アブラツノザメの分類
ツノザメ目ツノザメ科
アブラツノザメが属しているツノザメ目は他にダルマザメというサメがいます。 ツノザメ科にはトガリツノザメやヒレタカツノザメなど30種類以上が属しています。 ツノザメと名がつくので属している全てのサメにツノがあるのかと思われがちですがそうではなくツノがない種類も属しています。共通の特徴としてお尻のヒレがないことがあげられるそうです。
アブラツノザメの外国名
North pacific spiny dogfish
アブラツノザメの英名はNorth pacific spiny dogfishといいます。 Northは『北』という意味がありpacificは『太平洋』という意味があります。 続いてspinyは『棘のある』という意味があり『dogfish』はサメという意味です。 繋げて訳すと『北太平洋の棘のあるサメ』という意味があります。
アブラツノザメの学名
Squalus suckleyi
アブラツノザメの学名であるSqualus suckleyiはラテン語です。 Squalusは『ツノザメ属』という意味があるそうです
アブラツノザメの由来
煮ても固まらない身の性質から名づけられた
アブラツノザメと同じく食用で食べられているサメがいます。 調理した際にそのサメに対して身に脂が豊富に含まれており固まりにくかったことからアブラザメと名づけられたそうです。 その後ツノザメという分類に含まれることが分かりアブラツノザメという名前になったと言われています。
アブラツノザメの生息地域
太平洋に分布している
アブラツノザメは外国名にpacificが入っているように太平洋に生息していて非常に浅い水域から数百メートルを超える深海にまで広く生息しているそうです。 また回遊する性質を持っているということで生息範囲を広げることもあるそうです。 人間と接触することは少ないと言われています。
アブラツノザメの生態
動物の中では長寿
アブラツノザメは非常に長寿な魚です。アジやイワシなどは数年、マグロでさえ15年ほどしか生きないのに対しアブラツノザメは20~30年以上生きつづけるそうです。しかし寿命に関しては不明確な部分も多く70~100年近く生きるという説もあります。いずれにしても長寿であることは間違いなさそうです。 多くの魚が卵を産み子孫を残す卵生であるのに対しアブラツノザメは自らの胎盤の中で子を育て出産する胎生という繁殖方法を行う魚と言われています。 大きさは平均して1m前後ですが最大で1m60cmにまで成長しその体重は9kgを超える個体まで確認されているそうです。 自分より小さな魚類をはじめイカやタコなどの軟体生物を食べるといわれています。 しかし自然は弱肉強食の世界なのでアブラツノザメも自分より大きな魚類やタコには食べられてしまうそうです。人間の飼育下では大型のタコに襲われた事例が確認されています。
アブラツノザメの特徴
典型的なサメの形
アブラツノザメはサメを想像するときに思い浮かぶ形と非常に酷似した身体をしています。 顔は小さく腹から尾にかけて細くなっていく魚体で体には真っ白な斑点模様が広がっています。背側の色がグレーなのに対しお腹は白色で背ビレのトゲには微弱ながら毒を持っています。
アブラツノザメの釣り方
泳がせ釣りが主流
アブラツノザメは専門として釣る風習はあまりないようです。泳がせ釣りの外道としてかかることが多いということです。 最大1mを超える魚なのでそれなりに強力なタックルが必要になるかと思います。 泳がせ釣りでは美味しい青物や根魚が釣れることもあるのでアブラツノザメを狙いながら他の魚種も狙っていくと楽しいかもしれません。
使用するタックル
一般的に使用されている泳がせ釣りのタックルを紹介していきます。 まずロッドですが磯竿を使うことが多いと思います。磯竿の3~4号が使いやすいでしょう。もし磯竿を持っていない方はショアジギングロッドでも代用できると思います。リールの大きさは使用するラインによって変えるといいと思います。今回のように大物を狙う場合はナイロンの4号以上を使うようにしましょう。フロロは太いラインになるとコシが強くスピニングリールだとトラブルの原因になるのであまり使わないほうがいいと思います。 PEを使用する場合は3号以上を巻いて必ず先端にリーダーを結んでください。 このことからリールの大きさはシマノだと4000番台以上、ダイワだと3500番台以上を使用するといいと思います。
泳がせ釣りの仕掛け
初心者向けに結ぶだけの仕掛けも販売されていますので最初は既製品を使用するといいと思います。釣具屋で1000円ほどで購入できます。 ここでは多くの方が使用されているエレベーター式を紹介していきます。 ラインは5号程度を目安に狙うサイズに応じて変更してください。まずラインの先端に親子サルカンや三又サルカンと呼ばれるものを結び付けます。親子サルカンを使う場合は向きに注意して結び付けましょう。結んだ部分と直線にある輪っかに任意の長さのラインを結び付けます。ここの長さは泳がせたい水深によって変えてください。おおよそ50~1mほどを目安にするといいと思います。ラインの先端には重りをつけます。潮の流れの速さや水深によって重さは変えてください。 親子サルカンのラインから直角に伸びている部分に1m程度のラインを結びます。このラインの先端にフックを結び付けます。
エサをつける
泳がせ釣りは生きている魚をエサとして使います。泳がせ釣りにおいて生餌の鮮度は非常に大切な要素です。 一般的に泳がせ釣りで使用される魚はアジやイワシなどがいます。 現場でサビキ釣りなどをしてアジを手に入れる方法もありますが今は釣具屋で購入することもできます。どちらの場合でもアジが弱ってしまわないようにエアーポンプを用意しておきましょう。 アジを針につける方法は鼻掛けというものが使われます。ほかに背掛けなどもありますが最初は鼻掛けを覚えるといいと思います。アジの目と口の間に針を差込み固定する方法です。体に傷をつけないので弱り難いといわれています。背掛けは背中を針で貫通させる方法で非常に簡単に出来るので手返しがいいです。 アジが弱ると食いが悪くなるのでアジが弱ってきたと感じたらすぐに取り替えるようにしましょう。大型の魚なのでタモやギャフは必ず用意しておきましょう。
ルアーでも釣れる?
