アカメフグ(ヒガンフグ)の分類
フグ目、フグ亜目、フグ科、トラフグ属
アカメフグはトラフグ属に属するフグ科の魚です。トラフグ属には有名なトラフグをはじめ、キス釣りで良く釣れるクサフグや本種のヒガンフグと小柄なアカメフグがいます。 ヒガンフグの事を、釣り師や漁師の間ではアカメフグと呼んでおり、重宝するのはヒガンフグの方です。本章では釣りや市場でもアカメフグで呼ばれ、アカメフグの方が通じやすい現実を重視し「アカメフグ=ヒガンフグ」としてご紹介します。
アカメフグ(ヒガンフグ)の外国名
Red-eye puffer
アカメフグは英名で「Red-eye puffer」又は「Panther puffer」と呼びます。その名の通り赤い目のフグです。pufferはフグの事ですが、単語での意味はプッと吹く事、汽車ぽっぽを意味するようです。2つ目の呼び名の「パンサー」ですが豹を意味し豹柄の模様を指します。
アカメフグ(ヒガンフグ)の学名
Takifugu chrysops
学名は「Takifugu chrysops」です。Takifuguがトラフグ属です。フランスの生物学者「フランツ・ヒルゲンドルフ」に1879年に命名されています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の名前の由来
赤目河豚、彼岸河豚 漢字名
アカメフグはメアカとも呼ばれ、その名の通り目が赤い事から由来されます。また別称のヒガンフグは当たったら、彼岸の彼方に連れていかれるという恐ろしい説と、春のお彼岸に良く釣れるという説が由来されています。また、過去には三河地方のダジャレでで食べ方によっては、毒に当たって死亡する事から「身の終わり=美濃、尾張」とかけて名古屋河豚とも呼び、現在でも愛知県では呼ばれます。
アカメフグ(ヒガンフグ)の地方名
全国各所で「ヒガンフグ=アカメフグ」で流通します。アカメ「関東」コメフグ「石川県七尾市」メアカフグ「宮城県石巻市」ナゴヤフグ「愛知県」
河豚の由来
漢字でフグは「河豚」と書きます。これは中国から伝わった名前なので訂正が必要です。中国では川にフグが遡上し、ブタの様にまるまるしているので、または美味しい、更には陸に上がった時に、ブウブウと鳴くので名付けられました。
アカメフグ(ヒガンフグ)の分布
日本全国に分布
アカメフグは北は北海道から南は九州南岸までと、日本の沿岸の各地に分布しています。南西諸島のサンゴ海域では見られず、海外では沿海州、朝鮮半島、東シナ海に分布しています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の形態
大きさ、形体、模様などは
アカメフグは体長体長40㎝程で大型のフグです。大きな物は2kg近くになります。形もトラフグの様に丸々していて、胸鰭と尾鰭が大きく発達しています。模様は丸い黒い斑点が、背中からお腹の部分まで広く散りばめられ、縞模様が入る個体もいます。基本的な体色は深緑で、食用ガエルを想像させるカラーです。目は大きく白目が赤というより、濃いオレンジ色です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の生息環境
生息域、生息環境
岩礁帯の藻場に多く生息します。浅い沿岸性の魚ですが、堤防や地磯での釣果は少なく、内湾の波静かな、やや沖合の沈み根などの起伏のある岩礁帯に生息し、単独で活動します。
アカメフグ(ヒガンフグ)の生態
特徴
岩礁帯の周辺を散歩をする様に単独で索餌行動をします。他のフグ同様危険が迫ると体を膨らませ、難を逃れようとします。クサフグやショウサイフグは砂泥底に多く見られますが、岩礁帯に多く生息するアカメフグは甲殻類、エビなどをより好む傾向があると考えられています。
食性
岩礁帯に潜む貝やエビ、鞭毛藻類、多毛類などの昆虫や海底生物を捕食します。ちなみに河豚の毒を蓄積するのは、捕食する鞭毛類のイソギンチャクに蓄積されるテトロドキシンが問題の毒です。
産卵
