ヒメマス/分類
サケ目サケ亜目サケ科サケ属
ヒメマスは日本の一部湖にのみ生息する魚です。一生を湖で過ごす陸封型をヒメマス、海へ向かうとベニザケと呼ばれます。北海道の阿寒湖とチミケップ湖を原産とし、現在は養殖を目的に本州でも姿を見ることが出来ます。湖に流入する川を行き来して広まった魚ではないので、特定の場所でしか出会えない事が大きな特徴です。
ヒメマス/外国名
Kokanee
日本ではヒメマスの意味。陸封型の魚なので住んでいる地域によって様々な名称が付け加えられます。海へ移動するタイプはSalmonになります。
ヒメマス/学名
Oncorhynchus nerka
ベニザケの学名もOncorhynchus nerkaです。姿は生息環境によって変化しますが、同じ種である事が確認できます。
ヒメマス/由来(漢字)
姫鱒
紅色の鱒、ベニザケよりも小さい事から姫鱒となりました。
ヒメマス/生息地域・分布
北海道と一部湖
国内では阿寒湖とチミケップ湖が原産。中禅寺湖や芦ノ湖、十和田湖など本州の湖でもヒメマスを見つける事が出来ます。山梨県や神奈川県にも棲息しているので、是非お出かけになってみてください。
ヒメマス/生態・生育環境
ヒメマスの食性、特徴、生育環境をチェック!
ヒメマスの生態から食性、特徴、生育環境の3つをご紹介。ベニザケと同種でありながら湖のみで生活している事が大きな特徴です。
1/3.雑食性
多くの鱒類と同じくプランクトンを食べて成長し、ワカサギなど小型の魚を狙うフィッシュイーターへと成長します。水面に落ちた虫類も食べるので様々な釣り方で狙うことが出来るターゲットです。
2/3.陸封型がヒメマス
淡水域と海水域を行き来するタイプの魚が地形変動等により淡水域に閉じ込められたり、生活環境への適応として海を目指さなくなった魚を陸封型と呼びます。同じ種でも海へ向かう魚と陸封型とで異なる成長を遂げるため別名で呼ばれるケースが多いです。サケや鱒に多く見られる事も特徴で、アメマス、サクラマスなど国内でも複数の種で陸封型と降海型を確認する事ができます。
3/3.湖のみで生活
ヒメマスと呼ばれる種は産卵から成長、寿命を迎えるまでのサイクルを湖の中で過ごします。産卵期は10月から11月、普段は銀色の魚体をしていますが、秋になるとベニザケのように体色が紅くなる事も大きな特徴です。
ヒメマス/特徴・形態
50cm前後まで成長
海で暮らすベニザケよりも一回り小ぶりですが、国内の川魚の中では大型化する魚に分類される魚です。サケらしく力強い引きが持ち味で釣りのターゲットとしての人気も抜群。浅場から深場まで、季節に合わせて湖の中を移動しています。
婚姻色と体系の変化が特徴!
産卵期が近づくと雄雌とも魚体が紅く変色します。雄はかなり特徴的でより赤みが強く背中が大きく張り出します。背中が張っている事からせっぱりと呼ばれるこの時期の雄は姿が良く、釣りのターゲットとして価値の高い魚になっています。
ヒメマス/釣り情報
ヒメマス釣り情報を4つに分けてご紹介!
ヒメマス釣りの時期と釣り場、釣り方や釣り道具に関連する記事の3つを紹介しています。淡水魚なので禁漁期間と釣り券の購入が必要になります。熱心なファンの多いターゲットなので近隣の釣具店で情報収集する方法がおすすめです。ルールの変更等が考えられるので必ずご自身で確認してお出かけになってください。
1/4.ヒメマスが狙える時期と釣り場
棲息している湖が限定されているヒメマス。禁漁、解禁日やレギュレーションは湖ごとに異なります。必ずお出かけになる湖の解禁期間を確認、釣りが可能な時間をチェックして釣り券を購入してから釣りをしてください。一日に釣って良い数に制限がある場合もあります。
2/4.レイクトローリングが人気!
ヒメマスの釣りといえばボートで仕掛けを引きながら釣るトローリングです。湖で行うトローリングでレイクトローリング、ヒメマスを狙う事からヒメトロとも呼ばれます。専用の製品が展開されるほど人気の高い釣りモノで、解禁初日は全国からファンが集ります。良く曲がる柔らかく強い竿にオモリ、集魚板とルアーをセットしてアタリが出るまで船を走らせます。タナに敏感な魚なので仕掛けを泳がせる水深、コースがポイントになる釣り方です。
3/4フライゲームも盛んなターゲット!
