ネイチャーボーイズ スローライダー
昌栄 竿受 NO.406
スーパーゴリルド
シマノ 両軸 ティアグラ 130A
ダイワ 電動リール シーボーグ 800J
ダイワ ソルティガ R J62S
シマノ 20 オシアジガー 4000
クエ釣りのための基本知識
1.クエとは
クエはハタ科に属する魚で、中部地方を含めた西日本から東シナ海と南シナ海沿岸まで分布しています。 水深50mまでの岩礁やサンゴ礁などを棲みかとして、大型のクエは単独で生活しているのが特徴です。
外観は地味で、淡い緑褐色に黒い横縞の模様をしていて海中でも目立ちにくい印象です。
産卵の時期は初夏から秋口で、繁殖行動の後に性転換を行う「雌性先熟」と呼ばれる繁殖形態を持っています。 クエは生まれた頃や小型・中型の時期は雌、大型に成長すると雄になるため、単独で生活するクエはほとんどが雄ということになります。
2.「垢穢」「九絵」クエの名前の由来
クエは見た目が悪く、垢で穢れているとの意味で「垢穢」 生涯で九回模様が変化することから「九絵」と漢字で表記されます。クエの特徴的な縞模様は成長するにしたがって薄れていくため、よく観察された表現であると言えますね。
また、九州各地では「アラ」と呼ばれますが、アラと名の付く魚は別に存在するため関係はありません。
クエ釣りはこんなにダイナミック!
1.驚くべきクエ釣りの世界!
クエは最大1.3m 30kg以上にも成長することがあります。 日本国内では最大級の釣り対象であることは間違いなく、大型のクエを釣り上げるためには入念な準備が必要となります。以下ではクエ釣りの特徴をご紹介しましょう。
2.仕掛けは強さが第一!
クエ釣りの仕掛けは普段目にするようなラインの太さ、ハリの太さとは大きく異なります。 ナイロンラインでは号数が3桁に登る場合もあり、専用のハリは簡単に折れたり曲がったりしない強靭なものが求められます。
3.撒き餌は1日30キロ!
クエを棲み家から誘い出だすため、餌は1日に30キロも撒く場合があります。 磯からクエを釣り上げるためには重い餌箱や釣竿、その他の道具など重量物を持ち歩く体力もある程度必要になります。
クエ釣りができる場所・時間帯は?
1.クエ釣りの場所は磯・沖
クエの生息域は岩礁帯なので磯釣り、船での沖釣りとなります。 また、クエは成長するに従って陸地から離れていく習性を持ちます。小さなクエは堤防などで釣れることもあるようですが、基本は磯釣り・沖釣りで狙うのが基本です。
2.磯釣りで押さえておきたいポイント
大物のクエを狙うなら地続きの磯ではなく、渡船を利用して沖磯・離れ磯に渡る必要があります。 クエの潜む場所には3つの条件が存在します。
・潮通しの良い場所ではなく、潮裏の澱んだ場所 ・急傾斜した海底付近の場所 ・海底付近にある洞窟のようにえぐれた場所 いずれも身を隠せる深さがある棲みかを探し当てることから始まります。
クエの実績ポイントで営業する渡船屋等での情報収集は欠かせません。 また、磯は危険が伴うポイントでの釣りでもあります。磯渡りの際は船頭の指示に従い、できれば経験者と同行するのが理想です。
3.沖釣りは竿先にだけに集中できる
沖釣りでは、実績のあるクエ釣りのポイントまで連れて行ってくれます。 この点で全てを自前で準備する必要がある磯釣りとは異なり、釣りだけに集中できるでしょう。
クエ釣りの為に出船する船もありますが、先に餌となる魚を確保してからクエ釣りに移行するスケジュールの釣り船も存在します。 また、中型程のクエなら泳がせ釣りの乗り合い船などでも釣れてくる可能性があります。
4.クエ釣りの時間帯は夜がベスト
クエを磯から狙う場合は薄暮時から夜がベスト。 これはクエは夜行性で、夜間に餌を捕食するためです。夜行性の魚は夜間に巣穴を離れますが、クエは巣穴の近くで餌を待ち構えていることが多いと言われます。
夜の磯は危険が多いポイントでもあります。日のあるうちに周囲の状況や、安全を確保しておきましょう。
クエ釣りに最適な時期は?
