クチナシ色素とは
クチナシ色素とは比較的安価に手に入れやすい天然色素であり、食品添加物としても使われています。同じような黄色の着色料としてサフランがありますが、サフランよりも低価格で豊富な色を作れることで重宝されている着色料です。
植物としてのクチナシ
まずは植物としてのクチナシのことも知っておきましょう。 クチナシはアカネ科クチナシ属の常緑低木です。濃い緑の葉と白い花のコントラストが美しく、香りも良いため庭木として植えている人も多い樹木です。花色や香りからジャスミンの樹木と比較されることも多い植物です。
クチナシの由来と開花時期
クチナシの名前の由来は、一説には果実が熟してもその口を割らないことから口無し=クチナシといわれています。しかし、このほかクチナワ(蛇のこと)しか食べないナシ(果実のこと)でクチナシとなったという説もあります。 開花時期は6月ころ、結実期は10月頃となります。
着色料としてのクチナシ
クチナシを色素として使って出せる色はとても豊富です。代表的なもので黄色・赤色・青色の3色があります。赤と青はその表記にクチナシ、またはクチナシ色素と書かれているので使われている場合はすぐにそれとわかります。
クチナシ色素の別の名前
黄色の着色料として使われる場合はクチナシ、クチナシ色素の他に「カロチノイド」「カロテノイド」などの表記も用いられます。着色料としてこの名前があったらクチナシ色素を使っているということになります。
漢方薬としてのクチナシの効果
食品添加物ではありませんが、同じように口に入れるということで漢方薬としてのクチナシの効果も見ていきましょう。 ・鎮静作用 ・止血効果 ・消炎作用 ・抗菌作用 ・解熱作用 ・精神安定作用 ・疲労回復 ・利尿作用 このほか、ストレス緩和、コレステロールを下げ高血圧や高脂血症の予防にも効果があるといわれています。
クチナシ色素の安全性は
クチナシ色素は食品の他にも化粧品などにも利用されています。口から体内に入れることがない分、化粧品に使われるクチナシの色素には安全性が高いと見られています。 口に入れる食材の着色料としてのクチナシには、毒性の項目でご紹介するような症状が出る人もいます。完全に安全性が保証されているというものではありません。
大量に摂取しなければ大丈夫
クチナシ色素を定期的に大量に口にする必要がある人というのはごく限られた人です。少量のクチナシ着色料で染色された食品を口にしたからとすぐに影響のある毒性があるものではありません。
これはラットを用いた研究で判明しています。 クチナシ色素の中でも黄色に対しては安全性に疑問が持たれていますので、それ以外の赤色や青色については気にする必要はないでしょう。
漢方薬にも使われるクチナシの実
クチナシの安全性を考えた時、漢方薬としてのクチナシはどうなのかという人もいるでしょう。薬の場合はある程度長期間体内に取り込み続ける可能性が高いからです。
クチナシは漢方薬では「山梔子(さんしし)」という表記であらわされています。クチナシの実を使用した漢方薬を常飲しつづけた人は「消化器系の病気のリスクに注意して欲しい」と呼びかける医師もあらわれています。
薬としての使用は医師に相談
少量をたまに口にする程度なら危険性もそれほど高くないクチナシ色素でも、薬として飲み続けるのは避けるか飲み方を医師に相談する必要があるでしょう。
クチナシ色素の毒性
医師も警鐘を鳴らすクチナシの実にはどのような毒性があるのでしょうか。ラットによる研究では、クチナシの「ゲニポロイド」を摂取しつづけた個体は下痢や腸の出血が見られたと発表されています。
危険性は強くはない
しかし、先ほどのお話の内容は人が1日に摂取するクチナシ色素をはるかに越えた量を与え続けた場合ですので、薬などの常飲するものでなければ危険性が無いともいわれています。
クチナシ着色料の危険性:アレルギー症状