産卵は春の彼岸に行われます。名前にも由来する時期の産卵ですが、岸に近い浅場に押し寄せて産卵します。満潮の夕まづめに群れで押し寄せ、海岸の波が砕けるような沿岸で、1対1の雌雄ペアが巣穴を掘って産卵放精します。この産卵を待ち構えてカットウ釣り(引っ掛け)で狙う釣り人がいますが、産卵の最中ですので、無慈悲との批判がダイバーなどから多く上がっています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りの情報
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りの概要
アカメフグは陸から専門で狙う事は少なく、乗合船での沖釣りが主流です。ここ近年で味が良い事から人気が出て、乗合船は賑わっている模様です。沖釣りでエビなどを餌にして狙う釣りです。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りのポイント
沿岸より少し沖合の根や岩礁がある海域がポイントとなります。関東では横浜の金沢八景の岩礁帯が良い釣りのポイントとなっていて、釣行をしています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りのシーズン
関東では10月の後半からがオンシーズンで春までがシーズンとして出船しています。一般的にフグは晩秋から冬の釣りが主で、これは夏場のフグの毒性と、厳寒期の白子の関係で冬に狙うと言われています。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りの仕掛け、エサ
アカメフグ釣りではカットウ釣りと呼ばれる仕掛けを使います。仕掛けは上からヨりモドシ幹糸に2本のハリス、ハリを付けこの2本のハリは食わせバリと呼びます。その下に樽型オモリを付け、オモリの下側のヨリモドシからカットウ仕掛けをセットします。餌は冷凍赤エビ等を使用します。
アカメフグ(ヒガンフグ)釣りのタックル
竿は船用の1.8m位の先調子の竿を使用します。アタリが繊細でアワセが難しいので初心者は上の図の様に専門の竿を使う事をおすすめします。リールは小型の両軸式リールを使い、PEラインの1号を100m巻いてセットします。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣り方
上の仕掛けの様に3本のハリに餌をそれぞれ付けてフグを狙います。フグはエサ取りが上手なので、一番下のカットウハリの上のハリに大きなエビをセットし、アタリを読んで引っ掛けて釣るという釣法ですが、上の2本の食わせバリに、食べやすい小さなエビのむき身を付けてこちらでも狙います。 釣り方はオモリを海底まで付けて、5秒くらい待ち、アタリが無ければ底から少し離して、再度底に降ろします。この動作の繰り返しの釣りで、アタリがきたら、ゆっくり静かにアワセて魚を乗せます。
アカメフグ(ヒガンフグ)の釣りの動画
仕掛けと餌の付け方、誘い方のレクチャー
船長さんが自らレクチャーをしています。仕掛けのバランスやエサの付け方、仕掛けを降ろした後の誘い方を、陸の上で解説しています。初心者は必見の動画です。
初めての湾フグ釣り
初めてのフグの沖釣りの動画です。女性二人の初挑戦の動画ですが簡単にアワセを入れどんどん釣ています。
アカメフグ(ヒガンフグ)のカットウ釣り
仕掛けを落とし込んで誘い、取り込んでいる動画です。誘いが見事に成功し、アワセも上手で上部の食わせバリで釣っています。型の良いアカメフグを釣っていて、参考になる動画です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の味/選び方
アカメフグ(ヒガンフグ)の味
アカメフグはトラフグに匹敵する位味が良いとの評判です。味には折り紙付きのアカメですが、身が固いので冷蔵庫で1週間寝かせると身が柔らかくなり熟成し、刺身でも鍋でもフライでも美味しく食べれると大好評で、関東近県の釣り船が盛況です。また釣った魚を釣り場の厨房で免許を持った料理人が捌いてくれます。
アカメフグ(ヒガンフグ)の選び方