1.クエ釣りは時期を問わず
クエ釣り自体は一年中可能です。 ただし、沖釣りの場合は場所によってクエ釣り船を出していない時期もあります。 釣り宿にスケジュールの問い合わせましょう。
2.産卵の時期は見送ってみる
クエ釣りは大型の個体を狙いが主ですが、実際は釣穫できるものは小型や中型が多くなります。 産卵の時期には、釣って食べるとしても身が痩せてしまっている可能性があります。
クエ自体の数も多くないため、産卵前後の時期はクエ釣りを控え保護にも気を配りたいものです。 クエは冬の時期にもってこいの料理法が数多くあるので、寒さが増す前後の時期に狙いを定めてみても良いでしょう。
クエ釣りのための道具を徹底解説! ~磯釣り編~
1.磯用クエ釣り仕掛け図
2.クエ釣りに必要な竿
スーパーゴリルド
磯からのクエ釣りに要求される竿はとにかく頑丈であること。 手元の部分は太く引き上げる力が強い一方で、竿先はクエのアタリが捉えられるほどの柔軟性が必要です。
竿の調子は7:3と表記されるものが良く、これは竿先の3割程度が曲がることを示しています。7:3調子の竿は瞬発力に優れた魚を岩礁などの障害物から引き離すのに適しています。
また、竿の長さに関しては釣りをする場所に左右されます。短すぎるとラインが岩に擦れてクエを逃がす原因に繋がったり、長すぎると魚が暴れた際に動きをあしらい難くなってしまいます。4~5m台の竿を基準としますが、釣り場に合わせた竿選びが重要です。
3.クエ釣りに必要なリールの条件
シマノ 両軸 ティアグラ 130A
クエ釣りにはリール自体も頑丈であることが要求されます。 これには引き上げる力が強い大型両軸リールが最も適しています。巻き上げる力の強さと共に糸巻き量もかなりものですが、これは極太のラインをセットする必要性があるためです。
ラインはPEの場合6号以上、ナイロンでは70~80号のものを巻いておきます。
4.クエ釣りには捨てオモリ仕掛けで挑もう!
クエは海底に張り付いていて大きく移動しない魚のため、海底を狙う捨てオモリ仕掛けを使用します。 オモリ側に結んだイトを細くすることによって、根掛かりしたオモリは切り離せる仕掛けとなっています。
仕掛けの構成は頑丈なクレーンサルカンに先イトとしてワイヤーを2m、その先にクレーン親子サルカンを結びます。オモリと捨てイトは、先イトから一直線になる位置に結びます。
ハリス部は親子サルカンの空いたところにワイヤーハリス1.2mを結びます。ハリはクエバリの35号前後を確実に結びます。
クエ釣りのための道具を徹底解説! ~船釣り編~
1.船釣り用仕掛け図
2.クエの沖釣りで求められる竿とは
船でのクエ釣りは大型の泳がせ竿か専用のモロコ竿を使用します。 モロコとは西日本各地のクエの呼称です。 手元やリール付近が太く、竿先はアタリが捉えやすいように繊細であることが特徴。船の釣りでは長すぎる竿は取り回しが悪いため、長くとも2.5m以内のものが無難です。
3.大型両軸リール・大型電動リールを使おう
ダイワ 電動リール シーボーグ 800J
磯からのクエ釣りと同様に、船のクエ釣りでも大型両軸リールを使用します。 船釣りでは電源が確保できるため、電動リールも使うことが出来ます。
電動リールでは巻き上げる労力を省く他に、電力を利用した釣法などで活躍します。 セットするラインはPE8号またはナイロンの70~100号です。磯釣りよりも大型が掛かる可能性もあるので、更に頑丈さが求められます。
4.船のクエ釣り仕掛け
船のクエ釣り仕掛けは中通しオモリを使用した泳がせ仕掛けと、磯釣り同様の捨てオモリ仕掛けが使用されます。 どちらを使用するかは釣り船によっては指定がされている場合があります。
仕掛けは自作の他、釣り船推奨の仕掛けを購入するといった手段があります。 中通し仕掛けの構成はシンプルで、クレーンサルカンとハリス、中通しオモリとクエバリです。ハリスはワイヤー製のものを1.5m、クエバリは40~50号を結びます。
5.ハリス素材はナイロンでもOK
餌釣りの仕掛けではハリス部にワイヤーラインを用いる構成をご紹介しました。 仕掛けの違いを問わず、ワイヤーハリス以外にもナイロン製ハリスを用いても構いません。号数は最低でも60号、最大で100号のものを確保しておきましょう。 結び目は熱収縮チューブやケプラーなどで保護すると万全です。
クエ釣りのための道具を徹底解説! ~ルアー編~
1.クエをルアーで狙うためには
クエも魚食性である以上、ルアー釣りの対象となりえます。 釣り方は重量のあるメタルジグを用いたジギングが適しています。船からのジギングでは直下に落として、磯からは遠投してアクションを加えつつクエを誘っていきます。
2.ジギングで求められる竿の性能
ダイワ ソルティガ R J62S
クエを磯で狙う場合も船から狙う場合も、大型青物が引き上げられる強さが最低限必要です。 100g~350gのジグを扱えるものであれば様々な状況に対応できます。
