ビカクシダとは
ビカクシダは、熱帯地帯で樹木にくっついて生きています。別名を「コウモリラン」といいますが、蘭(らん)ではなくシダの植物です。 インテリアグリーンとして人気があり、特徴的な葉っぱが可愛くおしゃれで、お部屋のアクセントになりますよ。それにハンギングとして吊るせたり、板に貼り付けて育てながら飾ることができます。 インテリアに何か加えたいと思った時におすすめの観葉植物です。
基本情報
科名はウラボシ科、属名はビカクシダ属です。 学名は「Platycerium」。 英名は「Common staghom fern」といいます。 多年草で、草丈は種類によって10cm〜になり、1m以上も成長するビカクシダがあります。
原産地と分布
ビカクシダの原産地と分布域は、アフリカ、マダガスカル諸島、東南アジア、オーストラリアなどの熱帯地域で、数種類あります。 樹木について自生しています。1本の木に、たくさんのビカクシダがびっしりとつくこともあるんですよ。くっついているだけなので、樹木の養分を吸っているわけではありません。 日本へやって来たのは明治時代です。
ビカクシダ名前の由来
ビカクシダを漢字で書くと『麇角(びかく)羊歯(しだ)』となります。「麇」は「のろ」とも読み、ノロジカという鹿(しか)の種類のことです。葉っぱの形がこのノロジカの角(つの)に似ていることからつけられました。「羊歯(しだ)」とは植物のシダのことですね。 そういわれると確かに似ています。鹿の角を飾ることもあると考えれば、ビカクシダを板付けして育てるのも納得?
コウモリラン名前の由来
ビカクシダは「コウモリラン」ともよく呼ばれています。 コウモリランの名前の由来は、やはり葉っぱの形。コウモリの羽に見えるのでこの名がつきました。なぜランなのかは不明です。語呂がよいからでしょうか。 他にも「ビフルカツム」や「プラティケリウム」という呼び名があります。
ビカクシダの特徴
ビカクシダの特徴は葉っぱにあり、2つの形体からなっています。 1つは貯水葉(ちょすいよう)、外套葉(がいとうよう)、裸葉(らよう)と呼ばれるものです。葉っぱまでも呼び名が多くてちょっとややこしいですね。もう1つは、ノロジカやコウモリの羽のように見える胞子葉(ほうしよう)になります。 それと、シダなので花は咲きません。
貯水葉について
まず貯水葉(この呼び名に統一します)は、根元を隠すように生えてきます。だからといって根元のカバーではありませんよ。 名前の通りこの貯水葉に水をためます。しかも虫までも吸収し養分としてためるんです。恐るべきたくましさ。初めは緑色でしだいに茶色く変色してきますが、機能していますのでそのままにしておきましょう。 貯水だけでなく樹木にくっつく役割もあります。
胞子葉について
胞子葉はビカクシダのルックスにあたります。名前の決め手でもありますからね。この葉っぱの先に胞子嚢(ほうしのう)という胞子を作る部分がつきます。 実は、鑑賞の対象になるのは胞子葉だけでじゃありません。貯水葉もキレイに生える品種があって、どちらの葉っぱも楽しめます。
花言葉と風水
ビカクシダは花がつかないにも関わらず、『信頼』『助け合う』という花言葉を持っています。 自生しているものは、樹木にくっついていないと生きられないことからつけられました。他の花言葉に『魔法』もあります。 風水的にはリラックス効果があるとされています。貯水葉の緑色から茶色へ変化していく様子が心を落ち着かせてくれるようです。
ビカクシダが適した環境
インテリアグリーン初心者でも注意点に気をつければ、ビカクシダの育て方は難しくありません。まずはどういった環境に置くのが適した育て方なのかを説明していきます。 気温の耐性については、寒さに弱く、暑さに対してはそこそこの強さがあります。熱帯の植物ということが関係しているんですね。それと日にあまり当たらなくても育つ耐陰性(たいいんせい)を持っています。
置き場所
耐陰性を持ちますが、日光が大好きなアウトドア派です。日が全然当たらないと、葉っぱが黄色くなり弱ってきます。 日を当てた方が丈夫に育ちますよ。だけど夏の時期は直射日光に当たると葉っぱが焼けてしまうことも。屋外なら半日陰か明るい日陰に置く、または遮光ネットなどで50%前後の遮光をすると安心です。室内ではレースのカーテンごしに日を当ててあげましょう。
冬越し
気温が10度より下がると成長がゆるやかになります。5度以下になると寒さに負けて枯れてしまいます。なので冬は室内で管理してください。 暖房は室内が乾燥するので注意しましょう。風が当たるとカラカラになってしまうので、暖房から離した場所に置いて、葉っぱに霧吹きなどで水をかけて乾燥を防ぐようにします。 それから窓辺は気温が下がりやすいので、ここも避けてください。
ビカクシダの選び方
ビカクシダは板付やハンギングするとより楽しめますが、鉢植えの育て方でもOKです。板付での飾り方は後半で説明します。 購入の前にビカクシダの選ぶポイントを。最初に害虫の有無をチェックしてください。当然、害虫のついていないものを選びます。それと葉っぱ(貯水葉と胞子葉)に元気のあるものがいいです。変色しているものは避けましょう。
