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イボタノキの育て方【植物図鑑】

日本の山野に自生する、イボタノキ。育て方は簡単で、土を選ばず、強めの剪定にも耐えてくれます。お庭では生け垣として育てられることも。初心者さんも、ぜひ好きな形に刈り込んで、美しく仕立てましょう! イボタノキの育て方をご紹介します!
2020年8月27日
三ツ矢ナオ
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目次

イボタノキとは

科名

モクセイ科イボタノキ属

学名

Ligustrum obtusifolium

花名由来

イボタノキには、イボタロウムシ(イボタカイガラムシ)と呼ばれる虫がつきます。 オスが身体から分泌する白いロウを熱して、人間のイボにつけると、イボがとれることから、「イボタノキ」という名がついたと言われています。

イボタノキの花言葉・開花時期

花言葉:よい友を持つ

イボタノキの花言葉は「よい友を持つ」です。

由来

イボタロウムシとの関係から来ているとされています。 イボタロウムシの出すロウは、ほかの用途にも利用されます。蝋燭(ろうそく)はもちろん、髪の毛のツヤ出し、日本刀の手入れに使われることも。 このロウは「いぼた蝋」と呼ばれ、人間の生活に古くから利用されてきました。 イボタノキは「水蝋の木(いぼたのき)」とも呼ばれます。

開花時期

5~6月ごろに開花します。 花の色は白で、花びらの先が4つに分かれています。 複数の花がまとまって付き、1輪1輪の形は小さな百合を思わせます。 ひっそりとした美しさをもつ花です。

イボタノキの育て方・栽培方法

難易度

栽培難易度は低め。 初心者の方でも挑戦できます。

時期


育て始める時期は、春の初め(3~4月)か、秋の終わり(11月)ごろが適切です。 イボタノキは落葉樹。葉を落としているシーズンが植え付けに向きます。

場所

日当たりの良い場所で育てましょう。 日照不足になると、花つきはあまり期待できなくなります。 土は腐植質に富んだものを用意しましょう。 あらかじめ植える場所に、腐葉土や堆肥をよく混ぜ込んで、耕します。 とはいえ、水はけさえよければ、あまり土質を選ばずに育ちます。 良質な木を育てるためには、腐葉土をたくさん使ってあげると良いのですが、深くこだわらなくても育つ木です。

植え付け

少し高めに土を盛り、水はけが良くなるようにしてあげましょう。 まずは、植え付けたい場所をよく耕します。 腐葉土や堆肥を混ぜ込む場合は、この段階で地面へと一緒にすき込んでおきましょう。 耕し終わったら、苗よりひとまわり大きな穴を掘ります。 ここに植え付け、地面より少し高めになるように、土を盛りましょう。 終わったら、たっぷりと水を与えて完了です。

水やり

庭の地面に直接植え付けるのであれば、水やりは特に必要としません。 雨水を根から吸い上げて育ちます。 ただ、植え付け直後はまだ根が定着していないので、土が乾き次第、人の手で水やりをしてあげると安心です。 鉢植えで育てられることはあまりないですが、もし鉢植えを検討しているのであれば、土が乾き次第の水やりをしましょう。

肥料

冬に与えます。骨粉や油かすを、株の周りにまきます。幹のぎりぎり近くにまくのではなく、根の広がっている少し離れた場所にまくイメージです。 肥料もさほど必要としない植物です。 年に1度、この時期に与えれば充分でしょう。

剪定

イボタノキは生け垣に利用して楽しめる植物です。というのも、芽吹く力が非常に強いので、刈り込んでしまってもまた新しい葉を出し、好みの形に整えやすいのです。 丸々とした球形に仕立てても美しいです。 剪定に自信のない方でも、まずはイボタノキの木で練習してみましょう。 剪定を行う時期は、冬~4月に入る前がおすすめ。長く伸びてしまった枝を切り、混み合っている場所をすっきりさせ、弱った枝を整理するのがおもな作業です。

挿し木

大きな木に育てるのには時間がかかりますが、挿し木で増やすことができます。 太めで健康な枝を選び、15㎝くらい切り取ります。 切り口を挿し木用の土に挿し、土を乾かさないように水やりをしましょう。うまく根付けばOK。 挿し木の適期も冬です。イボタノキは、多くの手入れを冬に行う植物だと覚えましょう。

