はじめに
鱧とは全長1m前後の魚です。大きい者だと2m超え物もあります。 見た目は鰻みたいに細長く背部は黒い色をしており腹部は白くなっています。
鱧(ハモ)/分類
ウナギ目ハモ科ハモ属
鱧(ハモ)/外国名
Daggertooth pike-conger
鱧(ハモ)/学名
Muraenesox cinereus
鱧(ハモ)/由来(漢字)
いくつか由来と言われるものはありますがどれも後から付け加えられたと言われています。 なのでご参考程度に読んでみてください。 鱧という漢字を見てみると魚に豊と書きます。 鱧は魚なので辺はそのまま魚表記になりまして、旁の豊は鱧は料理方法が数多くあり「豊か」である、鱧の生命力は強く「豊か」である、鱧は美味しくて心が「豊か」になる、鱧の栄養は「豊か」であるなど鱧はいろんなことに対して豊かさをもっておりその豊を取り入れて鱧という漢字になったと言われています。 食む(はむ)、咬む(はむ)、歯魚(はむ)から由来されているというのもあります。
鱧(ハモ)の日
カタカナの「ハモ」についての由来は徳島県漁業協同組合連合会というハモの産地の連合会がキーとなっています。 徳島県漁業協同組合連合会は8月3日を「ハモの日」とし記念日を制定したそうです。8月3日をそのまま日本語読みすると「は(8)み(3)」となります。 そこから語呂合わせで「ハモ」とよんだことから8月3日は「ハモの日」となったそうです。
鱧(ハモ)/生息地域・分布
東北より以南、特に本州中部より以南が日本では多いです。 海外だと黄海、東シナ海、インド洋、西太平洋などの熱帯・温帯域に分布しています。
鱧(ハモ)/生態・生育環境
水深100mよりも浅い砂沼地に生息しており夜行性です。昼間は岩の隙間や砂の中に潜って休んでいます。小魚、カニやエビなどの甲殻類やタコやイカなどの頭足類を捕食して食べるなど肉食系です。産卵期は4月から9月となっています。
鱧(ハモ)/特徴・形態
オスとメスとでは色が違いオスは黄色がかった青色をしており、メスは赤銅色をしています。大きさはオスよりメスの方が大きく、オスは成長しても最大70cm前後だそうです。 歯が鋭く犬歯のようになっており、目の後ろのほうにまで口が裂けています。 鱗は存在せず各部位のヒレがウナギ目の中では発達してるそうです。 ハモ名前の由来にもなっている「食(は)む」の通り、捕食の際に「食(は)む」ついてきます。そんなハモの歯はとても鋭くなっています。 特徴的な歯をしている上顎には小さな歯が先端に生えており真ん中に大きな5本の歯が生えています。 下顎には小さい歯が先端に3本生えており上顎、下顎のどちらも小さい歯はノコギリのようになっています。
鱧(ハモ)/釣り情報
時期
6月から7月あたりが産卵を控えた鱧が最も美味しい季節になります。 また10月11月は「金ハモ」「落ちハモ」と呼ばれる産卵をし痩せた鱧が産卵後にその食欲を満たすためにたくさん食すのでこちらもおすすめです。 時間帯は日中より夜間のほうが釣れます。
釣り方
・ぶっこみ釣り ・打ち込み釣り ・ルアー など 餌はサンマの切り身やイカなど、小さい小魚とかでも釣れるそうです。
場所
日本だと西日本が中心で主に熊本県、徳島県、山口県、和歌山県、大分県などが有名です。 釣り場所は港湾や漁港といった浅瀬。 藻や岩が点在するところや海底に泥があるところなどおすすめです。
鱧(ハモ)/味・選び方
主に京都や大阪などの関西ですとスーパーに鱧が売っているなどすごく親しみのある魚料理になります。 一方の東京ですと一部のお店で食べられるようですが、京都や大阪のようにあまり一般的には取り扱われてはいないようです。
鱧の選び方
良いとされるもの ・透明感があり色白 ・皮が黄金色に輝いている ・骨切りの断面がはっきりしている ・頭が小さい ・胴から尾まで丸いもの あまりよくないもの ・骨切りの断面がつぶれてる ・ピンク色のもの 一般的には大きめのメスのほうが美味しいと言われています。
鱧(ハモ)/栄養・寄生虫
鱧を食べることで生活習慣病の輿望にあったり老化防止の効果が期待できます。 寄生虫に関しては、生物なのでいないとは言い切れませんが念のため注意した方がよいでしょう。
