アブラガレイとは
分類
アブラガレイの分類は「カレイ目 カレイ科 アブラガレイ属」。 その身の色から「クロカレイ」と呼ばれたり、「ヤガタガレイ」という別名で呼ばれることもあります。 また、地方によってはフユガレイ、ブタガレイ、エンキリなどとも呼ばれています。 エンキリの名前の由来は「一度食べたら二度は食べたくない(不味い)魚」という意味だそうです。 しかし現在アブラガレイは煮付けにしたりムニエルにしたりと食材として好まれている魚。 生のアブラガレイは油が多く、火を通しすぎると身がドロドロに溶けてしまうので調理スキルを必要とする魚です。
アブラガレイ/外国名
アブラガレイの英語名は「Kamchatka flounder」。 Kamchatkaは「カムチャッカ」のことで、日本列島から北東方向、ロシア連邦の下に突き出た半島がカムチャッカ。 オホーツク海とベーリング海を分けています。 flounderはヒラメという意味の英単語です。
アブラガレイ/学名
アブラガレイの学名は「Atheresthes evermanni Jordan & Starks,1904」です。
アブラガレイ/由来(漢字)
アブラガレイの漢字名は「油鰈」。 読んで字のごとく、昔はアブラガレイから油をとっていたことから、油を取るカレイでアブラガレイと言う名前になったといわれています。 この油とは肝油ドロップの油のこと。 若い世代なら父親・母親に聞いてみると知っている人もいるかもしれません。 ビタミンAを摂取するための健康食品として1日1個食べられていた食品です。 アブラガレイの油にはビタミンAが豊富ということがわかります。
アブラガレイ/生息地域・分布
アブラガレイは北の寒い地域に生息します。 日本なら東北から北海道以北がアブラガレイの生息地となります。 アブラガレイの英語名の「カムチャッカ」が示すように、ベーリング海からオホーツク海以西の海がアブラガレイが多く分布する地域となっています。
日本では輸入フィレとして有名
アラスカやロシアから「フィレ」という名前で加工輸入されている魚肉がアブラガレイで、フライやソテー、ムニエルなどに利用され重宝されています。 アブラガレイという名前よりもフィレという名前でピンとくる人も多いでしょう。 実は日本人が白身魚のフライとしてよく口にしている魚が、このアブラガレイであることが多いです。
アブラガレイ/生態・生育環境
アブラガレイは水深200m以上深い泥砂底に住んでいます。 ホッケやニシンなどの他、イカやタコも捕食します。 冬に産卵を行う魚ですので、冬が旬といえるでしょう。 しかし、元々油が多い魚だということと、日本で捕れるものが食卓に並ぶことは稀ですのであまり旬にこだわった食べ方は難しいでしょう。
アブラガレイ/特徴・形態
アブラガレイは成長すると1mにもなる大きな魚です。 また、その顔は口が大きく避けており怖い形相をしています。 色は黒っぽく、オヒョウに似ていると感じる人も多いでしょう。 オヒョウとアブラガレイの違いは側線で見分けることができます。 アブラガレイの側線は直線なので、湾曲に線が入るオヒョウとは違います。 側線を見ればオヒョウとアブラガレイの違いがわかるでしょう。
アブラガレイ/味・選び方
アブラガレイを丸々一匹自分でさばいてから食べると、その脂肪分の多い身をうまく調理できず失敗していまうことも多いでしょう。 プロの料理人でもない限りは、フィレとして加工されている切り身を買ってきて調理するのがおすすめです。 フィレの選び方を身がしまって弾力のあるものが良いとされています。 身にくぼみがあるものは古く良くない肉であるといえるでしょう。 また、近年ではアブラガレイはヒラメの代用品としてエンガワで輸入されることも多い魚です。 水分が多いのが特徴です。
アブラガレイ/栄養・寄生虫
アブラガレイの油はビタミンAで、緑黄色野菜などのβカロチンと同じです。 アブラガレイの身にアニサキスがいるという情報がありました。 アニサキスは冷凍されていれば死滅していますので食べても問題はありません。 アニサキスがいるアブラガレイを生で食べる場合は、アニサキスは腸を食い破る怖い寄生虫なのでしっかり目視して取り除いたり包丁を細かく入れて寄生虫を切るなどの手間を必要とします。 アブラガレイの寄生虫には注意が必要です。
