登山靴の手入れは登山から帰って早めにする
行く山にもよりますが、登山は舗装された道ばかりを歩くわけではありません。土や泥が多く、下山した頃には登山靴がドロドロに汚れていることがほとんどです。 そのドロドロに汚れた登山靴をそのまま放置してしまうと、登山靴が劣化しやすくなってしまい、登山靴の寿命を縮めてしまうことにもなります。 なので下山した後は疲れているでしょうけど、できればその日のうちに登山靴の手入れをするようにしましょう。
登山靴の素材によって手入れの仕方が変わる
さて、さっそく登山靴の手入れの仕方について説明していきますが、実は登山靴に使われている素材によって、少し手入れの仕方が変わります。 どれも同じ方法で手入れすると、メンテナンスしているつもりがかえって逆効果となってしまうケースもありますので、自分が履いている登山靴の素材をしっかりと把握してから、正しい手入れ方法を施すように注意しましょう。
登山靴の基本的な手入れ手順
登山靴の基本的な手入れ手順 ①靴紐を外す
面倒に思い、靴紐がついたまま登山靴の手入れを始める人も多いですが、靴紐は必ず外して作業しましょう。靴紐を通したままだと、細かい部分の汚れが取り除くことができません。 そして靴紐自体の汚れも落としにくく、劣化を早めてしまいます。 靴紐を登山靴から取り外し、靴の隙間に入りこんだ汚れを取って、そして靴紐もきれいに手入れしてあげましょう。
登山靴の基本的な手入れ手順 ②中敷きを外す
中敷き(インソール)も外して手入れします。 登山のような運動をした後なら、必ず多量の汗をかいています。中敷きはその汗を吸い取る役目をしているので、手入れをしないとカビが生えたり、異臭がする原因になります。 中敷きが靴の中底に接着剤で貼り付けられている場合は、無理に剥がす必要はありませんが、簡単に外れるタイプのものでしたら、靴紐と同じく靴から外して手入れしましょう。
登山靴の基本的な手入れ手順 ③汚れを落とす
靴紐と中敷きを外したら、登山靴に付着した汚れをしっかりと落とします。 甲皮(アッパー)、靴底(アウトソール)、靴の中まで、汚れやホコリを入念に取り除きましょう。アッパーに金具が付いているものは、その周辺に汚れが溜まっていることもあるので注意しましょう。 靴底には小石が挟まっていることも多いです。小石があるとグリップ機能が低下して、滑りやすくなり大変危険ですので、もし見つけたら必ず取りましょう。手で取れない場合は、割り箸で「こじる」ようにを使うと靴底を傷つけにくく、簡単に小石が取れます。 アッパーに関してはここは使われている素材によって、大きく手入れの方法が変わりますので、素材別に後述します。
登山靴の基本的な手入れ手順 ④しっかり乾燥させる
登山靴全体の汚れをきれいに取れたら、次は乾燥させます。 水や汗で濡れたままで靴箱に入れると、アッパーや中敷きにカビが生えやすくなる上、靴の痛みの原因になります。 乾燥方法は、基本的には風通しのいい場所で陰干しです。 間違っても炎天下の元で速乾させるなどは考えないでください。登山靴の素材によっては寿命を極端に縮めてしまいます。必ず陰干しです。登山靴を洗ったり、雨で濡れている場合は、数日~一週間ほど陰干しして、しっかりと乾かせてください。 このとき、シューキーパーを靴の中に入れておくと、型崩れ防止になります。
登山靴の基本的な手入れ手順 ⑤防水スプレーやクリームを施す
登山靴がしっかりと乾いた後は、スプレーやクリームを使って手入れをします。 汚れがついたままや、靴が乾いていない状態では、防水スプレーの効果が薄まってしまいますので気をつけましょう。 皮革タイプの登山靴には「乾燥し過ぎ」を防ぐために、専用のクリームや保革剤を使って手入れをします。
登山靴の基本的な手入れ手順 ⑤靴紐、中敷きを戻す
最後に、手入れ前に外した靴紐と中敷きを元に戻して、メンテナンス終了です。 この時、靴紐は劣化して切れ掛かっていないか、中敷きは破れたりクッション性が低下していないかも、もう一度しっかりとチェックしておきましょう。必要があれば新しいものに交換します。
登山靴の手入れの仕方/ゴアテックス
まずは最近よく登山靴に使われている「ゴアテックス」という素材の手入れ方法です。 ゴアテックスの手入れは比較的簡単です。 先に記述した基本的な手順に沿って手入れします。ゴアテックスは水に強い素材ですので、泥などの汚れは水を使ってを洗い流してしまいましょう。柔らかいスポンジも使って、撫でるように汚れを落とします。この時スポンジでゴシゴシ擦ってしまうと、素材を痛めてしまうので気をつけてください。 洗い終わったら、数日日陰に置いてしっかりと乾かします。
防水スプレーで仕上げ
乾いたら「フッ素系の防水スプレー」を使って、防水処理を施します。 シリコン系の防水スプレーもありますが、こちらはゴアテックスの通気性機能を妨げてしまう原因になる可能性があります。なのでできればフッ素系のものを選んで使用するようにしましょう。
