スベリヒユはとても栄養のある野菜
Pulslane:パースレイン。スベリヒユの英名です。世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきました。
食べ方は生でサラダにしたり、トルコでは麦と煮込んだスープにしたり、中国では炒めるなどして食用、漢方に用いられたり、とても栄養があり、プルピエとも呼ばれるスベリヒユのレシピを集めてみました。
スベリヒユは日本では雑草として扱われてきた
スベリヒユはスベリヒユ科の一年草です。夏に畑のあぜ道や、道端にびっしり貼り付くように生えているぷっくり赤い茎の植物、見たことがある方も多いと思います。
一般的に雑草扱いされていますが、山形で古くから茹でたり干したり、色々な食べ方で食用にされてきたこと、薬草として漢方でも効能があること、オメガ3脂肪酸と言う栄養素を豊富に含むスーバーフードであることが最近注目されています。
雑草としては繁殖力が旺盛で駆除が大変
スベリヒユは雑草の中でも繁殖力が強く夏場乾燥しても地を這うように広がります。春から夏にかけて一気に成長し、小さな黄色い花を咲かせます。茎は赤みを帯びたやや太さのある多肉質の茎なので見分け方は簡単です。
茎に小さな艶のある葉がつきます。耐寒性がないため冬場には枯れますが、翌春、小さな黒いこぼれ種から芽が出る繁殖力旺盛な雑草です。
雑草としてのスベリヒユを駆除したいなら
繁殖力が旺盛で一株から沢山の茎葉を出して広がります。接地している部分はあっさり発根します。ちぎれた茎からでも発根する位生命力が強いです。それだけ強い植物なので栄養も効能もたっぷりあるのかも知れませんが、駆除するとなると、こぼれ種で増えることもあり、根気が必要になります。
スベリヒユ駆除に除草剤を使う場合
雑草としてのスベリヒユははびこるように増えます。全く周辺の環境に配慮が必要ないのであれば除草剤を使うのも一つの方法ですが、周囲が畑だったり、小さな子どもがいたり、近隣の犬や猫があたりを散歩したりしている場合は配慮が必要です。
除草剤を使う以外のスベリヒユの除草対策
除草剤を使わない雑草駆除をしたいなら花が咲く前にスベリヒユを根ごと引き抜いて駆除する方法が一つ。ただこの方法だと抜いたあとのスベリヒユは乾燥に強くいつまでも生きているので、しっかり処分することが必要です。
草削りでスベリヒユの地上部を削り取る
もう一つの方法は草削りで地上部を削り取り土を返して埋めてしまう方法です。光がなければ生きられないので、一本一本手で引き抜くより早いです。草削りは雑草対策の農器具として、効率よく地上部を削り取ってくれるので、あっという間に雑草を処理出来ます。
三角鍬もスベリヒユの除草にお勧め
三角鍬もかるくて、扱いやすく、刃先をしっかり研いで手入れしてやると、除草に抜群の威力を発揮します。根強くはびこる雑草にはこちらのほうが、先端の三角部分の刃先で太い根も少し掘り返しながら断ち切りやすいので、お勧めです。土寄せや軽く土を耕すことも出来ます。柄が短いハンディタイプもあります。
スベリヒユの栄養と効能がすごい
スベリヒユは古くから日本でも食用にされて来ました。漢方薬としての効能は解毒、消炎、抗菌作用などがあり、虫刺されなどに生葉を搾った汁を塗ってもよいそうです。
厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」という資料にもスベリヒユの名前が載っています。そのくらい栄養や効能があるスベリヒユ、雑草ではなく野菜として食べ方やレシピを見てみましょう。
スーパーで売られているスベリヒユ
山形ではスーパーでスベリヒユが「ひょう」と言う名前で野菜として売られているそうです。最近は各地の直売所などで栽培したスベリヒユが販売されているようです。栽培されているモノは「立ちスベリヒユ」といって匍匐ではなく直立性がある品種です。
ポーチュラカはハナスベリヒユ
スベリヒユの学名はPortulaca oleracea。近縁のタチスベリヒユは野菜として栽培されている品種です。観賞用のポーチュラカも園芸品種ですが、スベリヒユ同様の食べ方、生でも加熱しても食べることが出来ます。花色によって茎の色も違い、白い花で茎も緑色のものは比較的クセが少ないようです。
ポーチュラカの育て方
ポーチュラカは種蒔き、挿し木で増やします。耐寒性が弱いので、どちらも十分に気温が上がった5月に行います。挿し木は10月まで出来ます。5cm〜10cmの茎を用土に挿しておけば簡単に発根します。
秋に挿し木で苗を作って室内で管理すると冬越し出来ます。鉢植えは土が乾いたら水をたっぷりやりますが、地植えの場合は水やりは必要ありません。
ポーチュラカは春から夏にかけて、気温が上がってくると一気に大きくなります。育ちすぎて葉が混み合っていると思ったら、茎先を適宜切り取って、剪定してかまいません。刈り取ったものをゆでて食用にしてもいいかもしれませんね。
スベリヒユの栄養について
スベリヒユは栄養と効能がたっぷりあります。オメガ3脂肪酸を豊富に含んでいるようです。正確な含有量は信頼のおける資料が見つからなかったのですが、その他にもスベリヒユ100gあたり、カリウム 495mg、鉄分 2mg、ビタミンA 1,320 IU、ビタミンC 21 mgを含んでいます。
