アカテガニとは?
分類/ベンケイガニ科アカテガニ属
アカテガニはベンケイガニ科アカテガニ属に分類されます。 アカテガニは飼育されるほど人気の高いカニで、昔話の「さるかに合戦」に登場するカニのモデルにもなったとされています。アカテガニによく似たベンケイガニがいますが見た目が異なるので、よく確認すると見分けられます。また、カニの中では大きさは中型で標準的なのも特徴です。
アカテガニ/外国名
Red-clawed crab
アカテガニの外国名は2種類存在し、Red clawed crabとRed hand crabがあります。 Red clawed crabは赤い爪のカニと言う意味です。Red hand crabはほとんど同じで赤い手のカニと呼び、どちらも赤いハサミが特徴となっています。それだけ赤いハサミの印象が強いカニだと言えます。
アカテガニ/学名
Chiromantes haematocheir
アカテガニの学名はChiromantes haematocheirと呼びます。 そのうちのChiromantes とはアカテガニ属を表しているようです。また、C. haematocheirと略して表記される場合もあります。
アカテガニ/由来(漢字)
赤手蟹
アカテガニの漢字名は「赤手蟹」と呼びます。 漢字名の由来はそのままで、ハサミの部分が真っ赤な特徴からきているようです。そのハサミは威嚇(いかく)の際や食事で主に使っています。アカテガニの赤いハサミとは反対に体の色は地味な灰色なのです。詳しくはわかりませんが、ハサミを強調させているようにも見えますね。そんな綺麗な真っ赤ハサミは漢字名に呼ばれるにふさわしい立派なものではないでしょうか。
アカテガニ/生息地域・分布
中国東部、台湾、朝鮮半島、日本列島
主に、中国や台湾などのアジアを中心に生活圏を広げており、日本でも生息しているカニです。 国内では東北地方以南に生息しており、住宅民家で見かけたり路上で見かけたりと様々な場所で確認できるようです。しかし、最近では生活環境が狭くなってしまったため数が減っているのをご存じでしたか? ペットショップで売られているのはアカテガニではない可能性も少なくありません。もし、アカテガニを見かけることがあれば観察のみで、できるだけそっとしておくのも大切です。
アカテガニ/生態・生育環境
アカテガニの食性、特徴、生育環境とは?
アカテガニの生態を食性、特徴、生育環境の3つに分けてご紹介します。 アカテガニを飼育していく上で生態はかなり重要で、出来るだけ同じような環境にすると長生きしてくれるでしょう。ただ、アカテガニの生態はかなり変わっているので飼育の際は必要な情報のみを使っていただけたらと思います。
1-1雑食性
アカテガニは、かなりの雑食でなんでも食べます。 小魚やフナムシなどの海の生物だけでなく、動物の死骸や人間の出した生ごみなどに群がることもしばしばあります。さらに、意外ですが植物まで食べるとか・・・ちなみに植物はイネなどが好物みたいです。アカテガニに食べられないものを聞いてみたいほど食べられるジャンルが幅広い印象ですね。
1-2天敵はアカテガニ?
アカテガニは湿った地上で生活をしています。そのため、イノシシやタヌキなどの動物やサギやカラスなどの鳥によく狙われます。天敵たちはアカテガニよりも動きが速いので、アカテガニは多数の隠れ家などで対応しています。 しかし、アカテガニの最大の天敵はもっと身近にも存在します。それが、「アカテガニ」なのです。つまり共食いですね。空腹時には頻繁に共食いをするため、巣穴の近くには残骸がたくさん残っていることが多いようです。
1-3森や岩場に生息
アカテガニは大人になると湿気のある森や岩場で生活します。 カニでは珍しく木に登る習性があり、カニ特有の近くに隠れ家を必ず持っている不思議な生活をしています。また、アカテガニは縄張りを持たないので、身の危険を感じると一番近い穴や隙間に逃げ込む習性もあるのです。その珍しい生態のため、街や道路にも頻繁に現れ車に引かれることも・・・。
1-4産卵時のみ海岸へ移動
産卵期は7月~8月の満潮の夜のみです。 アカテガニのメスは交尾を終えると、産卵のために海岸へ向かいます。アカテガニは生まれてすぐは水中で生活するため、卵は海中にばら撒く必要があるからです。ちなみに、アカテガニはゾエア幼生→メガロパ幼生→小ガニ→カニの順に成長するたびに名前が変わるので面白い生態と言えます。
アカテガニ/特徴・形態
最大甲幅は30mm前後
アカテガニは10年ほど長生きするが、30mmほどしか成長しません。 背中の甲には笑ったような赤い線があるのが特徴です。大人になると体は灰色やオレンジ色など様々です。
オスとメスの特徴
アカテガニのオスはメスよりも体やツメが大きいのが特徴です。 逆にメスは全体的に小さいが、ツメの噛み合わせに隙間がないのが特徴となります。オスとメスの見分け方はアカテガニに限りませんがお腹の開く場所が広いのがメス、狭いのがオスと簡単に分かります。
アカテガニ/飼育の仕方
アカテガニの飼育管理、エサ、注意点を紹介
初心者でも失敗しにくい、アカテガニの飼育方法やおすすめのエサ・注意点をわかりやすく紹介していきます。また、絶対NGなこともあるのでしっかり覚えて実践してください。
アカテガニの飼育1:初心者必見!アカテガニの飼育管理
1-1失敗しない飼育環境
アカテガニを飼育する上で一番失敗する例がカメなどのように水と敷砂を一緒にする飼育方法です。 このような方法で飼育すると水替えや掃除が面倒になるのでおすすめできません。できれば、水と陸は別々に分け、水にはポンプを使用し水換え頻度を下げましょう。 また、アカテガニは恥ずかしがり屋なので「隠れ家」は必須です。飼育の最初に、気合を入れすぎると管理が大変になるので最小限にとどめ快適に暮らせる環境を整えることに専念することを心掛けるとベストです。
1-2温度管理は必要?
