ジャスミンの種類と基本的な育て方
ジャスミンはモクセイ科ソケイ属の植物の総称です。ジャスミンは熱帯地方原産の植物ですので、暑さには強いですが寒さにはあまり強くありません。 ジャスミンには、色んな種類がありますが、中には育てやすいものと育て方が少し難しいものがあります。
しかし、相対的に丈夫で育てやすく、剪定や挿し木、植え替えなどもそれほど難しくありません。珍しい苗についても以下にご紹介します。
ホワイトプリンセス 育て方
とてもキレイな花を咲かせます。熱帯原産の花ですが、寒さにもある程度耐えられます。水を好むジャスミンで、中級者向けと言われています。 日当りを好みますが、明るい日陰程度ならば枯れずに育ってくれます。もちろん日当りのいい方が花つきがよくなります。とはいえ真夏の直射日光に当て続けることは避けて下さい。
羽衣ジャスミン 育て方
つる性の低木です。温暖な地方では冬を越すことが出来るので、フェンスなどに絡ませて育てたり、釣り鉢などにして育てる種類です。花が美しいだけでなく、早く、簡単に育つたので大変好まれます。 ある程度寒さに耐えられますが、気温が0℃以下にならないような環境で育てるのがコツです。
アラビアンジャスミン 育て方
半つる性の常緑低木です。とても香りの良い種類です。 寒さにはあまり強くありません。5℃以上の環境で育てることが、花を咲かせるコツです。それ以上の寒さに当てると枯れてしまうことがあります。外の気温が10度以下になったら、室内に取り込んで育てた方が安心です。
ソケイ 育て方
白い花をつけ、甘い独特な良い香りがします。1〜4mの高さに生長し、葉っぱが長く5-12cmになります。暖かい地域でよく育ちます。関東より西の地域では越冬できますので、地植えができますが、鉢植えでも育てられます。
庭に植える場合、根鉢の2~3倍の植え穴を掘って、掘り出した庭土に3割程度のバーク堆肥(腐葉土)を入れて庭土とよく混ぜ合わせて植えつけるとよく育ちます。
コモンジャスミン 育て方
香りの女王といわれるジャスミンです。半つる性の多年草で、何かに絡ませて育てます。小さなきれいな花をたくさんつけます。また、開花する際には、5つの花びらをつけます。 あまり神経を使わなくても大丈夫です。
表面の土が乾かない程度に水をやります。夏場の乾燥を防ぐためにコケを強いてあげるのも一つの方法です。 適温は、25℃~30℃です。5℃を下回らないように注意しましょう。
マダガスカルジャスミン 育て方
多年草のつる植物です。葉は楕円形で分厚く、筒状の白い花を春から夏の時期 5~9月頃に咲かせます。 花嫁のブーケによく使われる種類で、育てやすい品種です。 日光を好むジャスミンですが、夏の強い日射しは葉焼けの原因にもなりますので当て続けないようにしてあげて下さい。
朝日には充分当て、日光の強い日中にはレースのカーテンごしなどの風通しのよいところに置いてあげるとよく育ちます。ただ日照が不足すると葉色が悪くなりますので日当たりの管理は重要です。また乾燥している場合は全体に霧を吹くなど保湿してください。
ジャスミンの育て方 11のコツ
ジャスミンの育て方は基本的にそれほど難しくなりませんが、初めての方にとって注意すべき11のコツがあります。
ジャスミンの育て方①:土の種類を選ぶ
ジャスミンは中性~弱アルカリ性で、水はけのよい土を好みます。 自宅の庭にある土は雨の影響で酸性の土壌になっている場合が多いので使用しないのが賢明です。 市販の培養土で十分育ちます。配合する場合は、赤玉土6、腐葉土4程度の割合で混ぜ合わせるとよく根を張ります。
ジャスミンの育て方②:苗の植え方と苗の育て方
苗と言っても、挿し木で増やしたものが苗木として売られています。それで、園芸屋さんに行って、自分の好みの種類の苗や庭に適したジャスミンの苗を購入し、鉢植えか地植えにして育てることになります。 苗の大きさや種類にもよりますが、小さな苗は数百円で購入することが可能です。
鉢植えと育て方
鉢植えは、地面に置くタイプでも吊るすタイプでも可能ですが、つる性の種類の場合、つるがきちんと張れるような場所に鉢を置いてやる必要があります。 また、春から夏には屋外の日当たりの良い場所に置いておきます。しかし、秋から冬は霜が降りる前に室内の窓際など、日当たりの良い場所に置いてやるのがコツです。
地植えと育て方
地植えの場合、水はけの良い場所を選びましょう。高温多湿に強いジャスミンですが、土の中が湿りすぎていると根から枯れてしまうことがあります。
また、直射日光に長時間あてると葉が焼けてしまうことがあるので、半日陰になる様な場所に地植えするのがコツです。 根鉢の大きさの2倍の深さの穴を掘り、元腐葉土か完熟堆肥などを混合して植えつけます。
ジャスミンの育て方③:種のまき方?