湖で腕を振れるフライゲームとしても人気の高いヒメマス釣り。腰ほどまで水に入って狙うウェーディングでの釣りが主流です。サケに効く赤いフェザーを使ったフライで食わせるか見切られるか、白熱するサイトフィッシングが楽しめます。根掛りしにくいフックが上向きのフライ、キールタイプを沈めて誘う方法が人気です。
4/4.エサ釣りならサビキ釣り
ヒメマスのサビキ釣りは海での釣りと良く似ています。飾りの付いたアジ用サビキ、コマセを入れるカゴを付けた仕掛けを使います。コマセの内容は人それぞれで、ヘラ用、海釣り用、冷凍のアミエビやオキアミを使用。釣り方もタナを合わせてコマセを撒くスタンダードな釣り方でOKです。ポイントの知識が釣果を大きく左右する釣りなので、釣り場近くの釣具店で情報収集を行っておきましょう!
ヒメマス/味・選び方
色の良い物を選ぼう!
各湖とも養殖、販売を行っている魚です。スーパーや鮮魚店に流通する事はほとんどありませんが、特産品として通販でも購入可能です。痛みの早い魚と言われているので、選ぶ時は輝きのあるもの、身に張りのあるものを選んでみてください。
味は鮭よりも鱒寄り!
ヒメマスの身は鮭に似たサーモンピンク。臭みは無く旨みが強い食味が特徴です。鮭のように強い風味はないので、鮭よりも鱒に近い味わいを持っています。鮭や鱒の中でも特に美味しいと言われている魚なので、興味のある方は是非チェックしてみて下さい!
ヒメマス/栄養・寄生虫
川魚の生食はNG!
ヒメマスに限らず淡水魚は寄生虫の種が多く、症状も深刻になるケースが考えられるので基本的に生食NGです。中間宿主無しには寄生できないので、専用の方法で養殖された魚であれば生食できるケースもあります。加熱調理、もしくは冷凍後解凍してから食べるようにしましょう。冷凍後解凍する方法はルイベとして昔から使われてきた食べ方です。
ヒメマス/料理・調理方法
ヒメマスの下処理と調理法方をご紹介!
ヒメマスの処理と調理法を4つに分けてご紹介。クセがなく美味しい魚なので、香りの強い魚が苦手な方にもおすすめ出来ます!
1/4.ヒメマスの下処理
他の魚同様、エラの付け根に刃を入れて血抜きを行います。表面のヌメリ、ウロコは臭いの原因になるのでブラシで落としておきましょう。帰宅後の処理が簡単になります。内臓の処理もポイント。産卵期の鮭、マスには筋肉を分解してエネルギーにする酵素が含まれており、絶命しても酵素は働き続けます。冷やすことで進行を遅らせることが出来るので内蔵を処理後、水気を取ってクーラーへ入れる方法がおすすめです。
2/4.冷凍と解凍
家庭用冷凍庫の温度はマイナス10℃前後。寄生虫を殺すためにはマイナス20℃の温度が必要になるので、寄生虫除去を目的に家庭で冷凍処理を行うのは難しいです。加熱調理を行うか、処理された物を入手しましょう。解凍は出来るだけ温度を上げないように、冷蔵庫か室温でゆっくり解凍しましょう。
3/4.ヒメマスの刺身
臭みは無く脂のノリが良いサクラマスはお刺身が人気!鮭の風味が少ないサーモンのような味わいで柔らかく溶けるような食感です。棲息している湖の近辺では特産品として飲食店でも食べることが出来ます。
4/4.ヒメマスのムニエル
サーモン、トラウトと近い種の魚は洋食で人気の魚なのでムニエルもおすすめです。鮭のムニエルと同じようなイメージで塩コショウ、小麦粉をつけたらバターでソテーすれば完成です。火を通すと鮭の風味が強調されて、別の風味を楽しむ事ができる魚です。
ヒメマス/その他
憧れの魚ヒメマス
釣れる湖が限定されている以上、狙って出かけなければ釣れる事の無い魚です。場所、期間が限定されている中で手に出来る魚のプレミア感は大きく、ヒメマスは釣り人憧れの魚になっています。湖ごとに釣れるポイント、釣り方に工夫が必要なので、納得できるサイズのヒメマスに出会うためには何度も通って挑戦を続ける必要があります。力強い引き味と美味しい食味だけでなく、珍しい魚を狙って釣るという部分もヒメマスの大きな魅力と言えそうです。