ビカクシダの管理
ビカクシダの育て方の基本となる、水やり、肥料、植え替えの管理方法を説明していきます。 先に説明した置き場所に気をつけて管理をしっかりとおこなえば、長く育てることが可能です。インテリアに欠かせない可愛い存在になってくれますよ。 植物を育てる際、水やりで失敗しがちなため特に注意してくださいね。
水やり
湿度の高い熱帯に自生する植物ということで、水やりが多く必要と思われがちですが違います。確かに湿度のある環境がいいものの、用土は別です。土や水ゴケがずっと湿っていると、根っこがくさって枯れてしまいます。 春〜秋は、土や水ゴケがちゃんと乾いてから水やりしましょう。冬は成長を休んでいますので、水やりのひんどを減らしてください。
肥料
ビカクシダは基本的に肥料がなくても問題ありません。でも肥料を適量ほどこせば早く成長してくれますよ。ただ与えすぎると肥料に負けてしまうので注意してください。肥料を与える適期は春〜秋です。冬は控えましょう。 ゆっくりと効き目がでてくる緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)を1年に1回、貯水葉の下に置きます。液体肥料の場合は、うすめて貯水葉に与えます。
胞子葉の剪定
胞子葉は古くなると枯れるので、取り除いてしまいましょう。そうすることで風通しが良くなって、病気や害虫を予防できますよ。 貯水葉は茶色になると一見枯れたように見えますが、生きてますし働いています。取らないようにしてくださいね。
植え替え
植え替えはあまり必要ありません。ただ株が巨大化してきたら、梅雨〜夏の時期に植え替えをします。おおよそ3年ごとの周期になります。 植え替え方は植え付けと同様です。このタイミングでも胞子葉の剪定をおこないます。それと葉っぱにうすく生えた毛がある場合、触らないようにしてください。この毛は胞子をつけるのに重要なものです。
ビカクシダの増やし方
ビカクシダは胞子からと、株分けによる増やし方があります。植え替えのタイミングでおこなうのがいいですよ。 正しい増やし方を知って数を多くし、他の部屋や色んな場所にかざりましょう!おすそ分けするのも喜ばれると思います。
胞子
胞子での増やし方は、土や水ゴケなどを十分に湿らせて、そこに胞子をまくことで上手くいけば発芽します。 少しでも乾燥しないよう湿度には気をつけてください。水やりはキリ吹きでおこない、普段は上からラップをかけておくのがおすすめ。明るい日陰に置き、気温は20度ほどがベストです。
株分け
株分けによる増やし方は、もとの株から子株をはずして育てていく流れになります。 株分けするタイミングは、子株から生える胞子葉が3枚ぐらいになった時。5月〜8月頃が適期です。はずした子株をヘゴ板や水ゴケ、鉢に植え付けてください。
ビカクシダのおしゃれな飾り方
ビカクシダの育て方は、オーソドックスな鉢植え、おしゃれに飾れる板付けやハンギングがあります。せっかくなので、インテリアをより素敵にする板付けかハンギングで育ててみましょう!一歩先行くお部屋作りができます。 植え替えの時に株分けした子株を使うのが効率的にいいですよ。今回は板付けのやり方を説明していきます。
板付け
まず、お湯を沸騰させ火を止めたら水ゴケを入れます。水ゴケに水分をしみこませることと殺菌の目的があるんですね。30分ほどそのままにして、その後は十分に冷まします。 板付けする株は、根っこを痛めないよう注意しながら土を取り除いておきます。 株を板へ置き、囲むようにまわりへクギを数本打って、水ゴケを株元にかぶせます。麻ひもをクギにひっかけながら、水ゴケを固定させてください。ちゃんとくっつけば完成です。
ビカクシダが被害にあう病害虫
ビカクシダは湿度を好むため、その影響で「炭そ病(たんそびょう)」にかかることがあります。被害部分は処分して、薬剤をかけてください。 発生しやすい害虫は「カイガラムシ」です。幼虫を見つけたら殺虫剤で退治しましょう。でも成虫には効かないので、使い終わった歯ブラシなどで取り除いていきます。 乾燥すると「ハダニ」も出てきます。葉っぱにキリ吹きで水やりすることが予防になりますよ。
ビカクシダの種類
ビカクシダの種類は、約18種類です。インテリアグリーンによく使われるのは「プラティセリウム・ビフルカツム」という種類。育てやすく、葉っぱが小さめでバランスの良さに人気があります。 他の有名な種類は「プラティセリウム・ウィリンキー」で、細長くダラんとした胞子葉が目を引きます。丈夫で増えやすいから、先に紹介した増やし方でたくさん育てることができますよ。
まとめ
珍しい形をした葉っぱが、おしゃれなインテリアにベストマッチするビカクシダ。育て方や増やし方をご紹介してきました。面白い由来や特徴も印象的です。 管理の中でも置き場所と水やりに気をつかえば、植物に慣れていない人でも育てられます。肥料と植え替えの必要はあまりないので、手間もかかりません。 板付けやハンギングといった飾り方で、個性のある素敵な空間を演出してみてくださいね。