上述のとおり、ジャスミンは、挿し木で増やし根付いたものを苗として販売される場合がほとんどです。ですから、種まきで育てるよりも、苗を購入するのが一般的だと言えます。
種まきの時期
品種によって種まきの時期が異なりますが、ほとんどの場合、3月下旬~4月下旬頃で、十分に暖かくなってから行うとよいでしょう。 また、秋に行う場合には、9月下旬~10月下旬ごろに種まきを行います。
ジャスミンの育て方④:植え替え
ジャスミンは根が傷つきやすいので、植え替える時にはあまり土を落とさずに行うのがコツです。植え替えた後は、1週間程度日陰に置いて、根が伸びてくるのを待ちます。 また、鉢植えの場合は、背が伸びてくると鉢の底から根が出て来くることがあります。
そこまで成長すると鉢の中は根で一杯になっているので、植え替えを行わなければなりません。植え替えの時期を遅らせると根詰まりすることになります。 十分成長したら背の高い支柱も必要になります。つるを巻き直し、さらに伸ばせるよな環境に植え替えてあげて下さい。
植え替えの時期
植え替えの時期は、寒さが過ぎて、成長が始まる3~4月の時期に行います。朝に霜が降りないくらい十分暖かくなってから行うようにして下さい。秋に行う場合は、9~10月が最適です。寒くなる前に行う様にして下さい。
暑さに強いとはいえ真夏に植え替えるのは避けて下さい。余分な水分の蒸発で弱ってしまうことがあるからです。
ジャスミンの育て方⑤:水やり
ジャスミンは基本的にどの種類も乾燥に強くありません。それで、水やりは欠かさないように注意しましょう。水はけのよい場所や土で、水をたっぷりやるのが成長させるコツと言えます。 地植えの場合、雨がなく土がカラカラに乾燥していたら水をやる必要がありますが、それ以外は自然の降雨で十分でしょう。
ジャスミンの育て方⑥:肥料のやり方
肥料は与える時期にコツがあります。ジャスミンがつるを伸ばすのが春の時期なので、その前の2月~3月ごろのまだ寒い時期に肥料をやっておくとよく吸収します。
また、開花後の5月~6月ごろにハーブ用の固形肥料をやると秋の時期まで花を咲かせることができます。 寒肥として窒素、リン酸、カリを含んだハーブ用の肥料や油かすなどの有機化成肥料が適しています。
ジャスミンの育て方⑦:日当たりと置き場所について
ジャスミンは日当たりの良い場所を好みます。 春と秋は一日中、日光の当たる場所に置いておくとよく育ちます。夏は直射日光に長時間当てていると葉が焼けしてしまうことがあるので、鉢植えならば、昼間は半日陰の場所に移動させてあげます。
6月~7月の梅雨の季節は注意が必要です。水が多いと生育が悪くなり、枯れてしまうことがあります。それで、鉢植えの場合は雨の当たらない場所においておく必要があります。庭に植えている場合は、もみ殻くん炭を混ぜるなどして水はけをよくしておくのがコツです。
冬場の置き場所
冬はなるべく室内に入れておきます。ジャスミンの種類にもよりますが、温暖な地域で育てる場合は屋外でも枯れませんが、雪が降るような寒冷地では屋内で育てるようにします。外気温が2~3℃を下回るような地域では屋内においてあげます。
下の写真の様にバルコニーだからと安心していると時々寒い日に朝雪が積もったりすることがあります。それで、雪が降ることが分かったならば前日から室内に入れておくことをおすすめします。 ただ、屋内だと日光が入りにくいので葉っぱが黄色くなることがあります。窓に近い場所においてなるべく日光に当てるようにするとよいでしょう。
ジャスミンの育て方⑧:剪定の方法
ジャスミンのほとんどの種類は繁殖力が非常に旺盛です。そのため、毎年の剪定が必要です。神経質にならす大胆に剪定してあげて大丈夫です。 ただ、主要なつるまで剪定してしまうと、翌年に花が咲かない場合もあるのでご注意ください。 どれ程、大胆に剪定できるかは下のビデオをご覧ください。
