イヌマキとは
庭木にベストな針葉樹(しんようじゅ)で、現によく使われています。他にも目隠しに生け垣、または防風林としても、ちょうほうされているんですよ。 人気の理由として丈夫ということがあげられます。生育力だけでなく、潮風(しおかぜ)や汚染物質(おせんぶっしつ)に対しての強さも持っています。丈夫だからこそ育てやすいんですね。 仕立てやすさもポイントで、刈り込みしても問題ないので好みの樹形にできます。 風水的には、南,南西,西の位置にあるといいそうです。
科名
科名・属名は『マキ科・マキ属』。 イヌマキは漢字で「犬槇」と書き、別名は「マキ」「マキノキ」「ホンマキ」「クサマキ」「ニンギョウノキ」などがあります。
学名
『Podocarpus macrophyllus』 英名は「Longleaf podocarpus」「Southern yew」
花名由来
比較対象になる植物があってそれよりもおとる場合、植物名の始めに「イヌ」とつけられてしまうことがあります。 大昔は「マキ」といえば杉の木でした。それにくらべておとる木材だったために「イヌマキ」となったようです。 でも素晴らしい木材なんですよ。日本書紀でスサノオノミコトが棺桶(かんおけ)の材料に指定したのがイヌマキとされています。
イヌマキの花言葉・開花時期
イヌマキも花を咲かせます。花の特徴などは後半で詳しくご紹介するとして、まずは花言葉や開花する時期をみていきましょう。
花言葉:色あせぬ恋
花言葉は「色あせぬ恋」と「慈愛」です。 ロマンチックな花言葉を持っていますよね。樹木なのでプレゼントというわけにはいきませんが、庭木として家族に愛を与えてくれそうなイメージがします。
由来
「色あせぬ恋」については、イヌマキの葉っぱが常緑(じょうりょく)のためにつけられました。 それと庭木として生け垣や、防風の役目をはたしながら成長することが「慈愛」の由来になります。家を守ってくれる愛を感じるということですね。
開花時期
イヌマキの花が開花する時期は、5月〜6月です。
イヌマキの育て方・栽培方法
難易度
初心者の方でも育てられます。 ここからご紹介する育て方を参考に正しく育てていけば、きっと元気なイヌマキに成長してくれますよ。 イヌマキは低木ではないので大きくなります。生け垣や防風などの目的があれば、その用途にあう場所を先によく選んでから植えてくださいね。 成長後には期待された役割をこなしてくれることでしょう。
時期
管理していくには適した時期があります。 気候など地域によって多少の違いもでてきますが、基本的には下記の通りです。 ■剪定:3月〜12月、寒冷地は3月〜10月 ■植え付け:3月〜4月、5月〜6月、9月 ■肥料:2月(地植えの場合)、3月(鉢植えの場合) ■挿し木:3月〜4月、9月〜10月 ■種まき:保存した種をまくなら3月、採取した種をすぐにまくなら10月
植え付け
鉢植えの場合、苗に対して一回り以上大きな鉢へ植え付けます。鉢底にゆっくりと効き目があらわれる緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)を適量おいてください。 地植えの場合は、苗にくらべて一回り以上大きな穴を掘り、土に堆肥(たいひ)を混ぜておきます。 どちらも土をかぶせる際、苗と土とのさかいめあたりを土が高くなるように盛ることがポイントです。 仕上げにたっぷりと水やりします。
種まき
種は売られていないので、自分で採取します。秋になると果実が熟して種子を採取できますよ。果肉はよく洗い流してくださいね。 種まきの時期は、採取してからすぐにまくか、保存しておいて翌年の春にまくかになります。 保存するなら乾燥に気をつけましょう。ビニール袋に入れて空気が入らないようにします。そして冷蔵庫に入れておけば大丈夫です。
水やり
鉢植えは、土の表面を触ってみてしっかりと乾いているのを確認したら、ふんだんに水やりします。 地植えの場合、根付いてしまえば雨だけでも十分なので、基本的には水やりの必要がなくなります。でも雨がぜんぜん降らずに土が干上がってしまう時など、状況しだいでは水やりしてくださいね。 根付く目安は、植え付けてからおおよそ2年です。2年以内は土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
肥料
年に1回だけイヌマキへ肥料をほどこします。 地植えは2月に、有機質肥料(ゆうきしつひりょう)を株と地面のさかいめあたりに埋めてください。 鉢植えなら3月に、緩効性化成肥料の適量を株元に置いてあげます。 チッソの多い肥料だと、弱々しく成長してしまうので気をつけましょう。
剪定
枝はどんどん伸びるので、そのままにしておくとあちこちに広がりすぎて樹形がぐちゃぐちゃになってしまいます。それに内部の日当たりや風通しが悪くなり、病害虫の被害を受けやすくなります。 そこで年に2回ほど剪定が必要になるんですね。元気に伸びすぎてしまった枝や、こみあっている部分の枝を付け根からカットしてください。
増やし方