鱧の成分
鱧の成分についてご紹介いたします。 ・たんぱく質 ・ビタミンA ・ビタミンB群 ・脂質 ・ビタミンC ・ビタミンD ・ビタミンE ・ナトリウム ・カルシウム ・カリウム ・マグネシウム ・リン ・鉄 ・マンガン ・亜鉛 ・銅
鱧(ハモ)と祭り
地域によっては意外と鱧はお祭りと関係があったりしますので鱧に関係するお祭りをご紹介いたします。
祇園祭
京都市東山区八坂神社(祇園社)で行われている祇園祭ですが7月1日から始まり7月31日に幕を下ろすという、京都の夏の風物詩と言われる7月に行われる1か月間の長いお祭りとなっています。 明治時代までは祇園祭は祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)と呼ばれており市民に親しまれてきたり、現代では日本三大祭・京都三大祭り・日本三大美祭・日本三大曳山祭の一つとなっており日本の代表的なお祭りの一つになっています。 そんな祇園祭ですがまたの名は「鱧祭」と呼ばれています。 生命力が強いと言われている鱧ですが、昔の京都では遠い海から生きて運ばれる新鮮な魚介類としてとても貴重な存在でした。ただ鱧には他の魚と比べて細かい小骨がいっぱいありとても食用として扱えませんでしたが「鱧の骨切り」という過程を取り入れることで鱧は食用として扱うことができました。 そんな鱧は言い伝えで梅雨の水を飲んで大きくなると言われており、祇園祭にあたる7月にちょうど旬を迎えるといこともあり祇園祭で旬の鱧を食べる習慣ができたそうです。
天神祭
天神祭と言えば大阪にある大阪天満宮を中心に行われる天神祭が有名ですが天満宮(天神社)は日本各地に存在し、祭神である菅原道真の命日にちなんで行われる縁日のことを言います。 ただ大阪の天神祭は日本三大祭・大阪三大夏祭りの一つとされているため有名です。 祇園祭同様、天神祭でも鱧を食べる習慣があります。 鱧は大阪湾でも獲れたお魚であり7月にちょうど旬な時期を迎えます。
しもなだ鱧まつり
しもなだ運動場にて毎年9月上旬に行われております。 内容は町内カラオケや歌謡ショーといったもののほかに、伊予市双海町で獲れた鱧を使い、作った料理を出していたり鱧料理が出店に並びます。 午前から午後5時くらいのわずかな時間のお祭りになりまして5時以降は双海の夏祭りと名を変えおこなわれているのも特徴です。
鱧切祭
兵庫県篠山市八幡神社の神事で神社近くの沢田公民館で執り行われます。 鱧切祭は毎年10月大3土曜日に沢田八幡神社にて行われれるお祭りです。 起源とされている話は遠い昔にこの沢田の地に一匹の大蛇が住み着き、供物に村に生まれた長男を差し出すように言いました。 そんなことが何百年も続いたある日、偶然村を通りかかった武士がこの話を聞き大蛇退治を申し出てくれたそうです。 こうして平和になった沢田はこの武士の活躍を代々伝えていくために大蛇にはもをなぞらえて、はもを切る鱧切祭が生まれたそうです。
徳島の活ハモまつり
徳島県と京都市の連携によって6月末から7月始めの約4日~6日前後行われるお祭りとなっています。 場所は京・朱雀すし市場という京都市にある中央市場内でい粉われております。 主なお祭りの内容としては徳島県産の活ハモを使用した無料試食会(先着100名限定)や職人の活ハモの骨切り実演が行われたりします。 徳島県のオリジナルグッズの配布なども行われております。
鱧(ハモ)/料理・調理方法
鱧のおろし方
鱧は体全体に小骨が多いので「骨切り」という過程を通過しないと食べれません。 その鱧の骨切りですがとても難しいので一般的にやられる方はそうそういないとは思いますが、せっかくなので今回「骨切り」をご紹介したいなと思います。 鱧のおろし方 1.表面についているヌメリを落としていきます。 2.内臓を取り出すために腹部に包丁を入れます。 一般的な魚よりも後ろのほうにまで内臓が詰まっているので気持ち長めに包丁を入れるようにしましょう。 3.血合部分から内臓をすべて取り出してください。 4.腹部を開いて背骨・背びれという順番で取り除いていきます。 鱧の骨切りのやり方 5.骨切り包丁を使い、骨切りをしていきます。 6.1つの大きさが約1ミリ程度に細かく切り込みを入れていきます。 骨切り包丁自体、重たい包丁になるので包丁全体で切るイメージで切り込みを入れていってあげるのが(包丁の先から入れていって置くに徐々にながすようなイメージ)ポイントです。 力を入れすぎてしまいますと皮まで切れてバラバラになってしまうので力の入れすぎには注意しましょう。