3.リールは太いPEラインが巻けるものを
シマノ 20 オシアジガー 4000
リールはPEライン5号以上を巻ける大型のものを準備しましょう。 磯では大型スピニングリール、船からでは大型両軸リールが理想です。岩場などに擦れるとPEラインは簡単に切れてしまうので、太いリーダーを10m結んでおきます。
4.ジグの重量は海流に合わせて
ネイチャーボーイズ スローライダー
メタルジグの前述の通り100g~350gを別々のカラーリングで複数用意しておきましょう。根掛かりが激しい場所のため、後部のフックは外してアシストフックのみの構成が無難です。
ジグは海底まで落下させたら巻き上げ、再度落下させるアクションを繰り返します。落下時間を多く取ることがポイントです。
クエ釣りに備えたい道具
1.竿受けピトン
昌栄 竿受 NO.406
耐久性を重視しよう
こちらもピトンと同様に、岩の間に差し込んで竿を置くために利用するものです。 クエなどの磯釣りでは置き竿が水平である事が好ましいので、このような道具が使用されます。
堤防や砂浜で使用される三脚は高低差のある磯では安定性を欠くため、専用の竿受けを必要とします。 岩の間に打ち込むために、ハンマーを必ず持ち込みましょう。
2.尻手ロープ
竿尻に結ぶロープ。磯釣り・船釣り問わず大物を狙う際には持ち込んでおくと保険になります。 強烈な引きをする魚は竿ごと海に引きずり込まれる可能性すらあります。竿用の命綱といっても良いでしょう。
3.ギャフ
鉤爪に棒が付いた形状のこの道具は、海面まで浮かせた魚を船まで引き上げるための物です。大型魚ではタモには収まりきらない巨体のためにギャフが必要となります。磯釣りでは持ち込む必要がありますが、船釣りでは常備してあります。
4.磯用ブーツ
磯は起伏が激しくカジュアルな靴で歩くには危険が伴うため、専用のブーツを準備しましょう。ブーツを履いていても、波で濡れた場所や海草が付着している場所はなるべく避けましょう。
この他、季節によっては衣類などにも気を配る必要があります。磯に詳しい経験者が周囲に居れば、道具の確認を依頼することも考えてみましょう。もちろん、ライフジャケットは忘れずに着用しましょう。
クエ釣りのエサを解説
1.餌は小型・中型魚を丸ごと
クエ釣りの餌には生きた魚を丸ごと豪快に使います。 魚種はサバをはじめ、ムロアジ、ソウダガツオ、イカなども使用されます。
2.クエ釣りには撒き餌が最重要!
付け餌以上に重要なポイントが撒き餌です。 大食漢であるクエを寄せるために、かなりの量の餌を絶えず撒く必要があります。撒き餌にはサバやイワシのぶつ切りなど、また魚のアラや魚腸なども使用します。
サビキ釣り等で確保するより遥かに量が必要ですので、釣具店などで購入した方が良いでしょう。 時期によっては入荷していない場合もあるため注意すべきポイントです。なお、船からクエを狙う場合は撒き餌は使用されません。
3.付け餌に鮮度は問わず?
泳がせ釣りでは一般的に付け餌の活きの良さが重要とされます。 ところがクエには弱った魚や、むしろ死んだ魚の方が良いとすら言われています。釣り人にとっては活き餌の管理に気を使わなくて済む分、他の釣り方より楽と言えるでしょう。
また、釣り船などでは鮮度の良すぎる餌は好まれない場合があります。元気すぎるサバでは、泳ぎ回って両隣の釣り客の仕掛けに絡むことがあるためです。
これで完璧!クエを誘い出すポイントを解説
1.知っておきたいタナの合わせのポイント
タナとは魚が泳いでいる層や餌を捕食する層のことです。 クエは海底付近から離れない習性を持っているため、磯釣りでは海底付近から仕掛けを離さないようにするのがクエ釣りのポイントです。
船釣りでは仕掛けを投入し、根掛かり回避のために底に着いたら3~5m巻き上げるのがポイント。クエは落下する餌に反応するため、多少高い位置を基本とします。水深を把握するために、一定の長さ毎に色分けされたラインを使用すると便利です。
2.根掛かりを避けつつ誘うポイント
撒き餌でクエを誘い出す磯釣りとは異なり、船釣りでは常に誘いを入れてクエの興味を引くことが釣果への第一歩です。 船釣りでは碇を下ろす釣り方はせず、潮に任せて流すため海底の形状は一定ではありません。
30~60秒に一度は海底に仕掛けを落として再び3~5m巻き上げる動作を繰り返します。
この根掛かりを回避するための作業は、同時にクエに対する誘いともなっています。常に根掛かりに注意を払いつつ、クエの僅かなアタリに神経を集中させましょう。
3.速い潮でもタナを合わせるポイント
船を流していく釣り方では、場所によって潮の流れが速いこともしばしばです。 このような状況では、更にこまめにタナを合わせることがポイントです。通常の半分の時間を目安にすると良いでしょう。
クエが餌に食いつくタイミングは潮の流れが切り替わった時や、流れが緩んだ時となります。根掛かりの危険はあるものの、辛抱強く待てばチャンスになるでしょう。
クエのアタリを完全攻略!