登山靴の手入れの仕方/布
布製の登山靴もゴアテックスと同じように、水とスポンジで洗ってください。汚れがひどい場合は、水で薄めた中性洗剤や専用クリーナーを使用します。 中性洗剤を使った場合は、洗剤が付着したまま残らないように、しっかりと水で洗い流しましょう。 洗った後は陰干しで乾かして、防水スプレーを使って仕上げをします。布の場合はフッ素系、シリコン系のどちらでも構いません。
登山靴の手入れの仕方/合成皮革
合成皮革(合皮、フェイクレザーとも呼ばれています)を使用した登山靴は、水でジャブジャブと洗い流すのはおすすめしません。水に濡れている時間が多いと、合成皮革の劣化を早めてしまうからです。 水に薄めた中性洗剤や専用クリーナーを使って、布やスポンジで汚れを拭き取ります。あまり強く擦ると、合成皮革の表面加工を痛めることになるので気をつけましょう。 他の素材と同じく、日陰で乾かした後防水スプレーを使います。合成皮革はもともと通気性はあまりありませんので、シリコン系の防水スプレーを使って防水性を高めましょう。
合成皮革は劣化に注意
合成皮革という素材は、経年劣化が進むと表面がボロボロと崩れてしまう症状が現れます。 見た目も悪い上、防水効果もなくなります。 素材の特性上こればかりは防ぎようがありませんので、このような劣化を見つけた場合は、靴自体の買い替えをおすすめします。過度な水分を含むことで劣化が進みやすくなるので、保管する場合は風通しの良い、湿気の少ない場所で保管することで、比較的経年劣化を遅らせることができます。
登山靴の手入れの仕方/本革
一番手入れに気を使う素材が本革です。先に紹介した素材と比べて、特にデリケートな素材ですので、しっかりと手入れしてあげましょう。 まずは柔らかいブラシを使い、ホコリや汚れを取り除きます。ブラッシングで落ちない汚れがある場合は、皮革専用のクリーナーを使用するといいでしょう。 汚れを落とした後は、靴クリームを使って磨きあげます。柔らかい布や靴磨き用のブラシを使い、革全体にクリームをなじませます。クリームは革用の栄養が入ったものを使うと保革効果がありますのでおすすめです。 最後に革用のワックスで磨くと、靴に光沢が出てきれいに仕上がります。またワックスで仕上げをすることで、防水効果も期待できます。 登山靴は水や泥がかかることも多いので、さらに皮革用の防水スプレーを使うといいでしょう。
革の乾燥に注意
本革素材の靴は、乾燥のし過ぎに気をつけましょう。 革は適度な水分や栄養を保っていないと、乾燥してひび割れなどの劣化を起こしてしまいます。とはいえ、水でボトボトに濡れた状態が続くと、それも革の劣化に繋がってしまいます。 手入れをする際はしっかり乾かして、クリームなどでしっかりと革に栄養を与えて、適度な潤いを保ってやることが一番です。
登山靴の手入れの仕方/ヌバック・スエード
本革にも合成皮革にも、「起毛革」と呼ばれる表面加工されたものがあります。 表革を起毛させたものをヌバック、裏革を起毛させたものをスエードといいます。これらの起毛革を使用した登山靴の手入れは、他の素材とは少し違います。 まず、靴が濡れている場合は陰干しでしっかりと乾かします。 専用の生ゴムブラシで、毛の間にある汚れを取り除きます。掻き出すようにブラッシングすると汚れを落としやすいです。あまり力を入れすぎると毛が抜けてしまうので気をつけましょう。
スプレーを使って手入れ
次に本革の場合は、保革剤の入ったクリーナースプレーを全体に施します。スプレー後はもう一度ブラッシングをして、さらに汚れを落とします。 終わったら全体をよく乾かしましょう。 汚れを落としたら、最後に起毛革用の防水スプレーをして、毛並みを整えるようにブラッシングして仕上げます。 ヌバックやスエードは毛の奥までしっかりと手入れをしないと、カビが生えたり汚れが固着してしまうことがありますので、やさしく丁寧に手入れしてあげましょう。
スプレーを使用する時の注意点
クリーナーや防水のスプレーを使用する時は、必ず全体にスプレーするようにしましょう。部分的に使用すると、その箇所だけシミになってしまう可能性があります。 スプレーをしたらブラシで全体になじませるようにすることが、ヌバックやスエードの手入れをするポイントです。
動画でチェック
動画でわかりやすく手入れの仕方を紹介しているものもあります。 こちらもぜひ参考にしてください。
まとめ
登山靴は素材によって、それぞれに合った適切な手入れが必要です。 汚れたからといって、なんでも水で洗い流してしまうと登山靴の劣化を進めてしまうことがあります。 せっかく手に入れたお気に入りの登山靴なら、素材をきちんと把握して、しっかり手入れしてあげましょう。