クチナシ色素の中でも黄色の表記の中に「カロテノイド」があります。黄色のクチナシ着色料は危険性があると先程お話しましたが、実はカロテノイドはアレルギー症状の軽減に効果のある成分として注目されています。それというのも、カロテノイドには非常に優れた抗酸化作用があるからです。
カロテノイドとは
カロテノイドというとピンと来ない人もいるでしょうが、カロチンといったらどうでしょう。緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAのことです。これがクチナシ色素の黄色の成分なのです。
かぼちゃやニンジンなど黄色やオレンジの野菜にはどれも含まれている成分です。 毒素があり危険性もあるという反面、アレルギー症状の軽減に役立つカロテノイドであるのがクチナシ色素なのです。
クチナシ色素の使い方
日本では昔からクチナシの色素は食品に色付けをするという使い方をされてきました。クチナシから取れる色素は3色もあり、絵の具を混ぜ合わせるようにその3色を混ぜ合わせることで様々な色を作り出すことができます。
市販されているお菓子やお惣菜の中でも成分表示を見るとクチナシ色素を色付けとして使用しているものはたくさんあります。
とてもカラフルで見た目も楽しく、子供なら誰でも口にしたくなるようなクッキーやクリーム、ケーキなどを作る際の色付けという使い方をする人も少なくありません。
様々な場面で使われている
その他にも、どぎつい黄色ではなくやさしい自然な黄色が日本人には好まれており、クチナシ色素は昔から黄色系の食品の色付けには欠かせない自然の着色料でした。 この他、インスタントの中華麺の黄色や抹茶系の緑色を綺麗に出すために焼き菓子などの色付けにも使われています。
クチナシ色素の特徴
クチナシ色素がなぜこれほどまでに食品に色付けする着色料として使用されるのかというと、いくつかのクチナシ色素の特徴が関係してきます。まず、多くの色素が油脂に溶ける性質を持っている中、クチナシ色素は水溶性であることから水に溶けやすく、ケーキやクッキーなど粉類に綺麗な色をつけることができます。
着色料としては優れている
酸にも強く、耐熱性も優れているので特に焼き菓子には向いているとされる着色料です。また、安価で手に入りやすい、クチナシだけでたくさんの色を作ることができると着色料としてはとても優れた性質を持っているのがクチナシ色素です。
不眠症の解消にも効果のあるクチナシ
現代人は常にストレスにさらされており不眠に悩む人も多いです。クチナシには不眠症や目の疲れを癒やしてくれる効果もあります。そのためクチナシの実をお湯で煮出すクチナシ茶を飲んでいる人もいます。
摂取量には気をつけよう
たくさん飲むと副作用が気になるクチナシですので摂取量には気をつける必要があります。クチナシに含まれるクロセチンの1日の摂取量は6mgです。これをクチナシの実に換算すると2から3gを摂取すればよい計算になります。 クチナシ茶を常飲する場合も、この摂取量を守るよう注意しましょう。
まとめ
クチナシ色素の安全性・危険性、アレルギーに対する効果などを見てきました。いかがでしたでしょうか。クチナシ色素は日本人には馴染みの深い黄色い着色料です。昔から口にされ続けてきたことから、年に数回口にする程度ではそれほど重要な危険性はないものとされています。
しかし、漢方薬などで頻繁に大量のクチナシ実を口にした場合はリスクが高くなるので注意が必要です。山梔子(クチナシ)が使用された漢方薬を常飲する場合は、医師や薬剤師の指導の元安全に飲む必要があるでしょう。
食品に彩りを与える着色料として、様々な使い方をされるクチナシ色素です。使い方によっては、人の心を楽しませてくれる良い効果を発揮します。しかし、健康に心配が残るものはできるだけ口にしたくない、子供たちに与えたくないという人もいるでしょう。
見た目も楽しくなる色付けはお菓子類には大切な要素ではありますが、本当に色素で色をつける必要があるのかというところから考え直してみてはいかがでしょうか。