ネモフィラとは
爽やかな青と白の花がこんもりと集まって咲いている様子がとても可愛らしいですね。 ネモフィラとは、ネモフィラ属に分類される植物の総称です。 正式にはネモフィラ・メンジーシー、またはネモフィラ・メンジェシーといいます。 園芸用の品種としてネモフィラ・インシグニスブルーという名前で種や苗が販売されています。
ネモフィラの原産地
ネモフィラは北アメリカ西部原産の一年草です。 カリフォルニアなどが原産地として有名ですね。
ネモフィラの学名
ネモフィラの学名はNemophila menziesiiといいます。 ギリシャ語の「nemos(小さな森)」と「phileo(愛する)」が語源となっており、「小さな森を愛する」という意味になります。 森林に自生していることから名付けられました。 menziesiiは、スコットランドの植物学者・博物学者であるアーチボルド・メンジーズの姓からつけられています。
ネモフィラの科名
ネモフィラの科名は分類体系によって異なり、ムラサキ科またはハゼリソウ科のネモフィラ属に分類されます。 現在の分類学の主流であるAPG体系では、ハゼリソウ科そのものが廃止されたのに伴いムラサキ科に統合されました。
ネモフィラの別名
ネモフィラには、とても素敵な別名があります。 まず、和名である瑠璃唐草(ルリカラクサ)。 花びらが瑠璃色に近いことと、葉の広がり方が唐草模様に似ていることからこう呼ばれるようになりました。 瑠璃色に唐草模様と、とても風流な名称ですね。 そして英名はBaby blue eye(赤ちゃんの青い瞳)といいます。 確かに、丸みを帯びた花びらは、赤ちゃんの瞳のようですね。 爽やかな色合いと可愛らしさにぴったりの名前です。
ネモフィラの開花時期
開花時期〜秋の種まきの場合
ネモフィラの開花時期は春、特に4月中旬から5月上旬になります。 通常、ネモフィラの種まきは秋に行われますから、冬を乗り越えて春に咲くんですね。
開花時期〜春の種まきの場合
ネモフィラは殆どの場合、秋に種まきを行いますが、寒冷地などでは春に種がまかれることもあります。 春まきの場合の開花時期は夏の6月下旬から8月上旬になります。
ネモフィラの花言葉
ネモフィラの花言葉には、 「どこでも成功」 「可憐」 「あなたを許す」 「清々しい心」 「愛国心」 「荘厳」 などといったものがあります。 花言葉というとどこか悲しげなものもある花が多いですが、ネモフィラの花言葉はポジティブな意味合いです。 ひなたに咲く可愛らしい花ですから、明るい花言葉がつけられたのかもしれませんね。
ネモフィラが見られる観光地
ひたち海浜公園 / 茨城県
ネモフィラと聞いてこちらの「みはらしの丘」を思い浮かべた方も多いかもしれません。 空との境目が分からなくなるほど一面を埋め尽くすネモフィラですが、その本数はなんと約450万本! 最近では海外からも注目されているんだとか。
東武トレジャーガーデン / 群馬県
分福茶釜のモデルになったという茂林寺の近くにある、こちらの施設。 季節のお花を楽しめるエリアでネモフィラを見ることができます。 その他、約25万株の芝桜やローズガーデン、中世ヨーロッパ風のチャペルなどもありますよ。
種まきのコツ
種まきのコツ〜時期について
ネモフィラの種まきは9月から11月の間に行います。 発芽に適している温度は20℃ほどです。 種をまいてから10日程度で芽が出てきます。 またネモフィラは植え替えを嫌うので、花を咲かせたい場所に直接種をまきます。
種まきのコツ〜間隔は広めに!
ネモフィラは匍匐性といって、横方向にどんどん広がっていく性質を持ちます。 ですので種をまく際は、種と種の間隔を15センチから20センチ程を目安に空けましょう。
種まきのコツ〜植える場所について
ネモフィラは乾燥気味で日当たりの良い場所を好みます。 日光の不足は徒長の原因となってしまうので、日が当たりやすい場所に植えてあげましょう。
種まきのコツ〜土質について
水はけさえ良ければ、どのような土質でも育てることができます。 栄養分が少ない土でも十分に育ってくれますよ。 水はけの良い土には、腐葉土や赤玉土などがあります。 もしお庭の土の水はけが悪い場合は、川砂やバーミキュライトを混ぜます。
ネモフィラの育て方
育て方は簡単!
