きっと、あなたも見た事があるシュロの木とは
シュロの木って、見た目がトロピカルな感じですよね?そうなんです。ヤシの木の仲間なんです。棕櫚、棕梠、椶櫚と表記される事もあります。南国のイメージですが、日本に育つシュロは、耐寒性が強く生育は遅く、管理が少なく済むため、手間がかからない育てやすい常緑樹です。
葉がしなやかにカーブを描く「和シュロ」、葉が上向きに伸びる「唐シュロ」が主な品種のようです。 幹の部分は枝分かれする事無く垂直に伸びて行きます。大きいものでは樹高が10メートルほどになる場合もあります。
シュロの木は、ただの植物にあらず
シュロの木は、実は身近な物にも活用されています。幹には毛のようなモサモサした繊維質が生えています。その繊維は非常に腐りにくく伸縮性がある為、たわし、ほうき、ロープの素材や玄関マットの素材としても使われています。
シュロの木はこんなところで使われている
幹の先端にだけ扇状に葉柄を広げて数十枚の熊手型の葉が付きます。お洒落な加工品に使われる事も。 また、お寺の撞木(鐘を突く為の棒)の素材として使用される事もあり、適度に柔らかく良い音が出るそうですよ。
シュロの木を観察していると、鳥がその繊維をくちばしで引っ張って加えて飛んでいく光景を良く目にします。そうなんです!巣の材料として用いられています。
シュロの木の入手方法
一般的には園芸店で見かける事は無いので、造園業者に手配して頂くと見栄えの良いカッコ良いシュロの木の入手が可能なようです。輸送可能な小さな苗から育てる場合は、苗を販売する農園の直営サイトでも購入が可能で、品種も豊富です。
入手方法:購入する
オークションサイトにも、たまに出品されている事があります。出品者は、一般の方であったり、園芸の業者の方の場合もあります。好みの品種が出ているかチェックするのもお勧めです。素敵な苗に出会えるかもしれません。
入手方法:自然に頼る
鳥が実を食べて種子を運ぶので、気が付けば庭に自然に生えている。というケースが多々あります。私の実家でも、あちらこちらに生えてきます。気が付くと50センチ程になっている事も。お庭を散策してみてください。
シュロの木を植える
シュロの木は、洋風庭園に良く合います。1本だけ植えるよりも、高さの異なる複数の木を一か所に植えた方がカッコよくまとめる事ができます。もちろん1本でもカッコよく演出している方もいらっしゃいます。
環境
シュロの木は、日本で栽培されるヤシ科の植物では寒さにも強く、どちらかというと日蔭を好む植物ではありますが日向でも育つそうです。腐葉土など栄養満点の土壌を好み日蔭を好み、ジメジメした土は苦手なので水はけの悪い土壌では、鹿沼や赤玉土を混ぜて土壌改善をした方が良さそうです。
シュロの木の手入れ
生長が遅く、盆栽の様に矯正、誘引をする事なく真っ直ぐに樹姿が大きく乱れることもなく育つので、とっても楽な植物です。あまり手入れに時間を取れない忙しい方でも大丈夫です!
上へ上へ育つので、横に広がって道を塞ぐ事も無いのが嬉しいですよね。 肥料は年に1回だけ2月~3月頃に、幹から少しはなれた位置をぐるりと囲むように溝を掘り、そこに鶏糞や堆肥を施します。
自分でシュロの木を剪定してみよう!
シュロの木は、剪定はとても楽!基本的には自然に形が整う植物なんです。
でも、やはりカッコ良く見せたいですよね?あのモサモサした繊維をいかにキレイに美しく見せるのか、そんな思いもありますが、剪定は年に基本的には、たったの1回の手入れで簡単にカッコ良く維持できるのがシュロの木の魅力だと思います。
剪定の準備をしましょう!
シュロの木の葉は固く、幹に生えた繊維質もチクチクでガサガサしていて、肌を傷付けるので、素手ではなく何か着用する事をお勧めします。ゴム手袋でも、軍手でも構いませんが、お持ちであればバラの選定に使用する革の手袋が最適です。繊維の中に虫が隠れている事もあるので、気を付けて作業を開始して下さい。
シュロの木の繊維は、たわし、ほうき、ロープの素材としても利用されるくらいですから、結構ゴワゴワして固いです。小さな苗のうちは、小さな植木ばさみでも大丈夫です。大きく育った樹の場合は、大きな刈込挟みがお勧めです。
いつ、どう剪定するのか?
