はじめに
主に北海道で獲れるホッケですが第二次世界大戦後の日本では「まずい魚」という印象がありました。 その背景としてあげられるのが、物資・食料ともに不足していた戦後の日本では漁獲量が多いホッケは安値で売れる魚としてもってこいの魚でした。 ただ、水揚げされたホッケは塩漬けにして配給されていたのですがホッケは鮮度の低下が早い魚になるのその鮮度の低いホッケを食べた人が「まずい魚」という印象を抱いたそうです。 そのため現在では品質が一番安定している「干物」という形で日本各地に出回っています。 そんなホッケについてご紹介いたします。
ホッケ/分類
カサゴ目アイナメ科ホッケ亜科ホッケ属
ホッケ/外国名
Atka mackerel, Arabesque greenling
ホッケ/学名
Pleurogrammus azonus (Jordan and Metz, 1913)
ホッケ/由来(漢字)
「法華」の由来 鎌倉時代に日蓮宗(法華経)の僧侶が蝦夷地を訪れた去り際にお礼としてホッケを獲れるように説き当時の住民がその魚のホッケを「法華」と呼んだのが始まりと言われています。 「?」の由来 当て字という説がありますが、説としては幼魚期のホッケの体色が青緑色をしており、群れて泳ぐと花のように見えること、産卵期のオスが唐草模様の鮮やかなコバルト色になることからつけられたという説があります。 他に?という漢字の旁が花であることと北で獲れることから「北の花」とされそこから読み方が徐々に変わり「ほくか」となり、「ホッケ」となったと言われてます。 「北魚」の由来 北で獲れる魚なので北魚と呼ばれている説があります。 「北方」の由来 こちらもそのままの意味で主に北の方で獲れる魚なので北方と書いてホッケと呼ばれている説です。
ホッケ/由来(カタカナ)
一方のカタカナ表記でホッケですが、アイヌ語だという説があります。 ホッケはアイヌ語でホㇳケ(hotke)と読み意味が水底に沈んで横たわる魚だそうです。なのでそこからホッケと呼ばれた言われています。
ホッケ/生息地域・分布
黄海、オホーツク海、ロシア沿海地方、新潟以北の日本海側、茨木県以南の太平洋側、千島列島などに生息しています。 ただ北海道周辺から東北にかけて分布する個体については産卵時期の違いや分布域の違いによって系群が4つに分かれています。 ・北部日本海 - オホーツク系群 日本海側からオホーツク海の道北にかけて分布しているホッケのことを言います。 主に樺太島、宗谷、留萌、石狩、後志、網走が含まれます。
・羅臼 - 太平洋系群 千島列島や羅臼沿岸から襟裳岬西岸にかけて分布しているホッケのことを言います。 主に根室、釧路、十勝、日高が含まれます。 ・道南 - 本州系群 本州沿岸から道南沿岸にかけて分布しているホッケのことを言います。 主に胆振、檜山、渡島、青森県が含まれます。 ・沿海州系群 ユーラシア大陸東岸の沿海州沿岸に分布しているホッケのことを言います。 主にロシアの沿海地方のことを差します。
ホッケ/生態・生育環境
通常は底層から中層の沿岸部に生息しているますが、産卵期及び稚児が孵化するまでの子育て中は水深15m~20m前後の沿岸部にて生息します。 産卵期は8月中旬ごろから12月中旬頃で産卵は沿岸部の水深15m~20m前後の岩礁域で行い主に石の間や岩の割れ目、窪みなどに産卵し、子育てはオスのホッケが行います。 稚魚が孵化するまで50日から60日間かかると言われており、孵化してからは浅い海域にて生育し、成長してきたら徐々に沖合の海底へと移動します。
ホッケ/特徴・形態
産卵期のオスは頭頂部と尾びれの先に黒っぽい婚姻斑が現れ、体の色は白っぽく変化します。 稚魚期のホッケは体の色が青緑色をしていますが大きく成長するにあたって体色は徐々に褐色色へと変わっていきます。
ホッケ/種類
真ホッケ
函館近海で獲れる魚です。一般的に函館の食卓に上がるホッケでホッケ本来の味が楽しめる真ホッケです。
縞ホッケ
ロシアのオホーツク海で獲れる魚です。身体に縞模様が入っているのが特徴なのとロシアから輸入する際に少しでも大量に運べるように頭部をカットされて運ばれてくるため大抵の頭部のないホッケは縞ホッケになります。 脂の乗りがとてもよく大きさも大きいホッケが多いのが特徴です。