あまり話を聞くことはありませんがルアーでも釣れると思われます。私の経験で申し訳ないのですが同じサメ属のシュモクザメがフローティングペンシルに突撃するのを見たことがあります。そのときは惜しくもヒットまでは持ち込めなかったのですがアブラツノザメも肉食性なのでルアーに反応する可能性は十分あると思います。しかしサメの歯による破損やラインブレイクのリスクを考えると泳がせ釣りで狙ったほうがいいと思います。どうしてもルアーで狙う場合は強力なタックルで挑みましょう。
アブラツノザメの味
身も卵も美味
アブラツノザメの身は白身ですが他の白身魚に比べて赤っぽい色をしていることが特徴です。刺身で食べるとさっぱりとした味だそうです。熱を通しても硬くなったりせず鍋物にすると身に含まれた脂がパサつきを抑え非常に食感がいいそうです。 卵は栄養価が高くくせのない上質な旨みを持っているということです。
アブラツノザメの選び方
見た目と硬さで選ぶ
アブラツノザメを鮮魚店や卸売市場で購入する際に新鮮なものを手にしたいのであればまず見た目からチェックすることが大切です。アブラツノザメは獲られて長い時間が経つと身の色が薄くなる場合があるそうです。新鮮なものだと身に張りがあると言われています。また網でまとめて獲られたものより一本釣りされたもののほうが美味しいとされています。
アブラツノザメの栄養
ビタミンA
ビタミンAは粘膜の保護や皮膚の再生に必要な栄養素の1つです。粘膜とは主に鼻腔や喉、眼などを指します。 ビタミンAが不足すると肌や粘膜が乾燥してしまうことがあるそうです。風邪が流行る時期には粘膜を強化するビタミンAを摂ることで免疫力を高め予防することもできるそうです。また花粉症の症状を緩和させることもあるそうです。
カリウム
カリウムは人間の神経や細胞に深い関わりがある栄養素の1つです。カリウムが不足すると食欲が無くなったり心臓の鼓動が強く感じたりします。酷い場合だと心臓に甚大な影響を及ぼすこともあるそうです。 また高血圧が気になるかたはカリウムを摂るといいそうです。
アブラツノザメの料理
アブラツノザメのフライ
まず紹介するのがフライ料理です。身にたっぷりと含まれた脂によりふっくら柔らかな食感が楽しめます。くせのない身質なのでどんな調味料でも美味しくいただけると思います。
アブラツノザメの刺身
魚料理で外せないのが刺身料理です。 名前の通り油が多く含まれているので柔らかい食感が楽しめると思います。
アブラツノザメの調理方法
鮫肌に注意!
アブラツノザメは体のヒレ部分に危険なトゲを持っています。またサメの皮は通称鮫肌というほどザラついており強く擦りつけると痛みを感じます。また慎重に捌いていかないと怪我をすることがあるので注意してください。 アブラツノザメを捌くにはまず頭を落とします。続いてお腹を切り開き内臓を取り出していきます。続いて背骨に沿って刃を入れていき三枚下ろしにしていきましょう。慣れない内は背骨の感覚がつかめないかもしれませんが時間をかけて捌くと綺麗な仕上がりになると思います。 アブラツノザメの皮を引くときは焼けどしない程度の熱湯をかけると皮が剥がれやすいということです。皮を剥ぎ終わったら料理に合わせたサイズに切り分けて完成です。
人を襲うサメの偏見
多くのサメは人を襲わない
皆さんがサメと聞いて真っ先にイメージすることはなんですか?サメに対して平和的なイメージを持たれるかたは少ないと思います。サメという種族の多くは人を積極的に襲うことはないと言われています。 人を襲う種類のサメは多くても数種類なのです。そもそも自然界において生き残るために必要な能力として『臆病で慎重なこと』があるので普段目にしない人間が現れたらサメの多くは逃げてしまいます。しかし全く危険がないわけではありません。こちら側から何かしらのアクションを加えぬように注意する必要があります。また種類によっては生まれ持った性格が凶暴な種類も存在します。 これらを含めた人を襲う可能性のあるサメが海水浴場近海で発見された場合立ち入り禁止となることがあるので注意しましょう。