普段は、枯葉や繊維の乱れが気になった時にに行えば問題ありません。 4月頃の暖かくなってきた頃になると、新芽が出ていると思います。新しい葉が育っている事を確認した上で、完全に茶色に枯れた葉やまだ緑だけれど、風などの要因でボロボロになってしまった葉を取り除いで下さい。
ただ、全体で10枚前後の葉は生育に最低限必要です。10枚に満たない場合は、傷ついていても緑で光合成が望める葉は残すようにしてあげて下さい。完全に茶色になって枯れた葉だけを取り除くように心がけて下さい。
カットのコツ
幹に生えた繊維は適当な長さにカットして構いません。はさみの間に挟まり、カットするのにはコツが必要です。小さな剪定ばさみの場合は、手で引っ張りながらカットするとやりやすいと思います。私の場合、広範囲な場合は植木ばさみでカットしてしまっています。
繊維が固いので、手が疲れると思いますが、間違ってもバーナーで焼こうだなんて思わないで下さい。大変危険です。幹の中心は水分が十分にあり燃えませんが、繊維が乾燥している際にはあっと言う間に全て燃えてしまいます。
シュロの木が雌株の場合
雌株の場合、5月頃に花が咲きます。シュロの木は身近に植えられているので、すぐに受粉し実が付きます。実が付くと栄養が優先的に実を送られてしまうため、葉や幹があまり育たなく疲れてしまいます。
5月頃になったら注意深く観察し、花穂が出てきたら出来るだけ早く切り落として下さい。一度切り落としても、時間差でまた出てくる場合があるので、しばらく観察を続けてください。
もし、種を採集したいのであれば、そのままにすれば種が育ちますが、自然交配は雑種である事が多いので、あまりお勧めできません。
シュロの木の手入れと同時に確認を
見栄えだけの問題で、基本的には殆ど剪定や手入れを必要としませんので、手入れをサボってしまっても生育に影響はありません。 極まれではありますが、水はけの良くない土壌に植えてしまった場合、知らず知らずのうちに幹が腐っている場合があります。ちょっとした風や台風で倒壊する恐れがあります。
シュロの木の剪定は庭師泣かせ?
あまり手がかからないものの、一旦大きく育ってしまえば、幹の先端にしか葉が生えていないため、高さ(丈)を調節する事が出来ません。仮に好みの高さに切ったとしても、そこから葉が生える事は無く、かれてしまうのです。お客様に「丈を低くして下さい」と言われて困ってしまう事もあるようです。
シュロの木を思い切って伐採してみよう!
シュロの木は10メートル程になってしまう事もある植物です。電線に引っかかっては危険ですし、季節の手入れをするにもハシゴが不可欠で危険を伴います。そうなってしまうと、可愛そうですが伐採処分するしか選択肢はありません。
伐採には覚悟が必要です
シュロの幹はとんでもなく固いのです。その上繊維に覆われている為、のこぎりの刃が引っかかってしまい、そう簡単には伐採できないのです。チェーンソウも同様です。 お勧めはするのは斧です。扱いには慣れが必要ですが、繊維に引っかかる事なく確実に伐採できるアイテムです。倒れる向きに気を付けてください。幹はとても重たく危険が伴います。
プロにお願いするのが一番安全で早いと思います。クレーンで吊ったり、ハシゴで段階的に切断したりしてくれます。大変な抜根作業も行ってもらえるのでお勧めです。
シュロの木の伐採後の処分方法について
幹は水分が豊富でとても重たいです。自治体のごみに出すには短く斧で切断する必要があります。 プロに伐採と処分を依頼するのも選択肢ではないかと思います。
まとめ
どこか南国の雰囲気で涼しげな印象でお庭を素敵に演出してくれるシュロの木。虫も付かず手入れがとても楽な植物です。パーフェクト!と言いたい所ですが、大きくなりすぎた時のデメリットも視野に入れておく必要がある事をご理解頂けたのでしょうか?
お勧めは鉢植えです。お庭でなくても鉢上でも十分にステキに演出できるのでぜひ、あたなのセンスで植えてみて下さいね。
実をつけてしまうと、幹に栄養が行きませんが、アレンジに使うとステキですね。
緑鮮やかな葉はクラフトに活用するのもステキです。
鉢植えにしやすいサイズです。南国の雰囲気を出したい場合にお勧めです。ぐんぐん伸びて、5~7メートル程になります。葉が硬めでぱきっと上向きなのが唐シュロの特徴でカッコよく見えます。