服用しておくようにしましょう。船酔いになってしまった時も効果的なため、不安だという方はカバンに1個、お守り感覚で入れておきましょう。 服用の際はできる限り水かぬるま湯で、お茶やジュースで飲むと、正しい効果が得られなかったり、効果が薄まってしまうことがあるため気を付けましょう。
船酔いになってしまった時の解消法
予防をしていても、なってしまうときはなってしまう船酔い。しかも手元に酔い止め薬がないという場合、どうやって解消すればいいのでしょうか? なんといっても酔い止め薬を飲むのが一番ですが、ここではそれ以外の対処法を紹介していきます。
外気を取り入れ、楽な姿勢を
乗り物酔いの解消には新鮮な空気を吸うことが効果的、外の空気を吸ったり風に当たったりして気分転換をするようにしましょう。服もベルトをゆるめたりボタンを外したりして締め付けを緩め、シートを倒したり横になったり、体にかかる負担を抑えるようにしましょう。緊張をほぐすため外の景色を見たり、おしゃべりしたりするのも効果的です。 また、あまり取りたくない手段ですが無理に我慢せず、嘔吐してしまうという手段もあります。吐いた後は持参した飲み物や水で口をゆすぎ、口の中をすっきりさせましょう。
船酔いに効くツボ
乗り物酔いには「ツボ」を押すことも効果的です。酔いとツボというと、一見結びつかない単語ですが、体内の平衡感覚を正常にしたり、自律神経を整えることで身体を正常な状態へ戻し、結果的に乗り物酔いの解消に繋がる、と言う訳です。 まずは「内関(ないかん)」と呼ばれる、手のひら側の手と手首のちょうど真ん中にあるツボ。胃の不快感や吐き気を和らげ、二日酔いに効くツボとしても有名です。 手の甲側の同じ個所には「外関(がいかん)」というツボがあり、こちらは自律神経を整え疲労を回復に作用があります。どちらも押しやすい箇所にあるため、内関と外関はどっちも押すようにしましょう。 ほかにも、足の内側にある「築賓(ちくひん)」。足の薬指と小指の付け根の間にある「築賓(きょうけい)」などがありますが、やや押しにくい箇所にあるため、気持ち悪くなったら手と手首の真ん中を押すと覚えるとよいでしょう。
どうしてもダメなら病院へ
いくら対処や防止を行っても気持ち悪くなるという場合は、病院に行くという手段もあります。乗り物酔いの原因は三半規管、および自律神経の乱れによって起こるため、耳鼻科で耳や脳に疾患がないか確認してもらいましょう。 乗り物酔いで病院に行くなんてと思ってしまうかもしれませんが、ムリは禁物ですよ。
乗り物に乗る前に気を付けること
船に乗りたいが、船酔いが心配…という方も少なからずいらっしゃるでしょう。中には船には弱いが釣りは好きという人や、睡眠不足が原因と分かっていても徹夜で船に乗るという方もいらっしゃいます。 「自分だけが酔ってしまう」という訳ではなく、乗り物に乗っていると言う事は、ある意味全員「酔い」のリスクを抱えたうえで乗っている、という訳です。 ほかの人に迷惑をかけるかもしれないと意識するとかえってストレスがかかってしまうため、リラックスし、きっちりと防止の準備してから乗るようにしましょう。
船酔い/乗り物酔いに関するまとめ
乗り物酔いはある意味誰しもがなる可能性のある症状、防止策を知っているか、知っていないかで不安は大きく変化します。船に乗りたいけど、乗り物酔いはイヤ!という方はこの記事に書いてあることを参考にし、今まで躊躇っていた船に乗ってみる、というのはいかがでしょうか?