剪定時期
花が咲き終わった後なるべく早い時期に剪定します。脇から出るつるの半分あるいは半分以上を剪定し、切り落としても大丈夫です。そうすることで植木の形を整え、毎年花を咲かせることが出来ます。
ジャスミンの育て方⑨:日頃の手入れ
日ごろの手入れは比較的簡単です。季節によって日当たりを調整し、毎日の水やりを欠かさないようにします。ただ水の与え過ぎは要注意です。花が終わった後には必ず剪定をします。 下のビデオも参考にご覧ください。
ジャスミンの育て方⑩:増やし方
ジャスミンは挿し木で増やすのが一般的です。赤玉土に挿し木をしてやると根が張りやすいでしょう。具体的な挿し木の手順や時期は以下の通りです。
挿し木
挿し木する枝を選ぶのがコツです。 成長した固い枝を選びます。葉っぱから葉っぱまでを「一節」と数え、枝の先から3~5節ぐらいの長さで切り取ります。 その枝を約1時間水に浸し十分水を吸わせます。
その後、鉢に入れた土に挿して根元をしっかり押さえ固定し、たっぷりと水やりをします。 直射日光の当たる場所よりも、半日陰の場所においてやって土がカラカラにならないように注意して下さい。
時期
種類にもよりますが一般的には開花後に挿し木をします。前述のとおり真夏の一番暑い時期は避けます。 ただしハゴロモジャスミンの場合は、8月~9月ごろが挿し木の適期となります。
ジャスミンの育て方⑪:防虫対策
春から秋の時期に、アブラムシやカイガラムシ、ハダニといった害虫が発生しやすくなります。 定期的に薬剤を散布して予防しますが、カイガラムシなどは薬剤が効きにくいので、ブラシのようなもので葉や花を傷つけないように注意しながら落としてやります。
いづれの害虫も大量に発生してしまうと駆除が厄介ですので、定期的に観察することをおすすめします。
ジャスミンの利用方法
香りを楽しむ
開花後ほどなくして、少量の花を摘み取ります。それを室内や車内においてあげると、ジャスミン特有の豊かな香りを楽しむことが出来ます。 ジャスミンは香りの強い種類も多いので、あまりたくさんの花を摘み取らない方がよいかもしれません。特に車内などにたくさんの花を置いておくと香りが充満してしまうことがあります。
ジャスミンティーにする
ジャスミンティーの醍醐味の一つは、味と風味を楽しむだけでなく、目でも楽しむことが出来る点になります。キレイな花と葉の組み合わせの部分をそのまま切り落とし水で汚れを落とした後、そのままお茶として楽しむことが出来ます。
お茶の中で花が咲いているようで幻想的な雰囲気でおいしいお茶を楽しむことが出来ます。 また、花がない時期にはキレイな葉を選んで適量摘み取ります。水でよく洗ってから生のままでも、あるいは乾燥させた後の葉をお茶として楽しむこともできます。
また、下の写真の様にジャスミンティーをゼリーにして楽しむこともできます。アイデア一つで色んな方法でジャスミンの味や香りを楽しめます。
ジャスミンの育て方 まとめ
ジャスミンは成長が早く、比較的強い育てやすい植物です。水はけのよい土で水をたっぷりあげて育てましょう。よく日の当たる場所に置いておくとよく育ちます。ただ真夏の直射に日光に一日中当て続けることは注意して下さい。
苗を購入して植え替えながら成長を楽しむのもよいですし、ご自分で挿し木をして増やしていくことでも楽しめます。
大きく育ててアーチにしたり垣根にはわせたりすることもできるので成長が楽しみですね。 剪定も神経質にならず大胆にカットすることが可能です。キレイに花を咲かせるには余分な枝はさっぱりカットしてしまいましょう。
観賞だけでなく、香りやジャスミンティーも楽しめるので、はじめての方もぜひ一度挑戦してみるのはいかがでしょうか!!
花が美しいだけでなく、早く、簡単に育つたので大変好まれます。