そら豆について
そら豆については今更、と言うくらいよく知られた初夏の季節野菜です。関東などの中間地だと秋に種を蒔いて翌年の5月頃収穫します。旬の時期は枝豆よりも前、春先から初夏です。さやの先端が上を向いて育つので空豆(蚕豆)と呼ぶようになったと言われています。肥料はほとんど必要なく、育てるにもそれほど手がかからず、収量が多い育てやすい作物です。
そら豆の保存について
そら豆は生でも茹でてもあまり保存が出来ません。鮮度が命で保存しにくいからこそ、旬があるのかもしれませんね。どうしても保存したいときは、薄皮付きの状態で生のまま、あるいはさっと湯通ししする程度に茹でてからなるべく空気に触れないようジッパー付きの袋などに入れて冷凍保存しましょう。
旬野菜そら豆を味わい尽くす新常識
そら豆のもっともポピュラーな食べ方は塩ゆでです。旬野菜を楽しむレシピとしては最も簡単で人気のおつまみですが、この塩ゆでするだけのレシピ、そら豆の選び方で食べ方が違ってくるのをご存知ですか?お弁当に彩りを添える人気のおかずレシピとともに、そら豆の基本的な扱い方や、私たちがまだまだ知らなかったそら豆の新常識を紹介します。
生のそら豆は野菜です
豆なのに野菜?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、完熟前の生のそら豆は野菜に分類されます。枝豆やグリーンピース、スナップエンドウなども同様です。改めてはっきり野菜、と言われると意外な感じがします。そら豆は鮮度が大事、そして生ではあまり保存がききませんので、購入するときは鞘にツヤがある鮮度がよいものを買い求めましょう。
そら豆の豆苗
最近はエコ野菜としてエンドウ豆の豆苗が人気ですが、そら豆の豆苗も販売されています。
紅そら豆という赤い豆が取れる品種もある
一部の地域で、薄皮が赤いそら豆が栽培されています。「赤そら豆」「初姫」などの品種名で種苗会社が種を販売しています。東日本ではあまりお目にかかることがありませんが西日本では赤そら豆は比較的知られているようです。
若いそら豆は薄皮も食べられる
通常そら豆は外皮も薄皮もむいて中の豆を食べますが、若い鞘の豆はほくほく感というより、フレッシュなみずみずしさを楽しみます。このような若いそら豆は薄皮もやわらかいので、茹で方も時間を短くして、薄皮ごと頂きます。若い薄皮は旨味がたっぷりあって、味わいが増します。ポリフェノールや食物繊維も多く含んでいるので、ぜひ試してみてください。市場に出回り始めた本当に初めの時期の貴重な季節の味覚です。
若いそら豆のさやのフワフワを食べる
若いそら豆の見分け方は外側の鞘の色が艶があって明るい緑色です。形もあまりくびれていなくてなめらかです。この鞘の中の綿はそら豆に栄養を供給する水分と糖分をたっぶり含んでいます。このふわふわの白い綿も食べることが出来ます。綿を食べるときは、そら豆をさやごとグリルや網で焼くのですが、焼き方は表面に焦げ目がしっかりつくくらいまで焼けばOKです。鞘を二つに割るとほくほくと湯気が立ち上ります。白い綿をそのままスプーンですくって食べてもよいです。
若いそら豆のフワフワのレシピ
若いそら豆を生の状態で鞘を二つに割って、豆を取り出します。鞘に豆腐と挽肉のペーストや、カッテージチーズとそら豆を刻んだモノを塩胡椒で味付けして鞘に詰めて、上に飾り用の豆をのせます。グリルで焼いてスプーンですくって食べるとちょっとオシャレな一品が出来上がります。
よく熟したそら豆の食べ方
お歯黒がしっかり黒くなっているのがよく熟したそら豆です。中のマメが大きく成長しているので外皮もゴツゴツしてくびれがあります。鞘の形を見れば中のお歯黒が見えなくても、見分けがつきます。
よく熟したそら豆はほくほくした食感になってきます。同じく塩ゆでで食べる場合の茹で方は、若いそら豆より時間を1〜2分長くとってしっかり茹でます。薄皮も大分しっかり厚みと堅さが出て来るので、薄皮はむいて中の豆だけを食べるのが一般的です。薄皮をむきやすくするためにお歯黒のところに包丁で切れ目を入れてから茹でます。ほくほくとよく熟したそら豆は水分が少ないので、素揚げにして塩をふって食べるのもお勧めです。
完熟して豆になったそら豆の食べ方
完熟そら豆の茹で方
完全に完熟して豆になった乾燥そら豆。茹で方が今までとは違います。一昼夜しっかり水につけて戻してから、タップリの水で茹でます。1〜2回ゆでこぼしてから、重曹を入れてそら豆が十分やわらかくなるまで茹でてゆでこぼします。この下ゆで方法だと、そら豆の薄皮がしっかりやわらかくゆであがります。
完熟そら豆のレシピ