飼育する地域にもよりますが、基本的に直射日光に当たらない場所なら温度管理は必要ありません。 しかし、室温が5度を下回る地域ではヒーターを使用するなどで対応しましょう。 温度よりも湿度が必要なので敷砂を湿らす、濡れタオルをかぶせるなどで湿度管理をするとアカテガニは喜びます。アカテガニのようなカニ類は環境に強い生き物なのでそこまで心配する必要はないので安心して下さい。
アカテガニの飼育2:アカテガニの好物とNGのエサ
2-1おすすめのエサ
基本的には市販で売られているカニのエサで十分です。 でも、アカテガニは贅沢な生き物なので同じものばかりだと飽きて食べなくなります。そんなときは、ご飯や煮干、エビなどがおすすめです。また、リンゴの芯もアカテガニは意外に好きなようです。ただカニのエサ以外は添加物があまり含まれていないものをチョイスしてあげましょう。
2-2絶対NGのエサ
爬虫類などに与えるエサの中で、成分内に「硫酸銅」と書いてあるものは危険です。 アカテガニなどのカニ類が食べると異常が起こる可能性があります。他にもタケノコやホウレン草などの「蓚酸(しゅうさん)」が含まれている食べ物はNGです。これらの食材にはカニのカルシウムの吸収率を下げる効果があるのでやめておきましょう。
アカテガニの飼育3:アカテガニを飼う時の注意点3選
3-1、脱皮時はさわるな!
アカテガニは数年に1回脱皮をします。脱皮をする前には、エサを食べなくなる傾向があるので異変を感じたら脱皮だと思いましょう。 ここで注意したいのが、脱皮後です。 アカテガニの脱皮後は、1週間ほど体が柔らかく体力もありません。 そんな時に触ったり、衝撃を与えると「死ぬ」可能性が高まるので必ずそっとしておきましょう。
3-2、掃除は小まめに!
アカテガニは不潔な場所をあまり好みません。理由はわかりませんが、寿命は短くなるようです。 そのため、ケースは定期的にしっかり洗いましょう。 敷砂はもちろん隠れ家である岩も綺麗にし、一度乾かすのがベストです。 環境さえ快適にしてあげればアカテガニは、10年は生きるので掃除も楽しんで行うと良いでしょう。 また、気分転換に模様替えも良いかもしれませんね。
3-3、1つのケースに1匹まで!
アカテガニが食欲旺盛なのは、もうご存じですよね。 同じケースにアカテガニを複数匹入れると、共食いの原因になります。 そのため、必ず1ケースに1匹を守って飼育しましょう。
アカテガニ/その他
ベンケイガニとアカテガニの違い
ベンケイガニとアカテガニはすごく似ています。 見分け方としては、甲部に注目しましょう。 ベンケイガニの甲部は、切れ込みがあり鋭いのが特徴です。 一方、アカテガニの甲部はスルーっと綺麗な形をしています。 また、アカテガニは今急激に減少傾向にあるためペットショップでも「アカテガニ」と明記されていてもベンケイガニの場合が多いようです。 アカテガニを購入したい、飼育したい人はベンケイガニと間違わないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? アカテガニの魅力はたくさんあります。見た目も可愛いアカテガニをぜひこの機会に飼育してみてはいかがでしょうか?小さなアカテガニの魅力にきっと惹かれるはずですよ。