アナジャコとは(分類)
アナジャコはエビ目(十脚目)アナジャコ下目アナジャコ科に分類される甲殻類のひとつです。よく寿司屋でいただくシャコとは、見た目はよく似ていますが全くの別物です。 泥の干潟で面白い捕り方をして捕まえるので、子供連れで行楽としてアナジャコ捕りに出かける人も珍しくありません。一度やってみたらきっとその楽しさを実感できるでしょう。 今日はこのアナジャコについての魚図鑑をご紹介していきます。
アナジャコ/外国名
アナジャコの英語名は「Japanese mud shrimp」日本の泥にいるエビというそのままの名前で呼ばれています。 アナジャコは日本からアジアの湾岸、汽水域の干潟に生息しますが、年々その数が減ってきて高級食材となってきています。
アナジャコ/学名
アナジャコの学名は「Upogebia major」です。 Upogebiaでアナジャコ科の甲殻類を意味します。
アナジャコ/由来(漢字)
アナジャコを漢字で書くと「穴蝦蛄」となります。 穴に住む蝦蛄(シャコの唐音読み)。 唐音読み(とうおん・よみ)とは鎌倉時代に中国から入ってきた漢字の読みのことで、実際に唐の時代の漢字という意味ではなく日本で中国を指す「唐(から)」のことです。 また石花蝦と書いてシャク(ワ)エビとも読ませることがあります。これはシャクナゲ(石楠花)という花から来た名前で、茹でるとシャクナゲの花のような色になるということからシャクワエビ、またはシャクエビと呼ばれています。
アナジャコ/生息地域・分布
アナジャコは日本の干潟にはたくさん住んでいる甲殻類の仲間です。海水と淡水が混ざった地域に生息していて、日本では北海道から九州までほぼ全土で見ることができます。 日本の他、朝鮮半島や台湾にも生息しています。また、その名の通り干潟にY字をした深い穴を掘り生息する甲殻類としても有名です。
アナジャコ/生態・生育環境
アナジャコの繁殖期は春から夏にかけてです。アナジャコのメスがお腹に卵を抱えて孵化させます。 アナジャコのすみかである穴は全長50cmから1mという大変深く長いもので、アナジャコの多くは干潟の生物にその穴も含め利用されている生き物です。 アナジャコに寄生する生き物も多くいます。詳しくはアナジャコの寄生虫の項目で後述しますのでそちらも参考にしてください。
アナジャコの流通
干潟で釣って楽しむアナジャコは、その独特の殻の味を好む人もいて水産物として流通されています。主な流通場所は有明海、八代海周辺です。 基本的に採れたて新鮮なものをいただくので、市販される場合は内蔵や卵巣を味噌と叩いた「シャクミソ」という珍味として加工され出荷されます。しかし、こちらも基本的には日持ちがしない食品なので長期間楽しむためには冷凍保存が必要です。アナジャコは捕れる所ではないとなかなか口に出来ない高級食材となっています。
アナジャコ/特徴・形態
アナジャコの特徴として、甲殻類としてはその外殻はとてもやわらかいことがあります。また、メスの足は5対あるのに対してオスの足は4対しかないのもアナジャコの特徴的な雌雄の違いとなります。
アナジャコ/捕り方
アナジャコ捕りは子供でもできることから潮干狩りと並んで干潟の楽しい遊びとなっています。その捕り方は2通りありますが、どちらも穴に潜んでいるアナジャコを引っ張り出して捕るという原始的で簡単な方法です。
アナジャコの捕り方①おとり方法
おとりを使う方法はあらかじめおとり用のアナジャコを1匹手に入れておかなければいけません。下に紹介した筆を使う方法で自分で獲ってもよいですし、誰かから1匹分けてもらえば可能です。
捕り方
1.鋤簾で干潟の砂を削ってアナジャコの巣穴を表面に出します 2.おとりの尻尾に洗濯バサミをとりつけます 3.アナジャコの穴に入れると巣穴の主が怒って上がってきます 4.出てきたアナジャコの両爪をつまんで引っ張り出します
おとり法の難点
おとり法の難点は1匹ずつしか仕掛けられないことです。洗濯バサミをたくさん用意すれば獲ったアナジャコを次々におとりとして使用することもできます。 最初から一度にたくさん同時に仕掛けたいという人は、次に紹介する筆を使う方法を試してみましょう。
アナジャコの捕り方②筆を使う方法
アナジャコのもう1つの捕り方は筆を使ってアナジャコを巣穴から引っ張り出す方法です。 この筆を使う方法でまずアナジャコを1匹は手に入れないとおとり法も試すことはできないでしょう。基本となる捕り方ですのでぜひマスターしておきましょう。
