スパティフィラムとは
スパティフィラムは、熱帯植物のワイルドさをどことなく持ちながらも、上品でせんさいな印象があります。きよらかな白い花と、テカリのあるあざやかな緑色の葉っぱは、鑑賞価値が高くていやされます。
それにあまり日が当たらない室内での育て方でも成長するので、観葉植物にぴったりなんです。 インテリアとして飾れば、お部屋の雰囲気がさらに良くなりますよ。
基本情報
■科名・属名/サトイモ科・スパティフィラム属 ■学名/Spathiphyllum ■草丈/15cm〜150cm ■開花時期/5月〜10月 ■原産地/中南米の熱帯 ■分布/原産地である中南米の熱帯や、東南アジアに30種以上が分布しています。よく自生しているのは、森の中の湿地帯(しっちたい)です。
名前の由来
スパティフィラムという花名の由来は、ちょっと特殊なお花の仕組みからきています。花については後ほど詳しく説明します。 ギリシャ語の「spathe(スパッセ)」と「phyllon(フィロン)」を合わせて「Spathiphyllum(スパティフィラム)」になります。
「spathe」は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる部分のことです。 「phyllon」は葉っぱのことを意味しています。
風水での役割
風水的にスパティフィラムの葉っぱは、気分をあげる、運気をあげる、という「陽の気」を発しているとされています。 北、北西、西の位置に置くことで、その力がはっきできるとのこと。
スパティフィラムに限らずですが、室内に植物を飾れば、気の流れが良くなるといわれています。 それにテレビやパソコンなどの電磁波を防御してくれるそうです。
スパティフィラムの特徴
スパティフィラムは種類が色々あって、草丈も15cm〜150cmとはば広く、小型種、中型種、大型種に分けることができます。観葉植物としてお部屋によくかざられるのは、小型、中型になります。
葉っぱや花の色がキレイなため、切り花にもよく使われています。 茎(くき)が細いので弱々しく見えますが、ちゃんとした育て方で丈夫に成長していきますよ。
花について
スパティフィラムは白い花と思いきや、じつはこの白い部分は花びらではありません。「仏炎苞(ぶつえんほう)」という花をつつむパーツです。この前面にある、こまかいトゲドゲがついている棒状のものが花なんです!
これは「肉穂花序(ニクホカジョ)」といいます。 このような花の仕組みは、サトイモ科植物の特徴でもあります。 この部分全体は「仏炎苞」の色が変わったら剪定(せんてい)します。
花言葉
『上品な淑女』『清らかな心』という素敵な花言葉があります。 シックな葉っぱに映える白い花(仏炎苞)から、上品さときよらかさを感じとることができるので、この花言葉になりました。
葉っぱについて
観葉植物として人気があるだけに、葉っぱもすごく魅力的です。 テカっている濃い緑色は高級感があり、先のとがったおおぶりな姿は、スタイリッシュでどんなお部屋にもあわせやすいですよ。
スパティフィラムが適した環境
明るい日陰(ひかげ)がベストです。または、1日に数時間は日のあたる半日陰に置く育て方にしましょう。木陰や、レースのカーテン越しにさす日光がイメージしやすいでしょうか。
直射日光や強い日ざしに当たると、葉っぱが焼けて茶色く変色し、枯れてしまいますので注意してくださいね。 ただ、完全な日陰で日光がぜんぜん当たらないと、花が咲きません。
屋外で育てる
観葉植物として室内の環境で成長しやすい植物ですが、屋外でも育てることはできますよ。 春と夏だけは外出OKです。寒さに弱いので、秋と冬は外の環境は厳しくなります。それと直射日光の当たらない場所に置くということも条件になります。
冬越し
スパティフィラムが問題なく成長するためには、8度以上の気温が必要です。5度より下がると枯れはじめ、復活はのぞめなくなります。なので秋と冬は、室内の暖かい場所で育てなければいけません。
スパティフィラムの種まき
種は売られていません。なのでスパティフィラムから採取します。「仏炎苞」の色が白から緑色になってきたら、剪定せずに種がつくのを待ちます。 種からの育て方だと、開花できるまで成長するのに年月がかかります。3年はみておいた方がいいでしょう。 時間と手間がかかりますが、その分愛着も深まりますよ。
種まき
水苔(みずごけ)と赤玉土小粒をあわせた土を育苗箱(いくびょうばこ)にしきます。その上へ種が均等に広がるようにまいてください。種がちょっとだけ隠れるぐらいに軽く土をかけ、たっぷりと水やりします。
日陰において、土が水切れしないようにお世話してあげましょう。1ヶ月ほどすれば芽がでてきますので、ほどよく大きくなったら植え付けしていきます。
スパティフィラムの植え付け
植え付けの時期は5月〜6月頃です。 秋冬は屋外で地植えにする育て方は難しいため、いつでも移動ができる鉢植えにします。鉢への植え付け方法をご紹介します。
植え付ける
水はけが良く、ある程度は水分をたもてる土がいいです。観葉植物用の培養土(ばいようど)がおすすめ。または、赤玉土小粒8割、腐葉土(ふようど)1割、川砂か堆肥(たいひ)1割を混ぜた土を使います。 苗よりも大きな鉢へ土を入れて植え付けてください。植え替えも同様です。