種まき

イボタノキは実をつけます。この実の中に入っている種を使えば、種まきも可能です。 ただし、成木になるまでには挿し木よりもさらに長い時間がかかります。 通常であれば、挿し木で増やすのが良いでしょう。

植え替え

もし鉢植えで育てるなら、数年に1度は植え替え作業も必要です。 木が生長してくると、根が鉢の中で詰まってしまうので、定期的に大きな鉢へと移してあげるのです。 このとき、土も新しいものに入れ替えてあげましょう。 もし株をコンパクトに管理したいなら、根を切り、また同じ鉢へ植え替えます。徒長した枝は切り戻しをしましょう。


害虫

ハマキムシの被害が見られます。 見つけたら駆除しましょう。薬剤を散布すると簡単です。

イボタノキの特徴

庭木というよりは生け垣

イボタノキは、単純に花や葉を楽しむために植えられるというより、「場所を緑で埋めるため」「生け垣として」という使われ方をする木です。

盆栽

イボタノキは盆栽として親しまれることも。 日本に昔から生えている木なので、和の雰囲気との相性は抜群です。

台木

イボタノキは丈夫で、芽吹く力も強く、よく台木として使われます。 ライラックの台木として使われるのは定番。ライラックを押しのけて大きくなってしまわないよう、注意しなければいけないほどです。

イボタノキの品種・原種

原産地

日本をはじめとした、アジア原産の木です。 特に山間部では、あちこちで自生が見られます。

分布域

日本や朝鮮半島、中国に分布しています。

プリベット(セイヨウイボタノキ)

ここ数年、人気を高めているのが「プリベット」です。 「セイヨウイボタノキ」とも呼ばれます。 名前の通り、アジアではなくヨーロッパを原産とする、西洋のイボタノキです。 アジアのイボタノキより、華やかな雰囲気があり、遠くから見ても花が密にたくさんつきゴージャスな印象です。ライラックのような雰囲気があります。 香りがある、実がつく、葉が対につくといった特徴はアジアのイボタノキと同じ。 違いといえば、暖かい地域では葉を落とさずに冬を越す点でしょう。

オオバイボタ

イボタノキより大ぶりな木です。 葉がスマートで縦長なイボタノキと比べると、丸みがあり、葉の先は尖っています。 おもに暖かい場所や沿岸部に自生します。

ミヤマイボタ

山深くや北によく生えます。東北地方を中心に分布しており、イボタノキが人里にも生える木だとすれば、ミヤマイボタはもっと標高が高く寒い場所を好む木だといえるでしょう。葉は厚みがなく、先が尖っています。


山でイボタノキを見つけてみよう

イボタノキの見分け方は?

自然いっぱいの山野に赴くと、たくさんの木々が生えていますよね。 イボタノキは北海道から九州まで、ほぼ日本全国と言っていい場所に生えている木です。 ですが、正直花はそこまで目立たず、開花期も1年中ではないので、「これ、イボタノキかな?」なんて判断に迷うこともしばしば。 そこで、イボタノキを見分けるのに役立つ特徴を押さえておきましょう!

葉の特徴

対になるように付く葉が特徴。 葉の見た目は、ほかのモクセイ科の植物(キンモクセイ等)に似ています。 緑色で、ややかたそうな印象があり、縦長です。オオバイボタやミヤマイボタは葉先が尖っていますが、イボタノキは丸みを帯びています。 ただし、葉自体は縦に長いのです。 落葉樹なので、冬には葉を落とし裸になります。

枝の特徴

まだ緑色をしている若い枝には、細くて細かい毛がついています。 トゲトゲして見える部分があり、これは枯れた枝がついていたなごりです。

花には香りがある

5~6月に咲く花は香りをもっています。

青紫の実をつける

イボタノキは実もつけます。 あたたかいうちは緑色をしていますが、涼しくなるにつれてブルーベリーのような色に熟していきます。この果実を割ると、中に種があり、断面は白っぽく見えます。

まとめ

凝った手入れは不要! 丈夫な木

イボタノキは木の勢いが強く、とても丈夫です。 どんな場所にもよく適応し、たくさん剪定してもまた芽吹いてくれるのが嬉しいところ。凝った手入れも要らず、初心者さんでも簡単に育てられます。 ぜひ、好きな形に整えて楽しみましょう!