アブラボウズ/分類
アブラボウズは、カサゴ目ギンダラ科に属する魚の一種でギンダラ科は2種しかいないので、アブラボウズはこの一種です。この魚の分類としては深海魚なので海の深いところに生息しています。
アブラボウズ/外国名
Skilfish
アブラボウズ/学名
Erilepis zonifer
アブラボウズ/由来(漢字)
アブラボウズは日本では油坊主、または脂坊主と表記されることもあります。 この理由はアブラボウズという魚はその体のほとんどが脂肪と言われているくらい、脂肪分が多い魚として有名なので、それが名前の由来と言われています。
アブラボウズ/生息地域・分布
カリフォルニア中部からベーリング海、北日本の太平洋などに生息しています。
アブラボウズ/生態・生育環境
このアブラボウズは小さい頃は沖合に流れている木屑や藻に付着して過ごしますが、大きく成長すると水深のある岩礁域へ移動してそこで過ごすようになります。 成体になると生息域を水深は200〜600mに達し、深海魚という分類になります。 この魚は肉食で海底のヒトデ類や軟体動物、小魚などの魚類などを捕食しています。
アブラボウズ/特徴・形態
この魚の色は稚魚の時は暗い灰色ベースに白い色の斑点や横筋があります。それが成長とともに全体的い黒っぽいくらい色に変色していきます。 上記でも述べたようにギンダラ科は二種類しかいないので、このアブラボウズは体系の丸さや黒い体色などで簡単に区別はすることができます。 また、アブラボウズはその大きさにも特徴があり、通常は100㎝程度が成体いわれています。 しかし、中には150㎝まで成長する個体もあり、2014年には番組で芸人の、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が180㎝、40㎏のとてもツもない怪物級のアブラボウズを釣ったことでも話題になりました。
アブラボウズ/釣り情報
アブラボウズは上記で述べたように深海にいる魚なので、近海の浅い海の釣りではなかなか釣ることができません。 深海魚を釣るには深場釣りがベストです。そのためには港から出ている漁船などに同行し、水深の深い沖へ釣りに行くのが良いでしょう。 時期:年中通して釣れると言われていますが、冬が旬と言われている深海魚なので、冬に釣るのが良いですね。 ・千葉県 外房、銚子沖 ・静岡県 伊豆半島沖 ・茨城県 平潟沖 ・神奈川県 城々島沖 などで釣れるという情報があり、釣るためには海岸付近や港ではなく、漁船などに乗り、沖合の水深の深いところを狙う方が必要があります。
釣り方
アブラボウズはその大きさが100㎝ほどにもなる大きな魚ですが、魚群探知機には反応しないそうで、やはり、釣り竿一本で深海から釣り上げることが重要なようです。
アブラボウズを釣るならスローピッチ
アブラボウズを釣る方法の一つがスローピッチという方法です。 漁船などで沖へ出ると水深の深い岩礁域などがベストなスポットで、そこへ着くと、重りと仕掛けを海底へ沈め、重りがそこへ沈んだことを確認したら、少し重りが浮くようにします。 あとはこれの繰り返しで海底付近にいるアブラボウズを引き寄せます。 ポイントとしては、海底にお守りを沈めるので海底へ根掛かりしてしまうともあります。 注意して釣りをしたほうが良いでしょう。
ヒットしても注意が必要
また、アブラボウズは体長が100cmを超える大物も多数いるため魚がかかったとしても油断はできません。 力勝負で負けないようにしないといけないのに対し、力づくで引っ張りすぎると釣り糸が切れてしまうのでそこの調整は必要です。 女性の方は男性の方がそばにいたほうがいざという時に助けてくれるかもしれません。
アブラボウズ/味・選び方
アブラボウズのその味は結構美味しいと評判で、神奈川県や静岡県の漁師さんの中では「おしつけ」という名前で呼ばれていて、高級魚とされていて重宝しています。 その値段は高値で取引されるほどです。味は白身のトロと言われているそうで大トロ並みに脂が乗っていて淡白な味になっています。