根ホッケ
函館、椴法華、恵山などで獲れる回遊しない魚のことを根ホッケと言います。種類は真ホッケなんですが、回遊しないで海の棚にずっと生息しているのためとても肥えていて真ホッケより脂ののりがいいです。
ホッケ/釣り情報
時期
春がおすすめです。 沖に出てしまえば一年中狙える魚にはなりますが秋の産卵前のほうが栄養を蓄えていて脂の乗りも良く美味しそうかと思いますが、春のほうが「指偏重」とされて美味しいと言われています。 なのでねらい目は春・秋の4~5月、秋~冬にかけてがおすすめです。
漁法
主に行われている漁法としたは3つあります。 袋状の網を海底にセットし1~2時間後にその網を海底につけながら船で引きながら獲る方法の「底曳網漁」や大型の網を円形に広げて泳ぎ回る魚を包み込むように素早く群れごと獲る方法を「巻網漁」と言い、袋のような網を仕掛けて捕まえる身綱や魚の通り道に網を張り魚を誘い込んで捕まえる垣綱と言う方法の「定置網漁」などが主に行われている漁法になります。
釣り方
投げ釣りでホッケを狙う場合は胴突き仕掛けの投げ釣りを使用します。 投げ竿は20号~30号前後で大きさは4m前後の中型3000番~4000番のスピニングリール、道糸ナイロン5号~8号の幹糸8号~10号の1m前後のサルカンを使用し、ハリスは4号~5号の10cm~15cm、針はセイゴ13号、オモリは20号~30号の物を使用します。 餌はゴカイやイソメ、バイオワームやイカの短冊などもおすすめですし、寄せ餌としてオキアミやダンゴなどと一緒に入れると尚、ホッケの気を引くことができます。
ウキフカセ釣り
ウキフカセ釣りで狙う場合は磯や堤防で使うフカセ釣りのタックルで全然問題なく、磯竿1号~2号で5.3m前後の小型2500番のスピニングリール、道糸ナイロン2号~3号にウキ止めやシモリ玉、円錐ウキB~3B、ガン玉B~3B、チヌ針の3号~5号を使用します。 餌は針を隠すようにオキアミやアミなどを配合したグレ用の餌を使用します。
サビキ釣り
サビキ釣りでは専用のタックルは必要なく磯竿や万能竿で十分です。 磯竿2号~3号のルアーロッド2m前後に小~中型の2500~3000前後のスピニングリール、道糸4号~6号にサルカン、サビキ仕掛けのハリス3号前後、オモリは5号~15号を使用します。 餌はオキアミブロックを解凍したものを使用しますがそのままでも大丈夫です。
ルアー釣り
ルアー釣りではシーバスロッド7ft~10ftの中型3000番前後のスピニングリール、メインラインPE0.8号前後のFGノット、リーダーフロロ3号~5号の80cm~120cm程度などを使用します。
場所
堤防の先端や磯の潮通しの良いところ、船を使って沖合で釣るのもおすすめです。
ホッケ/味・選び方
味
脂ノリがよくプリプリとした身が極上の味をしています。
選び方
北海道では生のホッケが販売されていますが、関東では鮮度低下が早いので生で売っていることはほとんどなく開いて干物などの加工品にして売ってあることが多いです。 日本で流通して売られているのがマホッケと呼ばれる北海道産の真ホッケとシマボッケと呼ばれる外国産のシマホッケです。 徐々に質のいいホッケが取れるようになっていているとはいえマホッケのほうが脂の乗りも良く味わいがいいとされています。 選び方として重要なのはホッケの「脂肪の乗り方」です。 なので、身と皮の間にどれだけ脂肪が蓄えられているか、ホッケが丸々ぷっくりしているかを基準に選んでください。 あとは生のホッケでいうと鮮度がとても大切になるのでホッケのお腹の部分がオレンジや白色かどうかしっかり硬いものぬめっとしているかなど確認してみましょう! オレンジや白色であればホッケが新鮮である証拠になるのでぜひ選んでみてください。 逆にホッケのお腹が柔らかいものは新鮮ではないんで注意しましょう。
ホッケ/栄養・寄生虫
ホッケの栄養
