ラッパスイセンとは
科名
ヒガンバナ科スイセン属
学名
Narcissus pseudonarcissus
花名由来
その名の通り、福花冠(中央の筒状になっている部分)がラッパのように突き出して見えることが由来です。 ちなみに、「スイセン(水仙)」の由来は、そのたたずまいが仙人を思わせるところから来ているのだそう。これは中国で付けられた名で、それがそのまま日本に渡ってきたと考えられています。 英語では「daffodil(ダッフォディル)」と呼ばれるラッパスイセン。これは「早く来る者」という意味で、ラッパスイセンが春の早い時期から開花することが由来です。
ラッパスイセンの花言葉・開花時期
花言葉:「尊敬」
ラッパスイセンの花言葉は「尊敬」です。 年上の人や恩人に贈りたくなるような、すてきな花言葉ですね。 ですが、黄色いラッパスイセンにはべつの花言葉もあります。「尊敬」は同じですが、他にも「あなたを待つ」、「報われぬ恋」なんて悲しい花言葉も。
開花時期
品種によって異なります。 早いものは年が明ける前の12月から開花し、 4月ごろにかけてそれぞれ花開いていきます。 ラッパスイセンの球根を購入するときは、パッケージの裏側等に記載されている開花時期もチェックしておくと目安になりますよ。
ラッパスイセンの育て方・栽培方法
難易度
ラッパスイセンは栽培が簡単です。 初心者さんでも、気軽にチャレンジしてみましょう!
時期
栽培をスタートさせる時期は9月以降が良いでしょう。 遅くとも、11月中旬までには球根を植えます。 ラッパスイセンに限らず、スイセン全般は数ヶ月間の寒さに当てないと花を咲かせない性質をもちます。なので、しっかりと秋~冬の寒さを感じさせましょう。春が近づくと徐々に気温が上がりますよね。この変化を感じ取って、「春が来た」と感じ、花を咲かせる植物なのです。
場所
日当たりと水はけのよい場所を好みます。 落葉樹の下のような、夏だけ半日陰になるような日なたがベストです。 土は、普通の花用培養土か、球根用の土を使えば良いでしょう。 容器栽培するときは、植え付け後に室内へ取り込んでしまわないのがコツです。これでは気温変化をラッパスイセンが感じ取れません。外に放置し、寒さに当てなければならないのをお忘れなく!
植え付け
植え付けのポイントは「深植え」にすること。 球根を深めに植え付けます。だいたい球根の2~3個ぶんは深さを取り、しっかりと土をかぶせてあげてください。浅めに植えてしまうと、良い花が咲かないのです。 また、球根の先端(たまねぎ状の部分)にも注目してみてください。 ここにマイナスドライバーのような「-」という筋が入っていませんか? これは、葉が左右に出てくる部分の目印です。これを目印にして、成長したときに葉が重なり合わないように配置してください。
水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをします。 冬の間も、土の表面が乾き次第水を与えましょう。
肥料
最初に、緩効性肥料を元肥として混ぜ込んでおきます。 花が終わってからは、液肥を2~3回施すと良いでしょう。 これは、球根を太らせるためです。こうすることで、翌年以降もよい花が咲きます。
掘り上げ
3~4年間は球根を掘り上げないほうが、よい花が咲くとされています。 掘り上げるときは、花の咲き終わった秋が適切です。 まずは消毒をしてあげましょう。 消毒後は風通しのよい日陰につるして、秋まで保存します。
増やし方
「分球」で増やします。 堀り上げと一緒に、分球して増えた球根を切り分ける作業も行いましょう。 分球した子株は、親株と一緒に乾燥保存はせず、切り分けてすぐに植え付けてください。こうすることで、子株を太らせることができます。
病気
スイセン類にはかかりやすい病気があります。 それは「モザイク病」。これはアブラムシが寄ってくることによって誘発される病気なので、まずはアブラムシに気をつけましょう。錠剤を定期的に散布すると効果的です。
ラッパスイセンの特徴
スイセンの一種
ラッパスイセンは、スイセンの一種です。 人気のスイセンは、いままでに何度も品種改良が繰り返されてきました。 その分、膨大な種類が存在します。その中でも「口紅系」や「大杯系」など、細かい分類があるのです。ラッパスイセンもこの呼び分けの一種で、「ラッパ系」という呼び方をされることもあります。 イギリス王立園芸協会では、福花冠(中央の筒状になっている部分)の長さが花弁と同じ~それ以上であることが「ラッパスイセン」の定義だと定めています。
古代ギリシャから愛された花
スイセンはギリシャ神話にも登場する、たいへん歴史の古い花です。 美少年ナルキッサスの化身ともされ、かの名高い詩人ホメロスも「驚異の花、燦然と輝く」とスイセンをたたえています。
日本に渡ってきたのは平安時代
スイセンが日本にやってきたのは、平安時代とされています。 経路は諸説ありますが、中国をへて渡ってきた、海流に乗ってやってきた等々、さまざまな説があります。ちなみにニホンズイセンと呼ばれるスイセンも、平安時代ごろに中国から渡来したと考えられています。
現代でも絶大な人気
「スイセン」と呼ばれる植物には、なんと1万数千種ものバリエーションがあります。現代でも新しい品種の登録が続いており、まだまだ衰えないスイセンの人気を物語るようです。
強い生命力と香り
スイセン全般には香りがあります。 本来は春の花ですが、品種によっては「まだ秋の終わり」というシーズンから早々と開花します。寒い中でも春の訪れを感じさせてくれるような、不思議な花なのです。寒い冬が苦手、という方でも、スイセンを育てれば早々と春を感じることができるでしょう。身に染みるような寒さを耐え抜く苦しさが和らぐかもしれません。 過酷な寒さの中でも咲くスイセンからは、 強い生命力と、気高さを感じることができます。
ラッパスイセンの品種・原種
原産地
地中海沿岸がラッパスイセンの原産地です。 最初はスペインのピレネー地方で発見されたと考えられています。
分布域
西ヨーロッパに分布しています。 ヨーロッパ以外でも、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで野生化し、自然のうちに交配が行われて誕生した品種(自然交雑種)も確認されています。
マウント・フット
花全体が白く、愛らしいラッパスイセンです。 中央の福花冠には、ふんわりとしたフリル状のひだがついており、優雅な雰囲気があります。
フォーチュン
福花冠が大きく突き出したラッパスイセンです。 まわりを囲む花弁は6枚で、すっきりとしています。 ラッパスイセンらしく、中央部の主張が大きい品種です。
キング・アルフレッド
真っ黄色の花をしたラッパスイセン。 濃い黄色は黄金を思わせます。まさに「キング」と呼ばれるのにふさわしい、堂々たるたたずまいです。
ラッパスイセンは、ウェールズの国花
ラッパスイセンは、イギリスのウェールズの国花としても知られています。 イギリスの王立園芸協会に登録されている、膨大なスイセンの品種からも察せられる通り、それだけイギリスを中心としたヨーロッパで人気の高い花なのです。 「尊敬」という格式高ささえ感じられるような花言葉からも、英国の気品がにじみ出るようですね。 そんな背景を持つラッパスイセンは、もちろんイングリッシュガーデンとの相性も抜群です!
まとめ
スイセンの中でも、個性的でユニークな形をしているのがラッパスイセンです。 ラッパスイセンの他にも、スイセンの仲間たちには実にさまざまな種類があります。あなたもお気に入りの品種を見つけて、栽培に挑戦してみてくださいね! ・深めに植え付ける ・日の当たる場所に植える ・屋内に取り込まず、外で育てる このポイントさえ押さえれば、きれいな花を誰でも咲かせられます!