挿し木と、先に説明した種まきで増やすことができます。 種まきをするなら、種まき用の培養土か赤玉土小粒にまきます。水をふんだんにかけ、その後も水切れに気をつけながら育ててください。株が10cm以上まで成長し、根っこもしっかりと生えたら植え付けをしていきます。
場所
日当たりの良い場所を好みますが、日陰でも成長します。どちらか選べるようでしたら、日光の当たる方で育てましょう。 暖かい地域に自生する樹木なので、寒さはあまり得意ではありません。そのため、東北地方から北での地植えは厳しいです。
挿し木
挿し木の時期は、使う穂木(ほぎ)によって異なります。穂木は土に挿して育てていく枝のことです。 昨年に成長した枝を穂木にする場合は3月〜4月、今年になって成長した枝が穂木になる場合は9月〜10月に挿し木をおこなってください。 挿し木用の培養土か、赤玉土小粒、鹿沼土(かぬまつち)へ、枝の先から10cmほどにした穂木を切り口から挿します。水切れしないように育てて、根っこが出たら植え付けてください。
植え替え
鉢植えでは植え替えが必要になります。 地上部分の早い成長にあわせて、地下の根っこも広がっていきます。同じ鉢のままだと根っこがパンパンに張ってしまって、根詰まりという症状になり、やがて枯れてしまいます。なので、年に1度は植え替えましょう。 これまで使っていた鉢よりも一回り以上大きな鉢へ、植え付けた時と同じように植え替えしていきます。
刈り込み
十分に成長したイヌマキは剪定とは別に、樹形のスタイリングとして刈り込みをおこないましょう。すぐボサボサになってしまうので、セットした感じをキープし続けるなら年2回ぐらいがいいですよ。より適期なのは、5月と9月〜10月です。夏と冬に刈り込むと弱ってしまうので避けてください。 枯葉や痛んだ葉っぱも取り除いていけば、キレイなルックスに仕上がります。
冬越し
寒さに強くはないので、地植えをしていて霜(しも)に当たるおそれがある場合は、株と土のさかいめあたりを堆肥か腐葉土(ふようど)をかぶせて保護してあげてください。 鉢植えなら暖かい場所へひなんさせれば大丈夫です。
ペスタロチア病
カビによるペスタロチア病にかかることがあります。葉っぱが灰色のまじった褐色になって枯れてしまいます。雨や風によって病原菌がつき、もとから葉っぱにあった傷などに入り込むという流れです。剪定や刈り込みをした後は傷がつきやすいので気をつけましょう。 発見したら症状のある部分をすぐに取り、殺菌剤をかけてください。 古い葉っぱや落ち葉をこまめに取り除くことが予防になりますよ。
すす病
すす病もカビによるものです。害虫の排泄物(はいせつぶつ)がたまるとそこに発生します。すすで汚れたようになることからこの病名になりました。イヌマキの印象が悪くなりますし、光合成をじゃまします。問題の害虫をくじょすることで、すす病も発症しなくなります。
害虫
アブラムシはやってきやすいので、薬剤で予防しておきましょう。アブラムシの排泄物はアリを引き寄せたり、上記のすす病の原因にもなります。アリを見かけたらアブラムシの存在もうたがってみてください。 風通しがよくなかったりすると、カイガラムシがあらわれます。見つけしだい薬剤で退治しなければなりませんが、成虫にはあまり効きません。使い終わった歯ブラシなどでこすれば、やっつけられます。
イヌマキの特徴
常緑性の針葉樹で、樹高が20mほどになる高木です。 雌雄異株(しゆういしゅ)という、メスの木とオスの木に分かれた樹木になります。花もオスとメスで違いがありますよ。 葉っぱは細長いものの、他の針葉樹ほどではありません。
果実について
果実は面白い姿をしています。緑色で白い粉をまぶしたような丸い種と、花托(かたく)と呼ばれる赤い部分からなっています。上に種、下に花托がつらなっていて、まるで串にさした白緑と赤の2色のお団子のようにみえます。 花托は甘くて食べることができるんですよ。種の方は毒がありますので、食べてしまわないように注意してくださいね。
イヌマキの品種・原種
イヌマキの仲間にラカンマキという品種があります。イヌマキに比べて小さく、樹高は5mと約半分ほど。成長もゆっくりなので、鑑賞目的の庭木としてはラカンマキの方に人気があります。
原産地
日本、中国、台湾が原産地です。
分布域
日本では、関東を含めてそれより西の暖かい地域に分布しています。沿岸部でよく見られます。
材木にもなるイヌマキ
イヌマキは材木としても使われています。水への耐性(たいせい)があるためお風呂で使う桶(おけ)にされたり、建物で問題になるシロアリにも対抗できるので高級な建築材料として用いられているんですよ。 名前の由来で説明したイヌマキという汚名を返上してもいいくらいです。実際のところはマキとも呼ばれているので、認められているのかもしれませんね。
まとめ
ただの樹木ではなく、汚染物質や潮風にたえてお家を守ってくれるイヌマキ。丈夫なことから育てやすく、好みの樹形に仕立てやすいので庭木として愛されています。材木としての適性も高いので、優れた木だといえますね。 剪定や刈り込みにはちょっと手間がかかりますが、スタイリングとしておこなえば楽しめますよ。生け垣や防風のために植える木を検討しているなら、イヌマキがおすすめです。