鱧料理
鱧と言えば鍋か湯引きが一般的です。 湯引きとは1cm幅に骨切りしてきった身をお湯や冷水にとってあげたことを湯切りと言い、大阪・京都で呼び方が違い、大阪だと「ちり」と呼ばれ京都だと「落とし」と呼ばれています。 ちなみに「ぼたんはも」と呼ばれているお吸い物などに使われているものは骨切りした身を片栗粉やクズのデンプンでできたくず粉にまぶして熱湯に落としたもののことを言います。 他にはお吸い物やかば焼き、鱧飯や天ぷらなど有名です。 他にもお寿司やしゃぶしゃぶ、薄造りや温鱧などいろいろな料理があります。 お寿司である箱寿司や棒寿司は生の切り身ではなくタレ焼きや白焼きといったタレをつけて焼いたものをお寿司として食べます。 またすり身や燻製などかまぼこ類も有名です。 すり身を板にのせて作る工程として「はも版」と「焼きとうし」がありますが違いとしては「はも版」はすり身をのせた板を一度蒸してから焼くのに対し、「焼きとうし」は板に乗せ生の状態から焼いたものを焼きとおしと言います。 ちなみに「はも皮竹輪」は使い残った練り製品の鱧の皮を2本の竹に巻いて焼いたものになっています。 アレンジにもいろいろ使えてレパートリーは豊富なのでいつ食べても飽きないですね。
おすすめの鱧料理店
関東にも鱧料理を出しているお店はあるんですけど関西に比べれば鱧専門店みたいなのは見当たらず、細かく単品で食べる感じになります。 なので今回は関西の有名2店舗のみご紹介いたします。
関西
・すっぽん鍋 鱧料理 三栄 昭和9年創業の老舗専門店、すっぽん鍋・鱧料理の三栄になります。 鱧づくしコースも5月から10月の期間限定ではありますが存在しており、いろんな鱧料理を満喫できます。 所有地は京都府京都市下京区河原町四条下ル二筋目東入ルに店舗があります。 最寄駅でいうと阪急河原町駅より徒歩1分か、京阪四条駅より徒歩4分のところにあります。 ・割烹 なか川 祇園店 四条店 ハモしゃぶ発祥のお店と言われているお店で店内は掘りごたつ式の個室になっています。 鱧しゃぶのコースは松・竹・梅と3種類の中から選ぶことができます。もちろん単品でのメニューも存在します。 所有地は祇園店は京都府京都市東山区祇園花見小路通新橋東橋本町410-8に店舗があります。 最寄り駅でいうと阪急京都線河原町駅木屋町1番出口徒歩8分か、京阪電鉄本線祇園四条駅徒歩5分の距離にあります。 四条店の所有地は京都府京都市下京区西木屋町通四条下ルに店舗が存在します。 最寄り駅でいうと阪急京都線河原町駅木屋町1番出口徒歩1分か、京阪電鉄本線祇園四条駅徒歩5分の距離にあります。
鱧(ハモ)/その他
鱧を食べることで期待できる効果
・免疫力向上 ・疲労回復 ・体力向上 ・骨粗しょう症の予防 ・血中の中性脂肪や悪玉コレストロールを減らす ・動脈硬化の予防 ・美肌効果 ・生活習慣病の予防 ・老化防止
地方名
・徳島県 - スズ、アオハモ(青ハモ) ・広島県 - ハム ・福井県 - ウニハモ、ウド ・長崎県 - カマスアナゴ、ギイギイ、ゴンギリ ・丹後 ー バッタモ ・島根県 - トウヘイ、トウヘン ・北九州 - ウミウナギ(海鰻) ・石川県 - ジャハム(蛇はむ) ・京都府 - タツバモ(竜ばも) ・市場 - ほんはも(本はも)
まとめ
いかがだったでしょうか? 今回は鱧についてご紹介させていただきました。 関西と関東でこれほどまでに「鱧料理」の知名度や食す習慣に差が出ていたことにとてもびっくりしました。 っが、場所によっては比較的釣りやすい魚ですもあり、そのあとのさばき方が難しい魚とは言えますが、ものすごくおいしい魚ではあるのでぜひ釣りに出かけたり、お店で食したり、お家で料理してみたりしてみてくださいね。