初めに述べた通り、ネモフィラはガーデニング初心者の方でも育てられるお花です。 お庭や花壇を華やかに見せてくれるので、ぜひ育ててみてください!
育て方のコツ〜水やりについて
ネモフィラはやや乾燥気味な環境を好みます。 ですので、水やりはそこまで頻繁にする必要はありません。 土の表面が白っぽく乾燥してきてからお水を与えましょう。 乾燥気味に保っていたほうが強く育ってくれますよ。
育て方のコツ〜肥料について
肥料は殆ど必要なく、与えすぎてしまうと徒長の原因になってしまいます。 葉の色が悪くなってしまった時などに、液体肥料を少々あげる程度で十分です。
育て方のコツ〜湿気に気をつけてこまめに切り戻しを!
ネモフィラは湿気に弱い植物です。 枯れたり落ちてしまった花や葉はこまめに取り除きましょう。 また葉が多くなり湿気がこもるようであれば、茎から間引いて風通しを良くしてあげます。 ただし、こぼれ種で増やしたいという場合は、花の見頃が終わりに近付いてきたら枯れた花を適度に残しておきましょう。 詳しくは下の「ネモフィラの増やし方」をご覧ください。
育て方のコツ〜植え替えには注意
ネモフィラは植え替えに非常に弱い植物です。 できれば植え替えはしないことが望ましいですが、もし植え替えするという場合は、根を傷つけないように気をつけて行いましょう。
育て方のコツ〜病害虫について
害虫の心配は殆どありませんが、病気には気をつけなければいけません。 ネモフィラは灰色カビ病にかかりやすいのです。 灰色カビ病は、あらゆる植物の花や葉、茎などの地上部に発生する病気で、原因となる菌の名前から「ボトリチス病」とも呼ばれます。 葉や花びらが褐色に枯れてしまい、進行するとその名の通り灰色のカビが生えてしまいます。 もし発病してしまった場合は、周りへの感染を防ぐためにもすぐに発病部を取り除きます。 有効な薬剤としてダコニールやカリグリーンなどがありますので、必要に応じて散布しましょう。
時期ごとのお手入れ方法
時期ごとのお手入れ方法〜秋
種まきの時点から湿気には注意します。 灰色カビ病が発生しやすい時期なので、しっかりチェックしましょう。
時期ごとのお手入れ方法〜冬
ネモフィラには耐寒性があるので、マイナス3℃までなら霜よけのみでも越冬できます。 ある程度の積雪にも耐えられますから、霜よけをしっかりしてあげましょう。
時期ごとのお手入れ方法〜春
待ちに待った開花です! ですが、春はアブラムシなどの害虫が発生しやすい時期です。 もし葉や花についていたら落としておきましょう。
ネモフィラの切り戻し
切り戻しとは
・植物の外観を美しく保つ ・新芽や他の花に栄養をまわす ・徒長を防ぐ ・脇芽の成長を促し、新しい花を咲かせる ・風通しを良くする …といったことを目的に、茎や枝などを切って短くすることです。
ネモフィラの切り戻し方
葉が茂ってきたら、ハサミで茎から短く切ります。 切った後の茎と葉はしっかりと取り除きましょう。
切り戻しは大切!
