さやいんげんとは
和食や洋食、中華料理と幅広く使われる野菜、さやいんげん。癖が少なく甘みのある緑の野菜としてお弁当の彩りなどにもよく使われます。 まずはさやいんげんの基礎知識から見ていきましょう。
科名
さやいんげんはマメ科インゲン属の植物です。
学名
さやいんげんは「いんげん豆の若い状態を食べる野菜」なので、さやいんげんとしての個別の学名は存在しません。 いんげん豆の学名である「Phaseolus vulgaris」がさやいんげんも差す学名となります。
名前の由来
さやいんげんの名前の由来は、この野菜を日本に持ち込んだ人の名前からきています。 さやいんげんの元となるいんげん豆は承応3年(1654年)に明(今の中国)から来た隠元というお坊さんが持ち込みました。 隠元の豆で「隠元豆(いんげんまめ)」と呼ばれるようになり、いんげん豆のさやごと食べられる品種をさやいんげんと呼ぶようになったのがはじまりです。
さやいんげんの花言葉・結実時期
花言葉:豊かさ
さやいんげんは植物ですがその花には花言葉が存在します。「豊かさ」の他には「喜びの訪れ」「必ず来る幸福」という意味もあります。
由来
さやいんげんは輸入品を除けばそのほとんどは北海道の十勝が産地です。 十勝では、1年に3度さやいんげんの収穫をすることが可能なことから、このような花言葉がつきました。 いんげん豆の別名として「三度豆」という名前があるのも、この収穫の回数によるものです。
結実時期
1年に3度も収穫可能なさやいんげんは、収穫時期も幅が広いのが特徴です。 結実して収穫できるのは5月末から11月までとなっており、一年の半分はさやいんげんの旬の時期といえます。
さやいんげんの育て方・栽培方法
さやいんげんにはつるありとつるなしの品種があります。 ベランダなどプランターで小規模に育てるならつるなしの方が向いているでしょう。 ここでは、さやいんげんの栽培方法をご紹介していきます。
難易度
さやいんげんの栽培難易度はどの種類でも5段階評価の2です。 初心者の人でも害虫などの駆除がしっかり出来ていれば自分で育てたさやいんげんを食べることができるでしょう。
時期
さやいんげんの種まきは寒冷地では4月の中旬頃、日本でも温かい地方なら5月に入ってからの種まきとなります。 育ち方は寒冷地でも暖地でも差はなく、収穫時期のズレのみとなります。 寒冷地では6月初旬から、暖地では6月末から7月頃からが収穫時期です。
肥料・害虫駆除
さやいんげんはマメ科の植物の中でも肥料を特に必要とします。 蕾が付き始めたら株の根元に化学肥料を1株あたり10gを目安に与えます。 肥料を与えすぎると結実しませんので、適量を適した時期に与えることが大切です。 また、害虫駆除の農薬は虫を見かけたら散布します。 心配される害虫はアブラムシやハモグリバエなどになります。
さやいんげんの病気
さやいんげんに心配される病気には以下のようなものがあります。 「モザイク病」葉に黄色いモザイク状の模様があらわれます。アブラムシによりおこる。効果のある農薬はないのでアブラムシの駆除をすることで対策と予防をおこないます。 「白さび病」葉や茎に白い斑点があらわれます。連作により起こりやすくなります。専用の農薬を散布します。 この他、水のやりすぎで起こる立ち枯れ病などの病気にも注意が必要です。 特に、さやいんげんの苗は湿気に弱いのでプランターなどで移動できる場合は、梅雨時の季節には苗の置き場所を考えましょう。
支柱立て
さやいんげんのつるあり品種を育てる時には支柱を必ず設置しましょう。 1本の株に1本ずつ立てる支柱でも、ネットを張ってそこにつるを絡ませるようにしてもどちらでもOKです。 つるなし品種のさやいんげんの場合でも倒れることを予防する意味で支柱を立ててあげることが理想的です。 支柱を立てる時期はつるが出始める本葉が4枚程度の時に行います。
梅雨時には注意
さやいんげんの花は雨にあたると受粉しづらくそのまま花が落ちてしまいます。 花が落ちると結実しませんので、梅雨時は花が直接雨に当たらないように工夫することが必要です。
さやいんげんの特徴
さやいんげんの品種にはつるありとつるなしがありますが、つるあり品種は2mから4mほどにも成長するものがあります。 広い庭や畑がある家でないとつるあり品種を育てる場所を探すのに苦労するでしょう。 家庭菜園で育てる場合はつるなし品種を選ぶと背丈がそこまで高くならないので栽培しやすくなります。
さやいんげんの品種・原種
さやいんげんの中で育てやすい品種はつるなし種で、おすすめの品種は「さつきみどり」や「セリーナ」となっています。 その他、さやいんげんの原産地や分布域は下のようになります。
原産地
さやいんげんの元となっているいんげん豆の原産地は南アメリカのメキシコ南部やグアテマラ、コスタリカ一帯です。
分布域
コロンブスの航海により、南アメリカからヨーロッパに伝わったいんげん豆は、ヨーロッパから中国へ渡り、日本に持ち込まれました。 日本作付けされているのは、主に北海道です。
さやいんげんのその他おすすめ情報
加熱不足のさやいんげんにはレクチンという毒性のある成分が含まれており、生の状態で食べるとお腹を壊してしまいます。 さやいんげんを調理する時はしっかりと火を通すようにしましょう。
まとめ
さやいんげんの名前の由来や育て方などをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 家庭菜園で育てる場合は、病気の原因となるアブラムシなどの害虫と梅雨時の管理がポイントとなります。 しかし、その時期を過ぎてしまえば収穫時期も長く手をかけた分以上の豊かな食卓を約束してくれる野菜となるでしょう。