ホッケにはカルシウムがサンマの約2.5倍近く入っているとされアジと比べるとカルシウムはその約4倍と多く含まれています。 また、免疫力を高め風邪の予防をしてくれるビタミンAをはじめ、傷ついた神経の修復・貧血の予防に一役買ってくれるビタミンB12やもろくなりそうな骨や丈夫な骨や歯を作るサポートをしてくれるビタミンD、糖質や炭水化物、脂質の代謝を促してくれるナイアシン、血栓を溶かして血液をサラサラに保ってくれたり花粉症やアトピー性皮膚炎などの症状緩和に効能があるEPA、アルツハイマーや認知症などの予防に期待できるDHAが含まれています。 他にも疲労回復や高血圧予防など生活習慣病の予防にも役立っております。カリウムやリン、鉄、レチノール、葉酸なども含まれておりとても体にいい魚と言えます。
ホッケの寄生虫
ホッケにはアニサキスや旋尾線虫といった寄生虫が寄生しています。 アニサキスは半透明食をしており体長2~5cm程の大きさをしており魚の腸の中に渦を巻いて寄生する習性があり、人間が食べるとたまに胃や腸の壁を食い破ることがあるため吐き気や嘔吐、下痢などの嫌みといった症状が出ることがあります。 旋尾線虫は褐色色で体長5~10mmといった肉眼では確認できないほど小さい生物に胃や腸に寄生します。人間が食べると皮膚爬行症や腸閉塞を引き起こします。 そのため生食しないで下さい。お刺身とかで食す場合は「ルイベ」と呼ばれる冷凍保存(マイナス20°~30°)して凍ったままのホッケを食すようにして下さい。
ホッケ/料理・調理方法
主な料理品
ホッケと聞けばやはり開き干しが有名ですよね。それを塩焼きやフライにして食べたり、すり身にして食べたりします。 他には、かば焼きや煮つけ、ムニエルやちゃんちゃん焼き、鍋などやあら煮ねどいろんなアレンジ料理が存在します。 大きく分けて焼く、煮る、汁物、生食、ソテー、揚げ物、燻製などあります。
調理方法
北海道以外の日本ではすでに開きになって店頭に並んでることが多いホッケですが、せっかくなのでホッケのおろし方をご紹介します。 ホッケは一般的な魚なので基本の三枚おろしで大丈夫です。 手順としてはまずホッケの鱗を落とします。鱗がおとせたならホッケの頭部を落とし、内臓を取り出します。その後真ん中より少し上の部分を骨に沿って身体の両面をおろしています。次にホッケの皮を剥くんですが包丁を動かすというよりは包丁はあまり動かさずに皮をぴっぱるようにしてやるとうまくいくのでやってきてください。 最後に身の中心の中骨を取り除くので真ん中に切れ目をいれてホッケの三枚おろしの完成になります。 内臓が入っていた部分は細かい骨が多いので斜めにそぎ落として食べてもいいのでその辺はお好みになりますが食す場合は細かい骨に注意してください。
三大ホッケ
礼文島
一般的のホッケよりはサイズが大きく、身が厚く脂ノリがいい礼文島のホッケ。旬の時期は7月~8月となっています。
羅臼
羅臼は良質なプランクトンが多いのでサイズは大型のが多く脂ノリがよくふっくらしています。旬の時期は10月~11月となっています。
日高
うま味と甘みののった脂が特徴です。旬な時期は11月~12月になっています。
ホッケ/その他
地方名
・岩手県 - ホッキ ・山形県 - ホッケシンジョ ・佐渡 ー ドモシジュウ 他にもチュウホッケ、ボッケアなどと呼ばれています。
成長で変わる呼び名
・幼少期 体長約4~16cmで名前が「アオボッケ」 ・若魚期 体長約18~22cmで名前が「ロウソクボッケ」 ・生まれて2年の魚の春に沿岸に集まるホッケ 体長約23~28cmで名前が「ハルボッケ」 ・回遊をやめて大陸棚の岩場に住み着いたホッケ 体長約35m以上で名前を「タラバボッケ」や「ネボッケ」と呼ばれます
まとめ
いかがだったでしょうか。 ホッケについて基本的な情報からちょっとした雑学・役に立ちそうな情報をのせていきましたが、なかなか興味深いところがありましたね。 昔のホッケへの認識と今のホッケへの認識の違いやどうして関東や関西はホッケが開いている状態が多いのかなど勉強になる部分も多かったと思います。栄養もたっぷり入っていて産地によっては味も違うのでぜひお気に入りの場所のホッケを見つけてこまめに食べるようにしてみてくださいね。