通常、切り戻しは花の数を増やしたり、花を楽しめる期間を長くするために行いますが、ネモフィラの場合は主に徒長の防止と風通しを良くすること、形を整えることが目的です。 徒長しても花は咲きますが、やはり見た目は良くありません。 花の重さに耐え切れずに倒れてしまったり、他のお花の成長を邪魔してしまうこともあります。 茎や葉を適度に取り除くことで湿気がこもってしまうことを防ぎ、病害虫の予防にも効果があるので、切り戻しはこまめに行いましょう。
寒い地域での育て方
ネモフィラの開花時期は春ですが、寒さが厳しい地域ではどうでしょう? いくら寒さに強いとはいえ、北海道や東北などの冬の気温と雪の多さには敵いません。 ですので寒冷地では、ネモフィラの種は春にまかれ、開花時期は夏となります。 越冬する必要がなくなるので、寒地では春まきのほうが安心して育てられますよ。
種まきの時期
春まきの場合、種まきは3月中旬から4月が終わるまでに行います。 桜の開花に合わせるとちょうど良いですよ。
育て方
水やりや肥料、切り戻しなど、秋まきの場合と同じように行います。 暑さに弱いと言われていますが、30℃程度なら耐えてくれます。 ただし、春まきだと梅雨があるので、湿気には注意しなければなりません。
ネモフィラの地植えについて
地植えとは
植物を鉢ではなく、お庭や花壇などの地面に植えることをいいます。 綺麗な花々が咲き誇るお庭や花壇は素敵ですよね。 地植えには生命力が強い植物が用いられるので、準備こそ大変ですが、その後のお手入れは楽ですよ。
ネモフィラの地植え
ネモフィラは横に広がって育っていきますから、広い場所に複数株植えると開花時にとても映えますよ。 ネモフィラは可憐な見た目に反して強く、土質も選ばないので「地植えは初めて」という方にもおすすめです。 ただ1つ、日当たりの良い場所を選ぶように気をつけましょう。
地植えの準備手順をご紹介!〜その1 草取り
まずは雑草を取り除きます。 根から抜いておいたほうが耕す時に楽になります。 また、小石なども取り除いておきましょう。
地植えの準備手順をご紹介!〜その2 土を耕す
草取りが終わったら、次は土を耕していきます。 もし土の水はけが悪いようなら、この時川砂やバーミキュライトなどの水はけの良い土を混ぜ込みます。
地植えの準備手順をご紹介!〜その3 仕上げ
表面をならして、水やりで土をさっと湿らせたら準備完了です! その後のお手入れとしては、生えてくる雑草を抜くだけで大丈夫です。
ネモフィラの寄せ植えについて
寄せ植えにも!
ネモフィラは寄せ植えでも人気がある植物です。 派手なお花ではないので、他のお花を引き立ててくれます。 かといって地味でもないので寄せ植えの中で埋もれてしまうこともありません。 唐草模様のような茎と葉も美しく、寄せ植えすれば全体を上品にまとめてくれますよ。
寄せ植えでの注意点
ネモフィラはよく育つ強い植物なので、サブとして植えたつもりが、ぐんぐん成長して知らぬ間にメインになっていた…それどころか他のお花の成長を邪魔していた…ということになってしまうかもしれません。 それを防ぐために、発芽したら周りのお花とのバランスを見て間引きしましょう。 また寄せ植えはどうしても湿気がこもりやすくなるので、枯れ落ちた花や葉はもちろん、元気な葉も適度に取り除きましょう。
ネモフィラの増やし方
ネモフィラは開花時期を終えた後に種を残します。 一度育てれば、毎年ネモフィラの花を楽しめますよ。
増やし方〜その1 採種
ネモフィラは、花が枯れたあとに種を採ることができます。 花が終わったあとに、丸い緑の実ができます。 ここにネモフィラの種が入っているんですよ。 実が茶色に変わったらやさしく採り、湿気に気をつけて種まきの時期まで大切に保管しましょう。
増やし方〜その2 こぼれ種
もし種を採り忘れてしまっても心配はいりません。 ネモフィラはこぼれ種でもしっかりと育ってくれます。 こぼれ種は自然に落ちた種や、その種が育った植物のことです。 人の手が入らない、植物本来の増やし方ですね。 こちらの方法で増やすのなら、枯れた花は全て取らずに、適度に残しておきましょう。
ネモフィラの品種
ネモフィラといえばインシグニスブルーですが、色と模様が異なる品種もあるのでご紹介します。 どの品種も育て方や増やし方は同じです。
マクラータ
花びらの先端の鮮やかな紫から「ファイブスポット」ともいいます。
スノーストーム
名前の通りの白い花びらを持つ品種で、濃い紫の斑点が広がっています。
ペニー・ブラック
白い縁取りと赤紫の花びらを持つ品種です。 他に比べて花が小ぶりで、シックな印象ですね。
最後に
可憐な春の花ネモフィラをご紹介しました。 お庭でも寄せ植えでも美しく映えるネモフィラの魅力が伝われば幸いです。 種まきから育て方、増やし方までとても簡単なので、ぜひ育ててみてくださいね。