上記の様にやわらかく茹でた完熟そら豆は薄皮ごと食べることが出来るのでレシピの選択肢が広がります。薄皮ごとしっかり味を染みこませた含め煮がお勧めレシピです。日持ちさせたい場合はしっかり味を濃く煮詰めるとよいです。お多福豆は有名な一品です。あとは乾燥そら豆を油で揚げて塩をパラパラふれば、簡単で美味しいおつまみがあっという間に出来上がります。
おつまみそら豆のレシピ①
そら豆は季節のある旬野菜です。鮮度が命ですので採れたての淡いあかるい翡翠色のそら豆を、まずは塩ゆでして、そのままおつまみにする食べ方が人気です。茹でたそら豆でも保存はききませんので新鮮なうちに食べきってしまいましょう。
おつまみそら豆のレシピ②
乾燥そら豆だけでなく生のそら豆も、薄皮ごと、または軽く茹でて薄皮をむいた中の豆を素揚げにして塩を振っていただくのもおつまみとしては最高の食べ方です。カレー粉との相性も抜群ですので、仕上げにカレーパウダーを振ると、さらにおつまみ度がアップします。揚げるときは水分を飛ばしてカリッとした食感に仕上げるために、よく熟した、お歯黒がバッチリ黒くなっている豆を使います。
お弁当そら豆のレシピ:彩りに塩ゆでそら豆
お弁当レシピと言えないくらいシンプルな塩ゆでそら豆ですが、翡翠色がお弁当に彩りを添えてくれます。
お弁当そら豆のレシピ①:紅そら豆ご飯
紅そら豆をご飯に混ぜて炊くと赤飯のように赤くなります。西日本の一部の地域で作られているだけなので、珍しい貴重なそら豆です。普段の食事の主食に変化をつけたいときや、お弁当に彩りが欲しいときにお勧めです。 <材料> 米 2合 赤そら豆 100g 薄皮付きの状態で 酒大さじ 1 塩 小さじ1 水 330cc 米を研いで材料の水に浸して浸水時間を取ってから他の材料と合わせて炊きます。炊き上がったらしゃもじで返して15分蒸らします。水の量は好みの固さに炊きあがるよう調整します。
お弁当そら豆のレシピ②:含め煮
<材料> 乾燥そら豆 100g 砂糖 100g 重曹 小さじ1/2 乾燥そら豆は「完熟そら豆の茹で方」を参考に下ゆでします。重曹を入れるタイミングで鉄釘を入れると黒く仕上がります。砂糖とひたひたの水を加えてしっかり味濃く煮含めます。まとめて作っておけば、お弁当に一つ二つ添えるだけで、ぐっと味わいが増す一品です。沢山作って冷凍保存しておいてもよいでしょう。
お弁当そら豆のレシピ③:そら豆コロッケ
<材料> 鞘付きそら豆 1kg 塩胡椒、少々 衣用の材料 小麦粉 卵 パン粉 揚げ油 100%そら豆コロッケです。ジャガイモと合わせてコロッケだねを作ってもよいでしょう。どちらも茹でて、ボールに合わせて塩ひとつまみと胡椒で下味をつけてざっくり潰して丸めます。小麦粉、卵、パン粉の順にまぶして表面をカリッと揚げます。油の温度は170℃〜180℃。温度が低いと破裂する要因になります。米油で揚げるとカラッとさっぱり仕上がります。
お弁当そら豆のレシピ④:そら豆のポタージュ
お弁当じゃなくても美味しい一品です。そら豆のポタージュ。温かい保温ポットにいれて持って行けば、フランスパンやバターロール、サラダと合わせて簡単ヘルシーランチになります。材料もシンプルです!
<材料> そら豆(薄皮付) 150g〜200g 牛乳 300cc、 タマネギ 100g、 バター、塩、胡椒、少々 なるべくほくほくタイプのそら豆を選んで下さい。茹でて薄皮をむきます。タマネギをスライスしてバターで焦がさないように炒めます。しんなりして甘みが出たら、茹でたそら豆、牛乳と塩胡椒と合わせてミキサーにかけるだけ。そら豆の繊細な味を楽しむためにブイヨンなどは使わずに塩胡椒のみで味付けするのがおすすめです。
お弁当そら豆のレシピ⑤:そら豆のペペロンチーノ
<材料> 乾燥パスタ 100g 茹でるための塩 大さじ1 そら豆 さっと茹でて薄皮をむいたもの 1/2カップ オリーブオイル 大さじ2 ニンニク 1片 鷹の爪 1/2本 バジルの千切り少々 パスタをタップリの湯に塩を入れて茹でている間に、ニンニクをみじん切りにして、鷹の爪も細い輪切りにします。フライパンにオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪を入れて弱火で火を通し、オリーブオイルに香りを移します。ゆであがったパスタと、そら豆、パスタのゆで汁大さじ3を加えて、必要なら塩を足してさっと和えます。器に盛ってバジルの千切りを散らして。同じく初夏が旬のバジルと合わせてグリーンも鮮やかなパスタランチの出来上がりです。
旬がある貴重な野菜そら豆を楽しもう
初夏の行楽シーズンに旬を迎えるそら豆。運動会や遠足、レジャーのお弁当に。そら豆があるだけでお弁当がとても豊かになった感じがします。春先のバーベキューなどにはさやごと網焼きにして熱々を頂いてもいいですね。若い豆の薄皮や、さやのフワフワまで食べられるそら豆。色々なレシピで旬を楽しんで下さい。