アカメフグはスーパーでは出回らなく、市場でも少ししか出回らないで、乗合船での釣行で、手に入れる手段しかありません。乗合船の多くは、免許を持った料理人が毒の部分を取り除いてくれますので、皆さん喜んでキープして家庭で料理を楽しんでいる様子です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の栄養/寄生虫
アカメフグ(ヒガンフグ)の栄養
アカメフグは脂質が少ないですが、皮下のコラーゲンは豊富で、血管の強化や皮膚の若返りに役立つ不飽和脂肪酸が豊富に含まれます。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も豊富に含まれ、アレルギー症状の緩和・改善、コレステロールの軽減、血栓の解消が期待出来、脳卒中や心筋梗塞のリスク軽減が期待できます。
アカメフグ(ヒガンフグ)の寄生虫
ウオジラミ
ウオジラミ、ウミチョウとも呼びダニの様なフグの皮や鰭に取り付く寄生虫です。犬のダニの様に体表に取り付いて体液を吸う寄生虫です。過去にこの寄生虫が猛毒として、恐れられていましたが、研究によって無毒という事が判明しました。ですが猛毒のフグに取り付く寄生虫なのできちんと駆除するのがより安全でしょう。
アカメフグ(ヒガンフグ)の料理
※毒性がありますので一般の方の料理は禁止です
アカメフグには強力な毒があります。免許のない方は料理できないので必ず料亭の調理師など免許の持っている方に調理をお願いしてください。もし免許を持たない方がフグを調理しようとすると違法になりますので注意が必要。 決して免許を持たない方はアカメフグの料理を作らないでください。
フグちり鍋
昆布出汁と塩と酒だけのシンプルな味付けのスープにフグのぶつ切りを投入します。野菜は白菜、人参、花麩を添えます。フグの良い出汁とフグのみの美味しさが味わえる、フグちり鍋です。
フグの刺身
三枚に卸したフグをキッチンペーパーに巻き、冷蔵庫で1週間寝かします。フグは身が固く粘りがあるので舌触り、歯ごたえを味わうために、極力薄造りで刺身を戴きましょう。
フグのお味噌汁
フグの身を入れ昆布出汁で煮立て、ナスや大根などの水気を吸いやすい野菜を投入し、味噌を入れて溶きます。フグの良い出汁と、野菜の風味が相まって調和したスープは絶品です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の毒
アカメフグはトラフグやショウサイフグと同様に猛毒の内臓その他に毒を有しています。毒性の詳細は他のWebサイトから抜粋し記載します。
肝臓、卵巣は猛毒。皮膚、腸は強毒。筋肉は無毒(弱毒の個体もある)、精巣は弱毒。一部有毒個体が見つかっているので注意が必要。食用になるのは筋肉のみ。
筋肉は食用になるが皮膚と精巣には毒性がある。また、岩手県越喜来湾・釜石湾、宮城県雄勝湾で漁獲されたものは毒性が強く食用不可とされている。
何れも猛毒としていて注意が必要で、トラフグの様に鰭酒は毒の為不可能です。
アカメフグ(ヒガンフグ)の雑学
フグの食用の歴史
日本人は、はるか昔からフグを捉えては、食べて食中毒で命を落としてきて、それでも食べ続けて来た歴史があります。最古のものは縄文時代に遡ります。姥山貝塚では家族5名がフグの骨を囲んで死んでいる遺跡が見付かっています。 フグの毒の恐ろしさが、充分過ぎるほど伝わった平成の今日でも、年間40人~50人の人が毒にあたり、2,3名が死亡しています。ほぼ全員が自分で釣ったフグに当たっています。それ程調理は難しいものと認識し、手を出す事は避けるべきです。というより、免許の持たない人間がフグを調理するのは違法です。
アカメフグ(ヒガンフグ)のまとめ
美味しい魚ですが
フグは美味しく釣る事自体も難しくなく、キス釣りなどでは邪魔な位釣れます。また、シーバスやヒラメの釣行で、小さなルアーで攻めると、アタックしてきて釣れてしまいます。ですがこれらの小さなフグは食べる所が無く、脂ものっていないので、リリースしましょう。仮に1kgオーバーの大物が釣れても、信頼が出来る調理免許を持った人でもいない限り、キープはするべきではありません。確かに美味しい魚ですが、命とは全く比較にならないという事を強く思います。関東圏には(神奈川、東京、千葉)乗合船で安全にフグを捌いてくれる所が各所にありますので、こちらを利用する事を強くお勧めいたします!