アブラボウズ/栄養・寄生虫
ギンダラ科のこのアブラボウズは脂肪分が多いので脂質の比率が最も多く、レチノールという栄養分が多いのが特徴です。 レチノールとはビタミンAのことで、高いエイジング効果が期待できます。 皮膚を健康に保ち、動脈硬化を予防する効果もあります。 他にもビタミンBやビタミンD、Eなどのビタミン類も豊富でカリウムやマグネシウムなども含まれています。 寄生虫としては有名なのはアニキサキスという寄生虫がいます。 その魚の長に多く帰省してその身や筋肉に滑り込んでいることもある小さいミミズのような形の生物で、人間が食べてしまうと、下痢や嘔吐の原因になりますが、冷凍や加熱することでこの虫は死ぬので安心して調理することができます。
アブラボウズ/料理・調理方法
アブラボウズは油分が多いので料理をするときも余分な油のところは取り除いたり、食べる量を各自調節してお腹を壊さないようにしたほうが良いでしょう。
煮つけ
脂分が多いので煮付けなどにすると身がトロトロとしていて美味しいということです。煮付けにするときは酒や砂糖、醤油、みりんを入れ通常通りに人付けにするのがオススメです。
刺身
魚といえばこの料理というのが、お刺身ですね。アブラボウズは脂分が多いとはいえ、しっかりと刺身にはできます。 肉質は筋肉が多く繊維質なので、触感が独特な部分があり、好きな人は好きですが、嫌いな人もいるかもしれないような、好き嫌いがはっきり分かれる味です。 口の中で溶けるように広がり、油の甘い味が染みわたります。とてもおいしいのですが、食べ過ぎには注意しましょう。
アブラボウズ/注意点
その一方アブラボウズは食べるとお腹を壊すと言われていることもあります。 その理由はアブラボウズはその名の通り、脂肪分が多く、体の約40%が資質で構成されていて、この脂肪を分解しきれないような人がお腹を壊すことがあるようです。 他にもアブラソコムやツバラムツといった脂分が多い魚もいますが、これらは体の中でその油が分解されないような油の性質があり、食品衛生法で販売が禁止されている魚なのです。 このアブラボウズは販売が禁止されていない貴重な脂が多い魚の種類で、料理するときや食べるときなどに気を付けることでおいしくいただけます。
昔から食用とされている
神奈川県の西部の市である小田原市では昔から地域の郷土料理として食されていたようです。 またアブラボウズの事を「アソイツケ」や、「オッツケ」という呼び方もあります。 この言葉の由来は昔のお城の中で家事などの雑用をこなす召使いが使っていた言葉だそうで、この言葉の意味は毒見をするという意味があり、どういう意味なのかは、いまだに解明されていません。 その脂質がたくさんのった美味しい身のせいで毒見をするつもりが召使たちが食べ過ぎてしまうことが多かったりしたのかもしれませんね。
アブラボウズの偽装
アブラボウズという魚は2008年に大阪と福岡の魚の業者が、高級魚で知られている「クエ」という魚に偽装されたことがあり、クエは脂がのっていて非常においしいというイメージから、白身は大トロ級といわれているアブラボウズも「クエ」だといって偽装ができたのでしょう。 この事件はすぐに業者が検挙され、解決しましたが、そのこともアブラボウズという魚を有名にした事件だでした。 よくよく考えると、アブラボウズはその体の脂質がたっぷりで、とてもジューシーさがあるのに比べ、クエも脂はのっているが、うまみ成分が濃く引き締まった身がとても美味な魚です。
アブラボウズ/まとめ
このようにアブラボウズという魚はその名前の通り脂がたっぷりのっていて、クエと間違えるほど美味しいことは間違いありません。 料理するときはその多すぎる脂を少し取り除けば煮つけや焼き魚などいろいろな工夫ができ、一度は家庭で料理してみるのもいいかもしれません。