スパティフィラムの管理
植え付けが終わったら、あとは適切な管理をして正しい育て方をしましょう。スパティフィラムを長く楽しむことができますよ。 初心者の方は水やりが失敗しやすいので注意してくださいね。時期にあわせて、肥料、剪定、植え替え、株分けも必要になってきます。
水やり
スパティフィラムは水が大好きです。5月〜9月の春夏は成長する時期なので、土が乾いてしまう前にたくさん水やりしましょう。といっても、びしょびしょの状態でこまめに水やりするのは、根が腐る原因になりますので控えてください。
冬は成長がゆるやかになりますので、水はあまり必要ありません。土がしっかりと乾ききってからふんだんに水やります。
葉水
土だけでなく、育てる空間も湿度の高い方が適しています。夏の時期は、霧吹きなどでシュシュっと葉っぱに水を吹きかけてください。この葉っぱに水を与えることを「葉水(はみず)」といいます。 乾燥してしまうと葉っぱの元気がなくなってきますので、気をつけてくださいね。
肥料
5月〜9月の成長する時期には、肥料をほどこします。 ゆっくりと効き目があらわれる緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)なら2ヶ月に1度の間隔で、ちょっと多めに与えます。
液体肥料の場合には、2週間に1度のひんどで与えてください。 この時期に肥料が足りないと花がつきませんので、忘れずに肥料を与えましょう。
剪定
白い花(仏炎苞)が緑色に変化し始めれば、花が終わる合図です。花がらを残しておくと種ができます。でも株の栄養を吸い取ってしまうんですね。種がいらない場合には、花がらを付け根から剪定してください。花がらを早く剪定することで、次の花のための体力をおんぞんできますよ。
植え替え
よく成長し、根っこが伸びるのも速いです。鉢いっぱいに根っこが張ると、根詰まりという症状をおこして、花がつかなくなったり、根っこがくさり全体が枯れてしまうこともあります。
なので1年か2年に1度、植え替えをする必要があります。 植え替えの時期は5月〜8月で、根っこ全体よりも一回り以上大きな鉢に植え替えてください。 同時に増やし方の1つでもある株分けをすると、1株あたりの根を少なくできます。
スパティフィラムの増やし方
植物を育てる上で、増やし方も知っておく必要があります。スパティフィラムの増やし方は、株分けと先に説明した種まきです。 植え替えと一緒におこなうのがおすすめです。株を鉢から取り出し、株分けをして植え替えると、重なる手間がはぶけますよ。
株分け
鉢から取り出した株の根っこを手で優しくほぐしながら、ついている土を取り、枯れたような根っこを少し剪定していきます。水につけて軽く洗ってもいいですね。 手でさくか、ハサミなどを使って株分けします。
新しい土を入れた鉢へ植え付けて、日陰に置いてください。新しい芽が出てきたら、明るさのある日陰で育てていきます。 これが基本的な増やし方になります。
増やし方の手段だけではない
株分けは、増やし方として用いるだけではありません。 どんどん成長するので、株分けしないと大きくなりすぎちゃいます。かといってたくさん育てられない場合は、人にあげるか処分しましょう。
スパティフィラムの病害虫
スパティフィラムは病気による被害はあまりないのですが、害虫はあらわれることがあります。どんな虫なのかと、予防、対策を覚えておきましょう。
害虫による被害
乾燥した環境では、ハダニがでてきます。予防には葉水が有効なので、葉っぱに霧吹きで水をかけてあげてください。発生した場合は、薬剤で退治できます。 風通しの悪い場所だとカイガラムシの被害にあいます。
幼虫なら薬剤が効きますが、成虫は殻におおわれて防御がかたいので、薬剤が効きません。使い終わった歯ブラシでこすって駆除(くじょ)してください。
スパティフィラムの人気3品種
スパティフィラムは、小型種、中型種、大型種で分類されている他にも、班(はん)が入っているものなど色々な品種があります。 人気があってよく出回っている品種を少しご紹介します。
5-1.ドミノ
「Spathiphyllum Domino」 小型種になります。班が葉っぱに入っていて、細く小さな花が咲きます。
5-2.メリー
「Spathiphyllum Merry」 メリーは中型種で、日本で生まれました。よく出回っています。 ミニ・メリーという小型種もありますよ。
5-3.マウナ・ロア
メリーの親にあたる中型種です。ハワイで誕生しました。名前もハワイ感がありますよね。それもそのはず、ハワイにはマウナ・ロア山という活火山が存在します。 大きな花が特徴的で、切り花としても人気があるんですよ。
スパティフィラムのまとめ
せいそでありながら、スタイリッシュなスパティフィラム。どんなテイストのお部屋にもあわせやすく、おしゃれな空間のポイントになるインテリアグリーンです。
肥料を与えたり、剪定や植え替えが必要だったりと少し手間はかかりますが、育て方としては難しくありません。株分けのような増やし方もあります。 緑に癒されたい方はぜひ取り入れてみてください。