シュウ酸を多く含むので食べすぎは注意が必要です。レシピはおひたし系の食べ方が多いですが、炒める場合も下ゆでして水にさらすなどして、シュウ酸を抜きましょう。
スベリヒユの食べ方:下処理と注意点
自生しているスベリヒユは地面に這いつくばるように生えているので刈り取ったらしっかり泥を洗い落としましょう。しばらく水につけておくとよいでしょう。また採取場所はしっかり選びましょう。
除草剤が撒かれていない、その他の汚染がない清浄な土壌、環境のものを摘み取りましょう。育て方は簡単なのでポーチュラカやパースレインの種から自分で育てるのも一つの方法です。
ポーチュラカの食べ方:注意点
ポーチュラカはハナスベリヒユと呼ばれることもあり、スベリヒユ同様に生でも加熱しても食べることが出来ます。気をつけなければならないのは、園芸店で買った苗は虫がつかないように農薬が使われたりしている可能性があることです。食用にしたいのなら、挿し木や種蒔きで自分で一から育てたものを食用にするのが安心です。
スベリヒユのレシピ①
スベリヒユは生でも食べられます。生食の場合はなるべく良く育った株の茎の先の立ち上がったやわらかい部分、赤身が少ない緑色に近いものや、栽培種のタチスベリヒユが生で食べるレシピにはクセがなく、お勧めです。サラダにして頂きます。ごま油と相性がいいので和風、中華風のドレッシングがお勧めです。
スベリヒユのレシピ②
古くからの食べ方で一般的なのはなんと言ってもおひたしです。茹でて水にさらして醤油や鰹節をかけて頂きます。茹でるとぬめりがでてきます。初めて食べた人の感想を見ても美味しい!という第一声が多いです。
少し酸味があるので、一部の人はクセがあってあんまり、と言う人もいます。やはり味の好みには個人差がありますが、どこにでも生息していて、簡単ににまとまった量を採取出来ますし、一度は試して見る価値があるでしょう。
スベリヒユのレシピ③
おなじくおひたし系ですが辛子醤油で和えるのが古くからのもう一つのポピュラーで美味しい食べ方です。酸味と辛子の相性が抜群なレシピです。和えてすぐに頂いてもいいですし、少し時間をおいて馴染ませてもまた美味しいです。この他、アレンジでおひたしを辛子マヨネーズ和えで頂くのも美味しい食べ方の一つです。
スベリヒユのレシピ④
オクラとスベリヒユを刻んで合わせた一品。醤油と鰹節を混ぜ込んで粘りを出して頂きます。どちらも粘り気のある野菜で、馴染みます。この写真よりさらに細かく刻んで炊きたてのご飯にのせていただくのも美味しい食べ方です。他にも納豆とスベリヒユを混ぜて食べるのも、スベリヒユのぬめりを活かしたレシピです。
スベリヒユのレシピ⑤
これも山形の古来からの食べ方です。夏の暑い日にスベリヒユを刈り取って茹でて、その日のうちに天日干しします。多肉質で保水力が高いのでトタンの上で干す人もいるくらいです。
しっかりお日様にあてて乾燥させて保存して、冬場に煮物にして頂きます。ゼンマイのような食べ方、レシピで頂きます。天日干しの乾物になることでぐっと旨味が増します。
スベリヒユのレシピ⑥
スベリヒユはそばつゆやだし汁とも相性がいいです。これはワカメそばにスベリヒユを茹でて青菜として添えてあります。茎の食感と噛むと出るぬめりで蕎麦をつるりと頂きます。
のどごしがよくさっぱりした一品になります。夏場なら冷たくして、寒い時期は温かい汁にスベリヒユを添えて頂きましょう。蕎麦の他に、そうめんや、冷や麦など細めの麺との相性が抜群です。
スベリヒユのレシピ⑦
野草料理の王道、天ぷら。スベリヒユの水分が多いので、からっと揚がるように衣は薄めにつけましょう。スベリヒユの天ぷらは、多肉質の茎がしっかりしていて天ぷらの衣と、シャリシャリぬるぬるの食感で美味しく頂けます。
スベリヒユのレシピ⑧
ごまとニンニクをきかせたナムル。スベリヒユともやしを茹でて、ごま、ニンニク、生姜、ネギなどの薬味と醤油、ごま油で和えます。隠し味にハチミツや砂糖で少し甘みを足すと旨味が増します。スベリヒユはごま油と相性がよいのでナムルは最高の食べ方です。普通のおひたしに変化をつけたくなったら試して見て下さい。
スベリヒユのレシピ⑨
スベリヒユのグリーンスムージー。キューイ、バナナ、パイナップル、ヨーグルトと合わせて。スベリヒユの酸味とマッチする朝食にピッタリの、爽やかでヘルシーなスムージー。思いっきりデトックスできそうです。
スベリヒユのレシピ⑩
スムージーをやや固めに作ります。スベリヒユ、りんご、バナナ。出来上がりの色味を考えるならイチゴはトッピングで。お好みのグラノーラーにたっぷりかけて頂けば栄養たっぷりでヘルシーな朝食になります。スベリヒユとバナナのつるんと滑らかな食感がグラノーラを食べやすく口当たりよくしてくれます。
いろいろなレシピでたのしめるスベリヒユ
スベリヒユはパースレイン、プルピエと言う名前で、世界中で食用にされている植物です。日本ではほとんどの人が雑草と思っているスベリヒユですがおいしい食べ方が色々あります。
雑草、というのは人間が勝手に決めた目的外の植物のこと。最近はタチスベリヒユを栽培する生産者もありますから、これからますますスベリヒユの注目度が高まって行くのかも知れません。