1.まずはアタリを見極めよう
根気よく誘いを繰り返していると、何かしら反応が返ってくることでしょう。 クエのアタリの場合、まず竿先に小さなアタリが現れます。その後、本当のアタリとも言える強烈な本アタリが来ます。 動画は1:00からヒットシーン。小さなアタリの後、一気に竿が絞られます。
2.全力で根から引き剥がす!
本アタリがきたら竿を持ち上げてアワセを入れます。 大型のクエともなると腕だけの力で竿を立てることは不可能なので、全身を使って力の限り持ち上げる必要があります。
場合によって2~3人の力も借りなければ、竿を立てるまでに至らないとも言われてます。 クエは自慢の瞬発力で一瞬の勝負に持ち込んできます。その様子は相撲の立会いにも似ているといって良いでしょう。
3.10m巻き上げたら勝利は目前!
なんとかクエの引きに耐えながらリールを巻き上げていくと、クエの抵抗が弱まってきます。 これはクエが水圧に弱く、浮き袋が膨らんでしまうため。目安はアタリが出た場所から10m程リールを巻いた水深です。
クエとの勝負は最初のアタリと抵抗が弱まるまで、と言い換えられます。この時点で体力を消耗してしまっていたら、海面まで引き上げるのは電動リールの仕事にしてしまうのも手です。
クエ釣りの危険・注意点
1.サメ・ウツボなどへの対処
クエ釣りでは魚を丸ごと使用したり撒き餌をすることによって、目的の魚以外も呼び寄せてしまうことがあります。 特にサメやウツボは魚食性で血の匂いに敏感なため、ハリに掛かってしまうこともあります。
無理に引き上げようとせず、その場で仕掛けを切り離す決断も怪我の無い釣りのためには大切なことです。
2.ウツボは好漁の前触れ?
サメはひたすら嫌われるのに対して、ウツボには役立つ面もあります。 一つはクエの餌となること。二つ目はその釣り場所に期待が持てるかどうかです。
ウツボは釣りをする場所の豊かさを示すバロメーターで、クエを始めとしてイシダイやイシガキダイ、カンダイなどの魚が豊富に生息している証拠といわれています。 ウツボが釣れても邪険にせず、期待をもってクエを待ち構えましょう。
クエの旬・代表的な料理のご紹介
1.クエの旬はオールシーズン!
文献や料理本などにはクエの旬の時期は冬と記載されていることも少なくありません。 ところが、これはクエが鍋料理などに使われることが多い事による誤解だとされています。クエはどの時期に食べても非常に美味な魚であることは間違いありません。
2.クエの調理
クエの代表的な料理といえばやはり鍋です。 古くから力士の食事に供されてきたちゃんこ鍋が代表的なもの。他にも水炊きや刺身なども非常に美味です。
3.大型魚はシェアも楽しい!
中型から大型のクエともなると肉の量も非常に多くなります。 刺身はゆうに100人前以上も取れる量となるので、クエの解体が終わればおすそ分けとしてシェアしあうのも良いでしょう。 それでもクエの身が余ってしまうなら、味噌漬けにすると長期間保存できます。
クエが釣れなくても食べられる? クエの豆知識
釣れなくてもクエは食べられる?
クエは高級魚ということもあり、かつては旅館などに優先して卸され庶民の口に入ることは稀でした。 現在は近畿大学水産研究所が20年かけてクエの養殖技術を確立する一方、和歌山県の堅田漁業組合もクエとハタを掛け合わせた種の開発に成功しています。
高嶺の華だったクエも、手を伸ばせば届く位置まで来たと言えるでしょう。
クエ釣りのまとめ
ガッツがあれば身体一つでもOK!
今回はクエに挑むための釣り方とタックル、仕掛けの解説をお届けしました。 クエは夢の大物であると同時に、幻の大物でもあります。クエ釣りの困難さは「ベテランが10日間釣り場に通いつめて1匹釣れるかどうか」という言葉からもお分かりになるでしょう。
難しい釣りではありますが、クエの習性を知って釣り方のポイントを押さえ、力の限りを尽くせば夢の一匹は遠くないはずです。船釣りでは道具はレンタルも可能です。 行動力さえあれば挑めるクエ釣り、一度は経験してみてはいかがでしょうか?
クエ専用ハリの40号 中にはマグロ用のハリを使う釣り人も