アブラガレイ/料理・調理方法
アブラガレイレシピ①煮付け
アブラガレイは白身の魚ですから煮付けが美味しい…のですが、いくら火を通しても身が締まらず逆にドロドロに溶けてしまいます。 このような魚の場合は、煮付けにするのはまず煮汁を通常よりも煮詰めて濃度をあげます。 そこにアブラガレイを入れて短時間で調理を終わらせるようにするとうまく煮魚を作ることができるでしょう。
アブラガレイの煮付け:材料
アブラガレイ切り身:1人あたり1切れ 水:100cc みりん:大さじ2 酒:100cc 砂糖:大さじ2 しょうゆ:大さじ3
アブラガレイの煮付け:作り方
1.調味料を鍋に入れて、ある程度濃度がつくまで煮詰めます。 2.1がドロリとしてきたらアブラガレイの切り身を加え強火で短時間で煮込みます。 3.アブラガレイが煮溶ける前に火を止めいただきます。 4.お皿に盛り付けて、煮汁を回しかけてできあがりです。 アブラガレイの切り身を入れたら時間をかけずに短時間で仕上げるのがコツです。 煮汁は通常の煮魚よりも多少濃いめの味付けにした方が美味しいでしょう。
アブラガレイレシピ②ムニエル
アブラガレイの身には脂肪分とともに水分も多く含まれています。 そのままムニエルにすると身が水っぽくていくら淡白な味が好きな人でも水っぽさが際立って美味しさを感じられないでしょう。 そんな時には下処理として切り身に塩を振り、冷蔵庫でしばらく休ませておきます。 出た水分をキッチンペーパーで丁寧に吸い取り身の水分を抜く処理をしましょう。
アブラガレイのムニエル:材料
アブラガレイ切り身:1人あたり1切れ 小麦粉:適量 塩:適量 こしょう:少々 お好みの香草:パセリやドライバジルなど加えると香草の風味がプラスされ美味しいです。クレイジーソルトをお持ちの人は使用しても良いでしょう。 レモン:適量 バター:適量
アブラガレイのムニエル:作り方
1.アブラガレイは塩を振りしばらく休ませて身から水分を抜いておくと水っぽさが抑えられます。 2.キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取り、塩コショウ、をして香草とまぜた小麦粉をまぶします。 3.フライパンにバターを入れて火をつけ、2のアブラガレイを入れて両面焼きます。 4.火が通ったらすぐに皿に盛り付けてレモン汁をかけていただきます。 アブラガレイの身は淡白なので香草やレモンなどで風味をプラスすると美味しくいただけるでしょう。 こちらも火を通しすぎると身がパラパラと崩れてきてしまうので、手早く仕上げるのがコツです。 お好きな人はオリーブオイルにニンニクの風味をつけた油でソテーしても美味です。
アブラガレイレシピ③みりん干し風
材 料(3人分) あぶらかれい(他の魚もOK)3切れ みりん大2 しょうゆ大2 料理酒大1/2 砂糖大1/2 ごま適量
作り方 1.魚とゴマ以外の材料をジップロックなどの厚手のビニールに合わせる 2.切ってない魚の場合は適当な大きさに切ってから①の袋に加え 空気を抜いて1日位漬けこむ 3.トースターの受け皿にクッキングシートを敷いて重ならないように魚を並べて焼けば出来上り
アブラガレイ/その他
アブラガレイはスーパーなどでも安く売られている経済的な魚です。 日本の東北よりも北の地域に分布され、日本には魚フィレやエンガワとして輸入されており、フィッシュバーガーの材料や回転寿司の食材として多く利用されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか? アブラガレイと聞くとなんだが馴染みがない印象ではありますが、意外と身近な存在なのがこのアブラガレイです。 最近話題になっている寄生虫などの問題も冷凍されているものなら寄生虫も怖くありませんので、ご家庭でも気軽に調理して食べることができるでしょう。昔は肝油の材料にしかならないと言われていたアブラガレイですが、下処理をしっかりすることと、火を入れすぎないことなど調理方法を工夫することで家庭でも美味しくいただくことができるでしょう。 ぜひご家庭でも味わってみてくださいね。