捕り方
1.鋤簾で砂を削ってアナジャコの巣穴を表面に出します。 2.用意した使い古した筆をその巣穴のひとつひとつに入れていきます。 3.アナジャコが巣穴にいれば、怒って筆を攻撃します。筆が持ち上がるのですぐわかります。 4.筆をそっと引き出すとアナジャコが表に出てきます。 5.両爪を持って巣穴から引き出します。 筆を使う方法はおとりがいなくてもすぐにアナジャコ捕りをはじめられます。
アナジャコ/味・選び方
アナジャコは身、ミソ、卵巣と3種類の味が楽しめます。 身には繊維質を感じる肉質で甘みがあります。ミソは濃厚な味わい。メスの卵巣は甘みがあり濃厚です。 アナジャコは生きているうちに調理して食べます。死んでいるもの、洗って黒みがかっているものは古くなっているので避けます。
アナジャコ/栄養・寄生虫
アナジャコには何種類かの寄生虫がついていることが多いです。 特に多いのはエビヤドリムシとフクロムシです。胸の腹側の第2、第3脚付け根部分にマゴコロガイが寄生していることもあります。どれも人体には影響はありません。 アナジャコはそのやわらかい殻ごと食べられるのでカルシウムに富んだ食材になります。
アナジャコ/料理・調理方法
アナジャコの食べ方は主に塩ゆでか唐揚げがメインです。 泥をたくさん掴んでいるので、下処理として十分泥を洗い流すのは必須です。頭の先、口やエラは泥を噛んでいるので落としてしまう人もいます。背わたは取りにくいので取らなくても良いですし、気になるなら取ってもいいです。しかし、殻まで外してしまうとアナジャコ独特の味わいがなくなってしまうので殻は取らないで殻ごと食べるのがおすすめです。
アナジャコレシピ①塩ゆで
材料 アナジャコ たっぷりのお湯 塩 作り方 1.アナジャコの泥をしっかり洗い流します 2.たっぷりのお湯を沸かし、塩をいれます 3.2の中に1を入れて茹でます 茹でたてをビールのお供に。
アナジャコレシピ②唐揚げ
材料 アナジャコ 小麦粉を水で溶いた物 作り方 1.アナジャコはしっかり泥を洗い流して下処理をします 2.小麦粉を水で溶いた物(てんぷらよりも少しサラッとしたぐらいの濃度)にくぐらせます 3.180度の油でからりと揚げます 揚げたてに塩を振っていただきます。
アナジャコレシピ③アナジャコのクリームパスタ
アナジャコは塩ゆでと唐揚げが美味しいといっても、時には変わったアナジャコ料理も食べてみたいという人におすすめレシピです。 とれたてのアナジャコをアサリと合わせて、美味しいトマトクリームパスタに仕上げます。
材料 (二人分) パスタ200g 穴ジャコ8匹 アサリ100g 市販のトマトソース1袋 ニンニク 2かけ タマネギ1個 生クリーム(植物性) 100cc コンソメブイヨン1個 バター大さじ1 オリーブ油 大さじ1 ミント 適宜
作り方 1.頭をはずし、しっぽをはずすと同時に背ワタを抜きます。 2.アサリは砂抜きをしておく。 これは潮干狩りで採った貝なのでそこの海水に入れておいて砂を吐かせました。 3.タマネギとニンニクはみじん切りにして、フライパンでオリーブ油とバターで炒める。 その間、パスタを茹でる。 4.魚介類をフライパンで炒め、穴ジャコが赤くなり、アサリの口が開いたら、トマトソースとブイヨンを入れ、仕上げに生クリームを。 5.パスタは記載の時間より1分早くあげて、フライパンで1分間ソースと和えてソースをパスタに吸わせる。出来上がり、盛り付け。
アナジャコ/その他
アナジャコは獲って遊んだり食べたりするだけでなく釣りエサにも利用されます。 アナジャコを使って釣れるのはマダイ・スズキなどです。 この他、八代ではアナジャコの美味しい季節にはたくさん獲ってきて「シャクミソ」という八代名物のおつまみ(?)のような特産品に加工します。その作り方は家それぞれで違いがあります。一般的には、殻をとったアナジャコとミソ、その他の香り付けの材料を加えてすりつぶしたり、包丁で叩いたりして作ります。冷蔵では日持ちしませんが、冷凍して食べる分だけ解凍することで長く楽しむことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか? アナジャコの魅力が少しでも伝わっていたら嬉しいです。この機会にぜひ獲りに出かけてみてはいかがでしょうか。その後の料理含めて楽しむことができるはずですよ。